2012年4月22日日曜日

“レナード” ―全13場―

この作品は、私が色んな話しを書き始めた当初、自分の趣味的
  に書いたもので、まさか自分の書いたものが、誰かの目に触れる
  ことがあろうとは、考え及びもしないで書いていた、ホントに今読ん
  でみると、何て未熟で好き放題書いた話しだな・・・と、思うのです
  が、今回、このグーグル版“ワールド”Onlyで、ご紹介してみようか
  な・・・と思いました^_^;
  色々とマズイところもあるかと思いますが、敢えて書き直すことは
  せず、当初のままご覧頂こうと考えていますので、皆様、読みなが
  ら一人突っ込みでお読み下さい(^_^;)



    
                                  どら。



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    〈 主な登場人物 〉

    レナード  ・・・  バーのマネージャー。

    フランシス  ・・・  社長令嬢。

    チャールズ  ・・・  刑事。

    レオーネ  ・・・  黒ずくめの男。

    ヘンリー  ・・・  専務の息子。

    ダニエル  ・・・  社長秘書付社員。

    B・J  ・・・  バーの従業員。

    ウィリアムス  ・・・  専務。

    ジャネット  ・・・  他のバーのマダム。

 

    その他


    

    ※ 登場人物がとても多いので、ここら辺にしておきます^_^;


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         ――――― 第 1 場 ―――――

          音楽で幕が上がる。と、舞台は裏町。
          住人の男女、陽気に歌い踊る。

          “人生何もないかも知れない
          俺達にも何もないかも知れない
          けれどどんな日にも
          必ず明日があって 必ず朝がくる
          nothingから始めよう
          nothingでいいじゃない
          nothingだから
          未来に向かって飛び出そう”

          舞台中央、レナードセリ上がり歌う。
          住人の男女の踊りに誘われるように、
          レナード踊る。
          全員の掛け声と、決めのポーズで
          カーテン閉まる。

         ――――― 第 2 場 ―――――

          カーテン前。
          上手より、ズボンのポケットに手を
          突っ込んだチャールズ、ゆっくり登場。
          続いて、バー“マントル”のマダム、
          ジャネット登場。

  チャールズ「(笑いながら。)レナードのお陰で、俺の仕事が
         なくなるよ。」
  ジャネット「だって態々、刑事のお世話になるより、レナード
        の頼めばあっと言う間だもの。本当に頼りになる
        わ。それにレナードは、刑事みたいに差別はしな
        いもの。私達みたいな者の為にも、一生懸命力を
        貸してくれる・・・。」
  チャールズ「おいおい、俺は差別してるつもりなんて・・・」
  ジャネット「分かってる。チャールズは他の刑事達とは違うわ
        。けど、皆が皆、チャールズみたいな刑事ばかり
        じゃないのよ。こんな商売してる私達のこと、そこら
        辺のゴミくず位にしか思ってない奴らが殆どだって
        こと・・・。」
  チャールズ「確かにね・・・。」

          カーテン開く。
          舞台は裏町のバー“nothing-ナッシング-”。
          チャールズ、ジャネット、話をしながら
          舞台上へ。

  ジャネット「そんな顔しないでよ。別に私達は何とも思ってやし
        ないわ。全くチャールズは、生真面目なんだから。
        (笑う。上手より登場したレナードを、目敏く見つけ、
        声を張り上げる。)レナード!!」
  レナード「(2人に気付いて近寄る。)よお、来てたのか?」
  ジャネット「この間は本当に助かったわ。」
  レナード「大したことないさ。」
  チャールズ「大手輸入会社のMCAの常務が、脅迫紛いのこと
         をやってたとはね。」
  レナード「あれから店に来ないか?」
  ジャネット「ええ。あんな奴に、うちの店の中で大きな顔されて
        たんじゃ、堪ったもんじゃないわ。どこで聞いて来た
        か知らないけど、うちの女の子が、昔、刑務所に入
        ってたことを、客にバラされたくなかったら金を寄越
        せだなんて、馬鹿にしてるわよね。」
  レナード「また何かあったら、何時でも言いに来いよ。」
  ジャネット「ありがとう!!(腕時計にチラッと目を遣って。)
        そろそろお店に戻らなきゃ。一応、商売敵になるん
        だけど、うちの店にも偶には寄ってよね、レナード!
        愛してるわ!(レナードの頬にキスする。)おやすみ
        、チャールズ!」
  チャールズ「おやすみ。」

          ジャネット下手へ去る。
          チャールズ、カウンターの椅子に座る。
          レナード、カウンターの中へ入る。

  レナード「(棚から酒瓶を1本取って、チャールズの方へ差し出
       す。)」
  チャールズ「ああ、貰うよ。全く・・・おまえは俺達を失業させよう
         ってんじゃあないだろうな。(笑う。)」
  レナード「(笑って。)まさか・・・。おまえ達の仕事に、俺は興味
       なんかないよ。」
  チャールズ「だけど、ここら辺の奴らは、何かあったら先ず警察
         よりレナードだ。」

          チャールズ、レナードに語り掛けるように
          歌う。

          “刑事なんか当てにならない
          問題があればnothingに行けばいい
          レナードに言えば何とかなる
          この界隈きっての頼りの男
          刑事なんか信用するな
          レナードは人を比べたりはしない
          男でも女でも誰であろうと
          レナードなら解決してくれる”

          レナード、楽しそうにチャールズの歌を
          聞いている。

  レナード「(笑う。)えらい信用だな。(チャールズの前へコップ
       を置く。)」
  チャールズ「(コップを取って。)本当だぜ。お陰で俺の管轄は、
         問題がこっちの耳に入った時には、もう解決してる
         って訳さ。全く・・・有り難いのか有り難くないのか
         ・・・」

          B・J、カウンターの方へ近寄って。

  B・J「いらっしゃい、チャールズさん。」
  チャールズ「(振り返って、B・Jを認める。)よお、頑張ってる
         か?」
  B・J「(チャールズの背後を覗き込むように。)あれ?今日も
     一人?最近、何時もの綺麗な彼女、一緒じゃないんです
     ね?喧嘩でもしちゃったのかな?(冷やかし口調で。)」
  チャールズ「馬鹿、あいつとはもう終わったよ。」
  B・J「えーっ!?」
  チャールズ「結婚したんだ。」
  B・J「再び、えーっ!?俺、密かに憧れてたのにー!!」
  レナード「B・J!無駄口ばかり聞いてないで、仕事しろよ。」
  B・J「ちぇっ、はーい。(離れる。)」
  チャールズ「・・・結婚したよ・・・(独り言のように。)」
  レナード「チャールズ・・・」
  チャールズ「終わったことさ・・・。」

          その時、回りの様子に呆気にとられるように、
          見回しながら、素足のフランシス下手より登場。
          カウンターに座る。

  フランシス「あの・・・こんにちは・・・」
  レナード「あ・・・いらっしゃい。何にする?」
  フランシス「えっと・・・オレンジジュース・・・」
  レナード「(笑って。)おいおい・・・ここは昼間の喫茶店じゃない
       んだぜ。」
  フランシス「じゃあ、何を頼めばいいのかしら?」
  レナード「そりゃあ例えばカクテルとか・・・ビールとか・・・」
  フランシス「それじゃあ、そのカクテルを下さい。」
  レナード「カクテルって言ったって色々・・・(溜め息を吐いて。)
       まぁいいか・・・」
  チャールズ「(フランシスの足元を見て。)君・・・靴は・・・?(レ
         ナードと目を見合わせる。)」
  フランシス「あ・・・あの・・・なくしちゃって・・・」
  チャールズ「なくしたって?」
  フランシス「ええ、なくしたんですわ。さっき・・・その・・・路地で
        ・・・!」
  チャールズ「(レナードと目を合わせて、首を傾げる。)」
  レナード「素足のお嬢さん、足のサイズは?」
  フランシス「あの・・・9・・・」
  レナード「OK。(奥へ入る。)」
  チャールズ「この辺では見かけない顔だね?」
  フランシス「ええ。この町は初めて・・・。あの・・・あなたは・・・
        ?」
  チャールズ「ああ、失礼。俺はこう見えても、一応サンフラン
         シスコ市警捜査第1課の刑事でね。」
  フランシス「刑事!?」
  チャールズ「刑事ったって、今は勤務外だ。友達の店に飲み
         に来た、ただの男だよ。仕事柄、つい探るような
         聞き方をして悪かったね。」
  フランシス「いいえ・・・」

          レナード、奥から靴を持って出て来る。
          カウンターの外へ。跪いてフランシスの
          足を自分の膝の上へ置き、持って来た
          靴を履かせる。

  レナード「ぴったりだな。」
  フランシス「あの・・・」
  レナード「従業員の履き古した靴だから気にするな。おまえに
       やるよ。」
  フランシス「でも・・・」
  レナード「素足で表を歩き回ってたら、綺麗な足が血だらけに
       なるぜ。(立ち上がって微笑む。)」
  チャールズ「相変わらず女に優しいね。」
  レナード「馬鹿野郎。」

          その時、店の入り口から2人の黒づくめの
          男、肩で風を切るように登場。
          レオーネとスタン、回りを見回すように。
          丁度、店を出ようと歩いて来たアベックと
          ぶつかる。

  レオーネ「いってえな!!(声を張り上げ、アベック男の胸元
       を掴む。)ぶっ殺すぞ!!」

          店の中の客、一斉にその方に注目する。
          それに気付いたレオーネ、男を離す。
  
  アベック男「すみません!!(脅えるように。)」
  スタン「気を付けな!!」

          アベック男女、慌てて下手へ去る。
          その男達を見たフランシス、顔色を変えて
          立ち上がり、慌ててカウンターの陰に身を
          潜める。レナード、そんなフランシスの様子
          を不審に思いながら、見詰める。
          レオーネ、スタン、一見して店の偉い人らしき    
          レナードを認め、近寄って行く。
          他の客達、その方を気にしながらも、さっき
          までと変わらず、飲んだり踊ったりしている。
          レナードも、一寸近寄る。チャールズ、立ち上
          がってレナードの後ろに控える。

  レナード「お客さん、店の空気を乱すような行為は、慎んで頂
       けませんか?」
  スタン「何だと!?」
  レオーネ「おい!(スタンを止める。)誰だ、てめえ・・・」
  レナード「(ただ黙って、レオーネを見据える。)」
  レオーネ「(思わず目を逸らせて。)まぁ、いい。俺たちゃ人を
       捜してるんだ。(スタンに。)おい。」
  スタン「(背広の内ポケットから、一枚の写真を取り出して、レ
      ナードの方へ差し出す。)」
  レオーネ「この女を見なかったか?」
  レナード「(チラッと写真に目を遣る。)いいえ・・・。この女性が
       如何かしたんですか・・・?」
  スタン「そんなこと、てめえにゃ関係ないだろ!!」
  レオーネ「よせ!!来なかったんならそれでいい。(回りをぐる
       っと見回して。)行くぞ!!」

          レオーネ下手へ去る。スタン、客達に
          暴言を吐きながらレオーネに続いて去る。
          レナード、2人が去るまで、その方を見て
          いる。

  チャールズ「(2人が去るのを見計らって、レナードの耳許で。)
         彼女か?」
  レナード「(入口の方を見たまま。)ああ・・・。(思い出したよう
       に、座り込んでいるフランシスに近寄り覗き込む。)・・・
       もう行ったぜ・・・おい・・・(フランシスの腕を取って、立
       ち上がらせる。)誰なんだ、あいつら・・・」

          フランシス、ただ脅えるように俯いている。

  レナード「(チャールズと目を合わせて。)言いたくなきゃ、別に
       言わなくたっていいさ・・・。(溜め息を吐いて。)けど、
       何か訳ありみたいだな?おまえ・・・帰る所はあるのか
       ・・・?」
  フランシス「(俯いたまま、ゆっくり首を振る。)」
  チャールズ「家出娘か・・・?」
  フランシス「違うわ・・・!!」
  レナード「(チャールズの顔を見て、“何も言うな”と言うように、
       首を振る。)じゃあ・・・暫く、ここにいればいい。」
  フランシス「え・・・?」
  レナード「ここの2階は宿屋になってるんだ。丁度、今一部屋
       空いている。そこを使うといいさ。」
  チャールズ「そうだな・・・。あいつらに見つかりたくないんだった
         ら、ここは絶好の隠れ場所だぜ。何たってこいつは
         この辺りじゃ凄腕で通ってるんだ。」
  フランシス「けど私・・・お金は・・・」
  レナード「そんなことは気にするな。(辺りを見回して。)B・J!」

          B・J気付いて近寄る。

  B・J「何っすか?」
  レナード「(フランシスの肩に手を置いて。)えっと・・・あ・・・おま
       え名前は・・・?」
  フランシス「・・・フランシス・・・」
  レナード「フランシスを2階の部屋へ案内してやってくれ。」
  B・J「はい。どうぞ!」
  フランシス「(B・Jに付いて行きかけて振返る。)あの・・・ありが
        とうございます・・・。(頭を下げる。)」
  レナード「(微笑む。)」

          B・J、2階の部屋へフランシスを案内する。
          フランシス、階段を上りながら、気にするよう
          に振り返りB・Jに付いて行く。
          チャールズ、上がって行くフランシスの方を
          見ている。レナード、カウンターに座っていた
          他の客に、酒を出したりしている。

  チャールズ「いいのか?」
  レナード「何があったか知らないが、素足で逃げて来なけりゃ
       いけないようなことが、彼女の身に起こったことは事
       実だ。」
  チャールズ「そうだな・・・。署に戻って、一回捜索人の届けが
         出てないか、調べてみるか・・・。俺が刑事だと分
         かった時の彼女の顔付も気になるし・・・。だが、
         ヤバいようなら、余り首を突っ込むなよ。」
  レナード「(笑って。)誰の心配をしてるんだよ。」
  チャールズ「(笑う。)そうだったな。」

          その時、ジェイン下手より登場。
          チャールズを認め近寄る。

  ジェイン「いたいた!ここだと思ったわ!こんにちは、レナード
       。」
  チャールズ「何だ、ジェイン。俺は今日は非番だぜ。」
  ジェイン「分かってるわよ。レナード、何時もの頂戴。」
  レナード「OK。」
  チャールズ「俺はちょっと調べ物があるから、もう署に戻るぜ。
         (立ち上がる。)」
  ジェイン「(チャールズの腕を掴んで。)待ってよ!冷たいのね
       。一杯くらい付き合ってくれたっていいじゃない!」
  レナード「(ジェインの前へコップを置く。)」
  ジェイン「今日は非番って、自分で言ったのよ。調べ物って何
       ?私も手伝ってあげる!」
  チャールズ「いいよ。」
  ジェイン「遠慮しなくってもいいのよ!」
  チャールズ「(ジェインの言葉は耳に入っていないように。)
         じゃあな、レナード!何か分かったら連絡するよ。」
  レナード「ああ。」

          チャールズ、下手へ去る。

  ジェイン「もう!何時もチャールズはああなんだもの。いくら私
       がモーションかけたって・・・」
  レナード「あいつはまだ、前の彼女が忘れられないのさ・・・。」
  ジェイン「・・・あのチャールズのことを振って、御曹司と結婚し
       たお嬢様?」
  レナード「違うな・・・。チャールズは相手のことを真剣に考えて
       、態と振られるような真似をしたんだ。あいつらしくね
       ・・・。」

          レナード、カウンターの中にいたロイに
          何か言って、奥へ入る。
          代わりにロイ、客の相手をする。








       ――――― “レナード”2へつづく ―――――










 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    グー版“ワールド”の“ジェフリー”のアイリーンさんと、この
    フランシスさん、似たような境遇ですね^_^;
    書いた時期は全く違うので、多分こんな設定・・・好きなの
    かも知れません(^_^;)    





       http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html

          http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005

         http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta












2012年4月8日日曜日

“2012年春公演作品”より




来月の春公演作品より、この間、練習音声をお聞き頂きましたが、
 今日はその練習場面の完成音声を、主人公のジュリーちゃんと、
その愛犬プッチくんの仕上がりお人形と共に、お聞き下さい(^.^)

この場面は、プッチくんの回想場面となる為、
普通の場面と比べると、少しエコーが強めにかかって
います(^^)v

如何ですか・・・?
練習時と比べ、少しは上手くなっているでしょうか・・・?^^;
とても(自分で言うのもなんですが・・・^^;)
見応えたっぷりの作品に仕上がっていますので、
春公演、どうぞお楽しみに♥

2012年4月4日水曜日

“ライアン” ―全8場― 完結編

マイク「当たり前って・・・」
  ライアン「おじいさん達の時代でもあるでしょ?国際結婚って!」
  マイク「おまえ、国際結婚って言うのは・・・」
  ライアン「いいじゃない!そんなこと!そのお陰で、僕は“再生の力”
       を持って生まれて来れたんだし。」
  マイク「再生の力・・・。その力で家の下敷きになって瀕死の重傷を
      負ったジェシカを助けてくれたんだな・・・。」
  ライアン「僕、そろそろ自分の世界へ帰んなきゃ・・・。」
  マイク「え・・・?もう・・・?」
  ライアン「僕の仕事は終わったから・・・。」
  マイク「まだいいじゃないか!もっと未来の俺のことを・・・」
  ライアン「また会えるよ、その内・・・。じゃあね!ひいひいおじいさん
       !!(笑う。)」

          ライアン、上手へ走り去る。

  マイク「あ!!待てよ!!それに俺はまだそんな年じゃないぞ!!
      そうだな・・・タイムマシンで簡単に未来や過去へ行き来できる
      時代なんだ・・・。宇宙人がいた所で、何の不思議のないんだ
      ろうな・・・。ひいひいじいさんって・・・150歳まで生きるのか、
      俺・・・。(笑う。)生意気な奴だな。“玄孫”・・・か・・・。何年後に
      会えるんだろう・・・。頑張んなきゃな、俺・・・。働くぞーっ!!」

          暗転。

    ――――― 第 8 場 ―――――

          舞台明るくなる。と、未来の風景。(2場と同じ。)
          下手より、マイクが乗った車椅子を押しながら、
          老ジェシカゆっくり登場。

  ジェシカ「あなた、ハリケーンも無事にそれて行ったようで、よかった
       ですわね。」
  マイク「ああ、そうじゃな、ジェシカ。」
  ジェシカ「ハリケーンと言えば昔・・・何だか不思議な出来事があった
       ような気がしますの・・・。遠い昔のことで、よく思い出せない
       んですけれど・・・」
  マイク「(笑う。)ハリケーンなど、そう珍しくもないじゃろう。」
  ジェシカ「まぁ、そうですわね。」

          そこへ上手より、ライアンの母、ライアンを
          捜すように登場。

  ライアンの母「ライアーン!!ライアーン!!あ、おじいさん、おばあ
          さん!ライアンを見なかったですか!?」
  マイク「いいや、見とらんよ。」
  ライアンの母「もう、全くあの子は一体何処へ行ったのかしら、本当
          に!!一旦家を飛び出せば、丸で鉄砲弾のようなん
          だから!!こんな時、再生の力なんて、何の役にも立
          ちゃしないわ!!」 
  マイク「まぁそう言わなくても、再生の力も満更でもないと思うがの・・・
      」
  ライアンの母「おじいさんったら・・・。それにしても、ハリケーンが逸
          れてくれて、本当によかったですね。」
  マイク「そうじゃなぁ・・・」
  ライアンの母「おじいさん、ライアンを見かけたら、私が捜してたと伝
          えて下さいます?」
  マイク「ああ、分かったよ・・・。」
  
          ライアンの母、下手へ去る。
          一時置いて、上手より慌てた様子のライアン、
          走り登場。

  ライアン「おじいさん!!あ・・・(マイクを認め駆け寄る。)おじいさん
       !!・・・(ジェシカを認め。)・・・誰・・・?」
  ジェシカ「誰?まあ、この子ったら面白い冗談ばっかり・・・。(笑う。)」
  マイク「ジェシカじゃないか、ライアン。忘れたのか?」
  ライアン「ひいひいおばあさん・・・?」
  ジェシカ「どうしたの?ライアン。本当に大丈夫?そんな驚いた顔をし
       て・・・。」
  ライアン「だって・・・」
  ジェシカ「だって?」
  ライアン「今までどこに・・・」
  ジェシカ「今までどこにって・・・ずっと、あなたと一緒に暮らしているで
       しょ・・・?」
  ライアン「・・・本当・・・に・・・?」
  ジェシカ「可笑しな子ね。(笑う。)それよりお母さんが、あなたのこと
       を捜し回っていたわよ。」
  ライアン「ママが・・・?」
  ジェシカ「余りお母さんに心配かけちゃ駄目よ。」
  ライアン「おばあさん・・・」
  ジェシカ「さぁ、あなた、少し冷えてきましたわ。そろそろ部屋へ入り
       ましょうね。」
  マイク「ああ・・・。」

          ジェシカ、マイクの乗った車椅子を押し、
          下手方へ行こうとする。

  マイク「ライアン・・・」
  ライアン「・・・何・・・?」
  マイク「最後の約束を果たしてくれて、ありがとう・・・。」
  ライアン「おじいさん・・・」
  ジェシカ「約束って何ですの?」
  マイク「ライアンとわし・・・2人だけの秘密じゃよ・・・。」
  ジェシカ「まぁ・・・いいですわね、男同士で・・・。」

          マイクとジェシカ、下手へ去る。
          アイアン、呆然と2人が去るのを、見詰めている。

  ライアン「僕・・・過去へ行って、約束を果たして来たんだ・・・。本当に
       ・・・。ジェシカおばあさんが・・・生きてる・・・。微かに僕の心
       の中に残る、大切な人達との思い出が・・・。」

          音楽流れ、ライアン歌う。

          “遠い彼方の遠い空・・・
          たった少しの未知への旅
          そこで出会った初めての懐かしさ
          大切だと思う心と
          大切に出来る思い出の幸せ・・・
          誰もが持つ心の片隅にある
          優しい温もり・・・”

          瞳を輝かせ、遠くを見遣るライアン。




           ――――― 幕 ―――――