2012年12月27日木曜日

“アル・ロー” ―全16場― 3


      ――――― 第 7 場 ―――――

         絵紗前。(アルのオフィス。)
         フーケ、ロベール、デスクで仕事をしている。
         レイモン、急いで入って来る。

  レイモン「(デスクの上に、持っていた書類を置く。)ロベール!
       先生から連絡は?」
  ロベール「(立ち上がって。)いいえ、今週に入ってからはまだ
        一度もないですよ。」
  レイモン「可笑しいなぁ。今まで作品撮りの放浪の旅に出ても、
       連絡だけは毎日忘れずに入ってたのに・・・」
  フーケ「本当だな・・・。」

         そこへアナベル、入って来る。

  アナベル「レイモン!市長とオットーさんがお見えになっている
        んだけど・・・!(困ったように。)」
  レイモン「え?本当か?何だって・・・?}
  アナベル「先生に会いたいって・・・」
  レイモン「・・・仕方ない・・・俺が会うから入ってもらってくれ・・・」
  アナベル「はい。」

         アナベル、一旦退場。レイモン、フーケ、
         ロベール、緊張した面持ちでデスクの前
         へ進み出る。

  フーケ「なんだろう・・・」
  レイモン「(服を整えながら。)さぁ・・・。だが、先生がいないん
       じゃ仕方ないし・・・かと言って会わずに帰ってもらうの
       も失礼だし・・・」
  ロベール「一言連絡してから来てくれたらいいのに・・・」
  レイモン「しっ!!」
  ロベール「(舌を出す。)」

         その時、市長、オットー、アナベルに案内
         されて入って来る。

  レイモン「ようこそおいで下さいました。(手を出して、市長達に
       近寄る。)」
  オットー「いやあ、レイモン君。悪いね、急に押し掛けたりして。
       (レイモンと握手する。)」

         レイモン、続いて市長と握手する。
         アナベル、礼をして退場する。

  レイモン「いえ、今日はまた何か?」
  オットー「アルはもう戻っているかね?」
  レイモン「それがまだ・・・」
  市長「まだ帰って来てないのか?」
  レイモン「はい・・・申し訳ありません。」
  オットー「実はこの月末に市長主催の園遊会を催すことになっ
       たのだが、その席に是非アルを・・・と言われるのだ。」
  レイモン「それは光栄です。」
  市長「アルとは連絡が取れるかね?」
  レイモン「それが・・・今週に入ってから、まだ一度も・・・」
  オットー「何、連絡が取れないのか?」
  レイモン「すみません・・・。」
  オットー「一体今度の彼の夢中の元は何だ。居場所くらいは分
       かるんだろうな?」
  レイモン「はぁ、大体のところは・・・」
  オットー「それならば園遊会に間に合うように、アルを連れ戻し
       て来るんだ。」
  市長「いや、何、アルが無理だとすれば仕方ない。他の者を当
     ることにするよ。アルには園遊会より素晴らしい作品を撮
     ってもらうことの方が大事だ。(笑う。)」
  レイモン「・・・本当に申し訳ありません・・・。」
  市長「では、私はこれで失礼するよ。(先に出口へ向かう。)」
  オットー「(レイモンの方へ近寄って。)兎に角、アルを連れ戻し
       て来るんだ!!」
  レイモン「はい・・・努力します・・・。」
  オットー「頼んだぞ!(足早に市長を追って、出て行く。)」
  レイモン「(オットーが出て行くのを見計らって。)参ったなぁ・・・」
  フーケ「どうする?」

         レイモン、横にあるソファーに腰を下ろす。

  レイモン「どうするもこうするも・・・また余計な仕事が増えちま
       った・・・。」
  フーケ「余計な仕事・・・?」
  レイモン「ああ、先生を連れ帰るって仕事さ。」
  フーケ「成程。」
  レイモン「何、感心してんだよ!俺達は今、次の個展の準備で、
       非常に忙しいんだ!!」
  ロベール「特にレイモンさんは先生の変わりを一手に引き受け
        てますもんね。」
  レイモン「オットーさんにああは言ったが・・・居所さえ定かでは
       ないのに・・・。頭が痛くなってきた・・・。今日こそは連
       絡が入ることを祈るよ・・・。」

         アナベル、入って来る。

  アナベル「レイモン!ダンドラさんと助手のミシェルさんが来ら
        れてるんだけど・・・。」
  レイモン「え・・・?何しに来たんだ、あいつら・・・」
  アナベル「どうする?帰って頂く?」
  レイモン「いや・・・いい、会おう。どこにいる?」
  アナベル「廊下でお待ちよ。」
  レイモン「分かった。」

         レイモン、フーケ、ロベール残して
         カーテン閉まる。
         上手よりダンドラ、ミシェル登場。

  レイモン「お待たせしました。何か御用ですか?」
  ダンドラ「いや、たいした用事ではないのだが・・・アルはいるか
       い?」
  レイモン「いえ・・・先生は今、作品撮りの旅に出ています。先生
       に何か・・・?」
  
  ミシェル「(ダンドラに向かって。)ね!先生、本当みたいでしょう
       ?(嬉しそうに。)」
  ダンドラ「そうか・・・あの噂は本当かも知れないな・・・」
  フーケ「あの・・・噂って・・・」
  ダンドラ「アルの奴が、田舎町で芝居一座の娘に夢中になって
       るって話しさ・・・」
  レイモン、フーケ、ロベール「声を揃えて。)えーっ!!」
  ダンドラ「アルから連絡はあるのか?」
  レイモン、フーケ、ロベール「(3人揃って首を振る。)」
  ダンドラ「矢っ張りな・・・。仕方ないなぁ・・・あいつは昔から、一
       つのことに夢中になると、他のものは見えなくなるんだ
       。」
  レイモン「あの・・・ダンドラさんは、うちの先生とはライバル・・・
       ですよね・・・?」
  ミシェル「決まってるだろ!」
  レイモン「いや・・・なんかダンドラさんって、うちの先生のこと・・・
       やけに詳しいようだから・・・」
  
  ダンドラ「ライバル・・・と同時に親友さ・・・(含み笑いする。)」
  レイモン、フーケ、ロベール、ミシェル「(声を揃えて。)えーっ!
                         !」
  ダンドラ「(ミシェルに向かって。)おまえまで何、一緒になって
       驚いてるんだよ!」
  ミシェル「だって、俺だって今まで知らなかったですよ!!」
  フーケ「もう長いんですか?」
  ダンドラ「ああ・・・餓鬼の頃は家が隣同士だったからな・・・」
  ロベール「じゃあ幼馴染なんだ!」
  ダンドラ「そう言うことになるかな。」
  レイモン「全く知りませんでしたよ・・・」
  フーケ「うん・・・単に仲の悪い、ライバル同士かと思ってた・・・」
  ダンドラ「(笑って。)別に言い触らす話しでもないから・・・。それ
       よりアルの奴、放って置くのか?次の個展も決まってる
       んだろ?」
  レイモン「そうなんですよ・・・。おまけに市長から園遊会の誘い
       もあって・・・」
  ミシェル「へぇ。うちの先生も出席するんだぜ!」
  ダンドラ「まだ出るとは言ってないだろ!」
  ミシェル「えー・・・」
  レイモン「スポンサーのオットーさんから、先生を連れ戻すよう
       に言われてるんです。」
  フーケ「先生の居場所も定かでないのにですよ。」
  ダンドラ「それなら大丈夫だ。」
  レイモン「え?」
  ミシェル「俺の田舎にいるんだぜ。」
  フーケ「本当に?」
  ミシェル「田舎の友達が手紙で教えてくれたんだ。雑誌で見た
       アル先生の顔を覚えてたらしくて・・・。さっきの噂もそ
       いつから仕入れたんだ。」
  ロベール「(レイモンの向かって。)一先ず良かったですね、先
        生の居場所が分かって。」
  レイモン「まぁな・・・。ダンドラさん、助かりました。ところで・・・
       誰が先生を連れ戻しに行くかだが・・・(困ったように、
       フーケ、ロベールの顔を見る。)」
  ダンドラ「俺が行こうか?」
  レイモン「・・・え?」
  ミシェル「先生!!冗談でしょ!?」
  ダンドラ「いいや。あいつが何に夢中になっているのか、興味
       があるからさ。(嬉しそうに。)」
  レイモン「でも・・・」
  ダンドラ「心配するなって。必ず連れて戻って来てやるから。」

         フェード・アウト。

      ――――― 第 8 場 ―――――

         カーテン開く。
         芝居小屋の舞台裏。
         下手よりアル、カメラを片手に登場。
         物珍しそうに回りを見回して、ゆっくり
         上手方へ。

  アル「へぇ・・・ここが彼らの生活スペースか・・・」

         その時、上手より慌てた様子のリリ、
         走り登場。

  リリ「ティボー!!」
  アル「(リリを認め、嬉しそうに。)やぁ。何をそんなに慌てている
     んだい?」

         リリ、アルがいることに気付いて、一瞬
         驚いて立ち止まる。
         ゆっくりと、アルの横を通り下手方へ。
         通り過ぎると、再び“ティボー”の名を
         呼びながら駆けて行く。
         アル、その様子を振り返って見詰める。
         下手よりティボー、登場。

  リリ「(ティボーを認め、嬉しそうに駆け寄る。)ティボー!!見て
    頂戴!!」
  ティボー「(驚いて。)どうされました?お嬢様!」
  リリ「母さんの形見箱の中から、ほら・・・(手に握っていた物を
    ティボーに見せる。)」
  ティボー「それは・・・」
  リリ「そう!!母さんがいつも舞台で身に付けていたもの・・・
    いくら探しても見つからなかったから、もう諦めていたのに
    ・・・嬉しい!!」

         アル、端で2人の様子を見ている。
         リリ、その手に持っていたネックレスを
         着ける。 

  リリ「見て!!・・・似合う・・・?」
  ティボー「はい!!それはもう・・・。お嬢様はマルティーヌ様と
       瓜二つでございますから・・・(思わず涙ぐむ。)」
  リリ「ティボー、泣かないで。私まで悲しくなってしまう・・・(ティ
    ボーにそっと手を添える。)」
  ティボー「申し訳ありません・・・(涙を拭う。)」
  リリ「(胸元をネックレスをそっと手で包んで。)母さんが側に
    いる・・・これからはいつも側にいてくれるのね・・・」










     ――――― “アル・ロー”4へつづく ―――――












― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         2012年12月31日(月)

    さて、今年も残り数時間となりました(^^;
    皆様にとって、今年はどんな一年だったでしょうか・・・?
    
    私にとってこの一年は、波乱万丈・・・と言っても過言
    ではない、とても様々な出来事に次々と出会う・・・
    そんな一年であったように思います。

    その中で、私にとって不必要なものが去り、本当に必要
    なものだけが残り・・・そして、新たに出会い・・・と、
    なんとも自分の歩く道程が、うまい具合に軌道修正された
    感のあった一年でありました(^_^)
   
    また来年はそんな出会いを大切に・・・
    一段と劇団としても、私自身としても、飛躍していければ
    いいな・・・と、考えております(^-^) 
    まだまだ発展途上でありながら、少しずつですが行く道先
    に目指すものが見え始めたような“リトルパイン”でありま
    すが、これからも頑張って参りますので、暖かい応援を
    頂けると嬉しいです♥

    それでは皆さん、
    一年間、拙い文章にお付き合い下さいまして、
    ありがとうございました(^^;

    よいお年をお迎え下さいm(_ _)m   




                ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                               代表 どら。


















      http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
           http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
         http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta











2012年12月24日月曜日

“メリークリスマス☆”2012年

  
  

  2012年12月24日

  メリークリスマス☆彡

  
  一年で一番大好きなクリスマスがやってきました♥

  今年は7周年記念公演に春公演・・・小学校に
  保育園、何とかスクールなど・・・沢山のボランティア公演
  をこなしつつ・・・
  私的なことでは子どもの病気入院や、慣れ親しんだ
  者、場所との別離があり・・・また、新しい者、場所との
  素敵で素晴らしい出会いがあり・・・
  ホントにバラエティに富んだ1年であったな・・・と、
  年の瀬にして感慨深く思い起こしてみたりしている
  次第であります(^-^)
  
  リトルパインは来年へと続いて行く訳でありますが、
  また新しい“歩”を模索しながら・・・
  先ずは1年で1番煌びやかなクリスマス・・・
  皆さん、素敵な日をお過ごし下さい♥


  

                ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                                代表 どら。
 




    
  
    
 「メリークリスマス!」 by J&アリア
  


  ↑  今年のリトルパイン公演で、主役で頑張った
  2人です(^_^)
    
  
Jの手には、うちの子のクリスマスプレゼントの
  包みを・・・アリアちゃんの手には、ゴーザおじさん
  (カニバージョン)を、赤いのでプレゼントっぽい・・・
  と言った理由だけで持っています♪

  Jの男の子スタイルの靴が行方不明で、ピンクの
  女の子スタイルの靴で、失礼致しました(^^;)


 
    

  
「アリアの海」より、アリアちゃん、ゴーザおじさん、
   イルカのキューイくんです(^O^)




       

       
   
 ↑ ↓ お出掛け中に見つけたツリーです♥
    バックの様子から、どこか分かると思います(^^)v


       
  


       

       

     ご存知・・・我が家のツリーで~す(^-^)




         

     「メリークリスマス☆」 by 魔法使い&ポポ








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


      (おまけフォト^^;)

      

     旅先で素晴らしい風景の場所に遭遇
     致しました(^O^)
 
     ・・・が・・・
     携帯フォトでは、その美しさがお伝えしきれ
     ず、残念です(;o;)
  



    

      

            

     
      


    
        「素敵なクリスマス・イブを・・・♥」






― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



      (どら余談^^;)

      どちらかと言えば・・・イブが好きな私でした♥






      http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
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2012年12月18日火曜日

“アル・ロー” ―全16場― 2


    ――――― 第 5 場 ――――― A

        カーテン前。
        仕事帰りの村人達、楽しそうに話しながら
        登場。

  村人1「ねぇ、知ってる?」
  村人2「何々?」
  村人1「村外れにテント張ってる芝居一座の中に、もの凄く上手
      い踊り子がいるんだってさ!」
  村人2「へぇ。」
  村人3「もう見に行って来たのか?」
  村人1「違うわよ!写真屋のおじさんと、牧師さんが話してるの
      を・・・」
  村人2「盗み聞きしたの?」
  村人1「い・・・いやね、違うわよ!小耳に挟んだだけよ!」
  村人3「そう言うのを“盗み聞き”って言うんだよ!」
  村人1「違うわよ!」
  村人2「まぁまぁ・・・どっちだっていいじゃない、そんなこと。」
  村人3「そうだな・・・」

        3人、笑う。

  村人2「でも、そんなに上手い踊り子さんなら、一度見に行き
      たいものね!」
  村人3「ああ、是非とも拝見したいもんだ。」
  村人1「当分いるらしいから、今度皆で行ってみましょうよ!」
  村人2「そうね!」
  村人3「ああ。」

        3人、話しながら去る。
        
      
    ――――― 第 5 場 ――――― B

        カーテン開く。
        舞台は村の写真屋の暗室。薄明かりの中、
        アルと写真屋の主人(トマス。)写真の
        現像をしている。 

  アル「(出来上がった写真を持って、テーブルの上へそれを置く
     。)親父、もう灯りを点けていいぞ・・・」
  トマス「へい。(灯りを点ける。)」

        舞台明るくなる。アル、写真を見詰めながら、
        椅子に腰を下ろす。
        トマス、後片付けをしている。

  トマス「旦那!上手く撮れてましたか?(片付けの手を止めず
      に、振り返ってアルを見る。)旦那が作業部屋を貸して
      くれと、駆け込んで来た時には驚きましたけどねぇ。」

        アル、写真に見入っていて、トマスの
        話しは耳に入っていないよう。
        トマス、そんなことはお構いなしに、アル
        の来店に興奮気味に話し続ける。

  トマス「旦那、見てますよ!何てったっけなぁ・・・あの雑誌・・・
      あの毎月出てる奴・・・。まぁ、いいや、あれの旦那の毎
      月の写真!あれが俺は好きでねぇ・・・。旦那の個展な
      んてのは、一度も見に行ったことはないが、あの写真を
      見てると、さぞかしその個展とやらは、素晴らしいんだろ
      うなと、いつも思いを馳せてるんですぜ。いやぁ全く、素
      晴らしい写真を撮りなさる!その大先生に、俺ン家の暗
      室を使ってもらえたとなりゃ、もう・・・。ここには何ですか
      い?写真を撮りに来られたんですかい?(手を止めて、
      アルの方を振り返り、アルの放心した様子に気付き、見
      ている写真を覗き込む。)旦那・・・?こりゃあ・・・(何か
      気付いたように。)旦那はこの娘とお知り合いなんです
      か?」
  アル「(驚いたように。)おまえは知っているのか!?」
  トマス「ええ、まぁ・・・」
  アル「(思わず立ち上がって、トマスに詰め寄る。)どこの娘だ
     !!この村に住んでいるのか!?」
  トマス「いや・・・今、丁度、村外れに芝居一座が来ていまして
      ね・・・その一座の中に・・・確か名前は・・・そうだ・・・!
      リリ!リリってんですぜ、旦那!」
  アル「リリ・・・」
  トマス「でもハッキリとは・・・確かに似てはいますけどね。その
      リリって娘は、この写真に写っているような、生き生き
      とした明るい笑顔なんか、ひとっつも見せやせんぜ・・・
      いつも他の連中の、世話係みたいなのをやってますわ
      ・・・」
  アル「・・・芝居一座の・・・」

        暗転。

      ――――― 第 6 場 ――――― A

        激しい音楽流れ、舞台明るくなる。と、
        芝居一座の舞台。
        中央に作られた粗末な舞台の上に、
        マハルがポーズを取る。
        回りには蓙をひいた上に座り込んだ
        客達(村人)。
        曲に合わせ、マハルの踊りが始まると、
        客達、手拍子や掛け声をかけ、場内は
        熱気に満ちる。
        マハルの踊りに続いて、レニエの歌、
        群舞へと続く。
        途中、トマスに連れられてアル、入って
        来る。気付いた案内係、2人を空いている
        蓙へ案内する。
        (トマス、煌びやかな舞台に夢中になって
        いる風。)
        アル、舞台にチラッと目をやるが、直ぐに
        回りを見回し、リリを捜すように。
        その時、客に飲み物を運んで来たリリが
        現れる。アル、リリを認め、急ぎ近寄る。
        (他の者は舞台に見入っている。)

  アル「(リリの腕を掴み。)君・・・!」
  リリ「(驚いて。)離して!!」

        音楽、一層激しく。
        リリ、アルの手を振り解こうとする。
        アル、リリの腕を必死で掴む。
        そんな2人を残してカーテン閉まる。

      ――――― 第 6 場 ――――― B

  リリ「離して!!離してったら!!」
  アル「分かった!!離すから逃げないでくれ!!頼む!!そん
     なに興奮しないでくれ!!」

        アル、そっとリリの腕を離す。リリ、
        走り去ろうとする。

  アル「リリ、待ってくれ!!」

        リリ、その声に立ち止まり、ゆっくり
        振り返る。

  アル「(リリを見詰め、ゆっくり近寄る。)森の中で会ったね・・・。
     どうしてそんなに怯えたような目をしているんだい?俺は
     何もしやしない・・・。あの時の君の瞳は、キラキラと輝き
     溢れていたよ・・・。」

        (リリ、アルが近寄る度、後退りする。)

  アル「もう一度、俺は君のあの時の笑顔が見たい・・・是非、写
     真に撮りたいんだ・・・。」

        その時、リリの背後からロバン出る。

  ロバン「(リリを認め、激しい口調で。)何してるんだ、リリ!!
      客達は帰ったぞ!!早く片付けをしないか!!」

        リリ、その口調に怯えたように走り去ろ
        うとする。アル、その様子に慌てて声を
        上げる。

  アル「待ってくれ!!」

        リリ、その声に立ち止まる。
        ロバン、その時初めてリリの向こうに
        アルのいることに気付き、怪訝そうな
        面持ちをする。

  ロバン「何だ、おまえは?(アルに近寄りながら。)」
  アル「あなたはリリの・・・いや、この一座の親方ですか?」
  ロバン「いかにも・・・(マジマジとアルの顔を見る。)こいつに何
      か用でも・・・?」
  アル「私は写真家です。是非、リリの・・・いや、この一座の写真
     を撮らせて下さい!!お願いします!!」
  ロバン「そりゃ無理な願いだ。俺は写真なんてもんは気に食わ
      ねぇ。どっか他所を当たってくれ。(リリの方を振り返って
      。)さっさと行け、リリ!!」
  
        
        リリ、走り去る。

  アル「リリ・・・!(ロバンに向いて。)お願いです!!親方!!
     お礼はちゃんとお払いします!!」

        舞台を終えたマハル達、聞いていた
        ように出る。

  マハル「いいじゃない、写真くらい!」
  ロバン「マハル・・・」

        マハル、アルに近寄り物珍しそうに
        マジマジ見詰める。

  マハル「だって写真を撮られてると思うと、張り合いが出るじゃ
       ない!それに身形もいいし・・・悪い人には見えないわ
       。」
  ロバン「仕方ねぇな・・・マハルがそう言うんじゃあ・・・。(アルに
      。)おい、あんた!」
  アル「アル・ローです。」
  ロバン「アルさんよ、ちゃんと撮影料は頂くからな。」
  アル「勿論!」
  ロバン「それと、商売の邪魔になるようなことだけはしねぇでく
      れ。」
  アル「では、いいんですね?」
  ロバン「ああ。」
  アル「ありがとうございます!」

        ロバン、出て行く。
        芝居一座のメンバー達、アルの側へ。
        マハル、興味深そうにアルを眺める。

  マハル「私はマハル・・・この一座のスターよ!」
  レニエ「俺はレニエ!(アルに手を出す。)」
  アル「よろしく・・・(レニエの手を握る。)」

        ルダリ以外の者達、順番にアルに近寄り
        挨拶を交わす。アル、嬉しそうにそれに
        応える。
        全員が終わったところで、ルダリがまだ
        なことに気付いたガロ、ルダリの背中を
        突いて促す。

  ルダリ「俺は・・・俺は写真なんてものは嫌いだ!それに・・・そ
      いつも気に食わねぇ!!」

        ルダリ、走り去る。
        他の者、呆然と見詰める。

  ガロ「どうしたんだ、あいつ?あ・・・今のはルダリ。いつもは、あ
     んなんじゃないんだけど・・・」
  マハル「ごめんなさい!後でキツく言っとくから!」
  アル「いや、構わないさ。」
  マハル「・・・でも、あんた・・・どうしてそんなに写真が撮りたい
       の?」
  アル「あ・・・俺は写真家なんだが・・・訳あって自分の作品に
     自信が持てなくなってね・・・。それでもっと本物の写真が
     撮りたいと思って、ここにやって来たんだ・・・。そこで君達
     一座に出会ったと言う訳さ・・・。君達の自然な有るがまま
     の姿を撮りたいんだ・・・」
  ルイーゼ「ふうん・・・プロのカメラマンなんだ、あんた。」
  アル「ああ・・・。ところであのリリって娘・・・彼女はどうして舞台
     に出ないんだ?」
  マハル「(笑う。)あの子が踊れる訳ないじゃない!」
  アル「え・・・?」
  サミー「そうさ、あんな何も出来ない奴に、舞台が勤まる訳ない
      ぜ。」
  エヴァ「あの子が踊れるなら、リーだって踊れるわ!(笑う。)」
  リー「煩いな!」
  エレーナ「本当ね!(笑う。)」
  マックス「でもリーは、まだ楽器が出来る分、あいつよりはまし
       だぜ!」
  リー「皆で馬鹿にするなよ!」
  アル「(皆の会話を遮るように、口を挟む。)だが俺は見たんだ
     !彼女が素晴らしい踊りを踊るのを・・・」
  エレーナ「何かの見間違いでしょう?」
  アル「いや、そんな筈はない。」
  レニエ「だけど、あいつが踊れるなんて話し、聞いたことがない
      ぜ。」
  エヴァ「ガロ、聞いたことある?あんた、あの子が来た時、いた
      んでしょ?」
  ガロ「いや・・・ある日、ロバンさんがあいつを連れて来て、今日
     から雑用係にでも使えって言ったんだ。どっから来たとも
     何で来たとも言ってなかったぜ。ただ・・・怯えたような目
     で・・・俺を見てたんだ・・・」
  ルイーゼ「そう言えば私達、あの子のことなんて、何も知らない
        ものね。」
  マハル「(溜め息を吐いて。)どうでもいいじゃない、リリのこと
       なんて!(アルに好奇の眼差しを向けて。)私、あんた
       のことが気に入ったわ!」
  サミー「ルダリの奴が聞いたら怒り狂うぜ!(笑う。)」
  ガロ「何で?」
  エレーナ「ガロだけよ、そんなこと言ってるの!」
  エヴァ「有名よ!ルダリのマハル病は!」
  マハル「失礼ね、人を病原菌みたいに!」
  レニエ「(ガロの肩に手を置いて。)おまえは人は良くて、言う
      ことないんだが・・・そう言う話しに関しちゃ・・・丸っきり
      だな。(笑う。)」

        皆、談笑しながら退場する。
        アル一人、ゆっくりと後に続く。
        音楽で暗転。(カーテン開く。)

     






     ――――― “アル・ロー”3へつづく ―――――







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2012年12月11日火曜日

“J―未来の君へ―”2幕Jの回想~

  



     
               2幕はオープニングのビデオが途中からで・・・
               この場面がお見せ出来る、一番最初の場面に
               なります(^_^;)







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2012年12月8日土曜日

“アル・ロー” ―全16場―


   〈  主な登場人物  〉


   アル・ロー  ・・・  売れっ子カメラマンの青年。

   リリ  ・・・  旅一座の娘。

   ダンドラ  ・・・  アルのライバルカメラマン。

   ロバン  ・・・  旅一座長。

   マーゴ  ・・・  ロバンの妻。

   マハル  ・・・  旅一座のスター。

   ルダリ  ・・・  旅一座の青年。

   レイモン  ・・・  アルのオフィスで働く。

   アナベル  ・・・  アルの秘書。


   その他。



― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


        緞帳上がる。(カーテン前。)

    ――――― 第 1 場 ―――――

        レイモン、フーケ上手より登場。落ち着き
        無く、誰かを捜しているように、回りを見回
        している。

  レイモン「先生は一体、どこに行ったんだ!?」
  フーケ「(時計を見ながら。)もう開場まで10分もないぜ!」

        下手より秘書アナベル、登場。

  レイモン「あ!アナベル!先生はどこ行ったんだ!?(慌てて
       。)」
  アナベル「あら・・・?さっきまでここにいたけど・・・」
  レイモン「初日だってのに、先生がいなけりゃ話しにならないぜ
       !」
  フーケ「(上手方を見て。)あっ、先生だ!!」

        その時、上手より気怠そうにアル、登場。
        続いてアルを追うように、助手ロベール
        登場。

  レイモン「先生!もう直ぐ開場だって言うのに、どこ行ってたん
       ですか!?」
  アル「(面倒臭そうに。)ああ分かってる・・・。そんなに慌てるな
     ・・・。」
  フーケ「そんなこと言ったって・・・」
  アナベル「先生、もう間もなく市長がお見えになる頃ですけど・・・
        」
  アル「レイモン!俺の代わりに市長を迎えに行ってくれ・・・」
  レイモン「はい!(足早に去る。)」
  アル「全く、何てことだ!今回は1枚もまともな作品がないって
     のに!!」
  ロベール「そんなこと言ったって、スポンサーさんたっての要望
        での開催だから、仕方ないじゃないですか・・・。」
  アル「あの糞親父・・・俺も人間なんだ!!撮る写真、撮る写真、
     ベストショットな訳がない!!」
  フーケ「本当ですよね・・・。もう次の個展の開催日まで、決まっ
      てるんですからね。」
  アル「何を見せるんだ、一体!!・・・頭が痛くなって来た・・・
     俺は雲隠れする!(出て行こうとする。)」

        
        フーケ、ロベール、アルを引き止める。

  ロベール「先生!そんな・・・困ります!!」
  アナベル「先生!開場の時間です!」
 

        アル、観念したような面持ちで、フーケ
       
        ロベールに引っ張られるように去る。

    ――――― 第 2 場 ―――――
        カーテン開く。
        個展会場。静かな音楽流れる。
        (大勢の人の割に、静寂の会場。)
    
       
        レイモンに引率されて、市長とスポンサー
        話しながら登場。
        俄に客達が騒ぐ。(市長の来場に驚いた
        よう。)

  市長「いやぁ全く・・・いつもながら大盛況で結構結構。」
  スポンサー「お陰様で。レイモン、アルはどこにいるのかね?」
  レイモン「はい、見て参ります。(捜す為に2人から離れる。)」
  市長「先ずはアルの傑作を見せてもらうとしよう。」

        市長、スポンサー、写真を見て歩く。
        アル、登場。客達に愛想を振りまきながら、
        市長に近寄って行く。

  アル「(和やかに。)市長、本日はようこそお出で下さいました。
     」
  市長「おお、アル!いつもながら君の作品は素晴らしいな。今
     日は3枚程貰って行くとしよう。君のお勧めを押さえてお
     いてくれたまえ。」
  アル「いつもありがとうございます。(後ろのロベールに耳打ち
     する。)」
  ロベール「はい。市長、こちらへどうぞ。」
  市長「うむ・・・。」

        市長、ロベール、写真の方へ行く。

  スポンサー「次回の作品の準備はどうだね?」
  アル「いえ・・・今はまだそれ程・・・。暫く旅にでも出てみようか
     と・・・」
  スポンサー「おお、それはいいアイデアだ。また違った作風を
         見ることが出来るのを、楽しみにしているよ。頑張
         って来たまえ。」
  アル「はぁ・・・」

        スポンサー離れて去る。
        レイモン、フーケ、アルに近寄る。
        (3人、一寸脇に寄る。)

  レイモン「今回もすごい盛況ですね!(嬉しそうに。)」
  フーケ「まともな作品は1枚もないと言ってた割にはね。」
  アル「何が盛況なものか。皆ここに来てる連中は、写真の何
     たるかを知りもしない馬鹿ばっかりだ!」
  フーケ「先生!お客さんに聞こえますよ!」
  アル「俺はもっと本物の写真を撮りたいんだ!こんな虚栄だ
     らけの写真なんかでなく、俺自身が心から感動出来る
     ような凄い奴を・・・」
  レイモン「先生・・・」

        ダンドラ、助手のミシェルを伴って登場。
        ダンドラ、少し写真の方へ目を遣るが、
        写真には興味なさそうに回りを見回す。

  フーケ「(2人に気付いて。)先生!ダンドラと助手ですよ!」
  レイモン「本当だ!何しに来たんだ?」
  フーケ「決まってるさ!先生の偵察に!」
  アル「今回の作品を偵察したところで、あいつには何の役に
     も立たないさ・・・。」

        ダンドラ、アルに気付いて近付く。

  ダンドラ「やぁ、アル!相変わらず賑わってるな、君の個展は。」
  アル「お陰様で・・・。おまえはどうなんだよ。」
  ダンドラ「俺はおまえみたいに自分の作品を安売りしないんだ。
       」
  フーケ「お客が入らない個展はキツイよな。(笑う。)」
  ミシェル「なんだと!?(突っ掛るように。)」
  アル「フーケ!!(咎めるように。)」
  ダンドラ「ミシェル!!おまえも止めるんだ。」
  ミシェル「すみません・・・」
  ダンドラ「だが、アル・・・おまえ本当に最近、写真の大安売りの
       感があるぞ。おまえの作品は素晴らしい・・・それは誰
       よりも、おまえのライバルであるこの俺が、よく知って
       いる。スポンサーのご機嫌伺いをしながら、そんなもの
       に縛られて・・・自分の作風を見失っているんじゃない
       のか・・・?俺は昔のおまえの作品が好きだったぜ。こ
       いつこそが俺の生涯、ただ一人のライバルだと思わせ
       るような、本物の写真を撮っていた・・・。(ミシェルに。)
       ミシェル、帰ろう。」

        ダンドラ、ミシェルと共に出て行こうとする。

  アル「ダンドラ!(呼び止める。)」
  ダンドラ「(振り向いて。)何だ?」
  アル「ありがとう・・・」
  ダンドラ「よせよ、気持ち悪い・・・!おまえに礼なんか言われる
       筋合いはないぜ。俺は本当のことを言ったまでさ。ライ
       バルはいた方が面白いからな。じゃあな。」

        ダンドラ、手を上げてミシェルと一緒に去る。
        アル、その方を見詰めて、少しの間、考えて
        いるよう。レイモン達、アルの様子を窺って
        いる。

  アル「レイモン!暫く俺は仕事場を留守にする!」
  レイモン「どこかへお出かけですか?」
  アル「本物の写真を撮りに行く!!」
  レイモン「本物・・・?」
  アル「後のことは頼んだぞ!!」

        アル、走り去る。

  レイモン「先生!!」

        カーテン閉まる。

    ――――― 第 3 場 ―――――

        カーテン前。
        旅一座の者達、大荷物を持って、気怠そう
        にゾロゾロと登場。
        一番後ろからリリと、そのじいや(ティボー)
        続く。
    

  マハル「もう嫌!もう一歩も歩けない!!(荷物を置いて、座り
      込む。)」
  マーゴ「そんなこと言ったって、仕方ないでしょう!馬車が壊れ
      てしまったんだもの。」
  マハル「私はこの一座のスターよ!!何でスターの私が、荷物
      を持って、歩かなくちゃいけないの!?」
  ガロ「そんなこと言うなよ。皆、疲れてるんだから。」
  レニエ「そうだよ!」
  マハル「こんなことなら。先の馬車に乗って行くんだったわ!!」
  ロバン「もう直ぐ村だ!そこで他の連中と合流出来る。もう少し
      頑張るんだ、マハル。」
  マックス「ロバンさん、その町は長いんですか?」
  ロバン「そうだな・・・ひと月はいることになるだろうな。」
  ガロ「そうしたら、少しはゆっくり休めるな!(嬉しそうに。)」
  ルダリ「(マハルに近寄って、手を出す。)さぁ、マハル、立ちなよ。
      荷物は俺が持ってやるよ。」

        マハル、リリに近寄る。

  マハル「いいわよね、あんたは!お供がいて!!(リリの後ろに
      いるティボーを覗き見る。)」
  ガロ「よせよ。さぁ、行こう。(マハルの肩を抱いて歩き出す。)」

        旅の者達、置いていた荷物を持ち、
        再びゾロゾロと歩いて行く。

  リリ「(ティボーに向いて。)ごめんなさい、ティボー・・・。荷物、
    重いでしょう・・・?」
  ティボー「何をおっしゃいます。お嬢様の方が重いでしょう。じぃ
       が、もっと若ければ・・・」
  リリ「ありがとう・・・。これは母の形見だから、どうしても捨てる
    ことが出来なくて・・・」
  ティボー「分かっております・・・。このティボーにとっても同じ思
       です・・・。」
  リリ「ティボーは母さんの爺やだったんですものね・・・」
  マーゴ「(振り返って。)何してるの!早く来ないと置いてっちまう
      よ!!」

        リリとティボー、慌てて歩いて行く。
        暗転。

    ――――― 第 4 場 ――――― A

        音楽流れ、カーテン開く。と、森の中。
        荷物を担いで、アル登場。歌う。

        “心が洗われるようだ・・・
        こんな静寂・・・
        穏やかな・・・
        木々の香りに包まれて
        丸でこの世の楽園か・・・”

  アル「だが・・・(回りを見回しながら。)畜生・・・!道に迷っちま
     った・・・。水の音・・・?川があるのか・・・?」
  
        

        アル、森の奥へ走って行く。
        入れ代わるように、鼻歌を歌いながら
        桶を抱かえてリリ登場。
        リリ、靴を脱いで、楽しそうに木漏れ日を
        浴びながら踊る。
        一時置いてアル、森の奥から登場。
        妖艶に踊るリリを認め、呆然と見詰める。
        (リリ、気付かないで踊り続ける。)
        アル、思い出したように、担いでいた鞄の
        中からカメラを取り出し、リリに向かって
        カメラのシャッターを押し続ける。
        その気配に気付いたリリ、踊りを止め、
        回りを見回しアルを認める。驚いたリリ、
        慌てて桶と靴を拾い、森の奥へ消える。

  アル「君!!(追いかけようとするが、鞄に気付き、取りに行く
     間にリリを見失う。)・・・なんと言う娘だ・・・まるで・・・夢で
     も見ていたようだった・・・」

        アル、呆然とカメラを見詰める。
        フェード・アウト。

   

        
        




      ――――― “アル・ロー”2へつづく ―――――









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2012年12月5日水曜日

“アリアの海” ―全6場― 2

        音楽流れる。

  アリア「あなたいい人ね。やっぱり人間って、私の思った通りの
      人たちだった・・・。」
  ルディ「え・・・?」
  アリア「私・・・人間は私たち海の国の者を苦しめる、悪い人たち
      だって教えられてきたの・・・。」
  ルディ「アリア・・・君・・・海の国の人なの・・・?」
  アリア「(頷く。)」


   


     
         アリア、歌う。

         “私たちと
         あなたたち
         お互い認めず
         敵対して
         今までただ
         脅えて暮らしてきた”

         ルディ、歌う。

         “僕らだって
         海の国の
         人は恐ろしい
         そんな風に
         聞かされて
         今まで生きてきた”

         アリア、歌う。

         “私 今まで
         思い違いをしてきたのね
         胸の中に
         湧き上がる疑問が
         あったの”

         2人、歌う。

         “私たちとあなたたち
         こんな近くにいた
         なのにお互い横
         向いていたんだわ(ね)”

  アリア「あなた・・・ちっとも怖くない・・・」
  ルディ「君だって・・・」

         2人、笑い合う。(音楽フェード・アウト。)

  アリア「それで、さっき話してた貢ぎ物って一体・・・」
  ルディ「うん。この島には昔から恐ろしい主がいるんだ。その主
      に毎月、貢ぎ物を持って行かないと、この島を海の底へ
      沈めてしまうと脅されて・・・。」
  アリア「酷い・・・」
  ルディ「その主が・・・村長さんの話しだと、海から来た奴だ・・・
      って・・・。」
  アリア「え・・・海の・・・?」
  ルディ「うん・・・。貢ぎ物を持って行った人たちは、二度と戻って
      来ないから・・・まだ誰も姿を見た者はいないんだけれど、
      とても恐ろしい海獣だって・・・。」
  アリア「その主はどこに住んでいるの・・・?」
  ルディ「それが・・・主の住み家は誰も知らないんだ。昔から島の
      中心にある、森の中に海とつながる洞穴があって、その
      奥に住んでるんだって言われてるけど・・・。」
  アリア「海とつながる洞穴・・・。分かったわ!!私がその洞穴を
      探しに行ってみるわ!!」
  ルディ「え・・・?」
  キューイ「アリア!!」
  アリア「そして貝の笛を見つけて、私がその悪い主をやっつけて
      くるわ!!」
  ルディ「そんなこと・・・!!危ないよ、アリア!!いくら君が海の
      国の人だからって・・・」
  アリア「貝の笛は魔法の笛なの!あの笛さえあれば大丈夫よ!
      !」
  ルディ「でも・・・」
  キューイ「駄目だよ、アリア!!海の国の君が水のない森に入
       るのは危険だキューイ!!もし途中で体に貯えている
       水がなくなったら・・・!!」
  アリア「大丈夫!!少しの間くらい平気よ!!行ってくるわ!!
      」

         アリア、下手方へ走り行きかける。
      
  キューイ「アリア、キューイ!!」
  ルディ「待って、アリア!!」
  アリア「ルディ・・・」
  ルディ「僕も一緒に行くよ!!」
  アリア「え・・・?」
  ルディ「僕はこの国の住人だ!君より森のことは詳しいんだ!!
      だから・・・」
  キューイ「キューイ・・・」
  ルディ「もし途中でアリアが喉の渇きを訴えたなら、この島に住
      む僕なら、直ぐに水のある場所が分かる!」
  アリア「ルディ・・・」
  ルディ「だから僕も君と一緒に島の主の洞穴を探しに行く!!そ
      れに・・・僕の姉さんが昨日、島の主の下へ貢ぎ物を届け
      に行ったんだ・・・。だからもしかしたら助けられるかも知れ
      ない・・・。」
  アリア「そうだったの・・・。」
  ルディ「(頷く。)」
  アリア「分かったわ!!一緒に行きましょう、ルディ!!」
  ルディ「アリア・・・うん!!」
  アリア「キューイ!あなたはそこで待っててね!!」
  キューイ「アリア、気をつけて!!ルディ!!アリアのことを頼ん
        だよ、キューイ!!」
  ルディ「任せて!!」

         (アリア、ルディ残してキューイ下がる。)

    ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れ、紗幕開く。と、森。

  アリア「森だわ・・・」

         アリア、歌う。

         “この森のどこかに
         必ずある筈
         隠れた洞穴の
         小さな入口が”

         ルディ、歌う。

         “この森のどこかに
         秘密の場所ある
         海につながる洞穴”

         アリア、歌う。

         “だけどあるの
         こんな森に隠れ
         そっと佇む              ルディ“どこに”
         秘密の場所なんて
         どこに行けば
         あるのこんな森に
         きっと誰も知らない        ルディ“あるだろ”
         場所がある
         少し不安だけど
         私行くわ今”

     コーラス“必ず
           見つける
           秘密の
           洞穴”

     コーラス“さぁ 今 行く
           この 場所 直ぐ
           見つける 洞穴         アリア“どこかに
           隠れた”                  ある筈”

         ルディ、歌う。

         “この森のどこかに
         必ずある筈
         ひっそり隠れた場所が”

         アリア、歌う。

         “だけどあるの
         こんな森に隠れ          コーラス“必ず”
         そっと佇む
         秘密の場所なんて
         どこに行けば
         あるのこんな森に
         きっと誰も知らない        コーラス“見つかる”
         場所がある
         少し不安だけど
         私行くわ今”            コーラス“直ぐに
                                   今ここに”

  アリア「あったわ・・・」

         木が開く。と、大きな洞穴の入口が
         姿を現す。(アリアとルディ下がる。)

    ――――― 第 5 場 ―――――

         音楽流れ、下から島の主(海の海獣ゴーザ)
         上がり歌う。

         “退屈な場所で
         いつまでも我慢
         してろと言うのは
         どこのどいつだ
         この俺様が
         いつまでこんな
         離れ小島に
         閉じ込められた
         退屈な場所で
         いつまでも我慢
         してろと言うのは
         どこのどいつだ
         海の支配者たる
         この俺様のこと
         無下に扱う奴
         許してはおけないぞ”

  ゴーザ「ああ、なんて忌々しい海の王め!!このゴーザ様をこ
      んな場所へ閉じ込めるなんて!!」

      コーラス“ここは森の奥深く
            水なんてない陸の上
            悪いことをした罰で
            閉じ込められた”

         ゴーザ、歌う。

         “退屈な場所で
         いつまでも我慢
         してろと言うのは
         どこのどいつだ”

      コーラス“どこのどいつだ
            どこのどいつだ
            どこのどいつだ
            どこのどいつだ”

  ゴーザ「全く、海の王ときたら、自分のことを何様だと思っている
      んだ!!神か何かのつもりか!!少しばかり早く生まれ
      たと言うだけで、実の兄弟の俺様を、ちょっと海の国の掟
      を破いて人間に悪戯をしたくらいで、こんなところに閉じ
      込めるなんて!!ふん!!だが王は、閉じ込めたつもり
      かも知れないが、このゴーザ様がこんな岩場で、大人しく
      しているとでも思ったか!!(笑う。)ここからでも十分、人
      間たちを苦しめ楽しむことができるのさ!!(笑う。)」

         そこへ下手よりラナ、貢ぎ物が山のように
         乗った台車を重そうに押して、登場。
         (上手方へ。)


   


  
  ラナ「ゴーザ様・・・」
  ゴーザ「ん・・・?」
  ラナ「お持ちしました・・・」
  ゴーザ「おお!やっと到着したか。さて今月は、どんなお宝を島
      の者たちは用意してきたんだろうな。(笑う。)」

         その時、下手よりルディ、走り登場。

  ルディ「姉さん!!」
  ラナ「(ルディを認め。)ルディ!!どうしてここに!?」
  ゴーザ「なんだ、おまえは!!」
  ルディ「・・・この島の海獣野郎!!姉さんを返せ!!」
  ゴーザ「なんだと!?小僧!!おまえもその娘と一緒に、俺様
      の食事にしてやる!!」
  
         音楽流れる。
         (ゴーザ、手を取り合い逃げるルディと
         ラナを、夢中で追い掛けるように。)

  ルディ「姉さん!!早くこっちに!!」
  ラナ「ルディ!!」
  ゴーザ「行かせないぞ!!」

         ゴーザ、歌う。

         “行かせるもんか食事になれ
         俺様の手から逃げられない
         助かるつもり甘くはない
         そんな上手くいくと思うか”

         ルディ、歌う。

         “捕まるもんか 捕まるもんか
         おまえのようなあくどい奴に”

         ラナ、歌う。

         “捕まらないわ 捕まらないわ
         あなたのような人間の敵”

  ゴーザ「待てーっ!!」
  ルディ「わあーっ!!」
  ラナ「キャーッ!!」

         (途中、アリア下手よりこっそり登場。
         台車の方へ。貢ぎ物の山の中を探すように。)

         ゴーザ、歌う。

         “行かせるもんか食事になれ
         俺様の手から逃げられない”

  アリア「さぁ、今のうちに早く見つけなくちゃ!!」

         アリア、歌う。

         “早く見つけなくちゃ
         魔法の貝の笛を!”



   












     ――――― “アリアの海”3へつづく ―――――







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2012年12月3日月曜日

“J―未来の君へ―”1幕ラスト動画




一番盛り上がりの1幕ラスト場面動画です(^O^)
“グーグル版”ワールドページでもご覧頂けるように、
“YouTube”から引っ張ってきました(^^;


“J”が重くて重くて・・・
それに耐えて頑張っている私の“腕”をご覧下さい(^_^;)










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2012年12月1日土曜日

“アリアの海” ―全6場―

  
          

           (左)海の国の王様 (右)アリア



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

  
     〈 主な登場人物 〉

    アリア  ・・・  海の国のお姫様。

    ルディ  ・・・  人間の少年。

    海の国の王様  ・・・  アリアの父。

    島の主(ゴーザ)  ・・・  王様に海の国を追放された。

    ウオレット  ・・・  海の国の家臣(じいや)。

    キューイ  ・・・  アリアの友達のイルカ。

    ラナ  ・・・  ルディの姉。

    島の村長。

    ルディの母。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         音楽流れる。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         (笛の音が聞こえる。)

  アリアの声「あっ!!大変!!私の大切な笛が・・・!!」



   


         幕が開く。
         と、海辺の砂浜。一人の少女(アリア)
         何かを探すように歌う。

     アリア“どこにあるの大切な笛
         確かここに落ちた筈よ 見つかるわ
         どこにあるの大切な笛
         きっと分かる確かここにある筈よ”

  アリア「ああ・・・どこに落ちたのかしら・・・。あの笛がなかったら
      私・・・一体どこにあるのかしら・・・」

         その時、下手後方より一人の少年(ルディ)
         手にしたものを不思議そうに見詰めながら
         登場。ゆっくり上手方へ。歌う。


   



  ルディ「これはなんだろう・・・。キラキラ光って貝殻みたいだけど
      ・・・この小さな穴は一体・・・」

     アリア“どこにあるの大切な笛”

     ルディ“これは何かな不思議”

     アリア“見つからない どうすればいい”

     ルディ“こんな輝き初めてだ”

     アリア“どこにあるの大切な笛”

     ルディ“これは何かな不思議”

     アリア“見つけないと帰れないから”

     ルディ“持って帰ろう貢物”

         ルディ、上手へ去る。

     アリア“どこにあるの大切な物
         きっとあるわ ここのどこか埋もれてる
         海の国へ帰る為には
         笛がないと入れてもらえない掟”

  アリア「さぁ、もっとよく探さなくちゃ・・・」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 2 場 ―――――


   
                     ※



         音楽流れる。紗幕前。
         海草が揺らめき、色とりどりの魚たちが
         行きかう。(海の中。)
         下手より、一匹の老魚(ウオレット)、慌てた
         様子で登場。

  ウオレット「王様・・・王様ーっ!!」

         上手より海の国の王、ゆっくり登場。

  王「どうした、ウオレット?えらく慌てた様子ではないか。」
  ウオレット「それが王様、アリア様がイルカのキューイと波乗り
        に行くと言われて、浜辺の方へ出掛けられたまま、ま
        だお戻りになられないのです・・・。」
  王「何!?アリアがこの海の国を出て、浜辺へ行っただと!?」
  ウオレット「はい・・・」
  王「ウオレット!!おまえはアリアを黙って行かせたのではある
    まいな!?」
  ウオレット「いえ、滅相もございません!!私はお姫様をお引止
         めしようとしたのですが、この年寄り魚の言うことな
         どお聞きにならず、直ぐに戻るからとキューイと共に
         ・・・」
  王「ええい、馬鹿者が!!もしアリアが浜辺に上がり、海から離
    れた場所へでも行ったならどうするのだ!!我々、海の国の
    者は水のない場所では、一日と生きてはいられないのだぞ
    !!万が一、陸の上で水切れをおこしたなら、その体・・・消
    えてなくなることは・・・まぁ、アリアも分かっているだろうが・・・
    。」



   
           (左)ウオレット  (右)王様



         音楽流れる。

  王「しかし・・・それよりも何よりも、海の国の門を開く魔法の貝の
    笛をなくすようなことがあれば、アリアは二度とこの国へは、
    戻って来れなくなると言うものを・・・!!」

         王、歌う。

         “我々がこの海を出て行くと言うことは
         命どうなろうと保証はない
         その覚悟で”

         ウオレット、歌う。

         “王様            コーラス“まだ
         姫様は                 姫様”
         まだ子ども
         悪気はないと”

         王、歌う。

         “馬鹿め
         掟 破り
         親の気持ち知らず
         自分勝手過ごす     コーラス“自分
         守り慈しんできたのに”       守り”

         ウオレット、歌う。

         “どうかお許し下さい”

         2人、下手へ去る。
         入れ代わって上手より、アリア、イルカの
         キューイ登場。


   



  アリア「ねぇ、キューイ!私、人間のところへ行ってみようと思う
      の。」
  キューイ「え・・・?」

         アリア、歌う。

         “昔仲良かった海と陸の者たち
         なぜ仲違いをして
         いがみ合うのおかしいわ

         生きるもの              キューイ“でも
         同じだわ                     危ない
         誰だって                     危険だ”
         手を取り合い
         私たちのように
         姿 違ってても
         きっと                 キューイ“きっと
         分かり合える
         ことが                       本当”
         できる筈よ
         必ず”

         キューイ、歌う。

         “でも心配だ君が”

  アリア「さぁ!行くわよ!!」
  
         アリア、上手へ走り去る。

  キューイ「アリア、待って!!そうだ!!」

         キューイ、下手へ去る。
         紗幕開く。

    ――――― 第 3 場 ――――― A

         場面は海辺の砂浜。(波の音。)
         音楽、流れる。
         島民たち、金品を手に集まっている。
         島民たち、悲し気に歌う。

         “働いても 働いても
         楽にならない生活だから
         昔 我々は共に手を取り合い
         生きてきた”

  村長「昔は我々人間と、海の国の者たちは、仲良く平和に共に
     手を取り合い暮らしていたのに・・・その海の国の者が、い
     つからか、この島を支配し我々を苦しめるようになったの
     だ・・・。」

         上手よりラナ、しんみりと登場。歌う。


  
   



         “懐かしい島よ
         忘れない
         思い出の島よ
         さよなら・・・”

  村長「今では島の主となった、その海族の者に、金品を差し出
     さなければ島を海に沈めてしまうと脅され・・・毎月毎月・・・
     一体いつのなれば、この苦しみから逃れることができるの
     であろうか・・・。」
  ラナ「村長さん・・・」
  ルディの母「ラナ・・・」
  ルディ「姉さん・・・」
  ラナ「お母さん・・・ルディ・・・行って来ます。(泣く。)」
  村長「我慢しておくれ、ラナ・・・。毎回誰かが島の主の下へ、貢
     ぎ物を届けねばならないのだ。いずれ我々も・・・。」
  ラナ「(頷く。)はい・・・」
  ルディ「村長さん、これ・・・。今月の貢ぎ物は、これでお願いしま
      す。(貝の笛を差し出す。)」
  村長「うむ・・・。(貝の笛を受け取り、台車の上へ置く。)」
  ルディの母「ラナ、気をつけて行くんだよ・・・。」
  ラナ「お母さん・・・」

         島民たち、しんみりと下手へ去る。
         (音楽フェード・アウト。)

    ――――― 第 3 場 ――――― B

         音楽流れ、上手よりアリア、何かを探して
         いるように登場。歌う。

  アリア「ああ・・・どこに行ったのかしら貝の笛・・・」

         “大切
         私の
         魔法の
         貝笛
         海の国のカギ          コーラス“どこに
                                  あるの
         父様と約束                 不思議
         交わしたのよ必ず             ないの”
         海の国から出ない
         それを破った私
         許してはもらえないわきっと
         早く見つけないと
         海の国へ帰れない
         私ずっと
         このままここで
         一人暮らす
         そんなのは嫌よ”

  アリア「一体どこに流されていったのかしら・・・」

         そこへ下手よりキューイ登場。

  キューイ「キューイ・・・」
  アリア「キューイ!どこへ行ってたの?突然いなくなったから、
      心配したじゃない。」
  キューイ「ごめん、アリア。」
  アリア「それより早く貝の笛を見つけなくちゃ!なくしたことがお
      父様に知れたら大目玉よ!」
  キューイ「キューイ・・・」

         (音楽フェード・アウト。と、入れ代わるように
         波の押し寄せ引く音。)
         その時、下手よりルディ登場。
         ゆっくり上手方へ。

  
   



  アリア「(ルディを認め。)こんにちは。」
  ルディ「・・・こんにちは・・・」
  アリア「私はアリア!あなたこの島の人・・・?」
  ルディ「・・・うん・・・。」
  アリア「この島、綺麗ねぇ!」
  ルディ「・・・ありがとう・・・。」
  アリア「あなた名前は?」
  ルディ「・・・ルディ・・・」
  アリア「ねぇ、ルディ!私、大切なものを探しているの!」
  ルディ「大切なもの・・・?」
  アリア「ええ。私、貝殻の形をした笛を探しているの!」
  ルディ「貝殻の形をした・・・笛・・・?」
  アリア「きっと浜辺のどこかに埋まってると思って、一晩中探し
      てたんだけど、どうしても見つからなくて・・・」
  ルディ「・・・そうなんだ・・・」
  アリア「あの笛がないと私、家へ帰れないのよ。だから・・・」
  ルディ「・・・僕・・・知ってる・・・多分・・・君の探してるその笛・・・」
  アリア「本当!?」
  ルディ「うん・・・」
  アリア「どこにあるの?私に返してくれる?その笛・・・」
  ルディ「それが・・・」
  アリア「・・・何・・・?」
  ルディ「僕・・・そんな大切な笛だと知らなくて・・・この島の主へ
      の貢ぎ物に差し出してしまったんだ・・・。」
  アリア「貢ぎ物・・・?」
  ルディ「ごめん・・・ごめんよ!!僕、本当にそれが何なのか知
      らなくて・・・!!キラキラして綺麗だから、お金の代わり
      になるかなって・・・!!本当にごめん!!」
  アリア「ルディ・・・」









     ――――― “アリアの海”2へつづく ―――――










   ※ このお魚たち、見覚えがないでしょうか・・・^^;?
     はい、ピンクのももちゃんと、先生、お友達のお魚たち
     です"^_^"



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪




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“7周年記念公演日記” 2012年11月2日

  2012年11月2日(金)

   
    



    よく晴れた空気の澄んだ少し寒い一日、“リトルパイン
    7周年記念公演”を行いました(^_^)   


    当日は、沢山の方たちのご協力、ご声援を受け、無事
    終了することが出来ました"^_^"

    プログラムの“ご挨拶”でも書かせて頂きましたが、今回
    公演するにあたり、何度となく開催が危ぶまれる事態に
    遭遇しながらも、当日を迎えることが出来たことは、
    偏にそんな皆様のお陰であったと、今更ながら一緒に
    公演を守り立てて下さった方たちに、心から感謝している
    次第であります


    さて、公演当日は、諸事にバタバタとしていた為、色々な
    方たちに、お礼もそこそこになってしまい、本当に申し訳
    ありませんでしたm(__)m
    観にいらして下さった方には楽しんで・・・一緒に頑張って
    くれた内側の人には充実感を味わってもらえたのなら、
    これほど嬉しいことはありません(^_^)


    それと、私事ではありますが、子どもが入院中に大変
    お世話になった、保育士の先生方が応援に駆け付けて
    下さり、本当に嬉しく思いました(^^)
    ・・・当時はいつもマスク姿しかお目にしたことが、殆ど
    なかったので、普通の立ち姿の先生たちに、一瞬どなた
    か・・・となったのですが、直ぐに懐かしい方たちだと・・・
    ^^;連絡先の分かる方にはお礼のメールをさせて頂いた
    のですが、先生方には出来なかったので、この場をお借
    りしてお礼をさせて頂きます
    
    「遠くまで足をお運び下さり、ありがとうございました!!」


    昨日は更新できないページを、覗いて下さった方・・・また、
    お待ち頂いてた、このページ上でしか感じることの出来ない
    皆様には、本当にすみません
    これからも新しいお話の紹介を続けて行きますので、宜しく
    お願い致します(^^)v

    先ずは、公演日記と合わせて、公演終了の作品の紹介・・・
    まだ書き掛け途中の作品の続き・・・と、進めて行こうと
    考えておりますので、引き続きご覧になって下さい(^^)


    それでは、全ての皆様に・・・

    「ありがとうございました!!これからも頑張ります!!」




                ミュージカル人形劇団“リトルパイン”

                                代表 どら。




           (おまけフォト^^;)

           

        観に来て下さった方に頂いたお花です"^_^"



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



      13:00   ・・・   舞台搬入、組み立て。

                   セッティング。

     
                   
                   
        


      舞台のセッティングが終了し、舞台奥から客席の
      方を見た写真です(^。^)
  
      まだ準備物は運び入れていません(^^)



        
        


      2部まで出番のない“J”の出演者たちです^^;

      真ん中辺りに、黄色の帽子を被って、こっちを見て
      いるのが“J”です(^^)v


   

    


   今回、初めて紗幕を今回専用に作ってもらった、上のような
   水色にお魚を付けた紗幕を使用しました(^^)v

   ご想像の通り、海の中の場面であります(^^)



    


         1部出演者のお人形たちです(^_^)


    ライトのセッティングをして頂いている最中です(^^)v

    今回、初めて舞台監督さん、照明さん、音響さんがいる
    舞台での公演だった為、いつもは自分たちでしなければ
    いけないようなことを、全て手懸けて下さり、自分たちの
    準備をすれば事済む状態が、とても助かりました"^_^"

    おまけに本当に色々と、ある意味特殊な舞台配置に合
    わせた照明を考えて頂いたり、不味いところのフォロー
    などを、さり気無くして下さり嬉しかったです(^_^)



    

    
            ダラケているお人形たち^^;



    

   
       舞台下手より客席方向を見た風景です"^_^"


    
      


         左端に座っているのが・・・私です^^;
         (少しちっちゃめにご覧下さい^_^;)





      18:30   ・・・   第1部“アリアの海”開演。

 
    
    


    

    
 
            ♪どこにあるの~大切な笛~♪


     アリアちゃん操作は私です^^;“J”に比べて、足もない
    うえ、髪の毛も薄いので、と~っても軽いお人形です(^^)


    
    
       (左より)村長さん、ラナ、ルディの母、ルディ 


     「村長さん・・・今月の貢物をこれでお願いします・・・。」
   

   
    この辺りの登場人物は・・・どこかで見覚えがある方も、
    いらっしゃるのではないでしょうか・・・^^;
    ラナちゃんとルディくん姉弟は、“未来の海へ”の十海くん
    と優海ちゃん兄妹です"^_^"
    ルディママは・・・多分・・・エリィちゃんママ、村長さんは・・・
    う~ん・・・こちらも多分・・・優海ちゃんパパだったかな・・・
    と・・・^_^;
    気になる方がいらっしゃれば、フォトをご確認下さい^^;
    間違っていたら、すみません・・・


    
    


    キューイくん(目だけ私です^^;)の本体は、他メンバー
    にヘルプして作ってもらったのですが、口でイメージを
    伝えただけで、可愛いキューイくんが仕上がってきました♪

    このキューイくんは、プッチくんたち同様、手持ち人形に
    なっています(^^)v



    

         ♪この森のどこかに~必ずある筈~♪


    ルディくんの首に掛かっている水筒は、団員が見つけて
    来てくれた、お子様用の本物です"^_^"



    
                 島の主ゴーザ


     観に来て頂いた方はご存知ですが、このゴーザさん、
     アリアちゃんの叔父さんです(^。^)
     海の国の王様とは兄弟です(^^)v

     勿論・・・足はありません(^^)



    
    

     人形劇で一番、難しいであろう・・・“追い駆けっこ”の
    場面です^^;
    この直ぐ後、アリアちゃんがゴーザさんには“見つからない”
    ように登場するので、逃げている方のルディくんたちは、
    逃げ方を試行錯誤していました"^_^"


    
    

          「小さな小さなカニに変えて~!!」


    ご覧の通り・・・ゴーザさんは、アリアちゃんに魔法の笛で、
    小さなカニに変えられてしまいました(>_<)

    このカニさんも、キューイくんを作ってくれた団員お手製で
    あります(^^)
    今回、人でないもの系を一手に引き受けてくれたので、
    とっても助かりました~^^;
    
    “カニ”に変身させられてしまった件は、また台本の方で
    お読み下さい(^^)v


    

    
       アリアちゃん、真ん中で倒れています(ToT)


    この場面、アリアちゃんに合わせて、私も膝を折って座る
    ことができたので、膝立ちに比べて、とっても楽な体勢で
    いることが出来ました^^;


    
    

            ♪ありがと~♪  ♪さよなら~♪

      



         19:05   ・・・  “アリアの海”終演。


              ( 休憩   15分間 )






    ――――― “7周年記念公演”2へつづく ―――――







 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪





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2012年11月30日金曜日

“フランドル” ―全17場― 完結編


       ――――― 第 11 場 ――――― B

            カーテン前。

  グリエルモ「(憤慨した様子で。)一体おまえは何を考えている
         んだ!!おまえは自分の夢を全て捨てるつもりな
         のか!?」
  部下達「隊長!!」
  フランドル「誰が夢を捨てると言った!!ただそれを叶える為
        の意味が、今までと今とでは変わったと言うことだ。」
  グリエルモ「変わった・・・?」
  フランドル「そう・・・変わったんだ。今までは自分の欲望の赴く
        ままに、欲するものは全て手に入れて来た・・・。だが
        これからは違う!!目的を遂行する為の意味を見つ
        けたんだ!!」
  グリエルモ「・・・おまえ、あの島で何かあったのか・・・?」
  フランドル「・・・今まで出会ったことのない女性がいた・・・」
  グリエルモ「・・・じょせい・・・女!?おまえ気でも違ったか!?
         女の為に無謀な賭けに出るのか!?」
  フランドル「賭け・・・?何とでも言うがいい。俺はアリアナと出
        会って目が覚めたんだ・・・」
  グリエルモ「アリアナ・・・?あの蝶のような・・・(独り言のように
         。)」
  フランドル「俺は彼女を迎えに行く!!」
  グリエルモ「フランドル・・・(諦めたように。)夢を・・・捨てた訳
         じゃないんだな・・・?」
  フランドル「勿論だ!!俺は彼女と共に・・・夢を必ず実現させ
        てみせる!!」
  グリエルモ「分かった・・・おまえの好きにしろ・・・。今までも俺
         達はおまえの無茶に引っ張り回されて来たんだ。
         今回だって・・・。」
  フランドル「グリエルモ・・・」
  グリエルモ「結婚と言う武器がなくなったのは、少々痛手だが
         ・・・おまえにはそこまでも考えが出来てのことだろ
         う。全くおまえは昔っから一旦思い込んだら、最後
         までそれを貫き通す・・・。」

            横で聞いていた部下達、頷く。

  フランドル「グリエルモ・・・おまえ達・・・(見回して。)ありがとう
        ・・・」
  部下達口々に「隊長!!」

            暗転。

       ――――― 第 12 場 ―――――

            カーテン開く。絵紗前。(村の風景。)
            上手より村人たち、話しながら出る。
            一番最後にジュリオ、気落ちした
            面持ちで続く。

  アンナ「もうあの兵隊さん達が帰って、大分経つわね・・・」
  アンジェラ「何?まだ忘れられないの?(笑う。)」
  アンナ「だって・・・」
  ウーゴ「もうあいつらは戻って来ないんだぜ。いい加減、諦め
      ろよ。」
  ボルソ「よぉ、ジュリオ!アリアナは相変わらず毎日、海に行っ
      てるのか?」
  ジュリオ「ああ・・・」
  ボルソ「だけどあいつの行ってる場所って、切り立った断崖の
      上だろ?いくら遠くまで見渡せるからって・・・」
  ジュリア「(嬉しそうに。)だからそんなアリアナを、兄さんは毎
       日、陰からこっそり見守りに行ってるのよ。」
  ジュリオ「煩い!」
  アントニオ「アリアナの奴も、もう諦めりゃいいのに。(笑う。)」
  ジュリオ「あいつは一途なんだ!!」
  アントニオ「(溜め息を吐いてジュリオを見る。)全く、おまえも
        な。」
  ジュリア「そうよ。兄さんもあんなにハッキリ振られたのに、まだ
       思い切ることが出来ないなんて。」
  ジュリオ「俺はいい加減な気持ちで、あいつを今まで思って来
       たんじゃないんだ!!」
  ヴィンタ「それより占いの婆さんの言ってたことは、やっぱり外
       れたな!」
  アンジェラ「本当ね。最近は当たった試しがないもの・・・。」
  アンナ「あんな占い、当たらなくて良かったじゃない。」
  ウーゴ「そうだな!」

            その時、強い風が村人達の間を
            吹き抜ける。
            村人達、口々に驚きの声を上げる。

  ヴィットリオ「(空を見上げて。)こりゃ、嵐が来るな。」
  ジュリア「早く帰りましょう!」

            下手より慌ててビアンカ、駆け込んで
            来る。ジュリオ、血相を変えて走り過ぎ
            ようとするビアンカの腕を、思わず掴む。

  ジュリオ「おばさん!!」
  ビアンカ「(初めて村人達がいることに気付いたように、驚いて
       立ち止まる。)あ・・・ジュリオ・・・」
  ジュリオ「何かあったのかい!?」
  ビアンカ「アリアナが・・・!!アリアナがまた海に・・・!!今日
       は嵐になるから止めとけって言ったのに・・・私がちょっ
       と留守にしてる間に・・・!!早く呼び戻して来ないと、
       海が荒れてくるわ!!」
  ジュリオ「俺が行ってやるよ!!嵐の前の海は突然、強い風が
       吹いて危ないんだ!!おばさんは家で待ってな!!」
  ビアンカ「ジュリオ・・・」
  ジュリオ「任せときな!!」

            ジュリオ、走り出る。

  ジュリア「兄さん!!」

            暗転。

       ――――― 第 13 場 ―――――

            時折、波の荒れる音。風が吹き荒れる
            海岸。一輪の花を持ってアリアナ、
            下手より現れる。
            

           
   
     
                        ※

            
            ゆっくり岩 ↑ の上へ。
            半ばまで登ったところで、海の彼方に艦隊
            を認める。

  アリアナ「船だわ・・・船よ!!」

            慌てて、岩の高いところへよじ登る。
            その時、ジュリオ入って来て、
            アリアナを認め、驚いて駆け寄る。

  ジュリオ「アリアナ!!危ないから降りるんだ!!」
  アリアナ「(ジュリオに気付き。)ジュリオ!!船よ!!フランドル
       が戻って来てくれたわ!!」
  ジュリオ「(岩へ登りながら。)アリアナ、こっちへ来い!!(アリ
       アナの方へ手を差し出す。)」

            その時、突風が吹き抜ける。
            アリアナ、体のバランスを崩し、
            花1輪だけ岩の上に残して、
            小さい悲鳴と共に、岩の向こうへ
            落ちる。

  ジュリオ「アリアナーッ!!(叫ぶ。)」

            ジュリオの叫び声だけ悲しく響いて、
            フェード・アウト。

       ――――― 第 14 場 ―――――

            悲し気な音楽が流れる。
            フェード・インする。と、絵紗前。
            (アリアナの家。)
            ベッドにはアリアナ、眠っているよう。
            傍らにジュリオ、膝を付きベッドに伏す。
            ソファーには呆然とビアンカ。

  ジュリオ「(涙声で。)アリアナ・・・アリアナ・・・」

            その時、戸をノックする音。
            一時置いて、フランドル、グリエルモ
            入って来る。

  フランドル「(ビアンカを認め、嬉しそうに近寄る。)返事がない
         ので黙って入って来てしまいました。お久しぶりで
         す!あの時は大変お世話になりました。(ビアンカ
         の気落ちした様子に気付き。)あの・・・何かあった
         のですか・・・?アリアナは・・・」
  ビアンカ「(声を上げて泣く。)」
  フランドル「アリアナに何か・・・?」
  グリエルモ「(ベッドの上のアリアナに気付き、驚いてフランドル
         の肩を叩く。)フランドル!!(ベッドの方を指差す。
         )」

            フランドル、アリアナを認めて、ゆっくり
            近寄る。その表情からは段々と、血の気
            が引いていくよう。

  フランドル「アリアナ・・・」
  ジュリオ「(立ち上がって。)眠ってるみたいだろ・・・でも・・・死ん
       でるんだぜ・・・もう・・・いくら呼んでも目を開けてくれな
       いんだ・・・」
  フランドル「(声を絞り出すように。)なぜ・・・」
  ジュリオ「こいつはあんたが帰ってから・・・毎日毎日、海岸へ
       行って・・・迎えが来るのを待っていたんだ・・・。嵐の
       今日も・・・それは変わらなかった・・・。その時に、あん
       たの船を見つけ・・・喜んで駆け上がった崖の上から
       落ちたんだ・・・あんたが迎えに来てくれたとそれは・・・
       嬉しそうに・・・(涙声で。)あんたが・・・おまえがアリア
       ナを殺したんだ!!おまえさえ来なければ!!おま
       えさえ、あんな約束をしなければ・・・アリアナが死ぬ
       ことはなかったんだ!!アグネスが言ってたとおり、
       おまえは死神だったんだ!!」

            ジュリオ、泣き顔を隠すように駆け出る。
            フランドル、呆然とアリアナに近寄って、
            傍らへ跪き、アリアナの手を取り男泣き
            する。

  フランドル「アリアナ・・・アリアナ・・・何故・・・何故死んでしまっ
        た!!やっと、おまえを迎えに来れるようになったと
        ・・・何もかも片付いて・・・おまえを俺のところへ・・・
        呼び寄せようと・・・コンスタンティノープルへ行く前
        に・・・兎に角・・・おまえにそのことを知らせに・・・寄
        ったと言うのに・・・何故・・・おまえは死んだ・・・アリ
        アナ!!」
  グリエルモ「フランドル・・・(近寄ることも離れることも出来ず
         呆然と見詰める。)」

            フランドルとアリアナ、スポットに
            残してフェード・アウト。

  フランドル「(アリアナの手を握ったまま。)アリアナ・・・俺は必
        ず戻って来る・・・おまえを迎えに帰って来る・・・だか
        ら待っていてくれ・・・アリアナ・・・いつまでも愛してい
        る・・・」

                フランドル、アリアナに口づけ
            立ち上がる。名残惜しそうに見つめ
            た後、視線をもぎ取って舞台中央へ。
           
    
            (カーテン閉まって、フェード・イン。)

       ――――― 第 15 場 ―――――

            フランドルの回りにいつの間にか部下たち。
            
            フランドルの表情は険しく、敵の城塞を攻め
            落とす堅い決心に肩を震わす。

  フランドル「皆・・・明日は必ず攻め落とす!!いいか!!」
  部下達「はいっ!!」

            激しい音楽が響き渡る。歌う。

     フランドル“行くぞ!!
            何があっても振り返るな
            進め!!
            ただ前だけを見て”

     全員“陽が昇ると始まる
        引き返すことのできない歩が
        我々の熱い戦い
        心に思い描く新しい未来が”
        
            歌い終わるとカーテン開く。
            (向こうに敵城を見上げる陣営。

       ――――― 第 16 場 ―――――

  フランドル「(部下達を見回して。)おまえ達・・・明日は早いん
        だ、体を休めておけ・・・。」
  部下達「はい。」

            部下達、其々出て行く。

  グリエルモ「フランドル・・・もう大丈夫か?」
  フランドル「当たり前だ!!明日は必ずやるぞ!!」
  グリエルモ「(少しホッとしたように。)そうか・・・おまえも休んど
         けよ。」

            その時、アンドレアの側近ジョルジョ、
            大勢の部下達を従えて出る。

  グリエルモ「(気付いて。)ジョルジョ殿・・・いつの間に来られた
         のですか・・・?加勢など無用であるのに・・・」
  フランドル「(意味あり気な視線を、ジョルジョに向けて。)また・・・
        急ですね・・・それも大層な人数のようだ・・・。皇帝から
        何か連絡でも・・・?(手が自然と剣に向く。)」
  ジョルジョ「我々は皇帝陛下の命により、ここに参っております
        ・・・。(冷淡に。)」

            グリエルモの表情に一瞬、緊張が走る。

  フランドル「・・・その命令・・・とは・・・?」
  ジョルジョ「・・・残念ですが・・・」
  フランドル「(自分の殺害を悟って。)グリエルモ!!」

            フランドル、グリエルモ、回りを
            ジョルジョの部下に囲まれ、背を
            合わせて立ち、ゆっくり剣を抜く。
            一瞬の静寂が辺りを包む。
            ジョルジョの部下達、剣を抜く。
            激しい音楽が響き渡る。
            ジョルジョの合図で、2対多数の
            戦いが始まる。
            途中、騒ぎに気付き出て来たフランドル
            の部下数人。加勢する。

  部下達「隊長!!」

            次々とフランドルの部下達、相手の
            刃に倒れる。部下の中で一人残った
            グリエルモも敵に囲まれ、剣の雨を
            受け、フランドルに思いを残しながら
            息絶える。

  グリエルモ「フランドル・・・」

            一人残ったフランドル、勇敢に剣を
            奮っていたが、等々囲まれる。今まで
            離れて見ていたジョルジョ、近寄り
            剣を抜く。音楽、一層大きくなり一瞬の
            後、ジョルジョの振り下ろした剣に
            倒れる。
            フランドル、スポットに残してフェード・アウト。

       ――――― 第 17 場 ―――――

            音楽、静かに流れ、どこからかアリアナの
            “フランドル“の名を呼ぶ声が木霊する。
            フェード・インする。と、辺りは人気がなく、
            ひっそりとしている。
            (風景変わる。)
            愛しいアリアナの呼び声に、微かに目を
            開き、痛みに顔を歪めながら、ゆっくりと
            体を起こす。

  フランドル「・・・(溜め息を吐いて、微かに微笑む。)アリアナ・・・
        もう直ぐだ・・・もう直ぐ・・・おまえに会える・・・」

            その時、どこからか現れた幻想の
            アリアナ、フランドルの前へ。

  フランドル「(驚いた面持ちで。)・・・アリアナ・・・」

            幻想のアリアナ、フランドルの回りを
            蝶のように舞い踊る。その様子を、
            安らぎの入り混じった幸せそうな
            面持ちで見詰めるフランドル。
            アリアナ、嬉しそうな微笑みを湛え、
            フランドルに近寄り、手を取り立ち上
            がるように促す。
            その手に導かれるように立ち上がり、
            愛しい者に再び出会えた喜びに溢れ
            固く抱き合う2人。彼方を見遣る。

  
            





              ――――― 幕 ―――――

  







       12月7日(金)

       それでは次回掲載作品を紹介しておこうと思い
       ます♪
       次回は旅一座と写真家のお話しで、これまた随分
       昔に書いた作品になります(^_^;)
       “アル・ロー”(実は名前を変更致しました^^;)
       お楽しみに(^_^)



      






       早く、次の作品に移りたいので、書き直すのは
       止めて、このまま書き写していく形で終わらせよう
       と思います(^^;
       (あまりに可笑しい箇所は、手直ししますけど・・・)
       駄作で申し訳ありません~・・・m(_ _)m









    ※ 台本の隅っこに、走り書き(?)していた、舞台セット
      のイメージ図です(^_^)
      読んだだけでは、あまりよく分からないと思い、見難い
      ですが一緒に載せてみました~(^^;



― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



     (どら余談^^;)

     今の私なら、絶対にこんな結末にしないでしょう的な
     お話しです(ーー;)
     段々、書くのが辛くなってきました・・・(;_;)







       http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
           http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
         http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta



















2012年11月25日日曜日

“J―未来の君へ―”天界場面






          この場面は、この作品の中で唯一と言ってもいい程、
         台詞重視の場面になります(^_^)

         ドライアイス担当団員の苦心と・・・女の子の笑い声は
         難なく出来るのですが・・・男の子の笑い声・・・しかも、
         笑いが続く・・・と言う”J”に苦心している私の笑い声を
         お聞き下さい(^^;

         こちらの動画は、YouTubeでも公開しています♥




2012年11月23日金曜日

“J―未来の君へ―”第4場動画





                                 丁度、只今“グー版”ワールドで、脚本公開している部分の
             動画になります(^_^)
     
            
  
            

            最初、ガキ大将とマイクを2体持ちしているのが私です(^^;)
            その後、2体を引き取ってもらい、“J”再び・・・です(>_<)





         ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪






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2012年11月22日木曜日

“フランドル” ―全17場― 4

     
         その時、マルコ入って来る。

  マルコ「隊長!!(驚いたように。)あ・・・お邪魔でしたか?」
  フランドル「馬鹿野郎・・・(マルコを見て。)何だ?」
  アリアナ「じゃあ私はこれで・・・(出て行こうとする。)」
  マルコ「最近、隊長の機嫌がいいのは、こう言うことだったん
      ですね。」
  フランドル「馬鹿者!!何がこう言うことだ!」
  マルコ「皇女様と婚約中だと言うのに、角に置けませんね!」
  フランドル「マルコ!!」
  マルコ「あ・・・すみません・・・」
  アリアナ「(それを聞いて、悲しそうな微笑みを残して出て行く
       。)」
  フランドル「アリアナ!!畜生!!」

         音楽でフェード・アウト。カーテン閉まる。

        
     ――――― 第 9 場 ―――――

         カーテン前。村の娘(アンナ)と、ロドリーゴ。

  アンナ「へぇ、じゃああの人は、行く行くは全ヨーロッパ皇帝っ
      てことね?」
  ロドリーゴ「違うよ!皇帝はもういるんだ。皇帝一の勇将さ!」
  アンナ「あら、今あなた言ったじゃない。あの人は皇帝になる
      器の人物だって。」
  ロドリーゴ「そうさ!頭は切れるし行動力もある。隊長には怖い
        ものなしなんだ!(自慢気に話す。)」
  アンナ「じゃあ皇帝になるんでしょ?」
  ロドリーゴ「そんなこと、迂闊に口走ってみろ!命がないぜ!!
        今のところは皇帝の腹心の部下で通ってるんだ。だ
        けど隊長は必ずやる!!俺たちはあの人の部下で
        あることが誇りなんだ!!」
  アンナ「ふうん・・・よく分からないけど、凄い人なんだ・・・」
  ロドリーゴ「その通り!!それよりさっき会ったあの婆さん、何
        者だ?隊長のことを頻りに死神呼ばわりしてたけど
        ・・・。」
  アンナ「あの人は昔はこの村の守り神みたいな人だったの。
      占うことは全て当たるし。それでこの島は独占者の侵略
      を免れてこれたようなものだから・・・。でもここ数年は、
      もう惚けちゃって、誰か余所者が来ると必ず決まって、
      ああ言って追い出そうとするのよ。尤も最近じゃ誰もあの
      お婆さんの言うことを聞かなくなって・・・相手にもしなく
      なったんだけど。だからあなた達もすんなり村に入れた
      って訳。」
  ロドリーゴ「へぇ・・・占い師なのか。」
  アンナ「当たらなくなった証拠に、あなた達がこの村に来て、
      もう大分経つけど、誰も死んだりしないじゃない。」
  ロドリーゴ「そうだな・・・もう隊長の傷も殆ど良くなったし、後
        は迎えが来て戦線復帰するだけだ。」
  アンナ「・・・そう・・・もう帰ってしまうのね・・・(悲しそうな面持
      ちになる。)」
  ロドリーゴ「そんな顔するなよ。明日は祭りだろ!おまえの
        歌、楽しみにしてるよ。」

         2人、腕を組んで出て行く。

     ――――― 第 10 場 ―――――

         激しい音楽でカーテン開く。
         舞台は森。年に一度の村の祭り。
         村人たち、太鼓のリズムに乗り踊っている。
         途中からアンナ出て歌う。
         その歌に乗り、男女踊る。
         フランドル、上手より足を引き摺り加減に
         出、誰かを捜しているよう。
         その時アリアナ、下手より出、森の中へ。
         (舞台回転。)
         祭りのざわめきが少しずつ遠くなり、静か
         な音楽が流れる。
         フランドル、アリアナを認めて、慌てて
         歩き難そうに後を追う。
         アリアナ、一人ゆっくり憂鬱そうな面持ちで。

  フランドル「アリアナ!!」
  アリアナ「(振り返り、驚いて逃げようとする。)」
  フランドル「待ってくれ!!」
  アリアナ「(その声に立ち止まり、フランドルを認める。)」
  フランドル「(ホッとした面持ちで。)やっと会えた・・・。あれから
        一度も来てくれなかったね・・・どうしてだい?」
  アリアナ「・・・(言葉に困って。)・・・母がいるし・・・私より母の
       方が、医者としての腕は確かよ・・・」
  フランドル「そんなことを言ってるんじゃない。俺はおまえに会
        いたかったんだ、ずっと・・・」
  アリアナ「フランドル・・・」
  フランドル「あの時、マルコが言っていたように、確かに俺には
        婚約者がいる。だがそれは今まで俺の夢の実現の
        為に、どうしても必要なことだったからだ。ヨーロッパ
        世界を手中に収めること・・・それが俺の夢だった。
        だが、おまえが来なくなってから、俺には何が必要
        だったのか・・・何を為るべきなのか、おまえの言っ
        ていた言葉の意味をずっと考えていた・・・。そして
        俺はここに来て、心の安らぎを初めて与えられたよ
        うな気がする・・・。それはおまえがいてくれたから
        だ・・・!!アリアナ・・・愛しているんだ・・・」
  アリアナ「フランドル・・・」

      
         その時、ジュリオ入って来る。
         (フランドルとは、アリアナを挟んで反対側。)

  ジュリオ「アリアナ!!そんな奴の言うことを信じるんじゃない
       !!そいつはもう帰ってしまう奴なんだ!!」
  アリアナ「(振り返ってジュリオを見る。)ジュリオ・・・」
  ジュリオ「(フランドルに突っ掛るように。)あんたにはあんたの
       世界がある!!アリアナにはアリアナの生き方がある
       んだ!!自分の世界にこいつを引っ張り込むな!!」
  フランドル「ジュリオ・・・」
  ジュリオ「さっき、あんたの部下があんたを捜していたぜ。明日
       いよいよ迎えの艦隊が到着するんだとよ!!さっさと
       自分の国に帰って来れ!!(アリアナの方へ手を差し
       出す。)アリアナ、こっちへ来い・・・」

         アリアナ、ゆっくりジュリオの方へ行きかける。

  フランドル「アリアナ!!」
  アリアナ「(歩を止める。)」
  フランドル「俺は婚約を解消して必ず戻って来る!!俺を信じ
        て待っていて欲しい!!」
  ジュリオ「アリアナ!!そいつの言うことなんか聞くんじゃない
       !!」
  フランドル「アリアナ・・・」

         アリアナ、振り返ってフランドルを見詰める。

  アリアナ「フランドル・・・」

         ゆっくりフランドル、両手を広げる。
         アリアナ、フランドルの胸に飛び込む。

  アリアナ「フランドル!!」
  フランドル「アリアナ!!(アリアナを抱き締める。)」
  ジュリオ「(呆然と2人を見詰める。)アリアナ・・・」
  フランドル「必ず戻って来るから・・・」
  アリアナ「待っているわ・・・いつまでも・・・」

         フェード・アウト。(カーテン閉まる。)

     ――――― 第 11 場 ――――― A

         カーテン前。アンドレア、ジョルジョ、ホフレ。

  ホフレ「よかったですね、何事も起こらないうちに、フランドル殿
      が復帰されることになって。」
  アンドレア「そうだな・・・丁度、冬期の休戦時期と重なったのが
        幸いだった・・・」
  ジョルジョ「我々は制服地の統轄さえ行っていれば、よかった
        ですからね。」
  ホフレ「しかし命に別状がなく何より・・・」
  アンドレア「本当のところ、今、あの男がいなくなれば、確かに
        我々は困るのだ・・・。自分たちの国を、力づくで奪わ
        れた人々の反逆を鎮圧する力を持った将は、残念な
        がら今のところ、彼の他には見当たらないからだ・・・
        私がもう少し若ければ・・・あの男に任せることなく、
        この手で遣り遂げてみせるものを・・・」
  ジョルジョ「皇帝陛下・・・」
  アンドレア「あの男の行動に、その都度一喜一憂することなく
        ・・・まぁ、色々言っても仕方あるまい・・・。兎に角、今
        はあの男に全てを賭けたのだ。こんなところで死な
        れては困る。」
  ジョルジョ「いっそのこと、陛下の妹君のご子息、フロリド様に
        全てを託されては・・・?」
  アンドレア「私も一度はそのことを考えもしたが・・・フロリドの
        器では、制服地を増やして統轄していくどころか、こ
        の国の統治すらままならなくなることは、目に見えて
        明らか・・・それならば、国民からの信望が厚く、武将
        としても最長けたフランドルと、エリザベッタを結婚
        させ、その子どもに全てを託すことに決めたのだ・・・
        。」
  ホフレ「成程・・・フランドル殿ではなく、エリザベッタ様のお子
      様にとは、考えられましたな・・・。」
         

   
         その時、家臣入って来る。

  家臣「もう間もなくフランドル様が入城されます。」
  アンドレア「分かった・・・」

         カーテン開く。と、大広間。アンドレアたち、
         そのまま舞台へ。
         エリザベッタ、召使を伴って入って来る。

  エリザベッタ「お父様!もうフランドル様がお戻りになられるの
          でしょう?まだですの?」
  アンドレア「(エリザベッタを認めて。)これエリザベッタ、はした
         ないぞ!」
  エリザベッタ「ごめんなさい。でも私、待ちきれなくて・・・。もう長
          いこと、お会いしていないんですもの。」
  アンドレア「まぁ、おまえの気持ちも分からなくはないが・・・」
  家臣「(声高く。)フランドル殿がお戻りになられました!」
  アンドレア「そうか・・・」

         アンドレア、一段高く設えられた椅子の上に
         腰を下ろす。横にはエリザベッタ、ジョルジョ、
         ホフレ。
         音楽と共に、フランドル、グリエルモ出て来る。
         フランドルたち、アンドレアの前に跪く。

  フランドル「陛下、只今戻りました!!」
  アンドレア「おお、待っておったぞ!怪我はもう良いのか?」
  フランドル「はい。島民の手厚い看護のお陰で、もうすっかり
        完治しました!陛下にも長い間ご心配をお掛けし、
        本当に申し訳ありませんでした!」
  アンドレア「それは何よりだ。」
  ジョルジョ「いつも勇猛なフランドル殿が、深手を負われると
        は・・・と、我々も驚いていたのですぞ。」
  フランドル「あれは完全な私のミスです。我々の味方陣の中
        に、真逆、敵のスパイが紛れ込んでいたとは、思い
        も寄らなかったものですから・・・。本当に迂闊でし
        た。」
  アンドレア「まぁ、よい。深手を負ったにせよ、またこうして元
        気になれたのだから。」
  フランドル「ありがとうございます。」
  アンドレア「エリザベッタは心から心配しておったのだぞ。」
  エリザベッタ「フランドル様のお帰りを、心よりお待ちしており
          ました。お怪我が完治されて本当によかった!
          (嬉しそうに。)」
  フランドル「(少しすまなさそうな面持ちになる。)皇女・・・」
  アンドレア「ところでフランドル。もうそろそろ式の準備を始め
        た方がよいのではないか?いつまでもこのまま・・・
        と言う訳にもいくまい。」
  フランドル「陛下・・・そのことで話しがあります。」
  アンドレア「何だ?何でも言うがよいぞ。」
  フランドル「本来ならば、こんなところで申し上げる話しではな
        いのですが・・・生憎、今まで留守にしていた間の仕
        事が山のように溜まっていて、次の機会を待ってい
        ると、いつになるか分かりません・・・」
  アンドレア「どうした?いつものおまえらしくないぞ。いつもなら
        鉄砲玉のように自分の意を申すのに・・・(笑う。)」
  フランドル「(アンドレアの目を見据え。)・・・皇女との婚約を、
        解消して頂きたい!!」
  アンドレア「・・・何・・・?」
  グリエルモ「何を言い出すんだ!?」
  エリザベッタ「フランドル様・・・」
  
  

         回りの者も一同に、驚きの声を上げる。

  アンドレア「何を馬鹿なことを言い出すのだ。(呆れて笑う。)」
  フランドル「私は本気です。陛下にはどうしてもお聞き入れ頂き
        ます。」
  アンドレア「(思わず立ち上がって。)どうしてなのだ!!何故
        また突然にそのようなことを申すのだ!!おまえに
        とってもいい話しの筈であろう!?」
  フランドル「(チラッとエリザベッタを見る。)皇女には本当に申し
        訳ないと思っています・・・。だが、この婚約は飽く迄
        政略であったこと・・・愛情なきものであると言うことが
        ・・・今の私にはその意味を持たないものになってし
        まったのです・・・。」
  アンドレア「当たり前のことが嫌になったと言うのか。・・・今の
        話しは聞かなかったことにしよう・・・。フランドル・・・
        皇帝命令だ!!エリザベッタと結婚するのだ!!」
  フランドル「(溜め息を吐いて。)・・・分かりました・・・どうしても
        駄目だと言われるのであれば・・・私はこの国を出る
        しかないようだ・・・。(立ち上がる。)」
  アンドレア「フランドル・・・」
  フランドル「皇帝配下を脱して、私は私の思う道を突き進むま
        で・・・。」

         エリザベッタ、駆け出ようとする。
         フランドル、慌てて呼び止める。

  フランドル「エリザベッタ!!」

         エリザベッタ、立ち止まる。

  フランドル「あなたには、すまないことをしたと思っています。だ
        が、私の一生涯でただ一度の我が儘を許して下さい
        !!」
  エリザベッタ「(背を向けたまま。)私に何を許せと仰るのでしょ
          う・・・。(涙声になる。)私はあなたのことを・・・父
          に言われたからではなく・・・心からお慕いしてい
          ました・・・!!」
  フランドル「皇女・・・」
  エリザベッタ「お元気で・・・」

         エリザベッタ、走り出る。後ろからエリザベッタ
         に付いて召使、走り出る。

  フランドル「(暫くエリザベッタの走り去った方を見ているが、ア
        ンドレアに向き直り。)それでは皇帝陛下・・・(出て行
        こうとする。)」
  アンドレア「(渋々。)フランドル・・・!!分かった・・・この婚約
        は、おまえの言うとおりなかったことにしよう・・・。但
        し・・・正式の婚約解消は、年が明け戦闘開始後・・・
        ヨーロッパ一強固な城塞を持つと言われるコンスタン
        チノープルを陥落させてからだ・・・。」
  フランドル「分かりました・・・必ず約束通りに・・・!!」
  グリエルモ「フランドル・・・」

         フランドル、グリエルモ、部下たち残して
         カーテン閉まる。

       
     
  
        
        

    


       ――――― “フランドル”5へつづく ―――――







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2012年11月21日水曜日

“J―未来の君へ―” 1幕オープニング動画






7周年記念公演、第2部“J―未来の君へ―”のオープニング
動画です(^_^)

よーく見て頂くと・・・頂かなくても・・・^^;ですね(^_^;)
開演間もないオープニング場面は、色々とドタバタしている
のが見て取れます(^_^;)

この“J”は、多分もう公演することはないと思っていますので、
1度限りの本番・・・1度限りのドタバタ・・・を、余すところなく
ご覧頂けたら・・・と考え、随時ビデオ公開していく予定ですので、
グー版“ワールド”での脚本公開と合わせ、少し大人な作品映像
もお楽しみ下さい(^-^)

順番は・・・場面が前後するかも知れませんが、お許し下さい
ませm(_ _)m







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2012年11月19日月曜日

“アリアの海” 動画3


先に“YouTube”で公開していました“アリアの海”動画の
続きになります(^_^)





   

            やっと今まで通り、グーグル版“ワールド”で、動画の投稿が
            出来るようになりました~o(^▽^)o

            今まで、散々色々と試行錯誤しながら、何とかして、このまま
         
            投稿が続けられないかと、ホント苦心していましたが、どうしても
            無理で、今回諦め、“YouTube”と言う、大きなものを介しての
            投稿に踏み切りましたが、矢張り中々慣れず・・・でも、
            お陰でそこに表示されていたインターネットの“バージョンアップ”
            なるものを試みたところ、なんと・・・こちらも回復し、こうやって
            再びこのページでの動画公開と言う形で、皆様にお会いすること
            が出来るようになりました(^_^;)

            とても嬉しいです♥

            色々と、投稿場所が変わり、今までご覧頂いてた方にはご迷惑を
            お掛けしましたが、一先ずまた、こちらでの動画公開とさせて
            頂きます(*^^)v

            引き続きヨロシクお願いいたしますm(_ _)m


   
                                          どら。



2012年11月13日火曜日

“フランドル” ―全17場― 3

          下手より、よろめくようにアグネス出る。
          上手より村人たち、談笑しながら出る。

  アグネス「あの男は必ず災いを起こす・・・あの男の背後に死神が
       見える・・・」
  ウーゴ「(笑いながら。)婆さん、まだそんなことを言ってるのかい
      ?」
  アグネス「わしには見えるんじゃ。あの男がこの島の人間を、死に
       追いやるのが・・・」
  ヴィンタ「ただの兵隊さんだぜ!そりゃ仕事柄、多少の血腥さは
       漂ってるかも知れないけど・・・。」
  アンジェラ「ちゃんと治療代だって置いていってくれたものね。」
  ボルソ「ありゃ大金だぜ!」
  アンジェラ「あんた中、見たの?」
  ボルソ「見なくても袋の大きさ見りゃ分かるさ!!」
  アグネス「必ずよくないことが起こるんじゃ・・・」

          村人たち口々にアグネスを馬鹿にしながら
          笑って出て行く。
          ジュリオ一人、村人について行きかけるが
          通り過ぎたアグネスを気にして振り返る。

  ジュリオ「よぉ、婆さん・・・」
  アグネス「(振り返って。)なんじゃ・・・」
  ジュリオ「あんた・・・惚けてないよな?」
  アグネス「馬鹿言うな!わしは惚けてなんぞおらんわ!!」
  ジュリオ「・・・この島の人間を死に追いやるって・・・一体誰のこと
       なんだ・・・?」
  アグネス「そこまでは、わしには分からん・・・。ただ、あの男の背
       中には、黒い羽根が見えるんじゃ・・・。あいつは死神の
       使いに違いねぇ・・・。きっと誰かを連れて行ってしまうん
       じゃ・・・。気をつけた方がええ・・・」
  ジュリオ「死神・・・」
  アグネス「(独り言のように。)恐ろしいことになりゃせんといいがな
       ・・・。皆わしの忠告を聞かん、愚か者じゃて・・・」

          アグネス出て行く。ジュリオ、呆然と
          その方を見詰める。
          下手よりヴィットリオ出る。

  ヴィットリオ「おい、ジュリオじゃないか。」
  ジュリオ「(振り返って。)ああ、ヴィットリオ・・・」
  ヴィットリオ「さっき、アリアナが岩山の方へ行くのを見かけたぜ。
         今日は一緒に行ってやらなかったのか?」
  ジュリオ「なんだって!?」
  ヴィットリオ「あんな危ないところ、女一人じゃ大変だぜ。」
  ジュリオ「馬鹿野郎、あいつ・・・。それでいつ行った!?」
  ヴィットリオ「ああ、ほんの少し前さ。籠持ってたから、薬草摘みに
         違いないぜ。」
  ジュリオ「ありがとう!!」

          ジュリオ、手を上げて走って行く。
          暗転。

        ――――― 第 8 場 ―――――

          カーテン開く。と、絵紗前。アリアナの家。
          フランドル、ベッドの上で体を起こして、
          本を読んでいる。その時、ノックしてアリアナ
          が入って来る。

  アリアナ「具合どうですか?」
  フランドル「(読んでいた本を膝の上に置いて、嬉しそうにマジマジ
        とアリアナを眺める。)どうしたんだい、その服。泥遊び
        でもしてきたか?」
  アリアナ「(恥ずかしそうに、慌てて服を払う。)ごめんなさい!こん
       なみっともない格好で・・・」
  フランドル「どこか行って来たのかい?」
  アリアナ「ええ・・・ちょっと山まで・・・」
  フランドル「山か・・・歩けるようになったら案内してくれるかい?」
  アリアナ「(困ったように。)駄目よ・・・切り立った岩ばかりで、とて
       も危ないもの・・・。怪我が完全に治っても、慣れた人で
       ないと無理です。」
  フランドル「(不思議そうに。)そんな危ない岩山に、何をしに行っ
        て来たんだい?」
  アリアナ「それは・・・」

          その時ビアンカ、盆にお椀を乗せ、持って
          入って来る。

  ビアンカ「アリアナ、薬草湯ができたよ。」
  アリアナ「ありがとう、母さん・・・。」

          ビアンカ、それをアリアナに渡して
          出て行く。

  フランドル「全く・・・体は言うことを利かないが、頭は元気なもので
        余計なことを色々考えてしまう・・・。(脇のテーブルの上
        の花を見て。)この花はおまえが・・・?」
  アリアナ「はい・・・庭に咲いていたから・・・」
  フランドル「いい香りだ・・・。俺は今まで花を愛でる余裕なんか、こ
        れっぽっちもなかったし、そうしようとも思わなかった・・・。
        だが、こんな状態になって、初めて本当の花を見た気が
        する・・・。ありがとう・・・。」
  アリアナ「いいえ・・・少しでも、兵隊さんの気持ちが落ち着けばいい
       と思って・・・」
  フランドル「(声を上げて笑う。)そうだな。俺は確かに苛々ばかりし
        て、怒鳴りまくっていたからな・・・。それから、フランドル
        でいい。ここにいる間は、兵隊なんかじゃない。ただの
        怪我人だから・・・。おまえの名前は・・・?」
  アリアナ「アリアナ・・・」
  フランドル「アリアナか・・・アドリア海に因んで付けられたのか?」
  アリアナ「(頷く。)昔・・・父は地中海を渡り歩く商人だったんです・・・
       その時にいつも見ていたアドリア海の美しさに魅せられて、
       私もそんな風に美しくなればいいと・・・。可笑しいでしょう。」
  フランドル「いや・・・父上の願い通りに、おまえは育ったと言う訳だ
        。」
  アリアナ「え・・・?」
  フランドル「それで父上は・・・?」
  アリアナ「・・・アドリア海を航海中に、海賊船に襲われて・・・」
  フランドル「・・・そうか・・・」
  アリアナ「でも、あんなに好きだったアドリア海で眠ることが出来て、
       父は喜んでると思います・・・。さぁ、お薬を飲んで下さい。」

          アリアナ、フランドルに椀を差し出す。

  フランドル「いやな臭いだ・・・」
  アリアナ「飲まないと駄目!前に占いのお婆さんに教えてもらった、
       とても怪我によく効く薬草なんです!岩山にしかない・・・
       あ・・・(しまったと言う風に。)」
  フランドル「この為に・・・行ったのか・・・」
  アリアナ「(首を振って。)ついでだったから・・・」

          フランドル、アリアナの手を掴んで、
          暫く手を見詰める。
          アリアナ、驚いて手を引っ込める。

  フランドル「おまえが傷だらけになって、取って来てくれた薬草だ。
        有り難く頂くとしよう・・・」

          フランドル、薬を飲む。

  アリアナ「じゃあ大人しく寝てて下さいね・・・(出て行こうとする。)」
  フランドル「(思わず。)アリアナ!」
  アリアナ「(振り返って。)はい・・・?」
  フランドル「もう少しここにいてくれないか・・・」
  アリアナ「え・・・?」
  フランドル「あ・・・もう少し・・・おまえと話しがしていたい・・・」
  アリアナ「でも・・・お体を休めないと・・・」
  フランドル「大丈夫・・・さぁ、こっちへ来てくれ・・・」

          アリアナ、フランドルの傍らへ来て、
          椅子に腰を下ろす。

  フランドル「君はずっと、この島にいるのか・・・?」
  アリアナ「はい・・・この島で生まれてから一度も出たことはありま
       せん・・・」
  フランドル「では医学は誰から?」
  アリアナ「母に・・・母は外で何年も勉強してきた人ですから。そこ
       で患者だった父と知り合って結婚したんです。後、お薬の
       ことは、さっきの薬草湯も教えてもらった村の占いのお婆
       さんに習いました・・・」
  フランドル「そうか・・・外に出たいと思ったことは?」
  アリアナ「(首を振る。)母さんが外の世界は、諍いの絶えない殺伐
       としたところだって・・・」
  フランドル「それは偏見と言うものだ。」
  アリアナ「でも・・・じゃあどうしてフランドルはこんな大怪我を・・・?
       あ・・・ごめんなさい・・・こんなこと聞くつもりじゃなかったの
       に・・・」
  フランドル「構わないさ。確かに争いが絶えないのは事実だ。現に
        俺も敵の銃弾に倒れたんだから・・・。だがそれは、素晴
        らしい世の中を作り上げていく為に仕方のないことなん
        だ。」
  アリアナ「・・・自分たちにとっての・・・でしょう・・・?相手のことは考
       えたりしたことのない人が、沢山いるのね・・・。」
  フランドル「アリアナ・・・」
  アリアナ「だって平和な毎日は、みんな誰もが願うことではないの?
       きっと・・・あなたにも、あなたがこんな大怪我をして、心配
       している人が沢山いると思うわ・・・」
  フランドル「残念だが、今のところ俺は結婚もしていないし、天涯孤
        独の身だ。俺のことを心配している奴がいるとすれば・・・
        俺に自分の夢を全て賭けてヨーロッパ制覇を狙っている
        、俺の仕えている皇帝くらいのもんさ・・・」
  アリアナ「フランドル・・・ごめんなさい・・・」
  フランドル「(アリアナの素直な態度に、驚きの入り混じった微笑み
        を返す。)おまえの夢はなんだ・・・?」
  アリアナ「私・・・夢なんてないです・・・」
  フランドル「そんなことはないだろ?たとえば立派な医者になりた
        いとか・・・」
  アリアナ「いいえ・・・あ・・・私、皆が幸せになることが夢です。(微
       笑む。)あなたも含めて・・・世の中の人が全て平和で穏や
       かに毎日を過ごすことができるような世界にすること・・・
       それが夢・・・女の私には無理ね・・・(嬉しそうに。)でも、
       あなたにはできるわ!」
  フランドル「(驚いたように。)アリアナ・・・俺は今まで一度もそんな
        風に考えたことがなかった・・・。なんだかおまえに、一番
        大切なことを教えられたような気がするよ・・・。ありがと
        う・・・」
  アリアナ「そんな・・・」
  
   








       ――――― “フランドル”4へつづく ―――――










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2012年11月7日水曜日

“フランドル” ―全17場― 2

   最悪です~(;_;
   書きかけていた前のこのページを削除してしまいました(-_-;)
   まだ、そんなに書いていた訳ではありませんが・・・
   書き直さなければならない・・・と思うと少し・・・(ーー;)
   少しの間、前後することになりますが・・・頑張って追い付き
   ますので、それまでお待ち下さいm(__)m


                               どら。


― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         ――――― 第 5 場 ―――――

          カーテン開く。と、孤島の島。
          畑仕事の途中の村人たち。
          その時、ヴィンタ、駆け込んで来る。

  ヴィンタ「大変だー!!(慌てて。)でっかい船が港に入ったぞー!
       !」
  ジュリア「海賊船!?」
  ヴィンタ「分からない!!」

          村人たち集まって来て、口々に大騒ぎして
          いる。(手には鍬や鎌など。)
          村長、ジェロラモ出て来る。

  ジェロラモ「船が寄港したと?」
  ヴィンタ「あ、村長!!そうなんです、港にでっかいのが!!」
  ジェロラモ「皆の者、落ち着くのじゃ。」
  ウーゴ「一体誰が乗っているのかね、その船に。」
  ボルソ「どうせ俺らには関係のない族さ!」
  アンジェラ「じゃあなんでこの島に?」
  ボルソ「知らないさ、そんなこと。」
  
          その時、ジョバンニ、マルコが担ぐ担架に、
          フランドル横たわり登場。
          側にはグリエルモ、ロドリーゴ、数人の兵たち
          が続く。
          村人たち、その光景に驚きの声を上げる。

  グリエルモ「(慌てた様子で。)医者はいるか!?頼む!!怪我人
        がいるんだ!!手当てを!!」

          ロドリーゴ、横で頷いている。
          村人たち口々に“怪我人だって”など、
          騒いでいる。
          兵たち、一様に不安気な面持ちで。

  グリエルモ「島長は!?」
  ジェロラモ「(前へ進み出て。)わしじゃ。」
  グリエルモ「頼む!!かなりの深手を負っているんだ!!次の島
        までは持たない!!」
  ロドリーゴ「お願いです!!」
  ジェロラモ「この島には、重病人を診るような偉い先生はおらんの
        じゃが、それでもよければ・・・」

          ジェロラモの言葉を遮るようにして、どこからか
          占い師の老婆(アグネス)が、出て来る。

  アグネス「駄目じゃ!!駄目じゃ!!その男を村の中に入れては
       いかん!!災いが起こるぞ!!その男が死神を連れて
       来るのじゃ!!」
  ジェロラモ「アグネス・・・」
  アグネス「駄目じゃ!!余所者を入れてはいかん!!」
  ジェロラモ「ヴィットリオ!アグネスをどこかへ連れて行け。」
  ヴットリオ「(アグネスに近寄って、腕を掴む。)ほら!余計なことを
        口走ってると、島追い出されるぞ。」
  アグネス「その男は疫病神じゃ!!入れてはいかん!!誰かが
       死ぬぞ!!」

          ヴィットリオ、アグネスを引き摺るように
          連れて行く。

  ジェロラモ「すまんな、あの老婆はいつもああなんじゃ。余所者が
        立ち寄ると大騒ぎをする。」
  グリエルモ「それより傷の手当を!!」
  ジェロラモ「(思い出したように。)おお、そうじゃ。ビアンカ!おまえ
        の家で手当てを!」
  ビアンカ「はい。アリアナ!」

          どこからか素足のアリアナ、微風の如く
          駆け込んで来る。
          グリエルモたち、一瞬驚いてアリアナを
          見詰める。

  グリエルモ「この人たちは・・・?」
  ジェロラモ「この村で、唯一医者と呼べる親子じゃ。」
  グリエルモ「では・・・お願いします!!」
  アリアナ「こちらへ・・・」

          グリエルモたち、アリアナ、ビアンカ
          について、出て行く。

  ジェロラモ「(出て行くのを見計らって。)さぁ、みんな仕事に戻るの
        じゃ。」
  アントニオ「(呆然とアリアナたちが出て行った方を眺めている、
        ジュリオに近寄り、肩を叩く。)よお、どうしたジュリオ。」
  ジュリオ「(振り向いて。)アントニオ・・・」
  アントニオ「アリアナのことが心配か?(嬉しそうに。)」
  ジュリオ「(慌てて。)馬鹿言え!!」
  アントニオ「素直じゃないね。いい男があんな大勢来たんだ。日焼
        けした逞しい体躯の・・・。村の女たちの目つき見たか?
        」
  ジュリオ「おまえはどうなんだよ!ジュリアのことでも心配してろ!」
  アントニオ「なぁに、おまえの妹は俺に夢中だから大丈夫さ!おま
        えみたいに片思いじゃないからな。」
  ジュリオ「面白くない奴だぜ、全く!」
  アントニオ「(声を上げて笑う。)悪かったな。」
  ジュリオ「ジュリアも男を見る目がないぜ。」
  アントニオ「おいおい、そりゃないだろ。」
  ジュリア「(2人に近寄って。)兄さん、アントニオ、何の話し?」
  ジュリオ「ジュリア、おまえはまだまだ子どもで、男と付き合うのは
       早いって話しさ。」

          ジュリオ、ジュリアの肩を抱いて行こうとする。

  アントニオ「おい、待ってくれよ!(慌てて2人の後を追い駆ける。)」

          暗転。

      ――――― 第 6 場 ―――――

          絵紗前。
          ビアンカ、アリアナの家。
          手当てを終えたところのように、ビアンカ、
          ベッドの上のフランドルにシーツを掛けて
          立ち上がる。
          心配そうに、回りにはグリエルモたち。
          アリアナ、フランドルの傍らへ寄って来て、
          腕を持ち、脈を測る。

  グリエルモ「どうですか!?」
  ビアンカ「かなり傷は深いようですが、ここでできる手当ての最善
       は尽くしました。多分、もう大丈夫でしょう・・・。でも、暫く
       は絶対、安静にしていなければいけません。」
  グリエルモ「では、直ぐに発つと言うことは・・・」
  ビアンカ「無理です。彼を殺したいのなら別ですけど・・・」
  グリエルモ「殺し・・・!?」
  ビアンカ「アリアナ、側についていなさい。」
  アリアナ「はい・・・」

          ビアンカ、出て行く。
          グリエルモ、フランドルに近寄り、傍らの
          椅子に腰を下ろす。

  グリエルモ「(溜め息を吐いて。)よかった・・・おまえが死んでしま
        わなくて・・・」

          フランドル、気付く。

  グリエルモ「気が付いたか!?」
  兵たち口々に「隊長!!」
  アリアナ「お話しは少しだけにして下さい。」
  フランドル「・・・生きてるのか・・・」
  グリエルモ「当たり前だ!!全く、驚かしやがって!!」
  フランドル「畜生・・・なんだってこんな時に・・・!!」
  アリアナ「興奮させないで下さい。傷口が開いたら大変です。」
  グリエルモ「すまない。落ち着けフランドル・・・」
  フランドル「(アリアナを認めて。)・・・彼女は・・・?」
  グリエルモ「おまえの命の恩人の一人だ・・・。」
  フランドル「(興味を示さず。)・・・まさか味方の中にスパイがいた
        とは・・・。あの男は処刑したか・・・?」
  グリエルモ「ああ、あの場で直ぐに。兎に角、俺たちは一度戻って
        皇帝に会って来る。おまえはここで暫く大人しくしてろ。」
  フランドル「俺も戻る!!(体を起こそうとして、痛みに倒れる。)」
  グリエルモ「無茶だ!!死んでしまってもいいのか!!」
  フランドル「構わない!!」
  グリエルモ「馬鹿野郎!!おまえが死んだらどうなる!!折角ここ
        まで、おまえの夢に賭けて一緒にやってきた俺たちを、
        見捨てるのか!!」
  ジョバンニ「隊長!!暫くの静養をお願いします!!」
  グリエルモ「後のことは俺たちに任せとけ!!」
  フランドル「・・・畜生・・・!!分かったよ・・・グリエルモ・・・。頼んだ
        ぞ・・・兵たちが混乱しないように・・・。折角まとまってい
        るんだ・・・。(兵たちの方を見て。)お前たちも頼んだぞ
        ・・・。」
  グリエルモ「分かっている。勇将の下に弱卒なしと言うだろう。さぁ、
         眠った方がいい・・・。」
  フランドル「ああ・・・(目を閉じる。)」
  グリエルモ「(溜め息を吐いて。一時置いて、立ち上がる。アリアナ
         に近寄って。)じゃあ俺たちはこれで行くが、こいつの
         ことを頼む。一応、部下を2人置いて行くから、何でも
         言いつけてくれ。マルコ!ロドリーゴ!」
  マルコ、ロドリーゴ「はっ!」
  グリエルモ「頼んだぞ!」

          暗転。カーテン閉まる。






      ――――― “フランドル”3へつづく ―――――








        やっと追いつき追い越しました~"^_^"
    

                             どら。







― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


  (どら余談^^;)

  今まで、このグーグル版“ワールド”で、公演動画をご覧頂いて
  いましたが、パソコンの状態のせいか・・・私のパソコン無知の
  せいか・・・どうしても、以前のように投稿することが出来ず、
  今回、試行錯誤の末、ヤフー版“リトルパイン”のページで、
  ご紹介することに変更させて頂きました(^^;)

  またよければ、そちらのページの方も、他ページ同様、ご覧に
  なりにいらして下さいm(_ _)m

  脚本ページは今まで通りですので、引き続きヨロシクお願い
  致します(^-^)






       http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
           http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
        
          http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta



2012年10月29日月曜日

“花の妖精ティンクルの小さな冒険”2012年10月27日公演動画(8分)



以前、紹介したこともありますが・・・ティンクルちゃん
動画の撮り立てをご覧下さい(^_^)

ティンクルちゃんの片足が少し間、舞台外に飛び出して
いたことに、公演中は全く気付きませんでした~^^;
なんせ後ろが狭くて・・・前へ前へ・・・と出てしまったから・・・
or簡易舞台だった為、戻り難かった為なのです(>_<)
・・・が、なんともヘンテコな足状態で、
きっと、見ていた子どもたちも「痛そう・・・」などと思っていた
ことでしょう^^;

中央上に、かぼちゃの飾りが見えますね~・・・(^.^)
ハロウィンパーティだったので、その飾り付けが
至る所にされた可愛い会場でした♪







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2012年10月27日土曜日

“大和晃” ―全11場― エンディング

   ――――― 第 10 場 ―――――

         下手より静、続いて俯き加減の春彦、登場。

  春彦「・・・こんな時、私は“おめでとう”・・・と、言うべきなんでしょ
      うね・・・。」
  静「(振り返る。)え?」
  春彦「・・・暮原さんと、大和君が結婚するなんて・・・。仕事でも
      彼には勝てない・・・。今度は暮原さんまで・・・」
  静「如何しちゃったのよ。何時もの意気がってる近藤さんらしく
    ないわよ。(笑う。)まさか私も・・・。こんな急に、プロポーズさ
    れるなんてねぇ・・・。近藤さんにも直ぐに見つかるわよ、素敵
    な彼女!」
  春彦「失恋したての私に、その言葉は身を切られるより辛い・・・
      。」
  静「・・・失恋?失恋したてかぁ・・・(何かに気付いたように。)やだ
    !近藤さん、ひょっとして・・・!?(笑う。)」
  春彦「(下を向く。)わ・・・悪かったですね・・・。私があなたに失恋
      したのが、そんなに可笑しいですか・・・?」
  静「・・・ううん、ありがとう・・・。嬉しかったわ・・・そんな風に言って
    もらって・・・。でも、ご免なさい・・・。」
  春彦「・・・幸せになって下さい・・・。(溜め息を吐く。)いい男を演じ
      るのも・・・結構、快感ですね・・・。(笑う。)」
  静「近藤さんったら・・・。(笑う。)」

         2人、上手へ去る。
         暗転。

    ――――― 第 11 場 ―――――

         音楽流れ、下手スポットに、花束を持った晃、
         浮かび上がる。

  晃「ここが2人の始まりだったな・・・。あの頃の2人は、まだどう
    しようもない餓鬼だった・・・。(フッと笑う。)だけど、あの頃の
    思いは、今もちっとも変わらない・・・。おまえと過ごした青春
    時代は、俺にとっても・・・最高の宝物だ・・・掛け替えのない
    ・・・。尚斗・・・会いに来たぜ・・・。いるんだろ・・・?」

         尚斗、八百屋舞台上、上手方スポットに
         浮かび上がる。

  尚斗の声「ああ・・・(晃には聞こえていないよう。)」

  晃「俺達の約束を果たす為に・・・。」

  尚斗の声「・・・待ってたぜ・・・」

  晃「おまえは色んなことを、俺に教えてくれたな・・・。」

  尚斗の声「おまえだってそうさ・・・」

  晃「おまえは俺の、手本になるような奴だったからな。」

  尚斗の声「ばぁか・・・おまえこそ、俺の目標だったんだ・・・」

  晃「もう・・・生きておまえに会うことはなくなったけど・・・」

  尚斗の声「(笑って。)しめっぽいぜ!」

  晃「おまえは何時でも、ここにいるもんな!!俺は、何時もおまえ
    に会いに来るぜ!!爺さんになってもな!!向こうで、おまえ
    に会える時まで、ずっとだ!!」

  尚斗の声「・・・楽しみに待ってるよ・・・」

  晃「・・・尚斗・・・ありがとう・・・。」

  尚斗の声「・・・晃・・・幸せになれよ・・・」

  2人の声が響く「俺達の約束だ・・・!」

         尚斗、フェード・アウト。
         晃、八百屋舞台上に、花を置き歌う。

         “歩む道の先には何があるか分からない
         求めるものと違う曲がり角に
         ぶつかるかも知れない
         けれど何時も もっと前を見よう
         そこには屹度 答えがある筈だ
         今日に躓いても明日が来ない日はないんだ
         たとえ道標がなくても
         道が続く限り
         歩けばそこには待つものがある
         泣きたければ泣けばいい
         我慢することなく
         そしてほんの少しずつ強くなるんだ
         自分に勝てる心を養い
         次に訪れる幸せが
         待ちきれない程 人生を楽しめるように”



             彼方を見遣る晃。







         ――――― 幕 ―――――








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