2012年10月20日土曜日

“フランドル” ―全17場―

  
   どの作品が紹介済みか、よく分からなくなってきたので、
  選ぶのに随分と時間を要してしまいました<(_ _)>

  今回は、多分今まで紹介してきた作品の中でも、一番昔の
  頃に書いた作品の一つだと思われる“フランドル”をご覧
  頂こうと思います(^。^)
  何故、一番昔作品の一つだと思ったか・・・と言えば、
  ノートの端に“駄作”と、昔の私が自分で書き残していた為
  であります^_^;
  ・・・読み直してみて・・・
  確かに・・・“若い”作品ではありますが、読み流して頂ければ
  ・・・と思っていますので、不可思議な部分にあまり執着せず、
  読み進めて下さい<(_ _)>

  だから・・・と言う訳ではありませんが、他ページに、グー版
  “ワールド”から久しぶりに1本、引っ張ってきますので、
  そちらと合わせてお楽しみ下さい^^;


                             どら。




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    〈 主な登場人物 〉

    フランドル  ・・・  勇将の男。

    アリアナ  ・・・  島の娘。

    グリエルモ  ・・・  フランドルの親友。

  

    アンドレア  ・・・  君主。

    エリザベッタ  ・・・  アンドレアの娘。

    ビアンカ  ・・・  アリアナの母。

    ジェロラモ  ・・・  島長。

    アグネス  ・・・  島の占い師。


    その他




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    「中世ヨーロッパのある国の君主は、領土広大の為、
    近隣諸国に勢力を伸ばしていた・・・。」

         ――――― 第 1 場 ―――――

         幕が上がる。
         舞台は戦場。
         騎士達、敵味方入り乱れ闘っている。
         (群舞による戦闘場面。)
         その中央に立ち、勇敢に指揮を執る
         フランドル。

  フランドル「(剣を振り翳し。)行けー!!」

         その時、一発の銃声が辺りに響き渡る。
         暗転。
   
         ――――― 第 2 場 ―――――

         カーテン前。
         君主アンドレア、側近ジョルジョ、ホフレと共に
         出る。後ろには家臣たちが従う。
         上手より、家臣の一人が手紙を持って、駆け込む。
         アンドレアの前に跪く。

  家臣「陛下!!今回もフランドル殿が優秀な成果を挙げ、敵国を
     手中に治めたと報せが入っております!!(持っていた手紙
     をアンドレアに差し出す。)」
  アンドレア「(手紙を受け取り目を通す。嬉しそうに。)そうか!いつ
        もながらあの男の勇将ぶりには感心させられる。私は
        素晴らしい部下を持ったものだ。私自ら指揮をとること
        は全くないのだから。(声を上げて笑う。)」
  ジョルジョ「おめでとうございます。」
  ホフレ「これで王の目指す場所に、また一歩近付いたと言う訳で
      すな。」
  ジョルジョ「私も一度、フランドル殿について行ったことがあります
        が、敵人と相対した時のフランドル殿の勇猛果敢振り
        は、それはそれは見事で本当にたいしたものです。」
  ホフレ「この勢いに乗って、次々と勢力広大していきたいものです
      な。」
  アンドレア「まさに負け知らず・・・あの男が敵国の将でなくて、本
        当に良かった・・・。(真面目な顔付きになる。)」
  ホフレ「考えるのも恐ろしい・・・。陛下の頭脳とフランドル殿の行
      動力があれば怖いものなしでしょう。」
  アンドレア「いや・・・あの男は、他の者が考え及びもしないことを
        考え・・・行動に移し・・・それを見事に成功に導く頭脳を
        持った男だ・・・。それに部下たちの信望も厚い・・・。」
  ジョルジョ「それでは陛下はいつの日か、フランドル殿が旗を翻す
        ようなことがあるかも知れないと・・・?」
  アンドレア「考えられないことはない・・・。あれだけ才長けた男だ。
        他の者の下について、一生涯その力を使うなどと、考え
        られない。だから今のうちに手を打っておくのだ・・・。縁
        戚関係を結ぶことによって・・・」
  ジョルジョ「エリザベッタ様とフランドル殿を・・・ですね。」
  アンドレア「幸い、エリザベッタの方はあの男に夢中なようであるし、
        あの男にとっても悪い話ではあるまい・・・。しかし、婚約
        を交わしたまではいいが・・・どうもその先の話には、フラ
        ンドルは中々腰を上げてこないのだ・・・。」
  ホフレ「凱旋が終われば陛下の方から式の日取りを決めてしまわ
      れれば・・・」
  アンドレア「それは駄目だ。あの男の方から言ってこなければ、た
        とえ私であろうともあの男の意思を尊重せざるを得ない
        のは、いささか心外ではあるのだが・・・」

         その時、上手より家臣の一人が早足で出る。
         アンドレアの前に跪く。

  家臣「追って連絡致します!!早馬によってもたらされた知らせに
     よりますと、フランドル殿はこの勢いに乗って、次なる征服地
     に向けて、進軍を続けているとのことです。」
  アンドレア「何・・・また向かっているのか・・・。分かった。」
  ジョルジョ「一度、呼び戻さなくてよかったのですか?」
  アンドレア「なぁに、暫くはあの男の好きにさせてやることだ・・・。」

         3人、上手へ出て行く。家臣続く。
         暗転。

        ――――― 第 3 場 ―――――

         カーテン開く。と、フランドルの天幕。
         フランドル、テーブルの上に足を投げ出して、
         椅子に腰を下ろし、地図に見入っている。

  グリエルモの声「入るぞ!」
  
         グリエルモ、入って来る。フランドル、そのまま
         地図の横からグリエルモを盗み見る。
         グリエルモ、愉快そうな面持ちでフランドルの
         正面へ腰を下ろす。
         グリエルモ、持っていたグラス2つと、酒の入
         った瓶をテーブルの上へ置く。

  グリエルモ「いよいよ明日だな!乾杯しようぜ、我々の勝利を祈っ
         て!」
  フランドル「(地図をテーブルの上に置いて、立ち上がる。)俺たち
        に敗北はない!!祈らなくてもな!!」
  グリエルモ「(呆れた面持ちで両手を挙げる。)全く、おまえは大し
        た自信家だよ。じゃあ勝利の前祝だ!飲もうぜ!」
  
         グリエルモ、立ち上がってグラスに酒を
         注ぐ。一つのグラスをフランドルに近寄り
         手渡す。

  グリエルモ「我々の勝利に乾杯!!(グラスをフランドルの方へ差
         し出し、一気に飲み干す。)」
  フランドル「(嬉しそうに笑って。)おまえの酒好きには呆れるよ、全
        く・・・(酒を飲んで。)理由をつけては昔から、おまえは直
        ぐに酒盛りだ。」
  グリエルモ「こんなところに来てたんじゃ、女はいないし、これくらい
         しか楽しみはないからな!(自分のグラスに酒を注いで
         飲む。)一体、おまえはどこまで突き進むんだ。一旦、
         遠征に出ると、丸で鉄砲玉だ。」
  フランドル「(グラスをテーブルの上に置いて。)グリエルモ・・・俺は
        いつまでも雇われ隊長などで満足しているつもりはない
        ぞ。自分の国を手に入れる!!それには今の俺には、
        まだ自分の思い通りになる騎兵隊の数が少な過ぎる。」
  グリエルモ「だが兵たちも黙っておまえについて来ているじゃないか
        ・・・」
  フランドル「それはまだ俺の後ろに皇帝の姿を見てるからだ。もっと
        力がいる。その為に皇帝を利用して征服地を増やし、そ
        の中で少しずつ自分の力を増大させていくのだ!!」
  グリエルモ「まぁ、おまえの野望は俺も知っているし、おまえがその
         器に相応しい男であることも分かっている。だから俺も
         おまえについて来てるんだが・・・」
  フランドル「延いてはこのヨーロッパ全域を・・・地中海世界諸共に
        この手に入れるのが俺の夢なんだ!!」
  グリエルモ「全く・・・最初はただの傭兵に過ぎなかったおまえが、
         ここまで上り詰めたってだけでも凄い事なのに、おまえ
         はまだまだ上を見ている。今度の女王との婚約も、お
         まえにはただの踏み台に過ぎんのだろうな。(嬉しそう
         に。)」
   フランドル「それだ。今はまだ皇帝の機嫌を損なう訳にはいかな
         いから、約束だけはしたが・・・この国では駄目だ!俺
         はフランス王女と結婚したい!!」
   グリエルモ「おいおい!!そんな大きな声で堂々と名指しするな
         !!誰かに聞かれたらただでは済まんぞ!!」
   フランドル「(聞いていないように。)あの国を手中に収めることが
         出来たなら、もう怖いものなしだ!!俺は夢の実現の
         為にならなんだってする!!」
   グリエルモ「フランドル・・・」
   
         暗転。(紗幕閉まる。)
         
      ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕前。
         上手よりアンドレア登場。後ろからエリザベッタ
         沈んだ面持ちで登場。

  エリザベッタ「お父様・・・フランドル様は、いつお戻りになるのです
         か?」
  アンドレア「あの青年は、今、征服地のことで頭が一杯のようだ。
        進軍進軍で、後ろを振り返ると言うことを知らないようだ
        。」
  エリザベッタ「私との結婚は、どうなるのでしょう・・・」
  アンドレア「心配しなくてもよい・・・。次に凱旋した時には、ちゃんと
        話を進めることのにしよう。」
  エリザベッタ「私・・・なんだか不安なんです・・・。あのお方がどこか
         遠くへ行ってしまいそうな・・・そんな予感がして・・・」
  アンドレア「エリザベッタ・・・」
  エリザベッタ「あのお方は、もっと大きなものを求めていらっしゃる
         ・・・私と会っている時も、瞳はどこか遠くを見詰めてい
         らっしゃって、話しは丸で上の空なんです・・・」
  アンドレア「あまり考えるな。おまえは必ず幸せになれるのだから
        ・・・。私が必ず・・・。安心しなさい。さぁ、もう今日はお休
        み・・・」
  エリザベッタ「はい、お父様・・・(スカートをつまんでお辞儀をする
          。)」

         エリザベッタ、下手へ去る。アンドレア、
         その後ろ姿を見詰める。
         上手よりジョルジョ登場。

  ジョルジョ「陛下・・・」
  アンドレア「(振り返って。)ああ、おまえか・・・。丁度よい、フランド
        ルを一度呼び戻してはくれぬか。」
  ジョルジョ「直ぐにですか?」
  アンドレア「あれが・・・いや、エリザベッタが不安がるのだ。フラン
        ドルの遠征が長引くと・・・。エリザベッタだけではない。
        本当のところ、私も時々思うことがある。あの男は、この
        まま征服地を自分のものにしてしまうのではないかと・・・
        。この通り、私はもう年だ・・・。跡継ぎもいないが為に、
        今は全てをあの男に任せてはいるが・・・あの男が本当
        に何を求めているのか・・・何をしようとしているのか・・・
        私は知りたいのだ。勿論・・・今の地位で納得してくれて
        いることを祈るが・・・」
  ジョルジョ「そうですね・・・。フランドル殿の、いつも何かを求め・・・
        狙っているようなあのギラギラした瞳を見た者は、誰もが
        そう思うことでしょう・・・。分かりました。直ぐに使いを送
        らせましょう。」
      
         その時、下手よりホフレ、慌てて駆け込んで来る。

  ホフレ「陛下、大変です!!」

         アンドレア、ジョルジョ、ホフレを認める。

  ジョルジョ「どうしたホフレ、そんなに慌てて・・・」
  ホフレ「たった今、入りました連絡によりますと、フランドル殿が負傷
      なされたそうです!!」
  アンドレア「(驚いて。)何だと!?それで怪我の様子は!!」
  ホフレ「かなりの深手を負われたようで、一先ず近くの島に、手当て
      の為寄港すると、連絡が入っております!!」
  ジョルジョ「フランドル殿が負傷されるとは・・・!!」
  ホフレ「フランドル殿率いる騎兵隊の中に、敵国のスパイが紛れ込
      んでいた模様です!!」
  アンドレア「スパイだと・・・!?」
  ジョルジョ「陛下!一先ずあちらで相談を・・・」
  アンドレア「そうだな。」

         3人、足早に出て行く。






        ――――― “フランドル”2へつづく ―――――





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