2013年3月29日金曜日
“ジュリー” ―全13場― 4
ジュリー「探偵・・・?お祖父様・・・探偵を雇われたの・・・?」
レナード「ああ。」
ジュリー「もう・・・時間の問題ね・・・見つかるのは・・・。それで
また私は、籠の中に連れ戻されるのよ・・・。」
レナード「・・・俺が・・・守ってやるよ・・・」
ジュリー「・・・え・・・?」
レナード「やっとの思いで、その籠の中から飛び出して来たん
だろ?」
ジュリー「・・・でも・・・これ以上あなたに迷惑は・・・」
レナード「迷惑なんて!!君は偶然ダンス教室の扉を開いた
・・・。それは偶然でなく必然だったんだ。俺達が出会
うのは決まっていた・・・そう考えればいい。」
ジュリー「レナード・・・」
レナード「君を守るのが、今の俺に課せられた課題だ・・・。」
ジュリー「・・・ありがとう・・・」
レナード「・・・いや・・・。そうだジュリー、どこか遊びに行かな
いか?」
ジュリー「・・・え?」
レナード「デートだよ!」
ジュリー「デート・・・」
レナード「ああ。今までデートなんてしたことないんだろ?」
ジュリー「ええ。」
レナード「どこに行きたい?君のリクエストに答えるよ。」
ジュリー「・・・本当?」
レナード「高級フランス料理なんてのは無理だけど・・・(笑う。)
」
ジュリー「(笑う。)じゃあ映画館に行ってみたいわ!」
レナード「OK!」
手を取り合う2人。暗転。(カーテン閉まる。)
――――― 第 7 場 ―――――
カーテン前。
グレイヴィル大統領、秘書レイチェル立つ。
上手より側近サガット、登場。
グレイヴィル「探偵から連絡はあったか?」
レイチェル「いえ、まだ・・・」
グレイヴィル「一体いつまでかかっているのだ。高い金を払って
雇っているのに!」
サガット「そんな直ぐは、無理でしょう。いくら彼らが優秀だと言
っても・・・。」
グレイヴィル「早く見つけなければ、もう日がないと言うのに・・・
。こんなことが先方にバレでもしたら・・・」
サガット「それはその通りですが・・・」
その時、下手よりジュリーの妹(エレーナ)
登場。
エレーナ「お祖父様。」
グレイヴィル「(エレーナを認める。)おお、エレーナ。」
エレーナ「お姉様はまだお戻りにならないの?」
グレイヴィル「何、直ぐに戻るだろう。おまえは心配しなくていい
のだよ。」
エレーナ「お姉様は何故、家出なんてなさったのかしら・・・」
グレイヴィル「ジュリーは今頃になって、結婚に少々尻込みして
いるだけなのだ。あまりにも世間知らずに育てて
しまった為に、未知のものに対して、心の受け入れ
が未熟だったのだよ。・・・全く困ったものだが・・・」
エレーナ「・・・そうかしら・・・」
グレイヴィル「え?」
エレーナ「お姉様は妹の私から見ても、とても世間のことはよく
ご存知でしたわ。自分のお考えもちゃんとお持ちだっ
たし・・・。きっと自分のことは自分で決めたかったの
ね・・・。お祖父様に決めてもらうのではなくて・・・。」
グレイヴィル「エレーナ・・・」
エレーナ「(微笑んで。)私は大丈夫。何も考えなどありません
から・・・。」
グレイヴィル「(少し考えて。)・・・少々・・・自由にさせてやるこ
とも、必要だったのかも知れないな・・・。」
4人、ゆっくり出て行く。暗転。
――――― 第 8 場 ―――――
カーテン開く。と公園。静かな音楽流れる。
月灯りの中、時々、人々が行き交う。
奥よりジュリー、嬉しそうに出る。
その後をゆっくり、レナード続く。
ジュリー「(思い出すように。)素敵な映画だったわね!!」
レナード「映画も初めて・・・?」
ジュリー「ええ・・・。(溜め息を吐いて。)今までの私の生活は、
私のものであって、私のものではなかったの・・・。あれ
も駄目・・・これも駄目・・・。一人で外を歩くなんてとん
でもないこと・・・。況してや映画館なんて・・・」
レナード「自由になった感想は・・・?」
ジュリー「最高・・・何もかもが今までと違って新鮮で・・・。丸で
夢を見ているみたい・・・。」
レナード「(嬉しそうに。)よかった・・・」
ジュリー「あなたのお陰よ・・・」
レナード「違うよ・・・俺はほんの少し、協力しただけさ。」
ジュリー「レナード・・・」
レナード「そうだ、実は俺の長年の夢が叶いそうなんだ。」
ジュリー「え・・・?」
レナード「ずっとやりたかった舞台のオーディションがある・・・」
ジュリー「本当に?」
レナード「ああ・・・。まだオーディションがあると分かっただけで
、役を手にした訳じゃあないけど・・・。」
ジュリー「あなたなら大丈夫よ!オーディションはいつ?」
レナード「来週の日曜日なんだ。」
ジュリー「・・・来週の・・・?」
レナード「急だろ?・・・ジュリー?そうか・・・来週の日曜日は
・・・」
ジュリー「(微笑んで。)私も行ってみたいわ。」
レナード「一緒に行こう。」
ジュリー「本当?」
レナード「ああ。」
ジュリー「嬉しい・・・。それよりあまり日がないのに、映画なん
かに付き合わせてしまって・・・。練習しなきゃいけない
でしょう?」
レナード「1日くらいどってことないさ。今までこの日の為に練習
を積み重ねて来たんだ。」
ジュリー「そうね・・・」
レナード「そんなに心配なら、今ここで踊って見せようか?」
ジュリー「レナードったら・・・(笑う。)でも何だか自分のことのよ
うに、胸がドキドキするわ!!」
レナード「ジュリー・・・」
ジュリー「応援してるわ!!」
レナード「・・・どうしてそんなに他人のことを自分のことのように
喜べるんだ・・・?」
ジュリー「私・・・あなたは私の夢のような気がするの・・・。今ま
で夢見てた生き方をしてる人・・・。だからあなたの夢は
私の夢・・・。私、あなたに出会えてよかった・・・。勇気
を出して、家を飛び出して最初はどうしていいのか分
からなくて途方に暮れてた時に、楽しそうな音楽が聞
こえてきた・・・それに惹かれるように扉を開けたの・・・
。それは私にとって、自由への扉だったのね・・・。その
向こうにあなたがいた・・・。」
レナード「(思わずジュリーを抱き締める。)」
ジュリー「(驚いて。)レナード・・・」
レナード「ここにいればいい・・・。これからずっと・・・。」
その時、ジャックとボビー、その部下達
ゆっくり出る。
ジャック「残念だが・・・それは無理な話しだ・・・」
レナード「(驚いて。)おまえら・・・!!(ジュリーを背後へ隠す
ように。)」
ジュリー「(不安な面持ちで。)レナード・・・」
ジャック「彼女を渡してもらおう・・・」
レナード「・・・いやだ・・・と言ったら・・・」
ジャック「その選択肢は、残念ながらない・・・」
ジャック、目で合図をすると、後ろに控えて
いた部下達、前へ進み出る。
(緊迫感のある、激しい音楽流れる。)
レナード、ジャックの部下達、構える。
一時置いて、殴り合いの喧嘩が始まる。
ジュリー「レナード!!」
暫く、互角に闘っているが、段々とレナード
が劣勢に追いやられる。
ジュリー「もう、やめて!!(叫ぶ。)」
その声に、部下達の手が止まる。
レナード「ジュリー・・・」
ジュリー、レナードに駆け寄る。
ジュリー「(涙声で。)ごめんなさい・・・私の為に・・・。もういいの
・・・ありがとう・・・(立ち上がり、ジャックの方を向いて。
)一緒に帰ります・・・。だから彼に手を出さないで・・・」
レナード「ジュリー!!駄目だ・・・!!(腕を押さえながら立ち
上がる。)」
ジュリー、ジャック達の方へ。
レナード「(足を引き摺りながら、後を追うように。)ジュリー!!
」
ジュリー、一度だけ振り返り、淋しげな
微笑みをレナードに投げかけ、ジャックと
共に出て行く。
追おうとするレナードの前に、ジャックの
部下達、立ち塞がる。
レナード「ジュリー!!(叫ぶ。)」
暗転。
――――― 第 9 場 ―――――
フェード・インする。と、カフェバー。
(サラ、歌っている。)
店内、賑やかに沸き返っている。
そこへ生徒達入って来て、それぞれ
思い思いの場所へ散らばる。
サラ、歌い終わると、明るい音楽流れる。
マイケル、カウンターへ。
マシュー「やぁ、マイケル。今日、レナードは?」
マイケル「ああ、あいつ今日はデート。(椅子に座りながら。)」
マシュー「へぇ・・・。この間の彼女と?(マイケルにグラスを差
し出す。)」
マイケル「当たり。(出された飲み物を飲む。)」
マシュー「相変わらずモテる奴だな。(笑う。)」
マイケル「全く、羨ましい話しだよ。だけど今回は、ちょっと様子
が違うんだ・・・」
マシュー「違うって何が・・・?」
マイケル「いや・・・何て言うか・・・真剣なんだよな、あいつ・・・。
いつもは遊び半分って感じのところがあるんだけど、
今回は・・・どうやら本気らしいんだ。」
マシュー「いいことじゃないか。大人になったんだよ。」
マイケル「うん・・・まぁ、そうなんだが・・・」
サラ、近寄る。
サラ「何の話し?」
マイケル「よぉ、いつもいい歌声だな。」
サラ「ありがとう。(マイケルの隣に腰を下ろしながら。マイケル
に向かって。)私にもご馳走してくれる?」
マイケル「ああ。マシュー!」
マシュー「OK。(サラにビールを注いだグラスを渡す。)」
サラ「(マイケルに向かって、グラスを上げる。)頂きます!(飲
む。)はぁ・・・歌の後の1杯は最高!ところで今日はレナ
ードの姿が見えないけど?」
マイケル「あいつは野暮用。」
サラ「デート?」
マイケル「そう言うこと。(ビールを飲む。)」
サラ「昨日の怪しい男たちに絡まれてた娘と?」
マイケル「ああ。」
サラ「あの娘、どこかで見たことあるのよねぇ・・・」
マイケル「グレイヴィル大統領の孫娘。」
サラ・マシュー「(声を揃えて。)えーっ!?」
サラ「本当?」
マイケル「ああ。」
マシュー「どうりで何だか品が感じられた訳だ。」
サラ「そんな娘とレナードがどうして・・・?」
マイケル「さぁ・・・」
マシュー「レナードの奴が夢中になってるって言う娘がその娘
かい・・・?」
マイケル「ああ。」
マシュー「(溜め息を吐いて。)・・・そうか・・・」
その時、暗い面持ちでレナード入って来る。
空いているテーブルに腰を下ろし、ボーイ
を呼ぶ。
ラリー「いらっしゃい、レナードさん!」
レナード「テキーラ・・・瓶ごと頼む・・・」
ラリー「え・・・本当に?」
レナード「ああ・・・」
ラリー「いいんですか?強いですよ。」
レナード「いいから早く持って来てくれ!(机に伏せる。)」
ラリー、肩を窄めてカウンターの方へ。
ラリー「マスター、テキーラ1本。」
マシュー「OK。(瓶を取って、ラリーにコップと共に渡しながら。)
誰だ?こんなの瓶ごと頼む奴は・・・」
ラリー「レナードさん。」
マイケル・サラ「(声を揃えて。)えーっ!?」
マイケル「(振り返って、レナードを捜すように。)来てるのか?
あいつ・・・」
ラリー「たった今ね。」
マイケル「で、彼女は?」
ラリー「一人だったけど・・・」
マイケル「(ラリーの持っていた盆の上から、瓶をコップを取って
。)俺が持って行くよ。」
――――― “ジュリー”5へつづく ―――――
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(どら余談^_^;)
夏に公演する7回公演の、2作品目が書き終わりました♥
“仕上がりました”と言うには、まだ曲がついていないので、
嘘になりますが、今回は台詞もしっかり書き込んだ、長編
になっているので、ここまで出来れば完成は間もなく・・・
だといいんですけどね・・・(^_^;)
夏公演、お楽しみに♪
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