2012年7月27日金曜日

“ジェイ・スペンサー” ―全13場― 2


      ――――― 第 3 場 ―――――

         下手よりハリー登場。続いてハリーを
         追い掛けるようにマックス、ダニエル登場。

  マックス「編集長!!来週の特集記事の原稿、届いてますか!
       ?」
  ハリー「ああ、今さっきファックスが届いてた。」
  ダニエル「マックスさん、よかったじゃないですか!」
  マックス「全く、あの爺さんときたら、いつも締め切り後だ!!
       締め切り日の意味、知らないんじゃないか!?」
  ハリー「しかしその先生の尻を叩いて、締め切り前にあげさせ
      るのが、担当者であるおまえの役目なんじゃないか?」
  マックス「しかしですよ、編集長!!あの爺さんがノラリクラリや
       って、俺達が困ってるのを見るのを楽しんでるような、
       陰険爺だってことは、編集長だってよく知ってるじゃない
       ですか!!」

         3人話しながら舞台上へ。カーテン開く。
         (絵紗前。)騒然としている編集室。

  ハリー「まぁ、兎に角だマックス。おまえの手腕の見せどころ・・・
      ってことだ。」
  マックス「そんなぁ・・・」

         ハリー、自分のデスクの前へ立って、書類
         の一杯乗った机の上から、探すように一枚
         取って、マックスの方へ差し出す。

  ハリー「ほら、おまえのお待ちかねだ。」
  マックス「(紙を受け取って見る。)ねぇ・・・編集長・・・そろそろ、
       この企画も終わりじゃないっすか?今度はこう・・・もっと
       若者受けのする先生にお願いして・・・」
  ハリー「(デスクの上を整理していた手を止めて、マックスを見る。
      )確かに、あの先生のコーナーの人気は下火になってき
      てるんだが。今度、編集会議にかけて、他の奴の意見も
      聞いてみな。」
  マックス「やった!!」
  ダニエル「今度は締め切り日のちゃんと守ってくれる先生がいい
       なぁ。」
  マックス「そうそう!それで出来れば、若くて美人の先生なんか
       にお願いできたら、担当者の俺としたら俄然やる気が
       出るんだよなぁ・・・。」
  ハリー「(溜め息を吐いて。)マックス・・・何時までも無駄口たた
      いてないで仕事しろ・・・。」
  マックス「了解!」

         マックス、ダニエル、脇へ避ける。

  ハリー「(書類を掲げて呼ぶ。)チャーリー!!」
  チャーリー「何すか?(ハリーのデスクに近寄る。)」
  ハリー「何すか・・・じゃないだろ!!何だこの原稿は!!(持っ
      ていた書類で、チャーリーの頭を叩く。)」
  チャーリー「いてっ!(原稿を受け取って。)何だって言われても
         ・・・」
  ハリー「書き直しだ!!こんなんじゃ来週からおまえのコーナー
      には、どっかの宣伝が入ることになるからな!!」
  チャーリー「そんな・・・!!そりゃないっすよ!!(ブツブツ言い
        ながら、書類を持って自分の机の方へ歩いて行く。)」

         ハリー、椅子に腰を下ろして仕事を始める。
         入り口からエイシー、興奮して入って来る。
         デスクで原稿書きをしていたアンナに、足早
         に近寄る。
   
  エイシー「ねぇ、ねぇ!!今度の新入社員、全く驚きよね!!」
  アンナ「(手を止めて、顔を上げる。)ああ、あの・・・キャロルっ
      て子・・・」
  チャーリー「(話しに割り込むように。)そうそう!!ありゃ丸で、
        ジェシーの生まれ変わりだぜ!!」
  ダニー「(可笑しそうに。)でも性格は全くの正反対だぜ。」
  ジョーイ「ジェシーは仕事も出来たし、頭も切れたもんな。」
  エイシー「ジェイは、もう知ってるのかしら?」
  ダニー「さぁ・・・」

         マックス、ダニエル、出て行こうとすると、
         入り口からジェイ入って来る。
         マックス、擦れ違い様に声を掛ける。
         チャーリー達も気付いて。

  マックス「よぉ、ジェイ!おまえベンバ共和国に行くんだって?」
  ダニエル「えーっ!!本当っすか?」        ※
  マックス「(ダニエルに向かって。)おまえは煩いんだよ!」
  ジェイ「ああ。」
  マックス「何だって、また、そんな辺鄙なところへ・・・。今度は何
       撮りに行くんだよ。」
  ジェイ「さぁな・・・」
  アンナ「でも今、ベンバって言ったら、あんまり治安がよくないっ
      て・・・」
  ジョーイ「そうそう・・・」
  ジェイ「そう言うところが、俺には合ってるのさ・・・。」

         ジェイ、ハリーの側へ寄って行く。
         マックス、ジェイの背中を見て、溜め息を
         吐いてダニエルと共に出て行く。
         他の者も顔を見合わせて、其々仕事に
         戻る。

  ジェイ「編集長!俺、来週発ちますから。」
  ハリー「(ジェイに気付いて。)ジェイ。どうしても行くのか?」
  ジェイ「はい。」
  ハリー「おまえが何をしたいのか、俺にはよく分からんが・・・
      好い加減、以前のおまえらしさを取り戻してもいい頃だ
      ぜ。今回のベンバ行きにしても、あそこは今、もの凄く
      危険なんだ。一旦行けば、生きて帰って来れる保障は
      何もない程な・・・。」
  ジェイ「分かってますよ。」
  ハリー「だが、本当にあそこへ行くことは、今のおまえにとって
      必要なことなのか?」
  ジェイ「勿論です。編集長が言ってる以前の俺と言うのが、今
      の俺と違うんだとすれば・・・俺は辞表を出してもベンバ
      へ行きます。」
  ハリー「(溜め息を吐いて。)まぁ、おまえがそこまで言うんなら、
      俺は何も言わないが・・・そうだ、おまえに紹介したい奴
      がいるんだ。おまえもいつまでも写真と原稿書き、二足
      の草鞋を履く訳にはいかんだろう。」
  ジェイ「編集長・・・」
  ハリー「しかし彼女はまだまだ使い物にはならんだろうが、おま
      えに付いていれば、その内一人前になるんじゃないかと
      思ってな。」
  ジェイ「(顔を逸らして。)編集長、いつも言ってるでしょう・・・。俺
      は一人がいいんだ・・・。パートナーなんてご免だ・・・!!
      」
  ハリー「まぁ、そう言うな。(丁度入って来たロバートに向かって、
      大きな声で。)ロバート!!キャロルを呼んで来てくれ!!
      」
  ロバート「OK!!(戸の外を覗いて。)キャロル!」
  ジェイ「悪いけど・・・(行こうとする。)」
  ハリー「まぁ、待て!(ジェイの肩を掴む。)」

         一時置いて、再び後ろにキャロルを連れて、
         ロバート入って来る。

  ハリー「(側へ来たキャロルの背を押し、ジェイの前へ。)ジェイ、
      今日からお前のパートナー、キャロル・タナーだ。」
  ジェイ「(背を向けたまま。)俺は!!」
  ロバート「ジェイ・・・」
  キャロル「こう言うお仕事は初めてで・・・。上手く遣っていけるか
       どうか分かりませんけど、頑張りますわ!」
  ジェイ「だったら帰るんだな・・・(顔を上げてキャロルを見、驚い
      て呆然とする。)・・・ジェシー・・・」
  ロバート「そっくりだろ?俺も初めて見た時は驚いたよ。」
  ジェイ「(ロバートを見据えて。)どう言うことだ、ロバート・・・。こ
      んな奴を連れて来て・・・俺にこいつをジェシーだと思えと
      言うのか!!」
  ロバート「そんなつもりは・・・」
  ハリー「ジェイ、兎に角これは命令だ。(机の上の原稿などをか
      き集める。)キャロル・タナー、後はジェイに付いて(ジェイ
      の肩に手を置いて。)一日も早く、仕事に慣れるんだ。」
  ジョーイ「編集長!!会議が始まりますよ!!」
  ハリー「分かった!!直ぐ行く!!」
  キャロル「(敬礼して。)キャロル・タナー、了解致しました!!」
  ハリー「(一時呆然として笑う。)OK、頑張れよ。(出て行く。)」
  ロバート「ジェイ・・・俺は早く以前のおまえに戻って欲しいんだ
       ・・・。分かってくれ・・・。」
  ジェイ「・・・俺のジェシーは死んだんだ・・・。こいつはジェシーじゃ
      ない・・・」
  ロバート「ジェイ・・・」
  キャロル「本当にジェシーのこと、愛していたのね。いいわ、私の
       こと、ジェシーだと思って!でも、出来ないことはあるけ
       ど。(笑う。)」
  ロバート「(微笑んで。)キャロル・・・君は明るいな・・・」
  キャロル「それが私ですから!」
  ジェイ「兎に角・・・来週から俺はベンバだ。そこへおまえを一緒
      に連れて行くことは、どの道出来ない相談だ。暫くロバー
      トにでも面倒見てもらうんだな。だが・・・これだけはキッパ
      リ言っておく。俺はパートナーなどいらない!!(出て行く
      。)」
  キャロル「あ、ジェイ!!(ジェイを追おうとする。)」
  ロバート「キャロルの肩を掴んで止める。)放っておけ・・・。その
       うち、目が覚めるだろ・・・。」
  キャロル「でも・・・」
  ロバート「だが君には何だか悪いことをしたね・・・」
  キャロル「(微笑んで。)私なら平気ですわ。何て言われたって。
       」
  ロバート「そうだな。暫く俺が面倒見るよ・・・。」

         いつの間にか他の社員、集まって来る。

  ジョーイ「皆いるさ。」
  ロバート「ジョーイ・・・(周りを見回して、他の社員が集まってい
       ることに気付く。)皆・・・」
  アンナ「でもジェイがどんな反応示すか、私ドキドキしちゃった。
      」
  エイシー「私も!」

         社員達の笑い声で、暗転。

      ――――― 第 4 場 ―――――

         太鼓のリズムが鳴り響き、カーテン開く。
         (ライト・イン。)
         ベンバのある村。村人達、手に其々籠などを
         持ち、愉快に歌い踊っている。
         掛け声で決めのポーズ。
         其々楽しそうに散らばり、仕事などを始める。
         下手よりジェイ、シモン登場。

  シモン「でもジェイさんは、何だってこんな辺鄙なとこに、写真な
      んか撮りに来たんだい?
  ジェイ「おまえだって、ずっとここで歌って来てるんだろ?」
  シモン「俺はここが好きだし・・・」
  ジェイ「俺も同じさ・・・」
  シモン「けど、今この辺はすっごくヤバいんだぜ。」
  ジェイ「俺はこう言うところに来て、初めて本当の俺に戻れるん
      だ・・・。」
  シモン「え?変なこと言うんだな。(笑う。)ほら、見えて来たよ。」
  
         テア、シモンを認め、嬉しそうに駆け寄る。

  テア「シモン!!どうしたの?あなたの方から来るなんて珍しい
     !!」
  シモン「やぁ、テア!今日はホテルのお客の案内で来たんだ。」
  テア「(シモンの後ろのジェイに気付いて。)ふうん・・・」
  ルチア「(テアに近寄り、ジェイを見詰めながら。)あの人、誰?」
  テア「ルチア・・・ホテルのお客だって。」
  シモン「(振り返って。)ジェイさん!紹介するよ。」

         ジェイ、シモン達の方へ近寄る。

  シモン「(テア達の方へ向いて。)こちら雑誌カメラマンのジェイ・
      スペンサーさん。(ジェイの方へ向いて。)こっちはこの村
      の村長の娘でテア、それとルチア。」
  ジェイ「(微笑んで。)よろしく。(手を差し出す。)」
  テア「はじめまして。(ジェイと握手する。)」
  ルチア「こんにちは。」
  テア「そのカメラマンさんが、どうしてこの村に?」
  ジェイ「都会の柵から解き放たれた、大自然の写真が撮りたく
      なってね。彼に案内して来てもらったんだ。」

         近くを通りかかった村長マルティンと、その妻
         エルバ、テア達に気付き近寄る。

  マルティン「どうかしたか、テア?」
  テア「父さん、母さん。」
  シモン「村長さん、こんにちは。」
  マルティン「(ジェイに気付き。)そちらは?」
  テア「シモンのホテルのお客さんで、雑誌カメラマンのジェイ・ス
    ペンサーさん。大自然の写真を撮りに来たんだって。」
  マルティン「ほう・・・珍しい人もいるものだ。こんな場所へ来ると
        は・・・。まぁ、この村には滅多に来ないお客人だ。ゆ
        っくりして行きたまえ。」
  ジェイ「ありがとうございます。」
  エルバ「テア、村の中を案内してあげたら?」
  ルチア「私が!」
  エルバ「え?」
  ルチア「あの・・・よかったら私がご案内致しますわ。テアは、シ
      モンと話しがあるでしょうし。」
  テア「そうね!ルチア、お願い!行こう、シモン!(楽しそうに、
     シモンの腕を取って、何処かへ行く。)」
  エルバ「じゃあルチア、頼みますね。あなた・・・」

         マルティン、エルバ、ジェイ達から離れる。

  ジェイ「この村の人は親切だな。(微笑む。)君を含めて・・・。」
  ルチア「そんなこと・・・(恥ずかしそうに。)さぁ、何処をご案内
      しましょうか。」
  ジェイ「何処でも。君がこの村で一番素晴らしいと思うところへ。」
  ルチア「分かったわ!(嬉しそうにジェイの手を取り、駆けて行こ
      うとする。)」

         そこへルチアの兄ジョテファ、ルチアに想いを
         寄せている青年リンゴー登場。ルチア達に
         気付き、近寄る。

  ジョテファ「おい、ルチア。その野郎はなんだ。」







   ――――― “ジェイ・スペンサー”3へつづく ―――――








    ※ 前にも書いたとおり、本当は実在の国名を挙げていま
      したが、これを書き上げた頃は、まだアマチュア劇団
      ともお付き合いのない、本当に自分だけの楽しみに
      書いていたような頃だったので、実在でも何ら差し障り
      はなかったのですが、やはり今、こうして沢山の人達の
      目に触れるようになる場での発表となると・・・少し、
      躊躇いがありましたので、空想の国名を考えてみまし
      た(^_^;)
      一応、辞書で調べて実在しないのを確認していますが・・・
      変な国名ですね^_^;気にしないで下さい~(>_<)




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2012年7月20日金曜日

“ジェイ・スペンサー” ―全13場―


    〈 主な登場人物 〉

    ジェイ・スペンサー  ・・・  雑誌社の専属カメラマン。

    キャロル・タナー  ・・・  雑誌社の新入社員。
    (ジェシー)

    ロバート・パウエル  ・・・  ジェイの同僚。

    ルチア  ・・・  村娘。

    ジョテファ  ・・・  ルチアの兄。

    スティーブ  ・・・  ジェシーの弟。


    その他。



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        ――――― 第 1 場 ―――――

        音楽で幕が上がる。と、ある町の風景。
        ポーズを取る男女、楽し気に歌い踊る。
        その中央には、幸せそうに微笑み踊る
        ジェシーの顔が見える。と、一発の銃声
        が響き渡り、一瞬にして辺りは人々の
        悲鳴が木霊する殺伐とした雰囲気に
        包まれる。
        さっきまで陽気に歌い踊っていた男女
        は、今はただ逃げ惑うだけ。
        ジェシー、その中央で呆然と人々を
        見回し、その表情は恐怖に震えている。
        その時、再び銃声が轟き、辺りは一瞬
        静寂が漂う。
        ジェシー、硬直した表情で去る。
        (それはジェシーの死を意味していた。)
        カーテン閉まる。
    
        下手スポットに、手に花束を持ったジェイ、
        浮かび上がり歌う。

        “心に染みる青い空は
        何故か懐かしい・・・
        頬を過ぎる青い風は
        何故か愛おしい・・・
        たった一つの願いの為に
        人は皆 命を賭けるのだろうか・・・
        青い空を残す為に・・・
        青い風が香る為に・・・
        愛しい者を守る為に・・・”

        辺りに静かな鐘の音が響き渡り、
        フェード・インする。と、舞台上は
        丘の上のジェシーの墓地になっている。
        ジェイ、その鐘の音に導かれるように
        小高い丘の上に建てられている十字架
        の前に、ゆっくりと進み寄って、暫くそれ
        を見詰めると、思い出したように手に
        持っていた花束を、そっとその前に捧げる。
        その時、背後に人の気配を感じて振り向く。
        と、そこに花束を持ったジェシーの母(グロリア)、
        グロリアの肩を抱くようにジェシーの父(ウィリ
        アムス)、一寸下がって、ジェシーの弟(スティ
        ーブ)、上手より登場。立っている。

  ウィリアムス「君も来てくれたのか・・・」
  ジェイ「お久しぶりです・・・」

        グロリア、歩み寄って十字架の前に
        花束を置く。

  グロリア「あの娘も喜んでますわ・・・ジェイが忘れずに来てくれ
       ること・・・。」
  ジェイ「当たり前です!!今日は・・・(そっと握り拳を握る。)」
  ウィリアムス「ジェシーが亡くなって、丁度3年目だ・・・。早いも
         のだな・・・。」
  グロリア「ええ・・・」
  ウィリアムス「どうだね?仕事はちゃんと続けているのかね?」
  ジェイ「・・・はい・・・」
  ウィリアムス「それはよかった・・・。昨日、ロバート君も来てくれ
         てね・・・。」
  ジェイ「ロバートが・・・」
  ウィリアムス「君達がいつまでもジェシーのことを忘れないでい
         てくれるのは嬉しいよ・・・。しかし・・・こんなことを
         言うのは何だが・・・君は少し縛られ過ぎてるんじゃ
         ないかね・・・」
  グロリア「あなた・・・」
  ウィリアムス「いや・・・何もジェシーのことを忘れてくれと言って
         いる訳ではない・・・。君はもうそろそろ、自分の為
         を考えて歩いて行くべきだと思うんだ・・・。」
  ジェイ「しかし僕は!!」
  ウィリアムス「あれは事故だったんだよ、ジェイ・・・」
  ジェイ「あの時・・・彼女を助けられなかったのは、僕の責任で
      す・・・」
  ウィリアムス「昨日、ロバートから君の様子を聞かされてね。
         このままではいけないと思ったんだ・・・。」
  グロリア「ジェシーも屹度、心配していると思うわ・・・。あの娘
       は本当に心からあなたのことを愛していたから・・・。
       だから、あなたの幸せは誰よりもジェシーが望んで
       いることよ・・・。」
  ジェイ「あの時・・・僕がジェシーに、忘れたネガを取りに行か
      せたりしなければ・・・ジェシーが暴動に巻き込まれる
      ことはなかった・・・。」
  ウィリアムス「ジェイ・・・(ジェイに近寄り、肩に手を掛ける。)
         ジェシーのことを今でも思ってくれているなら、君
         は君自身のことを考えて歩いて行くんだ・・・。」
  グロリア「それがジェシーの願いよ・・・。」

        ウィリアムス、グロリアの肩を抱いて、ゆっくり
        上手へ去る。スティーブ、ジェイに近寄りながら。

  スティーブ「兄さん・・・」
  ジェイ「スティーブ・・・」
  スティーブ「僕に今でも“兄さん”と呼ばせてくれてありがとう
        ・・・」 
  ジェイ「当たり前じゃないか・・・。学校にはちゃんと行ってるの
      か?」
  スティーブ「うん、勿論だよ・・・。兄さんは・・・」
  ジェイ「ん・・・?」
  スティーブ「兄さん・・・本当にいつまでも姉さんの面影に縛られ
        てちゃいけないよ!!兄さんには兄さんの人生があ
        るんだから!!」
  ジェイ「少し会わないうちに、随分生意気なことを言うようになっ
      たじゃないか。」
  スティーブ「僕だっていつまでも高校生の餓鬼じゃないよ!あれ
        からもう3年も経つんだ・・・。」
  ジェイ「そうだったな。(笑う。)」
  スティーブ「・・・兄さんは、会社では殆ど笑わないそうだね・・・。
        おまけにパートナーも持たない一匹狼だって・・・」
  ジェイ「ロバートだな!あいつ余計なことを・・・」
  スティーブ「ロバートさんも兄さんのこと心配してるんだよ、とっ
        ても・・・。皆同じなんだ。姉さんの面影に縛られたま
        ま、兄さんが駄目になっちゃうんじゃないかって・・・」
  ジェイ「俺はそんなに弱い人間じゃないよ。ただパートナーは、
      ジェシー以外いらない!!仕事でも・・・私生活でも・・・」
  スティーブ「兄さん・・・」

        暗転。カーテン閉まる。

        ――――― 第 2 場 ―――――
        下手よりロバート、歌いながら登場。
        上手方へ。

        “恋なんてするものじゃない
        必ずいつかは消えてなくなる思いなら
        最初から期待を持たせて
        思わせぶりな態度を取るなら
        一人がいい!一人でいい!
        相手なんてもういらない
        恋をしたと勘違いする歳でもないだろう・・・
        心から愛せる人と思った訳でもない筈だ・・・
        一人がいい!一人でいい!
        恋なんて煩わしいだけ”

        カーテン開く。と、公園。
        暖かい陽光の中、走り回る子ども達、
        幸せそうに語らう恋人達が、其々
        思い思いに時を過ごしている。
        中央に、アイスクリームパーラーが
        あり、売り子らしい娘が後ろ向きで
        客の相手をしている。
        ロバート、ゆっくりそれらに目を遣りながら
        歩いていると、上手よりロバートを呼ぶ声
        と共に、サラ登場。

  サラ「ロバート!!(手を振りながら、ロバートに走り寄る。)」
  ロバート「またおまえかよ・・・(少しうんざりしたように。)」
  サラ「まぁ、それはないでしょ!!彼女に向かって!!」
  ロバート「誰が彼女なんだよ!!サラ・・・俺達お互いに納得し
       て別れたばかりじゃないか・・・。」
  サラ「あら、そうだったかしら?そう言われればそんな話しを
     聞いたような・・・でもあれはお互いに納得した訳じゃない
     わ!!あなたが一方的に言い出したんですもの。私は
     了解した訳じゃないわ!!(ロバートの腕に纏わり付く。)」
  ロバート「頼むよ、サラ・・・。俺達、このまま付き合ってても、
       何のメリットもないんだ。それどころか・・・」
  サラ「(ロバートの言葉を遮るように。)いいの!!私は恋愛に
     メリットなんて求めなから!!・・・それとも・・・誰か好きな
     人・・・できた・・・?」
  ロバート「いいや!!もう俺は当分誰とも付き合う気はないよ
       。」
  サラ「ふうん・・・じゃあフリーな訳だ・・・。私がもう一度アタック
     してもいいってことよね!」
  ロバート「それは・・・」
  サラ「確かにね・・・最近の私は嫌な女だったわ。あなたに結婚
     を迫ったりして・・・」
  ロバート「いや・・・」
  サラ「でも私、あなたのこと諦めないから!」
  ロバート「けど、俺は君の気持ちに応えられない・・・」
  サラ「分かってるわよ!(近くを通る子どもが、手にしているア
     イスクリームを見て、回りを見る。)ねぇ、ロバート!私も
     アイスクリーム食べたいなぁ・・・!」
  ロバート「サラ!!(怒ったように。)」
  サラ「買ってくれたら今日はこのまま大人しく帰るわ!」
  ロバート「(溜め息を吐いて。)OK・・・約束だぞ!(アイスクリ
       ームパーラーの方へ歩いて行く。)」
  サラ「チョコミントね!!(近くのベンチへ腰を下ろし、鞄から
     コンパクトを取り出し、髪を直している。)」
  ロバート「(独り言のように。)仕方ないなぁ・・・何で俺が・・・。
       あの・・・チョコミント一つ・・・(ポケットから小銭を出し
       て、掌で数える。)」
  売り子「はい!(一時置いて。)お待たせしました!」

        売り子はジェシーに瓜二つの娘、キャロル・タナー。
        振り向いてロバートにアイスクリームを差し出して
        微笑む。
        ロバート、お金を渡そうと手を出したまま、
        ただ驚いて硬直したままキャロルを見詰める。

  キャロル「(不思議そうにロバートを見詰めて。)あの・・・」
  ロバート「・・・ジェシー・・・」
  キャロル「え・・・?」
  
  ロバート心の声「(首を振って、キャロルから顔を背ける。)嘘だ
           ・・・嘘だ・・・ジェシーが生きてる筈ないじゃない
           か・・・でも・・・じゃあ一体・・・」

  キャロル「(ロバートの後ろから覗き込むように。)あの・・・融け
       ちゃいますよ?」
  ロバート「(ハッとして振り返り、キャロルを見詰める。)・・・あ・・・
       そうだね・・・」
  サラ「(立ち上がってロバートに催促する。)ロバート!!早く!
     !」
  ロバート「(サラを見て慌てて。)ああ!!今、行く!!(再びキャ
       ロルを見詰めながら、お金を渡してアイスクリームを
       受け取る。)・・・ありがとう・・・」

        ロバート、早足でサラの所へ戻り、アイスクリーム
        を手渡す。

  サラ「あの売り子がどうかしたの?(不思議そうに、ロバートの
     肩越しにパーラーの方を見ようとする。)」
  ロバート「(思わず、その方を隠すように体を動かして。)別に
       何もないさ!!さぁ、約束だ!!今日は大人しく帰った
       帰った!!(サラの背中を軽く押す。)」
  サラ「(怪訝そうにロバートを見詰めるが、何か思い付いたよう
     に意地悪そうな顔付をして。)嘘!!(ロバートを押し退け
     て、キャロルの方を見る。)・・・ジェシー・・・(呆然とキャロ
     ルに近寄りながら。)」
  ロバート「(溜め息を吐いて。)サラ・・・ジェシーにそっくりだろ?
       俺も驚いて・・・」
  サラ「(ロバートの言葉は耳に入っていないように。)ジェシーよ
     ・・・ジェシー!!(キャロルに駆け寄る。)あなた生きてた
     の!?」
  ロバート「サラ!!(慌ててサラに駆け寄り遮る。)」
  サラ「ロバート!!ジェシーよ!!(興奮して。)」
  キャロル「あの・・・(呆然と2人を見詰める。)」
  ロバート「(キャロルに。)ごめん!!君があんまり僕らの知り
       合いの女性に似てるもんだから・・・。気にしないで!!
       (サラを無理矢理に引っ張って行く。)サラ!!彼女は
       ジェシーじゃない!!」
  サラ「だって・・・」

        キャロル、暫く呆っとロバート達の方を見ているが、
        同じ売り子で妹のヘレンが側へ来ると、アイス
        クリームの販売を続ける。

  ヘレン「姉さん、どうしたの?」
  キャロル「(ヘレンに気づいて。)ヘレン・・・ううん、何でもないわ
       !」
  ヘレン「そう?」

        ロバート、サラ、カーテン前へ。(カーテン閉まる。)

  サラ「もう驚きね!!全くジェシーとそっくりじゃない!!あんな
     に似てるなんて・・・(思いたったように。)そうだ!!ジェイ
     に知らせなきゃ!!ね!!ロバート!!」
  ロバート「サラ!!ジェイにはまだ言うんじゃない!!俺に考え
       があるんだ・・・。ジェイを立ち直らせることが出来るか
       も知れない・・・。」
  サラ「ロバート・・・(ロバートを見詰める。)」

        音楽でフェード・アウト。



 
 





   ――――― “ジェイ・スペンサー” 2へつづく ―――――











― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     書き上げたのは、ベトナム戦争も終戦して随分立つ頃
     なのですが、多分私の中で、何故か“ベトナム”=あまり
     安全ではない・・・と言ったイメージが、この頃にはあった
     のかな・・・と・・・(>_<)
     あまり、実在する地域を確定して作品を書くことはない
     のですが、今回は昔の作品と言うことで、読み流して
     頂けると嬉しいです<(_ _)>

     今では、とても素敵な洞窟が発見された・・・とテレビで
     放映されている通り、きっと素晴らしい場所に違いない
     ・・・と、そう思っています♥
     実は洞窟大好きだったりします(^^)v







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2012年7月16日月曜日

お詫び“グーグル版”


  7月16日(月)

  昨日は、夜に電話機の故障から、インターネット接続が

  不可能になり、とっても焦った夜長を過ごしておりました(>_<)

  (詳しいお話しは、グー版“ワールド”にも書いていますので、

  またご覧下さい^^;)


   それにしても、インターネットが不通になると、こんなにも

  困るのか・・・と、改めて知ったような気がしますが、

  兎にも角にも、いつも見に来て下さる皆さんのことを思うと、

  その説明も出来ず、とてももどかしい思いをしておりました。

  今朝、無事機械を取り替えてもらい、今、こうして皆さんに

  ご報告している次第です(>_<)

  もし、更新をお待ち頂いていた方がいらっしゃったなら、

  本当にすみませんでした<(_ _)>
 


      

私に代わって、このページからは、
前春公演出演者“プッチ”くんが
「ごめんなさい<(_ _)>」のご挨拶
を致します。  
(顔が見えなくて、誰か分からな
いですね^^;)


「どうも昨日は、うちのお母ちゃん
が、失礼致しました<(_ _)>」






  


  また引き続き、ヨロシクお願い致します<(_ _)>



             ミュージカル人形劇団“リトルパイン”

                          代表 どら。







― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


  7月17日(火)

  私、昨日嘘を吐いてしまいました~(>_<)

  上の写真、プッチくんではなく、エリオット王子の
  
  家臣、ポポくんでした^_^;

  同じような犬タイプのお人形なので、うっかり感違い
  
  をしていました(^_^;)

  重ね重ね・・・失礼致しました~<(_ _)>



                        どら。











2012年7月14日土曜日

“レナード” ―全13場― 完結編


        レナード、ヘンリーを見据えながら、フランシス
        を背後に隠す。

  ヘンリー「僕はあなたが大嫌いですよ・・・(笑う。)」
  フランシス「(レナードの後ろから飛び出そうとして。)止めて!!
        馬鹿な真似はよして!!」
  レナード「(フランシスを強く止める。)フランシス!!」
  ヘンリー「馬鹿な真似・・・?そうかも知れませんねぇ・・・。けど、
       あなたが悪いんですよ・・・。黙って僕と結婚さえしてい
       れば、こんなに沢山の人達を死なせることはなかった
       のに・・・。」
  フランシス「じゃあ、私だけを殺せばいいわ!!」
  ヘンリー「それは駄目ですよ・・・。皆さん、恨むならフランシス
       を恨んで下さいね・・・。」
  レナード「例え・・・ここで死んだとしても、フランシスを恨むよう
       な奴はここにはいない・・・」
  B・J「勿論!!」
  アーチー「当たり前じゃないですか!!」

        ロイ、ロレッタ、リズ頷く。

  ヘンリー「最後まで面白くない奴らですねぇ・・・」
  フランシス「・・・皆さん・・・(涙が流れる。)」
  ヘンリー「じゃあお望みの通りに・・・(ピストルをレナードに向
       けて引き金をゆっくり引く。)」

        その時、一発の銃声が響き渡り、ヘンリーの
        手からピストルが飛び出す。皆、悲鳴を其々
        上げる。ヘンリー、呻き声を上げて、腕を押さ
        える。入口よりチャールズ、慌てた様子で登場。

  チャールズ「間に合ったか!!」
  レナード「(チャールズを認めて、安心したように深く溜め息を
       吐く。)チャールズ・・・」
  チャールズ「間一髪だな・・・。こっちの心臓が止まるかと思っ
         たぜ・・・」

        入口より、大勢の警察官、急いで入って来る。
        其々ヘンリー、ウィリアムス、ウィルソン、レオーネ、  
        スタンに手錠を掛ける。

  レナード「(微笑んで。)来てくれると思ったよ・・・」
  チャールズ「(皮肉っぽく。)その信頼が嬉しいね・・・(レナード
         の後ろのフランシスを、覗くように見て微笑む。)
         終わったよ・・・。」

        チャールズ、2人から離れて警官に何か
        指示をして回る。
        従業員達もホッとしたように座り込んだり、
        其々警官に質問されている。
        レナード、フランシスの方へ向き直り、手を
        取って見詰める。

  レナード「・・・もう・・・会社は大丈夫だ・・・」
  フランシス「(涙ぐみ頷く。)・・・あなたのお陰よ・・・何もかも・・・
        (涙が零れる。)」
  レナード「(微笑んでフランシスの涙を拭う。優しく。)泣くな・・・
       これからはおまえが親父さんの会社を守っていくんだ
       ・・・。」
  フランシス「私・・・一人で・・・?」
  レナード「・・・トーマスがいる・・・ダニエルだって・・・一人じゃな
       いさ・・・」
  フランシス「・・・自信がないわ・・・」
  レナード「大丈夫さ・・・。あんな高層ホテルから、たった一人で
       抜け出して来た勇気があるんだ。何にでも立ち向かえ
       るよ・・・。」
  フランシス「・・・あなたも・・・一緒に・・・」

        警官出て行く。チャールズ、遠巻きに2人を
        見詰めている。
        従業員、其々奥へ入る。
        トーマス、少し離れて立つ。

  レナード「(フランシスの手を離し、首を振る。)俺の家はここだ
       ・・・。気に入ってる・・・。それにこの町の連中には、俺
       がいてやらないと・・・。分かるだろ?おまえにはおまえ
       を助けてくれる大勢がいる・・・」
  フランシス「・・・でも・・・!!」
  レナード「おまえと俺は!!・・・住む世界が違い過ぎる・・・。さ
       ぁ・・・トーマスが待ってる。」
  フランシス「レナード・・・(涙声で。)」
  レナード「元気でな・・・。新しい靴・・・買ってやれなかったけど
       ・・・。(名残惜しそうに暫くフランシスを見詰めた後、
       微笑んでフランシスを反対向かせ、背中を軽く押す。)」
  フランシス「レナード!!(振り返ろうとする。)」
  レナード「(フランシスの両肩を強く握って。)振り返らずに行け
       !!おまえの未来に・・・!!」        ※

        フランシス、泣きながらゆっくりトーマスの
        方へ。トーマス、フランシスに近寄って、
        レナードの方を見詰め、頭を下げる。
        トーマス、フランシスの背中を押しながら
        ゆっくり2人去る。
        レナード、その方をじっと見ている。
        チャールズ、レナードに近寄る。

  チャールズ「レナード・・・本当にこれで良かったのか?」
  レナード「(入口を見詰めたまま。)ああ・・・」
  チャールズ「俺は、おまえには俺と同じ思いをして欲しくないん
         だ。」
  レナード「(チャールズを見て笑う。)俺が大会社の社長って柄
       か・・・?」
  チャールズ「だけど・・・!!」
  レナード「(真面目な顔付になる。)・・・愛してたって・・・時には
       別れ別れになる方が、お互いの為になることだって
       ある・・・」
  チャールズ「レナード・・・」
  レナード「・・・そのことは、おまえが一番よく分かってることだ
       ろう・・・(チャールズを見て。)そんな顔するなよ!これ
       で良かったんだ・・・全て・・・(思い出したように、腕の
       傷を見て押さえる。)・・・やけに・・・痛いな・・・」

        レナード、スポットに残してフェード・アウト。
        カーテン閉まる。

    ――――― 第 12 場 ―――――

        レナード、遣る瀬ない表情で歌う。

        “あの日・・・
        素足のおまえが何故だか
        とても心に残り・・・
        何時までも・・・忘れることが出来なくなった
        出会ったのは偶然だったのだろうか・・・
        おまえを守る為に出会わされたに
        違いない・・・
        ただそれだけの為に
        俺は命を賭けても構わない・・・
        それなのに・・・もう・・・
        会うことはないと言うのか・・・
        おまえの笑顔に触れることは
        二度とないと言うのか・・・”

        レナード、上手へ去る。
        音楽盛り上がって、暗転。

    ――――― 第 13 場 ―――――

        カーテン開く。と、開店前の“nothing”
        カウンターにはジャネットとイザベラ。
        B・J、用事をしながら2人の相手をして
        いる。
        回りのテーブルには、一組のカップルが
        座っている。

  イザベラ「レナード、そんなに落ち込んでるの?」
  B・J「レナードさんはそんなこと、これっぽっちも顔に出したり
     しないけど、俺には分かるんだ・・・。」
  イザベラ「柄にもなく、あんなお嬢様に本気になるからよ!」
  ジャネット「そう言う言い方は良くないわよ。」
  イザベラ「だって本当じゃない!私にしときゃ良かったのに・・・」
  B・J「時々思い出したようにフッとね・・・遠くを見詰める目が、
     彼女に会いたいと言ってるみたいで・・・」
  イザベラ「参るなぁ・・・」

        最後に残っていた客男、カウンターに
        近寄り、お金を払い女を連れて出て行く。

  B・J「ありがとうございました。」

        近くでテーブルを拭いたりしていたロイ、
        カップルが座っていたテーブルの上の
        グラスを持って、カウンターの中へ。

  B・J「サンキュー!じゃあもう帰っていいぜ。」
  ロイ「(腕時計をチラッと見て。)今夜も午前様か。」
  B・J「(ロイの肩を叩いて。)お疲れさん!」
  ロイ「お先!」
  ジャネット「おやすみ、ロイ!」
  ロイ「おやすみ!(奥へ入る。)」
  ジャネット「さぁ・・・じゃあ私達もそろそろ帰りましょうか、イザベ
        ラ。」
  イザベラ「そうね・・・。そんな風に落ち込んでるレナード見るの
       も嫌だし・・・」
  ジャネット「レナードによろしくね、B・J!(立ち上がって入口の
        方へ。)」
  B・J「はい!」
  イザベラ「さよなら!(ジャネットに付いて行く。)」
  B・J「おやすみなさい!」

        B・J、2人の使っていたグラスを下に下ろす。
        カウンターから出て、全ての椅子をテーブルの
        上へ反対向けて、順番に乗せて回る。
        そこへ、奥よりレナード出て来る。
        カウンターの外へ。

  レナード「悪いな、最後まで。」
  B・J「あ、レナードさん。」
  レナード「後は俺がやるからもういいよ。」
  B・J「そうですか?」
  レナード「ああ。」
  B・J「じゃあ・・・」
  レナード「ご苦労さん!」
  B・J「お先です!(奥へ入る。)」

        レナード、残っていた椅子を、一つのテーブル
        の場所を除いて上へ上げる。
        レナード、カウンターの中へ入って、下にあった
        酒瓶とグラスを数個、棚に並べる。
        それから違う酒瓶を一本取って、下に残って
        いたグラスを持って、カウンターの外に出、まだ
        上げていなかった椅子に腰を下ろす。
        グラスに酒を注いで手に持ったまま、何か物思
        いに耽るよう。
        その時、レナードの名を呼ぶフランシスの声が
        微かに響く。

  レナード「フランシス・・・?」

        レナード、その声に一瞬驚き、だが半信半疑
        でフランシスを捜すように、立ち上がり回りを
        見回す。

  レナード「・・・(フッと笑って。)・・・そんな訳ないか・・・(座る。)」

        レナード、呟くように歌う。

        “何が起こるか分からない・・・
        けど・・・行動を起こさないと・・・
        何も・・・始まらない・・・”

        その時、入口から入って来たフランシス、
        呼応するかのように歌う。
        微笑みながら、ゆっくりレナードの側へ。
        その気配に振り返り、驚いたレナード、
        立ち上がりフランシスを見詰める。

    フランシス“何が待ってるか分からない・・・
           素晴らしい未来かそれとも・・・
           けど迷っていたら何時までも・・・
           立ち止まったまま・・・”

        2人、見詰め合い歌う。

        “いつもnothingから始まる・・・
        いつもここから明日が・・・始まる・・・
        振り向くことは考えないで・・・
        昇りゆく陽が輝いているから・・・”

  レナード「どうしたんだ、一体!?」
  フランシス「(微笑んで。)約束通り・・・新しい靴を買ってもらい
        に来たわ・・・。」
  レナード「・・・フランシス・・・」
  フランシス「・・・私・・・気付いたの・・・あなたが来れないんだっ
        たら、私が行けばいいんだって・・・」
  レナード「・・・だが・・・会社は・・・!?」
  フランシス「会社の権利は放棄して来たわ。全て、トーマスに
        任せることにした・・・。」
  レナード「しかし・・・」
  フランシス「私は・・・!!あなたの側にいたい・・・あなただけ
        いれば、それでいい・・・」
  レナード「本当に・・・いいのか・・・?」
  フランシス「・・・ええ・・・」
  レナード「俺は今までのおまえみたいに、金持ちじゃないぜ
       ・・・」
  フランシス「(微笑んで頷く。)・・・もう・・・私も何もないわ・・・」
  レナード「それがどうした・・・。俺は最初っから、素足のおまえ
       を愛していたんだ!!フランシス!!(両手を広げる
       。)」
  フランシス「レナード!!(レナードの胸に飛び込む。)」
  レナード「もう、離さない・・・!!」

        レナード、フランシスの手を取って歌う。

        “いつもnothingから始まる・・・
        いつもここから明日が始まる・・・
        振り向くことは考えないで
        昇りゆく陽が輝いてるから・・・”

        レナード、フランシスに口付ける。





        ――――― 幕 ―――――










    ※ この辺りの場面の台詞・・・最近は子ども向き専門・・・
     みたいなところがあるので、あまり書かないですよね~^^;
     なので、何だか自分で書いててアレですけど・・・少し恥ずか
     しいです~(^_^;)



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    さて、では次回、グーグル版“ワールド”でご紹介する作品の
    ご案内をさせて頂きます(^.^)

    次回、今回の“レオーネ”と、書き上げた頃を同じくする・・・
    まだまだ未熟な舞台設定や人物像で、少しご覧頂くのは
    恥ずかしいかも・・・と、思ったりもするのですが、まぁ・・・
    読み直してみて、未熟ながらも面白かったりしたので、最近
    の作品を読み比べもして頂けるかな・・・と、言うことで、
    ご紹介したいと思います^_^;ご覧下さい(^^)v

    それでは次回「ジェイ・スペンサー」、お楽しみに♥










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2012年7月12日木曜日

“2012年春公演日記”グーグル版


   やっと書き終えた2012年春公演日記・・・(^^)
   (グー版“ワールド”から引っ張ってきました^_^;)
   私的なことで大変な時期に迎えた公演日ではありましたが、
   沢山の応援や協力を得て、無事に終えることが出来ました。
   ありがとうございました<(_ _)>

                               どら。
                


― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



            8:45  ・・・  会場入り

                 ↓

              舞台設置

          



     

          舞台設置後、開演前の一時(^^)

  見えていませんが、椅子の前にはマットが敷いてあります(^^♪
  子ども達が椅子より、マットに直接座った方が見やすいので・・・。


     

                 舞台設置裏^^;


     
       
     スタンバっている、左よりジュリーちゃん、ママ、パパ。


     

     スタンバっている、キャタピラ・・・で、合ってます・・・?                       


     

     スタンバっている私達^^;・・・私は頭チラッとしか写
     っていません^_^;


   
     

               1部1場の背景^^;



     

     受付に置いてある販売、プレゼント用マスコット(^.^)

    今回、あまり新しいものを作る時間がなく、以前作り溜めた
    マスコットも沢山入っています^^;

    
 
    
           13:00  ・・・  開場

          13:30  ・・・  「君のために・・・」 開演



     
     
         ジ―ク「わあーっ・・・楽しそうだなぁ・・・」


     

        ジ―ク「大丈夫・・・?」 クリフ「触るな!!」  


     
           (右から2人目 ジ―ク少年。)

       やって来た芝居小屋の話しで盛り上がる少年達。


     

     「どけよ!!」 「見えないだろ!!」 「押すなよ!!」



     
               クリフとポーラ兄妹。

   ポーラ「私も学校へ行ってみたいなぁ・・・」 クリフ「いつか必
   ず行けるから・・・」        

   
     
   

     
   
   「神様は不公平だ・・・。僕らは一生懸命生きてるだけのに・・・」


          ♪~今までだって沢山の辛いことを     
                     乗り越えて~・・・
            ただ頑張って生きてきた・・・
                     小さな幸せ~・・・♪

  

     

   ジ―ク「よお、どこ行くんだよ。」 クリフ「ほっといてくれよ・・・」


      クリフくん、小脇に教科書(?)を抱えています^^;


  
     

   ジ―ク「俺の昼飯代だ。」 クリフ「施しなんかいるもんか!!」


    この場面、会話の内容と、お人形のお顔が比例しませんが
   ・・・(>_<) 一応、クリフくん怒っています^^;



     

         「クリフ!!大変だ!!ポーラが・・・!!」
 

    このおじさん、“未来の海へ”の優海ちゃんのパパさんです。
   ・・・今、見ると、お髭がいやにチャイナ風ですね~・・・^_^;


   
     
    
   クリフ「どうしよう・・・ポーラにもしものことがあったら僕・・・」
   ジ―ク「森の奥深く・・・どんな薬でも作ってくれる薬屋がある
       んだって・・・」

   
   
     

      キャタピラの動き具合は動画でご覧下さいね^^;


   
     

                  「あった・・・」


   
     


                      ↑
    ビデオ中、中々このお婆さんのお顔の見えてる状態がなくて、
    写真にするのも上手く顔をお見せできるように出来ませんで
    した(>_<)なので中途半端な写真ですみません  
                      ↓


     


   
     

          「ゲコゲコゲコ・・・!!」「やった!!」


   このカエルさん、接続部分は例の針金が入っている訳ですが、
   よってクルクル回るのです^^;
   ・・・で・・・写真のように“目”が反対・・・向いてますね~^^;
   ビデオで見て、初めてこんな状態だったと知りました~(>_<)

   この辺りでビデオが止まってしまった為、残念ながらこれ以上
   お見せできる写真がありません(>_<)
   ・・・が、来月、毎年お邪魔している小学校で、簡易舞台公演を
   行って来ますので、またラスト部分はそちらでご覧頂けるかな
   ・・・と思っています♥今暫く、楽しみにお待ち下さい   
   

 
        14:05  ・・・  1部終演
 

        14:20  ・・・  第2部「ワンダフルToday!
                 ―君と僕の新しい出会い―」開演


   当初予定では、10分間休憩の筈でした^_^;・・・が、どうにも
   準備が間に合わず、幕間のBGMを途中で止め、もう一度流し
   直して休憩時間を強制的に延長しました(~_~;)

   10分間だと明記していたので、お待ち頂いたお客様には大変
   ご迷惑をお掛けしました


   こちらの作品は、ビデオもなければ写真も殆ど残っていない為、
   ところどころの部分写真の裏話で我慢下さい^^;

   
     

        ご存じ“火事場”場面の“火”です(^.^)

  2本の持ち手を持ち、ゆらゆら揺すって“燃えている”感を表現
  しました(^^)v
  なんともシンプルな表現方法ではありましたが、一番それらしく
  見えたのではないか・・・と思っています(^^)v


     

      怪しげなマジシャン風のジュリーちゃんパパとママ。


   
     

            ソロを熱唱中のアナベルさん。


   
     

   お人形達の立ち位置からご想像出来るかと思われますが、
   お人形達が入り乱れて登場していると言うことは、私達人形
   操作メンバーも、見えない舞台下で“ひっちゃかめっちゃか”
   状態になって演じている・・・と言うことです^^;

   ここの場面、火事場場面に次いで長丁場だった為、この“ひっ
   ちゃかめっちゃか”は、結構キツかったです(>_<)


   
           15:15  ・・・  第2部終演

    

   



   今回の公演は、私的な事情で大変な中、準備を進めて来た
  訳ですが、沢山の皆さんの応援と協力により、無事に終演を
  迎えることが出来ました♥
  本当に感謝の気持ちで一杯です

  このページも書き終えるまで、随分と日がかかってしまいました
  が、長いことお待ち頂いた皆さんもありがとうございました♥

  さて、暫くの間に色々と思うことがあった中、公演のことを思い
  出すと、まだまだ応援してくださる皆さんが沢山いたんだと、
  改めて気付かされ、愚図愚図後ろ向きでいることは不必要な  
  ことなんだと再確認し、そして望まれるなら何時でもどこでも
  出会いを求めて出掛けて行こう・・・と、そんな風に考えること
  がまた出来るようになりました(^^)

  それもこれも、公演に足を運び観に来て下さったお客様、そし
  て、今このページを読みに来て下さった、見えないけれども感じ
  る温かい人達の心があってこそなんだと・・・本当に嬉しい思い
  と共に、感謝の気持ちで一杯です♥

  本当にありがとうございました
  またボランティア公演、そして11月7周年記念公演と続いて
  いきますが、ますます頑張る所存ですので、温かく見守ってて
  下さると、これ程心強いことはありません(^^)


       

                  ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
                               
                                   代表 どら。







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   “ワンダフルToday!”の方の舞台写真は、グー版“ワールド”
   のフォトチャンネルに掲載しています(^^)v
   またよければご覧下さい♥







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2012年7月4日水曜日

“レナード” ―全13場― 6


       ――――― 第 11 場 ―――――
        カーテン開く。と、開店前の“nothing”
        従業員、店の用意をしたり其々思い思いに
        過ごしている。
        ロレッタ、リズ、入口から入って来る。

  ロレッタ「おはようございまーす!」
  リズ「おはようございまーす!」
  B・J「おはよう!」
  ロイ「おっ、今日は開店前にご出勤だな!」
  ロレッタ「失礼ね。それじゃあ丸で私たちが何時も遅刻して来
       てる、常習犯みたいじゃない。」
  リズ「本当ね!」
  アーチー「あれ、違いましたっけ?」
  リズ「アーチー!」
  アーチー「すみません。(笑う。)」

        そこへ2階からフランシス下りて来て、
        カウンターの中のB・Jに近寄る。
        リズ奥へ入る。

  フランシス「今日は何をすればいいでしょうか?」
  B・J「ああ、別に何もしなくていいんだよ。まだ開店前なんだし
     ゆっくりしときなよ。」
  ロイ「そうそう!今来たばかりの奴らだっているんだから。」
  ロレッタ「2人共、フランシスには優しいのねぇ。」
  B・J「(恍けるように。)そうかなぁ。気にし過ぎじゃない?」
  フランシス「でも・・・」
  B・J「君は働いてるったって、給料はいらないって言うんだし
     ・・・」
  フランシス「ただで置いてもらってるんですから、それくらいは
        当たり前ですわ・・・。それにお店にいて、皆さんを
        見てるとなんだか私まで楽しくなって・・・」
  B・J「(微笑んで。)じゃあその辺に座ってろよ。」

        リズ、奥から顔を覗かせる。

  リズ「誰かこっち手伝ってくんない?」
  ロレッタ「OK!着替えてくるから待ってて!」
  フランシス「私が!私にお手伝いさせて下さい!」

        リズ、ロレッタ、B・J其々顔を見合わせる。
        B・J、リズに頷く。

  リズ「じゃあお願い!」
  フランシス「はい!(嬉しそうに奥に入る。)」
  ロレッタ「助かっちゃった。」
  B・J「おいおい、他にも一杯仕事はあるぜ。さっさと着替えて
     来いよ!」
  ロレッタ「はーい!(奥へ入る。)」

        その時、入口よりレオーネ、スタン、ふてぶてしく
        入って来る。2人に続いて回りを見回すように、
        ウィリアムス、ヘンリー、ウィルソンゆっくり入る。

  B・J「(5人に気付いて。)すみません、お客さん!まだ開いて
     ないんですよ。」

        5人、B・Jの言葉は耳に入っていないように。

  ウィリアムス「ここか?」
  レオーネ「はい。」
  ヘンリー「こんな所に本当にいるのか?」
  レオーネ「間違いありません。」

        B・J、5人の異様な雰囲気に何か用心した
        ように、カウンターの外へ出て来る。
        ロイ、アーチーもB・Jの側へ近寄る。

  B・J「(レオーネ達に近付いて。)お客さん、開店はまだです。
     出て行ってもらえませんか!?」
  スタン「(レオーネの後ろから前へ出て、B・Jの肩を強く押す。)
      おまえに用はないんだよ!!引っ込んでな!!」

        B・J、思わずよろめいて膝を着く。

  ロイ「B・J!!(B・Jに駆け寄る。)」
  アーチー「B・Jさん!!(スタンに食って掛かるように。)何しや
       がるんだ!!」
  スタン「(ニヤリとして。)へぇ・・・俺とやろうってぇの?」
  B・J「(立ち上がって、アーチーを止めるように。)アーチー!!」
  ウィリアムス「この店にいる、フランシス・タナーを呼んで来ても
         らえませんか・・・?」

              B・J、ウィリアムスを見据える。
        ロイ、アーチー、思わず顔を見合わせる。
        5人、B・J達の様子に確信を持ったように。

  B・J「・・・誰ですか・・・それ・・・?」
  レオーネ「恍けるな・・・」
  B・J「・・・そんな女性はいません・・・。」
  スタン「知らばっくれんなよ!!(B・Jの胸元を掴んで怒鳴る。
      )」
  レオーネ「馬鹿、落ち着け!!」
  ウィリアムス「そんな筈はないでしょう?」

        奥からロレッタ、出て来る。全員、一斉に
        その方を見る。

  ロレッタ「(驚いたように立ち竦む。)・・・何やってるの・・・?」
  B・J「ロレッタ、ここはいいから奥の用意を頼む。」
  ロレッタ「・・・分かったわ・・・(奥へ入ろうとする。)」
  B・J「(慌てて付け加えるように。)それから!!」
  ロレッタ「(振り向く。)・・・何?」
  B・J「この間、レナードさんが拾って来た子猫・・・」
  ロレッタ「・・・子猫・・・?」
  B・J「腹、空かしてると思うんだ・・・。店の中汚すとレナードさん
     煩いから、外で餌やってくれ・・・」
  ロレッタ「(B・Jの言う子猫がフランシスのことだと気付いて。)
       ・・・分かった・・・(奥へ入る。)」
  スタン「余計なこと、ごちゃごちゃ喋ってんじゃねぇよ!!早く女
      を出しな!!」
  B・J「・・・いないと言った筈だ・・・!!」
  ヘンリー「(大声を張り上げる。)フランシス!!この中にいるこ
       とは分かってるんだ!!出て来い!!でないと、この
       店がどうなっても知らないぞ!!(椅子を掴んで、投げ
       るように倒す。)」
  ロイ「止めろ!!(ヘンリーに飛び掛かる。)」
  ヘンリー「(ロイを投げ飛ばし、椅子やテーブルを倒す。)」
  アーチー「ロイさん!!(ロイに駆け寄る。)」
  B・J「出て行け!!(声を張り上げる。)」

        そこへフランシス奥より飛び出す。
        ロレッタ、フランシスを引き止めるように。

  フランシス「止めて!!」
  ロレッタ「出てったら駄目よ!!」
  B・J「フランシス!!」
  ヘンリー「(ニヤリと笑って。)やっと出て来ましたか。(回りを見
       回して。)あああ・・・もっと早く出て来れば、椅子やテー
       ブルも無事だったのに・・・」
  B・J「何で出て来るんだ!!」
  フランシス「(B・J達の方を向いて、優しく微笑む。)・・・これ以
        上・・・ご迷惑は掛けられません・・・。(ヘンリー達の
        方を向いて。)・・・一緒に帰れば、お店に手は出さ
        ないでくれますね・・・?」
  ヘンリー「そりゃそうですよ。僕はあなたの帰りをずっと待って
       いたのですから・・・」
  B・J「(フランシスの腕を掴んで。)行くんじゃない!!」
  ヘンリー「(思わずB・Jに駆け寄り、フランシスを自分の方へ
       引き寄せる。)気安く彼女に触れるんじゃない!!」
  B・J「フランシス!!」
  ロイ「B・J!!(駆け寄る。)」

        その時、入口よりレナード、腕を押さえながら
        入って来る。

  レナード「気安く触れてるのはおまえだ!!」

        店の中の者、一斉にレナードに注目する。
        従業員、ホッとした表情を浮かべて口々に
        レナードの名を呼ぶ。

  フランシス「レナード・・・」
  ヘンリー「・・・誰だ、おまえ・・・」

        フランシス、レナードの腕の傷に気付いて、
        思わずヘンリーの腕を振り解いて、レナード
        に駆け寄る。

  フランシス「(レナードの腕を見て。)如何したの!?怪我して
        るわ!!」
  レナード「(微笑んで。)大丈夫さ・・・心配するな。(入口の方を
       見て。)入って下さい!!」

        入口よりトーマス入る。
        再び一斉に店の中の者、トーマスに注目する。

  フランシス「トーマス!!」
  ウィリアムス「・・・トーマス!?」
  トーマス「お嬢様!!(フランシスを認めて駆け寄る。)ご無事
       で!!(涙ぐんだように。)」
  フランシス「あなたも!!」
  トーマス「はい!レナードさんに助けて頂きました!(レナード
       の腕を見て。)この傷は、その時に見張りの男達に
       撃たれたものです。」
  フランシス「(レナードを見詰めて。)・・・ありがとう・・・(涙が
        溢れる。)ありがとう・・・」
  レナード「・・・言ったろ?おまえの力になるって・・・」
  フランシス「レナード!!(思わずレナードに抱き付く。)」
  ヘンリー「止めろ!!」

        フランシス、レナードから離れてヘンリーの
        方を向く。

  ヘンリー「どうやら・・・あなたはもう、どんな手を使っても僕の
       ものにはならなくなったようですね・・・。」
  レナード「そんなことは最初から分かりきっていた筈だ・・・。
       それにおまえ達の悪事が警察に知れるのも時間の
       問題だ・・・。直ぐに逮捕状を持った警察官がやって
       来るだろう・・・。」
  ウィリアムス「何を言って・・・我々が一体何をしたと・・・?」
  レナード「・・・誘拐罪・・・横領罪・・・あっ、そうそう・・・(腕をチラッ
       と見て。)殺人未遂も付けなけりゃね・・・」
  ウィルソン「・・・あ・・・専務・・・もう終わりですよ・・・何もかも・・・
        !!我々は皆、捕まるんだ・・・」
  ウィリアムス「・・・煩い!!(レナードを見詰めて。)・・・仕方あり
         ませんね・・・。殺人未遂なんてケチな罪は、我々に
         は似合わない・・・」
  ヘンリー「その通りですよ、お父さん・・・」
  ウィルソン「・・・専務・・・?」

        ウィリアムス、ヘンリー、背広の中に隠し
        持っていたピストルを出し、レナード達に
        向ける。

  ウィルソン「専務・・・専務、それはやばいですよ・・・。殺人未遂
        なら未だしも、殺人となると・・・!!」
  ヘンリー「さっきから煩い奴ですねぇ・・・お父さん・・・。ウィルソン
       は、高飛びする我々の足手まといになりますよ、屹度
       ・・・」
  ウィリアムス「そのようだな・・・(ピストルをウィルソンに向ける。
         )」
  ウィルソン「・・・まさか・・・」

        レオーネ、スタン慌ててそっと入口から
        出ようと、その方へ足音を潜めて近付く。

  ヘンリー「(レオーネ達に気付いていたように、入口に向かって
       ピストルを一発撃つ。)」
  レオーネ、スタン「わあっ!!」
  ロレッタ、リズ「キャアッ!!(2人、耳を塞いでしゃがみ込む。)
          」

        B・J、ロイ、アーチーも驚いた素振りをする。
        レナード、驚いて小さく悲鳴を上げたフランシス
        を抱き寄せる。

  ヘンリー「あなた達も逃がす訳には行きませんよ!」
  レオーネ「ヘンリーさん!!俺達は何も言いやしませんよ!!
       本当ですよ!!」
  スタン「神様に誓います!!俺、今までのこと何も覚えてません
      !!見てません!!ね!?レオーネさん!!」
  レオーネ「あ・・・ああ・・・命賭けます!!」
  ヘンリー「・・・駄目ですね・・・」
  ウィリアムス「・・・皆まとめて死んで頂きましょう・・・」
  ヘンリー「(ピストルをレナードに向けて。)先ずはあなたからで
       す・・・」








      ――――― “レオーネ”7へつづく ―――――
   







    8月28日(火)

    タイトルが脇役さん(レオーネ)になっていたことに、“今”
    気付きました~^_^;
    似た名前の登場人物がいると、自分で書いといて何です
    が・・・ややこしいですね~・・・(ーー;)

    遅ればせながら・・・変更させて頂きました(^_^;)
    すみません<(_ _)>


                                どら。



― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    7月11日(水)

    昨日の録音は、新しいエンジニアさんで挑んだ初めての
    録音でした(^.^)
    (色んなページで感想を書いているので、重複することもあ
    るかと思いますが、お許し下さい^^;)

    昨日の朝までは、不安一杯ではありましたが(不安の原因
    は、ヤフー版“ドラワールド”で・・・^_^;)、そんな不安は
    何処へやら・・・始まってしまえばとても楽しい、今までで
    一番、メンバーがノリノリで挑むことの出来た録音となりま
    した(^^)v
    出来がいい分、きっと素晴らしい仕上がりになりそうなので
    、11月の7周年記念公演、是非その“出来”をご自分の耳
    で確認しにいらして下さい♥






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