ネリー「さぁ、涙のご対面は終わりだよ。」
大人ネズミ「誰かいるのか・・・?(ネリーは見えない風に。)」
ネリー「あんた達を道案内して、この部屋まで連れて来てやった
。私の仕事は終わりだよ。次はあんた達が、私に礼をす
る番だからね・・・。」
大人ネズミ「(ネリーに気付いて。)イタチじゃないか!!チュー
介!!早く友達と逃げるんだ!!」
チュー介「父ちゃん・・・?」
大人ネズミ「イタチはそんな小さい体をしているが、凶暴な肉食
獣だぞ!!」
チュー吉「肉食・・・?」
大人ネズミ「俺達みたいなネズミは、ひとたまりもないんだ!!
だから早く・・・!!」
ネリー「あーら・・・そんなカゴの中から、この子達に余計な忠告
をありがとう。けど、約束だからね!!“それなりのお礼”
!!私は危険を冒してここまで付いて来てやったんだ!
!だから、あんた達も私の為に、私のこの空腹を満たして
頂戴!!」
チュー吉「え・・・?」
おとなネズミ「早く逃げろ!!」
緊迫した音楽流れる。
ネリー、チュー吉とチュー介を追い掛ける。
チュー吉、チュー介悲鳴を上げて逃げ回る。
チュー吉「わあーっ!!」
チュー介「助けてーっ!!」
チュー吉「助けてーっ!!」
大人ネズミ「チュー介!!チュー介ーっ!!」
大人ネズミ、カゴを両手でガタガタ揺らす。
と、その時上手よりジ―クとカーク登場。
カーク「何だか騒がしいなぁ・・・」
ジーク「えらくカゴの中の奴、暴れてるみたいだけど・・・。」
カーク「え・・・?」
ジーク「父さんに見つかったら大変だぞ。」
カーク「うん。(カゴを見て。)おい!おまえ、何を騒いでんだよ。
ガタガタ揺らして大きな音出してたら、父さんに見つかっ
てしまうだろ!?」
ジーク「おい、カーク・・・(走り回っているネリーと子ネズミに気
付く。)あ・・・!!イタチとネズミ・・・!!」
カーク「え・・・?あ・・・こいつ!!僕のネズミを襲いに来たんだ
な!!」
ジーク「カーク!!そっちから回れ!!」
カーク「うん!!」
ジークとカーク、両方から挟むようにネリー
を、横にあったカゴで捕まえる。
ジーク「やった!!」
ネリー「あっ!!キャーッ!!何すんのよ!!出して・・・出して
よーっ!!」
カーク「捕まえたぞっ!!」
チュー吉「ああー・・・助かった・・・」
チュー介「よかった・・・」
チュー吉「命拾いしたな・・・。」
大人ネズミ「チュー介・・・(ホッとしたように座り込む。)」
その時、上手より、ジークとカークの父親登場。
父親「おい、ジ―ク、カーク!何を騒いでいるんだ?ルークとル
ータが起きるだろ?」
ジ―ク「あ・・・父さん、それが・・・」
カーク「イタチが部屋に・・・」
父親「イタチ・・・!?」
カーク「うん。」
父親「どうしてイタチが・・・(カゴの中のネズミに気付く。)・・・こ
のネズミ・・・カーク!!おまえ、この間父さんに、このネズ
ミは逃げたって言ったんじゃないか!?どうして、それが
ここにいるんだ!!」
カーク「それは・・・」
父親「おまえは父さんに嘘を吐いて、自分の部屋でネズミを飼っ
てたのか!?だからそのネズミを狙って、イタチが入り込ん
だんだな!!何て奴だ!!父さんに嘘を吐いた罰は大き
いぞ!!」
カーク「ごめんなさい、父さん・・・」
父親「このネズミは、今直ぐに処分だ!!いいな!!」
カーク「えーん・・・!!(泣く。)」
ジ―ク「(チュー吉、チュー介に気付いて。)待って、父さん!!」
父親「ん?何だ、ジ―ク。」
ジ―ク「このネズミは、逃がしてあげて!!」
父親「逃がす・・・!?」
ジ―ク「お願いだよ、父さん!!」
父親「何を言ってるんだ!!このネズミは蔵の米を・・・」
ジ―ク「違うよ!!屹度、蔵の米袋を破いてたのは、このイタチ
だよ!!」
ネリー「え・・・!?え・・・!!ち・・・違うわ!!」
ジ―ク「だから父さん!!このネズミは逃がしてあげて!!屹
度、このネズミは・・・あそこにいる子ネズミ達の父さん
なんだよ・・・。」
父親「何だと?」
(父親、カーク、下手端で、恐々様子を見ていた
チュー吉、チュー介を認める。)
ジ―ク「屹度・・・捕まった父さんネズミを捜しに来たんだよ・・・。
だから・・・だから逃がしてあげようよ!!」
父親「しかし・・・」
ジ―ク「それに、イタチを捕まえたじゃない!!イタチなら、その
うち毛皮を売って、お金にもなるし!!ネズミを飼ってたっ
て・・・勿論、殺して皮を剥いだって1円の得にもならない
じゃないか!!だから・・・な!!カークもネズミは諦めろ
!!その変わり、父さんにイタチを飼いたいって頼むんだ
!!ほら!!(カークの頭を押さえる。)お願いします、父
さん!!」
カーク「(泣き声で。)お願いします・・・父さん・・・」
父親「・・・(溜め息を吐いて。)仕方ない・・・。そんなに言うなら、
あの子ネズミ達に父親は返してやれ・・・。」
ジ―ク「父さん!!ありがとう!!」
カーク「ありがとう・・・」
ジ―ク、カゴの扉の柵を開けてやる。と、
大人ネズミ、大急ぎでカゴの中から走り出、
チュー介の側へ。
チュー介「父ちゃん!!」
大人ネズミ「チュー介!!」
チュー吉「よかったね。」
チュー介「うん!!ありがとう、チュー吉くん!!」
大人ネズミ「さぁ、帰ろう!!」
大人ネズミ、チュー介下手へ走り去る。
チュー吉、続いて行こうとするが、ふと振り返り
ジ―クを見詰める。
(一瞬の間、ジ―ク、チュー吉見詰め合う。)
チュー吉、下手へ走り去る。
ネリー「ちょ・・・ちょっと、待ってよ!!私はどうなるのよーっ!
!」
父親「(カゴの中に捕まっていたネリーを見る。)いい毛皮だな
ぁ・・・。思わぬ収穫だ。(笑う。)」
ネリー「助けてーっ!!」
紗幕閉まる。
――――― 第 7 場 ―――――
紗幕前。
チュー介の声「父さーん!!行って来まーす!!」
下手より、チュー介登場。
チュー吉の声「母さーん!!行って来まーす!!」
上手より、チュー吉登場。
チュー吉、チュー介お互いを認め、駆け寄る。
チュー吉「おはよう!!」
チュー介「おはよう!!」
チュー吉「行こう!!(笑う。)」
チュー介「うん!!(笑う。)」
2人、楽しそうに上手へ走り去る。
音楽流れ、鐘の音が響く。(“キーンコーン”
“カーンコーン”)
紗幕開く。と、学校の教室。
沢山の子ネズミ達、元気に歌っている。
“ここは僕達ネズミの学校
みんなが仲良く みんなが友達
誰も悪いことしない
みんなで楽しく暮らしてる
ここは僕達ネズミだけの国
みんな仲間で気心知れてる
だから安心ここにいれば
何も危険なことなんてない!!”
その時、上手よりチュー吉、チュー介
走り登場。
チュー吉、チュー介「おはようございまーす!!」
チュー子先生「これ、チュー吉くん!!チュー介くん!!2人揃っ
て今日も遅刻ですよ!!いくら仲がいいからって、
悪いところまで真似することないでしょう。(溜め息
を吐く。)」
チュー吉、チュー介「ごめんなさい。(笑う。)」
“ここは僕達ネズミの大国
たとえ何があっても仲間なんだ
力を合わせて立ち向かえば
乗り越えられない壁はない
ここは僕達ネズミだけの国
君と僕との出会いの場所
みんなが誰かの為を思う
そんな小さな大切な心
そんな心の輪を広げよう”
チュー介、他の子ネズミ達と楽しそうに
ふざけ合っている。
それを嬉しそうに見詰めるチュー吉。
チュー吉「これがチュー介と僕が友達になれた経緯なんだ。今
では無二の親友のチュー介と僕は、学校でも沢山の
友達と一緒に、楽しく学校生活を送っている・・・筈だ
ったんだけれど・・・そんなある時、楽しい筈の学校で、
大変な事件が起きたんだ・・・!!ま、その話しはまた
何れ・・・。どんな時も、友達は掛け替えのない宝物だ
から・・・みんなも友達を大切にしてね!!さよなら!!
」
――――― 幕 ―――――
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