2012年10月29日月曜日

“花の妖精ティンクルの小さな冒険”2012年10月27日公演動画(8分)



以前、紹介したこともありますが・・・ティンクルちゃん
動画の撮り立てをご覧下さい(^_^)

ティンクルちゃんの片足が少し間、舞台外に飛び出して
いたことに、公演中は全く気付きませんでした~^^;
なんせ後ろが狭くて・・・前へ前へ・・・と出てしまったから・・・
or簡易舞台だった為、戻り難かった為なのです(>_<)
・・・が、なんともヘンテコな足状態で、
きっと、見ていた子どもたちも「痛そう・・・」などと思っていた
ことでしょう^^;

中央上に、かぼちゃの飾りが見えますね~・・・(^.^)
ハロウィンパーティだったので、その飾り付けが
至る所にされた可愛い会場でした♪







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2012年10月27日土曜日

“大和晃” ―全11場― エンディング

   ――――― 第 10 場 ―――――

         下手より静、続いて俯き加減の春彦、登場。

  春彦「・・・こんな時、私は“おめでとう”・・・と、言うべきなんでしょ
      うね・・・。」
  静「(振り返る。)え?」
  春彦「・・・暮原さんと、大和君が結婚するなんて・・・。仕事でも
      彼には勝てない・・・。今度は暮原さんまで・・・」
  静「如何しちゃったのよ。何時もの意気がってる近藤さんらしく
    ないわよ。(笑う。)まさか私も・・・。こんな急に、プロポーズさ
    れるなんてねぇ・・・。近藤さんにも直ぐに見つかるわよ、素敵
    な彼女!」
  春彦「失恋したての私に、その言葉は身を切られるより辛い・・・
      。」
  静「・・・失恋?失恋したてかぁ・・・(何かに気付いたように。)やだ
    !近藤さん、ひょっとして・・・!?(笑う。)」
  春彦「(下を向く。)わ・・・悪かったですね・・・。私があなたに失恋
      したのが、そんなに可笑しいですか・・・?」
  静「・・・ううん、ありがとう・・・。嬉しかったわ・・・そんな風に言って
    もらって・・・。でも、ご免なさい・・・。」
  春彦「・・・幸せになって下さい・・・。(溜め息を吐く。)いい男を演じ
      るのも・・・結構、快感ですね・・・。(笑う。)」
  静「近藤さんったら・・・。(笑う。)」

         2人、上手へ去る。
         暗転。

    ――――― 第 11 場 ―――――

         音楽流れ、下手スポットに、花束を持った晃、
         浮かび上がる。

  晃「ここが2人の始まりだったな・・・。あの頃の2人は、まだどう
    しようもない餓鬼だった・・・。(フッと笑う。)だけど、あの頃の
    思いは、今もちっとも変わらない・・・。おまえと過ごした青春
    時代は、俺にとっても・・・最高の宝物だ・・・掛け替えのない
    ・・・。尚斗・・・会いに来たぜ・・・。いるんだろ・・・?」

         尚斗、八百屋舞台上、上手方スポットに
         浮かび上がる。

  尚斗の声「ああ・・・(晃には聞こえていないよう。)」

  晃「俺達の約束を果たす為に・・・。」

  尚斗の声「・・・待ってたぜ・・・」

  晃「おまえは色んなことを、俺に教えてくれたな・・・。」

  尚斗の声「おまえだってそうさ・・・」

  晃「おまえは俺の、手本になるような奴だったからな。」

  尚斗の声「ばぁか・・・おまえこそ、俺の目標だったんだ・・・」

  晃「もう・・・生きておまえに会うことはなくなったけど・・・」

  尚斗の声「(笑って。)しめっぽいぜ!」

  晃「おまえは何時でも、ここにいるもんな!!俺は、何時もおまえ
    に会いに来るぜ!!爺さんになってもな!!向こうで、おまえ
    に会える時まで、ずっとだ!!」

  尚斗の声「・・・楽しみに待ってるよ・・・」

  晃「・・・尚斗・・・ありがとう・・・。」

  尚斗の声「・・・晃・・・幸せになれよ・・・」

  2人の声が響く「俺達の約束だ・・・!」

         尚斗、フェード・アウト。
         晃、八百屋舞台上に、花を置き歌う。

         “歩む道の先には何があるか分からない
         求めるものと違う曲がり角に
         ぶつかるかも知れない
         けれど何時も もっと前を見よう
         そこには屹度 答えがある筈だ
         今日に躓いても明日が来ない日はないんだ
         たとえ道標がなくても
         道が続く限り
         歩けばそこには待つものがある
         泣きたければ泣けばいい
         我慢することなく
         そしてほんの少しずつ強くなるんだ
         自分に勝てる心を養い
         次に訪れる幸せが
         待ちきれない程 人生を楽しめるように”



             彼方を見遣る晃。







         ――――― 幕 ―――――








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2012年10月26日金曜日

“大和晃” ―全11場― 6

       ――――― 第 9 場 ―――――

         静かな音楽流れる。
         スモーク流れ、舞台中央、眠っているような優美、
         スポットに浮かび上がる。
         八百屋舞台上、尚斗、スポットに浮かび上がる。
         優美を認め、優しそうに微笑むとゆっくり側へ。
         舞台、薄明るくなる。

  尚斗「・・・優美・・・優美・・・」
  優美「う・・・ん・・・(ゆっくり目覚める。目が見えているように、
      尚斗を認める。)・・・だ・・・れ・・・?」
  尚斗「(微笑む。)優美・・・」
  優美「・・・お兄ちゃん・・・?お兄ちゃんね!!私には分かる!!
      一度も見たことはないけど!!お兄ちゃん!!(尚斗に
      抱き縋る。)如何して私を一人ぼっちにいたの!?如何し
      て一人で先に行っちゃうの!?私、これから如何すれば
      いいの!?私も一緒に連れて行って!!」
  尚斗「優美・・・覚えているか・・・?おまえは小さい時から、何時
      も泣き虫だった・・・。何時も僕の後ろにひっ付いて・・・」
  優美「私はお兄ちゃんが大好きだった・・・!!」
  尚斗「そんな優美を、僕は何があっても守ってやろう・・・そう
      何時も考えていたんだ・・・」
  優美「じゃあ、これからも・・・!!」
  尚斗「優美・・・!!あんなに泣き虫だったおまえが、何時の頃
      からか、何があっても泣かなくなった・・・。僕の後ろに隠
      れてばかりいたおまえが、何時の間にか僕の前を歩くよ
      うになったんだ・・・。明るく笑うようになった・・・。僕はその
      変化が、とても嬉しかったよ・・・。それだけで、晃と友達
      になってよかった・・・と、心から思ったものだ・・・。」
  優美「・・・お兄ちゃん・・・」
  尚斗「僕には分かる・・・。優美が如何して自分の殻を破って、
      外の世界へ出て来たのか・・・。頑張るんだ、優美・・・。
      僕は、何時もおまえの側にいるよ・・・。」
  優美「私、頑張れない・・・!!(泣く。)お兄ちゃんがいなきゃ、
      私頑張れない!!」
  尚斗「(首を振る。)そんなことないよ・・・(微笑んで。)優美なら
      頑張れる・・・」

         尚斗、フェード・アウト。
         優美、再びスポットに浮かび上がる。

  優美「・・・お兄ちゃん・・・?お兄ちゃん・・・?お兄ちゃん!!私
      を一人ぼっちにしないで!!私も一緒に連れて行って!
      !(回りを捜す。)」

         優美、八百屋舞台上、放心したように後方を
         向いたまま立ち尽くす。
         舞台、明るくなる。その時、上手より晃、走り登場。
         優美を認める。

  晃「優美ちゃん!!」
  優美「こないで・・・。私は今から、お兄ちゃんの所へ行きます・・・
      。」
  晃「何を言ってるんだ、君は・・・!!(駆け寄ろうとする。)」
  優美「こないでって言ってるでしょ・・・!!来たら、今直ぐここか
      ら飛び降りて死ぬわ!!」
  晃「そんなことをして如何なるんだ!!」
  優美「私・・・今、お兄ちゃんに会ったわ・・・。」
  晃「え・・・?」
  優美「お兄ちゃんも、私に一緒に行こう・・・って言ってくれた・・・。
      だから行かなきゃ・・・」

         優しい音楽流れる。

  晃「優美ちゃん・・・。尚斗がそんなことを言う筈ないよ・・・。尚斗
    は何時も・・・どんな時も、君のことを一番に考えていた・・・。
    誰よりも優しく・・・何よりも深い愛情で、何時も君を見守って
    いたんだ・・・。あいつが何時も望んで止まなかったもの・・・
    それは、君の幸せだよ・・・。」

         晃、歌う。

         “例え 今が辛くとも
         屹度 何時か乗り越えられる
         だから生きてみないか・・・”

         優美、呼応するように歌う。

         “生きる希望を失った
         見たいものもなくなったわ
         だからそっとして!”

         晃、歌う。

         “希望ならまた見つかる
         見せたいものは山ほどある
         力強く生きるんだ!”

         優美、歌う。

         “嘘よ 全部出鱈目よ
         生きてても何の喜びも得られない
         大切な者を失った
         あなたには分からない”

         晃、歌う。

         “君の悲しみは僕の悲しみ
         君の涙は僕の涙
         同じ苦しみを味わってるんだ
         君の気持ちは僕の気持ち!!”

  晃「一緒にこの苦しみを乗り越えよう・・・。尚斗は、君の死なん
    か望んでやしない・・・。もし君が、尚斗に会ったと言うなら・・・
    君はもう知ってる筈だよ。あいつが何を君に望んでいるのか
    ・・・。あいつの本当の心が、見えた筈だ・・・。死ぬことは、
    簡単かも知れない・・・。生きることは辛いことが多いだろう
    ・・・。だけど、ほんの少しだけ、生きる勇気を持てば、今の
    辛さは、これからの君の人生の中で、何十倍もの幸せとなっ
    てかえってくるんだ・・・。その幸せは、尚斗から君への、最後
    の贈り物なんだよ・・・。それを受け取ってやらないで、如何
    するんだ!!」
  優美「・・・でも・・・私は一人ぼっちだわ・・・」
  晃「君は一人なんかじゃない・・・。俺がいる・・・。君が死んだら、
    俺は全く今の君と同じ気持ちになるだろう・・・。(笑う。)君は
    俺まで殺しちまうことになるんだ・・・。それに、君が生きる限
    り、君の心の中には、尚斗が生きるんだよ・・・。」
  優美「(涙が溢れる。)・・・晃さん・・・」

         その時、優美にだけ聞こえるように、
         尚斗の声が響く。

  尚斗の声「(優しく。)・・・優美・・・おまえが幸せになれば、僕も
         幸せなんだ・・・。分かるだろ・・・?」

  優美「(一瞬、声の主を捜すように、頭を上げる。)・・・お兄ちゃ
      ん・・・?ご免なさい・・・ご免なさい!!(声を上げて泣く。
      )」
  晃「(優美に駆け寄り、抱き寄せる。)分かってるよ・・・(微笑む
    。)」

         盛り上がった音楽で、暗転。     
      










   ――――― “大和晃”7へつづく ―――――











    
 





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2012年10月25日木曜日

“大和晃” ―全11場― 5

         優美、泣きながら車椅子を漕いで、下手方へ
         行く。

  春彦「危ない・・・!!私が付いて行こう!!(優美の方へ。)」

         優美、春彦下手へ去る。

  静「(晃の側へ。)晃・・・。優美ちゃん、及川君が亡くなった所で、
    感情が昂ってるのよ・・・。気にしないで・・・。」
  晃「・・・畜生・・・(涙を堪え、握り拳を握り、悔しさに体を震わす。)
    」
  静「晃・・・?」
  晃「畜生・・・!!如何して俺はあの時・・・」
  静「あなたの選択は、正しかったと思うわ・・・。」
  晃「(フッと笑う。)正しかった・・・か・・・。如何してそう言い切れる
    んだ・・・。もっと違う方法を選んでいれば、あいつは死ななくて
    済んだかも知れないんだぞ!!」
  静「あの時、ああするんだった・・・もっとこうすればよかった・・・な
    んて考え方は、馬鹿げてるわ!!いくら悔やんでも、時は戻り
    っこないもの!!あなたは生きて・・・彼は死んだのよ!!」
  晃「おまえに俺の気持ちが分かるものか!!」
  静「分からないわよ!!無二の親友を失った、あなたの気持ち
    なんて分かりっこないわ!!だけど・・・だけど及川君が亡く
    なって、悲しいのはあなただけじゃない!!それを考えられ
    ないで、自分だけが親友を失った、可哀相な人間だなんて   
    甘ったれた考えを持ってるようじゃ、屹度、及川君も天国で
    泣いてるでしょうね!!」
  晃「(思わず、静の頬を叩く。)」
  静「(涙を浮かべ、頬を押さえる。)・・・私は、あなたのことが好き
    だった・・・。けれど、こんなあなたは大っ嫌い!!」

         静、涙を堪えるように歌う。

         “自分の気持ちに気付くのは簡単・・・
         それを認めるのは至難の業
         だから見て見ぬ振りするのね・・・
         もっと目の前にある現実に
         心開けば自ずと分かる
         何も難しいことなんてない
         ただ素直になること
         それがたった一つの答え・・・”

  晃「・・・分かってるんだ・・・分かってるんだ・・。だけど、この現実
    を、自分の中でまだ認められないんだ・・・。あの時、無理だと
    分かっていても、何故俺はあいつを引き摺ってでも山を下りな
    かったのか・・・。自分の下した選択が、全て間違いで・・・だか
    らあいつが死んだんだ・・・。その思いで、心が潰れそうだ・・・。
    静・・・ご免・・・打ったりして・・・。おまえの言うことは正しいよ
    ・・・。俺は自分の心に素直になることが、一番不得意なんだ
    ・・・。」
  静「分かってるわ・・・晃のことは・・・誰よりも・・・。」
  晃「・・・静・・・」

         その時、上手より一人の警官登場。

  警官「(晃を認め。)大和晃さんでしょうか?」
  晃「(頷く。)」
  警官「(小さな紙袋を差し出す。)これはあなたのものですね。名
      前が書かれていましたから・・・。亡くなった及川さんの側
      に、転がっていたものです。どうぞ。」
  晃「(袋を受け取る。)」
  警官「じゃあ失礼します。」

         警官、上手へ去る。
         晃、袋から中身を取り出すと、携帯の
         テープレコーダー。    ※
    
  静「晃・・・?」

         カセットを見詰める晃、スポットに浮かび上がる。
         晃、カセットのボタンを押す。と、掠れた音楽流れ
         る。暫くすると、プッツリ切れ、雑音に交じって、
         尚斗の声が聞こえる。

  尚斗の声「・・・よかった・・・まだ、使えそうだ・・・」

  晃「(驚いたように。)尚斗・・・?」

  尚斗の声「・・・晃・・・おまえが何時も・・・こんなものを持ち歩いて
         たお陰で・・・俺は最後のメッセージを・・・おまえに残
         せそうだ・・・(苦しそうな笑い声。)折角・・・おまえが急
         いで助けを・・・呼びに行ってくれたのに・・・無駄になり
         そうだよ・・・。悪いな・・・。覚えてるか・・・晃・・・?中学
         の時の約束を・・・。どちらかが先に死んでも・・・必ず
         また会える・・・ここへ来れば・・・。どうやら・・・俺が・・・
         おまえの来てくれるのを・・・待つことになりそうだな・・・
         (笑う。)何時でも・・・自由奔放に生きてたおまえは・・・
         俺の憧れだったよ・・・。晃・・・優美を・・・頼む・・・(苦し
         そうに咳き込む。)」

  晃「尚斗!!(思わず叫ぶ。)」

  尚斗の声「・・・綺麗な空だなぁ・・・おまえと過ごした青春時代は
         ・・・俺にとって、忘れられない思い出だ・・・。おまえと
         出会った俺の人生は・・・最高に輝いてた・・・。ありが
         と・・・う・・・晃・・・(静かになる。)」

  晃「(絞り出すように。)・・・尚斗・・・」

         音楽流れ、晃、声を振り絞って歌う。

         “突然始まった出会いから・・・
         おまえは俺の目指す所だった・・・
         何時も少し前を行き
         導く者の役目をしてくれた・・・
         正しい心を与えてくれた・・・
         突然突き付けられた別れでも
         おまえは明るく笑って行った・・・
         何時も穏やかな心を持ち
         全ての者に溢れる愛を与え
         自分の運命を悲しむことなく・・・”

         涙を堪え、遠くを見遣る晃。一時置いて、物憂い
         面持ちで、ゆっくり上手より客席へ。(下手方へ。)
         その時、客席下手より、看護師、慌てて走り登場。

  看護師「優美ちゃん!!優美ちゃん!!(回りを捜すように。晃を
       認め、駆け寄る。)あっ!!大和さん!!」
  晃「・・・どうかされたんですか・・・?」
  看護師「大変なんです!!優美ちゃんが・・・!!」
  晃「え・・・?」
  看護師「一人になった隙に、病院を抜け出したらしくて・・・!!」
  晃「何だって!?」
  看護師「あの子、お兄さんが亡くなって、自暴自棄になってたから
       ・・・。」
  晃「兎に角、捜しましょう!!」
  看護師「ええ・・・!!」

         晃、看護師と共に、上手へ走り去る。

   




       ――――― “大和晃”6へつづく ―――――
 
 



  ※ かれこれ10年以上前に書いた作品の為、“テープレコーダ
   ー”などと、古めかしい小道具が登場します^^;・・・が、今回
   は、書き直すことはせず、書いた時のまま登場させたいと思い
   ます(^.^) 
   もう一つ、もし現在の私が“テープレコーダー”などと言った小道
   具を登場させるなら、どこか途中で、晃君がその物を使用して
   いる場面を一つくらい作っていると思います・・・(^_^;)
   まだまだ未熟な作品だと、中途半端な小道具使用ですが、気に
   せずお読みください^^;   




 
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2012年10月23日火曜日

“大和晃” ―全11場― 4

   ――――― 第 6 場 ―――――

         下手より、静登場。

  静「(くしゃみする。)いやだ・・・、誰か噂してるのかしら・・・。(遠く
    を見上げるように。)あの2人・・・今頃、何してるのかなぁ・・・。
    男2人のロマン・・・か・・・。他の女に現を抜かすより、ずっと
    マシよね・・・。」

         ゆっくり上手方へ行きかけると、上手よりひと組
         のカップル、楽しそうに語り合いながら登場。
         静の横を通り過ぎ、下手へ去る。2人の様子を
         羨まし気に見詰める静。歌う。上手へ。

         “折角のサタデーナイト
         私にとってのブルーホリデイ・・・
         今日は恋人達の夜
         なのに私は一人・・・
         でも何時か私も恋をするわ
         屹度 素敵なあなたを見つけ
         もう側にいる
         分かってるの私には・・・”

         暗転。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         カラカラと、小石の落ちる音がする。
         その時、“ドーン”と言う轟音が響き渡る。

  晃の声「落石だ!!逃げろ!!尚・・・!!」
  尚斗の声「わあーっ!!(叫ぶ。)」
  晃の声「尚斗ー!!(叫ぶ。)」

         一時置いて、落石の轟音が静まり返り、
         嵐の後の静けさが、辺りを包む。
         八百屋舞台上スポットに、尚斗を抱き抱えた
         晃、浮かび上がる。

  晃「尚斗!!尚斗!!確りしろ!!尚斗!!」
  尚斗「う・・・ん・・・(気付く。)」
  晃「尚斗!?」
  尚斗「・・・晃・・・」
  晃「尚斗・・・(ホッとしたように。)」
  尚斗「・・・如何しちまったんだ・・・一体・・・」
  晃「(上をチラッと見上げて。)あそこから、岩と一緒に落っこちた
    んだ・・・。大丈夫か?」
  尚斗「・・・う・・・(苦痛に顔を歪める。)・・・あんまり・・・感覚がない
      や・・・」
  晃「そりゃそうだ・・・。あれだけ大きな落石にあって、命が助かっ
    ただけでも儲け物だぜ・・・。」
  尚斗「(フッと笑う。)・・・そうだな・・・。おまえの方は・・・大丈夫な 
      のか・・・?」
  晃「ああ・・・、俺はなんともない・・・。(微笑む。)さぁ・・・これから
    如何やって、あそこまでおまえを担いで登るかな・・・。」
  尚斗「(笑って。)無理だよ・・・、担いでなんて・・・(咳き込む。)」
  晃「大丈夫か!?」
  尚斗「・・・一人で行ってくれ・・・」
  晃「馬鹿野郎!!俺がおまえを置いて・・・」
  尚斗「(晃の言葉を遮るように。)一人で行くんだ・・・!おまえが
      助けを呼んで、戻って来るまで・・・俺は何とか頑張る・・・。
      だから・・・一人で行くんだ・・・」
  晃「尚斗・・・」
  尚斗「何て顔してんだよ・・・。ほんの数時間じゃないか・・・」
  晃「だけど・・・!!」
  尚斗「(微笑む。)・・・おまえと一緒で・・・俺も生命線は長いんだ
      ・・・死にやしないよ・・・おまえが戻って来るまで・・・」
  晃「・・・分かった・・・。必ず助けを連れて、直ぐに戻って来る!!
    ・・・だからそれまで頑張るんだ!!(木霊する。)」

         暗転。    
   
    ――――― 第 8 場 ―――――

         厳かな音楽流れ、鐘の音が響き渡る。
         静かにミサ曲が歌われる。
         明るくなると中央、車椅子に黒のワンピースに
         身を包んだ優美、放心状態で座っている。
         横に礼装した春彦、静佇む。

  静「(涙を堪えるように。)優美ちゃん・・・元気出してね・・・。何か
    あったら、何時でも言って頂戴・・・。何でも力になるから・・・。」
  春彦「頑張るんだよ・・・。」

         春彦、静ゆっくり下手へ。

  春彦「(小声で。)まさか、及川君が亡くなるとはね・・・。(チラッと
      優美の方を見て。)これであの子も、天涯孤独の身ってこと
      ですね・・・。」
  静「そんな風に言うのはよして・・・!!あの子には晃だって・・・
    私だっているもの!!そんな独りぼっちみたいに・・・。」
  春彦「すみません・・・。それにしても今日、大和君は如何したん
      でしょうね・・・?仮にも親友だった及川君の、最後の別れ
      に現れないなんて・・・。」
  静「・・・晃・・・大丈夫かしら・・・。」
  春彦「え・・・?」
  静「あの2人・・・ずっと親友だったの・・・。私なんかが割り込む隙
    のないくらい・・・。堅い絆で結ばれてるようだった・・・。」
  優美「・・・でも・・・お兄ちゃんを見捨てたわ・・・。」
  静「・・・優美ちゃん?」
  優美「・・・晃さんは大怪我して、動けなくなったお兄ちゃんを見捨
      てて、自分だけ助かったのよ・・・。」
  静「そんなことないわ。晃が及川君を見捨てたりする訳ないじゃ
    ない!」
  優美「じゃあ・・・何故お兄ちゃんは死んだの・・・?」
  静「・・・それは・・」
  優美「・・・答えられる筈ないわ・・・。私が言ったことが正解だもの
      ・・・。」

         その時、上手より晃登場。ゆっくり3人の側へ。

  晃「・・・優美ちゃん・・・。」
  静「晃・・・」
  優美「・・・何しに来たの・・・。私は今・・・晃さんに一番会いたくな
      いの・・・。」
  晃「ご免・・・」
  優美「・・・謝るくらいなら、お兄ちゃんを返して・・・。返してよ!!
      如何してお兄ちゃんを一人で放っといて戻って来たの!!
      お兄ちゃん、大怪我してたのよ!!それなのに、晃さんが
      見捨てたからお兄ちゃんは死んじゃったんだわ!!私に
      とって、たった一人のお兄ちゃんだったのよ!!パパの
      代わり、ママの代わり・・・掛け替えのない人だったのに!
      !(泣き叫ぶ。)」
   








         ――――― “大和晃”5へつづく ―――――






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2012年10月22日月曜日

“大和晃” ―全11場― 3

  晃「(優美の隣へ腰を下ろす。花束を差し出して。)はい、プレゼ
    ント・・・。」
  優美「わぁ・・・ありがとう!(香りを嗅ぐ。)薔薇ね!!しかも私の
      好きなピンクかしら?」
  晃「ご名答!相変わらずいい勘してるなぁ。」
  優美「(クスッと笑って。)見えない分、勘は鋭いのよ!山・・・行く
      のね?」
  晃「うん。次の休みにね。」
  優美「晃さんって、昔っからそう!お兄ちゃんと山へ行く前には、
      必ず花束を持って、会いに来てくれるの!」
  晃「優美ちゃんに、大事な兄貴を少しの間お借りしますって、ちゃ
    んと挨拶しとかなきゃね。」
  優美「でも、お兄ちゃんも晃さんも本当に好きよねぇ・・・。中学で
      知り合って以来、ずっとでしょ?そんなに2人が魅了されて
      る山・・・私も一度でいいから行ってみたいなぁ・・・。」
  晃「じゃあ今度、一緒に行こう!」
  優美「え・・・?」
  晃「大丈夫!俺が手をひいて連れてってやるよ!その鋭い勘で
    感じるんだ、山の偉大さを・・・。屹度気に入るさ!!けど、尚
    斗の奴に“許さない!!”って言われそうだな。(笑う。)あいつ
    は、優美ちゃんのことになると、見境がなくなるから・・・。」
  優美「(笑う。)お兄ちゃんも言ってたわ、同じようなこと!“晃は
      一人っ子だから、おまえを本当の妹みたいに可愛がって
      くれるのはいいんだが、どうも些細なことで見境がなくなる
      のは・・・”って・・・。」
  晃「なんだ、自分だって同じくせに、偉そうな奴だな。」

         優美、声を上げて楽しそうに笑う。顔を空へ向け、
         心で何かを感じるように。

  優美「・・・行けるといいわね・・・。」

         晃、優美を見詰める。
         暗転。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         上手前方、スポットに春彦、暗い面持ちで
         浮かび上がる。独り言を言うように。

  春彦「何で、あいつが上手くいって、私が駄目なんだ・・・!!私
      の方があいつより、遥かにいい大学だって出てる!!将来
      有望と言われて入社したんだ!皆の期待の星だった!!
      何で私が休日返上で働いてるのに、あいつは有意義な休
      日を過ごし、呑気に山登りなんかしてるんだ!!」

         音楽流れ、春彦歌う。

         “可笑しい!可笑しい!
         何かが違う
         可笑しい!可笑しい!
         何処かで狂った
         私の人生の進む道
         あいつには負けられないんだ
         如何しても・・・
         あんなヘラヘラした調子者
         ただ明るいだけの考えなし
         皆騙されてる あいつの仮面に
         早く気付くんだ あいつの素顔
         可笑しい!こんな筈じゃない!!”

         静かな怒りに瞳を輝かせ、遠くを見遣る春彦。
         暗転。
      
    ――――― 第 5 場 ―――――

         静かな音楽流れ、薄明るくなると、山の星空の
         風景。舞台中央、晃と尚斗、星を見上げ横に
         なっている。尚斗、座る。

  尚斗「久しぶりだな。おまえとこうやって、一緒にここへ来るのは
      ・・・。初めてここへ来たのは高校の時だよな・・・。あの時
      のおまえ、途中でリュックの・・・(晃が聞いていないことに
      気付いて、晃が耳に嵌めていたイヤホンを、取り上げる。
      と、一瞬音楽大きく流れる。)」
  晃「(起き上がって。)何すんだよ!!」
  尚斗「おまえ・・・折角来たのに、それはないだろ?」
  晃「・・・悪い、昔から好きなんだ、この曲・・・。(笑う。)」
  尚斗「(溜め息を吐いて。)やれやれ・・・。(上を見上げて。)見て
      みろよ・・・。綺麗な星空だなぁ・・・。」
  晃「ああ・・・。(見上げる。)」
  尚斗「こんな美しい夜空を見上げてると、都会の雑踏の中で生活
      している自分が、丸で嘘のようだ・・・。」
  晃「ああ・・・。」
  尚斗「・・・優美にも見せてやりたいな・・・。(立ち上がる。)」
  晃「そうだな・・・。」
  尚斗「・・・また会いに行ってくれたんだって?」
  晃「(立ち上がる。)・・・暇が出来たんでね。」
  尚斗「あいつ、喜んで報告してたよ。“私の大好きなピンクの薔薇
      を持って、会いに来てくれた・・・”ってさ。(笑う。)女に花な
      んか、死んでも贈らないおなえが、優美にだけは昔っから
      例外のように接してくれる・・・。これからも、あいつのこと、
      見守ってやってくれよな・・・。」
  晃「何、変なこと言ってんだよ・・・。(笑う。)当たり前だろ?」
  尚斗「それから・・・好い加減、暮原さんの気持ちに応えてやれよ
      ・・・。」
  晃「・・・静の気持ち・・・って何だよ、それ・・・。」
  尚斗「分かってるだろ?彼女がおまえに思いを寄せていること・・・
      。」
  晃「(少し焦ったように。)ばっ・・・如何してあいつが俺に・・・!!」
  尚斗「聞けよ!おまえだって彼女と同じ気持ちの筈だ。違うか?」
  晃「ちょっ・・・ちょっと待てよ・・・!」
  尚斗「おまえね・・・何時までも知り合った頃の、中学生の餓鬼じゃ
      ないんだぜ・・・。自分の気持ちを俺に教えられなきゃ、分か
      らないようなもんでもないだろ?」

         尚斗歌う。

         “自分の気持ちに気付くのは簡単
         それを認めるのは至難の業
         だから見て見ぬ振りする”

         晃、呼応するように歌う。

         “違う
         それは単なるおまえの思い過ごし”

         尚斗歌う。

         “他人のことは見えるのに
         自分のことは 丸で盲目
         他人の為なら惜しみなく貸す力
         自分の為には使う理由も見つからない”

         晃歌う。

         “違う
         それは単なるおまえの思い込み”

         尚斗歌う。

         “もっと目の前にある現実に
         心開けば自ずと分かる
         何も難しいことなんてない
         ただ素直になること
         それがたった一つの答え・・・”

  晃「さぁ、もう寝るぞ!!明日も早いんだ!!おやすみ!!(ゴロ
    ンと横になり、毛布を頭から引っ被る。)」
  尚斗「(微笑んで晃の横に腰を下ろす。)素直じゃないな・・・、昔
      からおまえは・・・。(空を見上げる。)思い出すな・・・。初め
      て、おまえと出会った時のこと・・・。」
  晃「(毛布を取って。)・・・あの頃、俺は転校したてで、一人も友達
    がいなかったんだ・・・。おまけに不良ときたもんだから、誰も
    相手にしてくれなかったのに、おまえだけ・・・(思わず吹き出す
    。)“俺達、友達になれないかな!?”なんて・・・」
  尚斗「何言っていいか、分かんなかったんだ。ただ仲間を見つけ
      たようで、嬉しくてさ・・・。如何しても友達にならなきゃって
      思ったんだ・・・。」
  晃「・・・俺も・・・嬉しかったぜ・・・凄く・・・。」

         尚斗、嬉しそうに微笑む。
         暗転。  





         ――――― “大和晃”4へつづく ―――――




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2012年10月21日日曜日

“大和晃” ―全11場― 2

         ――――― 第 2 場 ―――――

         音楽流れ、舞台明るくなる。
         下手に一人のオフィスレディ(暮原 静)、書類を
         手に持ち登場。歌う。
         途中、上手より一人のインテリっぽいオフィスマン
         (近藤春彦)、鞄を手に登場。歌う。

      静“仕事 仕事 ああ忙しい
        何時も 何時も 休む間もない
        悲しいかな働く女性の定め”

      春彦“仕事 仕事 さあ働こう
         毎日 毎日 休んでなんかいられない
         負けられないんだあいつには”

      2人“働こう 何かの為に
         見つけよう 何か大切なもの
         直ぐ見つからなくても
         屹度見つかる 必ず見つかる
         自分の道が!!”

      静、上手方へ。春彦、下手方へ。
  
  静「(春彦を認め。)あら、近藤さん、出掛けるの?」
  春彦「ええ・・・。今週中に如何してもまとめたい、大口契約がある
      もので。」
  静「大変ねぇ、営業マンは・・・。」
  春彦「まぁ・・・。(時計を見て。)あ、そろそろ行かないと・・・。じゃあ
      ・・・。(下手方へ行く。)」
  静「そうだ!ねぇ、近藤さん!晃、戻ってたかしら?」
  春彦「な・・・何で私が、大和君が帰って来たかどうか、知ってるん
      ですか、全く・・・。」
  静「そう・・・。頑張るなぁ、晃・・・。」
  春彦「暮原さん・・・それは嫌味でしょうか・・・。」
  静「あら、そんな風に聞こえたらご免なさい。」
  春彦「(溜め息を吐いて。)じゃあ・・・。」

         春彦、下手方へ行くと、下手よりスーツ姿の
         晃、尚斗、話しながら登場。

  尚斗「だから、それは契約をまとめる為に・・・」
  晃「接待なんて、馬鹿げてるよ・・・。(笑う。春彦を認めて。)あれ
    ?近藤、今頃から外?」
  春彦「悪かったですね!!」

         春彦、下手へ去る。

  晃「如何したんだ、あいつ・・・」
  尚斗「さぁ・・・」
  静「(晃を認めて、駆け寄る。)おかえりなさい、晃!!」
  晃「また、おまえか・・・」
  静「何よ、その言い方!折角、お迎えしてあげてるのに!」
  尚斗「そうだよ、晃・・・。」
  晃「悪いな。俺はおまえみたいに、女に優しい言葉をかけてやる
    甘い口は、持ち合わせてないんだ。」
  静「でも、晃が及川君みたいだと、気持ち悪いかも・・・」
  晃「静・・・態々こんな所まで出迎え・・・寒かっただろ・・・?(静の
    手を取る。)」
  静「いやだ!(笑う。)」
  尚斗「俺はそんなこと言わないよ!」
  晃「じゃあ、気付かずに言ってるのか?怖いよなぁ・・・(笑う。)」
  尚斗「そ・・・それより晃、今度の連休、何か予定があるのか?」
  晃「いや、別に・・・」
  静「何処か行くの!?(嬉しそうに。)」
  尚斗「久しぶりに、俺達の恋人に会いに行かないか?」
  静「恋人ですって!?」
  晃「ああ!!丁度、俺も会いたいと思ってたんだ!!」
  静「誰よ、恋人って!!何処の女なの!?」
  晃「おまえには関係ないよ。(笑う。)さぁ、彼女の為にどんなプレ
    ゼントを買って行くとするかな。」
  
         晃、上手へ去る。

  静「嘘・・・」
  尚斗「大丈夫!山のことだよ!じゃあ!(手を上げて、晃の後を
      追うように上手方へ。)

         尚斗、上手へ去る。

  静「山ですって!?久しぶりどころか、しょっちゅう行ってるじゃ
    ないのよ!!・・・それにしても好きよねぇ、あの2人・・・。
    (溜め息を吐く。)女に興味ないのかしら・・・。」

         音楽で暗転。

    ――――― 第 3 場 ―――――

         明るくなると、野原の風景。
         下手より、看護師の腕に摑まりながら、一人の
         目の見えない少女(及川優美)登場。
         話しながら、ゆっくり中央へ。

  優美「ねぇ、看護師さん・・・。看護師さんは好きな人いる?」
  看護師「そうねぇ・・・、いるわよ、沢山。」
  優美「違うわよ!恋人いるの?」
  看護師「恋人かぁ・・・。残念ながら・・・。(肩を窄める。)優美ちゃん
       は?」
  優美「私は駄目・・・。だって、目が見えないんですもの・・・。いくら
      私が好きになったって、相手が私のことを、好きになってく
      れる筈ないもの・・・。」
  看護師「そんなことないわ!(後方を見て。)座りましょうか・・・。」
  
         看護師、優美、(八百屋舞台上に)腰を下ろす。

  看護師「いくら目が見えなくても、優美ちゃんには、それをカバー
       するだけの取り柄が沢山あるわ。例えば優しくて思い遣り
       のある所だとか・・・。頑張り屋さんな所だとか・・・。それに
       とっても美人よ。」
  優美「看護師さんったら!」
  看護師「・・・誰か好きな人、いるの?」
  優美「私はお兄ちゃんが好きよ!」
  看護師「そうね、優美ちゃんはお兄さんっ子よね。」
  優美「パパやママは、私が小さい時に事故で亡くなって、2人っ
      きりの兄妹だもの・・・。他にはね・・・晃さん!私が小学生
      の時、初めてお兄ちゃんがうちへ連れて来たの。最初は
      余り話さないし、どんな人か分からなかったわ。お兄ちゃん
      とは、とても仲良さそうだったけど・・・。でも、しょっちゅう   
      うちに来るようになって、そのうち3人で遊びに行くように
      なったの。晃さん、目の見えない私のこと、可哀相とか、
      そんな風にちっとも思わないのよ!道路を歩いてても、手も
      貸してくれないの。でも、危ない場所があると、必ず安全な
      方へちゃんと導いてくれた・・・。打切棒にね。(笑う。)だから
      私も、晃さんの前では目が見えないことに、引け目を感じな
      くていいの。」
  看護師「そうなの・・・。」

         その時、晃、上手より花束を持って登場。
         優美を認め、ゆっくり側へ。看護師、晃を認める。

  看護師「あら、大和さん。」
  優美「晃さん?(嬉しそうに。)」
  晃「こんにちは・・・。受付で、ここだと聞いたんでね。今日は日向
    ぼっこするには最適な陽気だね。」
  優美「日向ぼっこだなんて!」
  晃「ご免、ご免。そうだ、203号室の患者さんが、ウロウロあなた
    のことを捜してましたよ。」
  看護師「本当?あのお婆さん、私の姿が見えなくなると、直ぐああ
       なの・・・。仕方ないわね・・・。優美ちゃんのことは、大和さ
       んにお任せしていいかしら?」
  晃「どうぞ。」
  看護師「じゃあ、後はよろしくね。(立ち上がる。)」

         看護師、上手へ去る。





         ――――― “大和晃”3へつづく ―――――






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