2012年11月30日金曜日
“フランドル” ―全17場― 完結編
――――― 第 11 場 ――――― B
カーテン前。
グリエルモ「(憤慨した様子で。)一体おまえは何を考えている
んだ!!おまえは自分の夢を全て捨てるつもりな
のか!?」
部下達「隊長!!」
フランドル「誰が夢を捨てると言った!!ただそれを叶える為
の意味が、今までと今とでは変わったと言うことだ。」
グリエルモ「変わった・・・?」
フランドル「そう・・・変わったんだ。今までは自分の欲望の赴く
ままに、欲するものは全て手に入れて来た・・・。だが
これからは違う!!目的を遂行する為の意味を見つ
けたんだ!!」
グリエルモ「・・・おまえ、あの島で何かあったのか・・・?」
フランドル「・・・今まで出会ったことのない女性がいた・・・」
グリエルモ「・・・じょせい・・・女!?おまえ気でも違ったか!?
女の為に無謀な賭けに出るのか!?」
フランドル「賭け・・・?何とでも言うがいい。俺はアリアナと出
会って目が覚めたんだ・・・」
グリエルモ「アリアナ・・・?あの蝶のような・・・(独り言のように
。)」
フランドル「俺は彼女を迎えに行く!!」
グリエルモ「フランドル・・・(諦めたように。)夢を・・・捨てた訳
じゃないんだな・・・?」
フランドル「勿論だ!!俺は彼女と共に・・・夢を必ず実現させ
てみせる!!」
グリエルモ「分かった・・・おまえの好きにしろ・・・。今までも俺
達はおまえの無茶に引っ張り回されて来たんだ。
今回だって・・・。」
フランドル「グリエルモ・・・」
グリエルモ「結婚と言う武器がなくなったのは、少々痛手だが
・・・おまえにはそこまでも考えが出来てのことだろ
う。全くおまえは昔っから一旦思い込んだら、最後
までそれを貫き通す・・・。」
横で聞いていた部下達、頷く。
フランドル「グリエルモ・・・おまえ達・・・(見回して。)ありがとう
・・・」
部下達口々に「隊長!!」
暗転。
――――― 第 12 場 ―――――
カーテン開く。絵紗前。(村の風景。)
上手より村人たち、話しながら出る。
一番最後にジュリオ、気落ちした
面持ちで続く。
アンナ「もうあの兵隊さん達が帰って、大分経つわね・・・」
アンジェラ「何?まだ忘れられないの?(笑う。)」
アンナ「だって・・・」
ウーゴ「もうあいつらは戻って来ないんだぜ。いい加減、諦め
ろよ。」
ボルソ「よぉ、ジュリオ!アリアナは相変わらず毎日、海に行っ
てるのか?」
ジュリオ「ああ・・・」
ボルソ「だけどあいつの行ってる場所って、切り立った断崖の
上だろ?いくら遠くまで見渡せるからって・・・」
ジュリア「(嬉しそうに。)だからそんなアリアナを、兄さんは毎
日、陰からこっそり見守りに行ってるのよ。」
ジュリオ「煩い!」
アントニオ「アリアナの奴も、もう諦めりゃいいのに。(笑う。)」
ジュリオ「あいつは一途なんだ!!」
アントニオ「(溜め息を吐いてジュリオを見る。)全く、おまえも
な。」
ジュリア「そうよ。兄さんもあんなにハッキリ振られたのに、まだ
思い切ることが出来ないなんて。」
ジュリオ「俺はいい加減な気持ちで、あいつを今まで思って来
たんじゃないんだ!!」
ヴィンタ「それより占いの婆さんの言ってたことは、やっぱり外
れたな!」
アンジェラ「本当ね。最近は当たった試しがないもの・・・。」
アンナ「あんな占い、当たらなくて良かったじゃない。」
ウーゴ「そうだな!」
その時、強い風が村人達の間を
吹き抜ける。
村人達、口々に驚きの声を上げる。
ヴィットリオ「(空を見上げて。)こりゃ、嵐が来るな。」
ジュリア「早く帰りましょう!」
下手より慌ててビアンカ、駆け込んで
来る。ジュリオ、血相を変えて走り過ぎ
ようとするビアンカの腕を、思わず掴む。
ジュリオ「おばさん!!」
ビアンカ「(初めて村人達がいることに気付いたように、驚いて
立ち止まる。)あ・・・ジュリオ・・・」
ジュリオ「何かあったのかい!?」
ビアンカ「アリアナが・・・!!アリアナがまた海に・・・!!今日
は嵐になるから止めとけって言ったのに・・・私がちょっ
と留守にしてる間に・・・!!早く呼び戻して来ないと、
海が荒れてくるわ!!」
ジュリオ「俺が行ってやるよ!!嵐の前の海は突然、強い風が
吹いて危ないんだ!!おばさんは家で待ってな!!」
ビアンカ「ジュリオ・・・」
ジュリオ「任せときな!!」
ジュリオ、走り出る。
ジュリア「兄さん!!」
暗転。
――――― 第 13 場 ―――――
時折、波の荒れる音。風が吹き荒れる
海岸。一輪の花を持ってアリアナ、
下手より現れる。
※
ゆっくり岩 ↑ の上へ。
半ばまで登ったところで、海の彼方に艦隊
を認める。
アリアナ「船だわ・・・船よ!!」
慌てて、岩の高いところへよじ登る。
その時、ジュリオ入って来て、
アリアナを認め、驚いて駆け寄る。
ジュリオ「アリアナ!!危ないから降りるんだ!!」
アリアナ「(ジュリオに気付き。)ジュリオ!!船よ!!フランドル
が戻って来てくれたわ!!」
ジュリオ「(岩へ登りながら。)アリアナ、こっちへ来い!!(アリ
アナの方へ手を差し出す。)」
その時、突風が吹き抜ける。
アリアナ、体のバランスを崩し、
花1輪だけ岩の上に残して、
小さい悲鳴と共に、岩の向こうへ
落ちる。
ジュリオ「アリアナーッ!!(叫ぶ。)」
ジュリオの叫び声だけ悲しく響いて、
フェード・アウト。
――――― 第 14 場 ―――――
悲し気な音楽が流れる。
フェード・インする。と、絵紗前。
(アリアナの家。)
ベッドにはアリアナ、眠っているよう。
傍らにジュリオ、膝を付きベッドに伏す。
ソファーには呆然とビアンカ。
ジュリオ「(涙声で。)アリアナ・・・アリアナ・・・」
その時、戸をノックする音。
一時置いて、フランドル、グリエルモ
入って来る。
フランドル「(ビアンカを認め、嬉しそうに近寄る。)返事がない
ので黙って入って来てしまいました。お久しぶりで
す!あの時は大変お世話になりました。(ビアンカ
の気落ちした様子に気付き。)あの・・・何かあった
のですか・・・?アリアナは・・・」
ビアンカ「(声を上げて泣く。)」
フランドル「アリアナに何か・・・?」
グリエルモ「(ベッドの上のアリアナに気付き、驚いてフランドル
の肩を叩く。)フランドル!!(ベッドの方を指差す。
)」
フランドル、アリアナを認めて、ゆっくり
近寄る。その表情からは段々と、血の気
が引いていくよう。
フランドル「アリアナ・・・」
ジュリオ「(立ち上がって。)眠ってるみたいだろ・・・でも・・・死ん
でるんだぜ・・・もう・・・いくら呼んでも目を開けてくれな
いんだ・・・」
フランドル「(声を絞り出すように。)なぜ・・・」
ジュリオ「こいつはあんたが帰ってから・・・毎日毎日、海岸へ
行って・・・迎えが来るのを待っていたんだ・・・。嵐の
今日も・・・それは変わらなかった・・・。その時に、あん
たの船を見つけ・・・喜んで駆け上がった崖の上から
落ちたんだ・・・あんたが迎えに来てくれたとそれは・・・
嬉しそうに・・・(涙声で。)あんたが・・・おまえがアリア
ナを殺したんだ!!おまえさえ来なければ!!おま
えさえ、あんな約束をしなければ・・・アリアナが死ぬ
ことはなかったんだ!!アグネスが言ってたとおり、
おまえは死神だったんだ!!」
ジュリオ、泣き顔を隠すように駆け出る。
フランドル、呆然とアリアナに近寄って、
傍らへ跪き、アリアナの手を取り男泣き
する。
フランドル「アリアナ・・・アリアナ・・・何故・・・何故死んでしまっ
た!!やっと、おまえを迎えに来れるようになったと
・・・何もかも片付いて・・・おまえを俺のところへ・・・
呼び寄せようと・・・コンスタンティノープルへ行く前
に・・・兎に角・・・おまえにそのことを知らせに・・・寄
ったと言うのに・・・何故・・・おまえは死んだ・・・アリ
アナ!!」
グリエルモ「フランドル・・・(近寄ることも離れることも出来ず
呆然と見詰める。)」
フランドルとアリアナ、スポットに
残してフェード・アウト。
フランドル「(アリアナの手を握ったまま。)アリアナ・・・俺は必
ず戻って来る・・・おまえを迎えに帰って来る・・・だか
ら待っていてくれ・・・アリアナ・・・いつまでも愛してい
る・・・」
フランドル、アリアナに口づけ
立ち上がる。名残惜しそうに見つめ
た後、視線をもぎ取って舞台中央へ。
(カーテン閉まって、フェード・イン。)
――――― 第 15 場 ―――――
フランドルの回りにいつの間にか部下たち。
フランドルの表情は険しく、敵の城塞を攻め
落とす堅い決心に肩を震わす。
フランドル「皆・・・明日は必ず攻め落とす!!いいか!!」
部下達「はいっ!!」
激しい音楽が響き渡る。歌う。
フランドル“行くぞ!!
何があっても振り返るな
進め!!
ただ前だけを見て”
全員“陽が昇ると始まる
引き返すことのできない歩が
我々の熱い戦い
心に思い描く新しい未来が”
歌い終わるとカーテン開く。
(向こうに敵城を見上げる陣営。
――――― 第 16 場 ―――――
フランドル「(部下達を見回して。)おまえ達・・・明日は早いん
だ、体を休めておけ・・・。」
部下達「はい。」
部下達、其々出て行く。
グリエルモ「フランドル・・・もう大丈夫か?」
フランドル「当たり前だ!!明日は必ずやるぞ!!」
グリエルモ「(少しホッとしたように。)そうか・・・おまえも休んど
けよ。」
その時、アンドレアの側近ジョルジョ、
大勢の部下達を従えて出る。
グリエルモ「(気付いて。)ジョルジョ殿・・・いつの間に来られた
のですか・・・?加勢など無用であるのに・・・」
フランドル「(意味あり気な視線を、ジョルジョに向けて。)また・・・
急ですね・・・それも大層な人数のようだ・・・。皇帝から
何か連絡でも・・・?(手が自然と剣に向く。)」
ジョルジョ「我々は皇帝陛下の命により、ここに参っております
・・・。(冷淡に。)」
グリエルモの表情に一瞬、緊張が走る。
フランドル「・・・その命令・・・とは・・・?」
ジョルジョ「・・・残念ですが・・・」
フランドル「(自分の殺害を悟って。)グリエルモ!!」
フランドル、グリエルモ、回りを
ジョルジョの部下に囲まれ、背を
合わせて立ち、ゆっくり剣を抜く。
一瞬の静寂が辺りを包む。
ジョルジョの部下達、剣を抜く。
激しい音楽が響き渡る。
ジョルジョの合図で、2対多数の
戦いが始まる。
途中、騒ぎに気付き出て来たフランドル
の部下数人。加勢する。
部下達「隊長!!」
次々とフランドルの部下達、相手の
刃に倒れる。部下の中で一人残った
グリエルモも敵に囲まれ、剣の雨を
受け、フランドルに思いを残しながら
息絶える。
グリエルモ「フランドル・・・」
一人残ったフランドル、勇敢に剣を
奮っていたが、等々囲まれる。今まで
離れて見ていたジョルジョ、近寄り
剣を抜く。音楽、一層大きくなり一瞬の
後、ジョルジョの振り下ろした剣に
倒れる。
フランドル、スポットに残してフェード・アウト。
――――― 第 17 場 ―――――
音楽、静かに流れ、どこからかアリアナの
“フランドル“の名を呼ぶ声が木霊する。
フェード・インする。と、辺りは人気がなく、
ひっそりとしている。
(風景変わる。)
愛しいアリアナの呼び声に、微かに目を
開き、痛みに顔を歪めながら、ゆっくりと
体を起こす。
フランドル「・・・(溜め息を吐いて、微かに微笑む。)アリアナ・・・
もう直ぐだ・・・もう直ぐ・・・おまえに会える・・・」
その時、どこからか現れた幻想の
アリアナ、フランドルの前へ。
フランドル「(驚いた面持ちで。)・・・アリアナ・・・」
幻想のアリアナ、フランドルの回りを
蝶のように舞い踊る。その様子を、
安らぎの入り混じった幸せそうな
面持ちで見詰めるフランドル。
アリアナ、嬉しそうな微笑みを湛え、
フランドルに近寄り、手を取り立ち上
がるように促す。
その手に導かれるように立ち上がり、
愛しい者に再び出会えた喜びに溢れ
固く抱き合う2人。彼方を見遣る。
――――― 幕 ―――――
12月7日(金)
それでは次回掲載作品を紹介しておこうと思い
ます♪
次回は旅一座と写真家のお話しで、これまた随分
昔に書いた作品になります(^_^;)
“アル・ロー”(実は名前を変更致しました^^;)
お楽しみに(^_^)
早く、次の作品に移りたいので、書き直すのは
止めて、このまま書き写していく形で終わらせよう
と思います(^^;
(あまりに可笑しい箇所は、手直ししますけど・・・)
駄作で申し訳ありません~・・・m(_ _)m
※ 台本の隅っこに、走り書き(?)していた、舞台セット
のイメージ図です(^_^)
読んだだけでは、あまりよく分からないと思い、見難い
ですが一緒に載せてみました~(^^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
今の私なら、絶対にこんな結末にしないでしょう的な
お話しです(ーー;)
段々、書くのが辛くなってきました・・・(;_;)
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
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