――――― 第 10 場 ―――――
下手より静、続いて俯き加減の春彦、登場。
春彦「・・・こんな時、私は“おめでとう”・・・と、言うべきなんでしょ
うね・・・。」
静「(振り返る。)え?」
春彦「・・・暮原さんと、大和君が結婚するなんて・・・。仕事でも
彼には勝てない・・・。今度は暮原さんまで・・・」
静「如何しちゃったのよ。何時もの意気がってる近藤さんらしく
ないわよ。(笑う。)まさか私も・・・。こんな急に、プロポーズさ
れるなんてねぇ・・・。近藤さんにも直ぐに見つかるわよ、素敵
な彼女!」
春彦「失恋したての私に、その言葉は身を切られるより辛い・・・
。」
静「・・・失恋?失恋したてかぁ・・・(何かに気付いたように。)やだ
!近藤さん、ひょっとして・・・!?(笑う。)」
春彦「(下を向く。)わ・・・悪かったですね・・・。私があなたに失恋
したのが、そんなに可笑しいですか・・・?」
静「・・・ううん、ありがとう・・・。嬉しかったわ・・・そんな風に言って
もらって・・・。でも、ご免なさい・・・。」
春彦「・・・幸せになって下さい・・・。(溜め息を吐く。)いい男を演じ
るのも・・・結構、快感ですね・・・。(笑う。)」
静「近藤さんったら・・・。(笑う。)」
2人、上手へ去る。
暗転。
――――― 第 11 場 ―――――
音楽流れ、下手スポットに、花束を持った晃、
浮かび上がる。
晃「ここが2人の始まりだったな・・・。あの頃の2人は、まだどう
しようもない餓鬼だった・・・。(フッと笑う。)だけど、あの頃の
思いは、今もちっとも変わらない・・・。おまえと過ごした青春
時代は、俺にとっても・・・最高の宝物だ・・・掛け替えのない
・・・。尚斗・・・会いに来たぜ・・・。いるんだろ・・・?」
尚斗、八百屋舞台上、上手方スポットに
浮かび上がる。
尚斗の声「ああ・・・(晃には聞こえていないよう。)」
晃「俺達の約束を果たす為に・・・。」
尚斗の声「・・・待ってたぜ・・・」
晃「おまえは色んなことを、俺に教えてくれたな・・・。」
尚斗の声「おまえだってそうさ・・・」
晃「おまえは俺の、手本になるような奴だったからな。」
尚斗の声「ばぁか・・・おまえこそ、俺の目標だったんだ・・・」
晃「もう・・・生きておまえに会うことはなくなったけど・・・」
尚斗の声「(笑って。)しめっぽいぜ!」
晃「おまえは何時でも、ここにいるもんな!!俺は、何時もおまえ
に会いに来るぜ!!爺さんになってもな!!向こうで、おまえ
に会える時まで、ずっとだ!!」
尚斗の声「・・・楽しみに待ってるよ・・・」
晃「・・・尚斗・・・ありがとう・・・。」
尚斗の声「・・・晃・・・幸せになれよ・・・」
2人の声が響く「俺達の約束だ・・・!」
尚斗、フェード・アウト。
晃、八百屋舞台上に、花を置き歌う。
“歩む道の先には何があるか分からない
求めるものと違う曲がり角に
ぶつかるかも知れない
けれど何時も もっと前を見よう
そこには屹度 答えがある筈だ
今日に躓いても明日が来ない日はないんだ
たとえ道標がなくても
道が続く限り
歩けばそこには待つものがある
泣きたければ泣けばいい
我慢することなく
そしてほんの少しずつ強くなるんだ
自分に勝てる心を養い
次に訪れる幸せが
待ちきれない程 人生を楽しめるように”
彼方を見遣る晃。
――――― 幕 ―――――
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