2013年8月1日木曜日
“チュー吉くんの君は友だち・・・” ―全○場―
〈主な登場人物〉
チュー吉 ・・・ 本編の主人公。ネズミ学校に通う子ネズミ。
チュー介 ・・・ ネズミ学校の転校生。
チュー子先生 ・・・ ネズミ学校の先生。
子ネズミ達
その他
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
音楽フェード・インする。(幕は開けておく。)
「ここはネズミ学校の教室です。
少し覗いてみましょうか・・・。あら・・・小さな子ネズミ
達が沢山・・・楽しそうに歌を歌って遊んでいます。」
(ライトが点き、音楽明るく。)
――――― 第 1 場 ―――――
ネズミ学校の教室。
沢山の子ネズミ達、元気に歌っている。
“ここは僕達ネズミの学校
みんなが仲良く
みんなが友達
誰も悪いことしない
みんなで楽しく暮らしてる
ここは僕達ネズミだけの国
みんな仲間で
気心しれてる
だから安心ここにいれば
何も危険なことなんてない!”
その時、鐘の音が鳴り響く。(“キーンコーン”
“カーンコーン”)
そこへ上手より、一匹の子ネズミ(チュー吉)
慌てて走り登場。
チュー吉「わあーっ!!遅刻だー!!」
子ネズミ1「チュー吉!!」
子ネズミ2「チュー吉、遅いぞ!!」
チュー吉「寝坊しちゃったんだ!!先生は!?」
子ネズミ1「まだだよ。」
チュー吉「(ホッとしたように。)よかった・・・ふう・・・。(席に着く。)
」
子ネズミ3「駄目だなぁ、チュー吉は。(笑う。)」
子ネズミ2「遅刻ばっかしてたんじゃ、その内、先生に大目玉食う
ぜ。(笑う。)」
チュー吉「だって、ジ―クのとこにも寄ってたし・・・。」
子ネズミ1「ジ―ク・・・?」
子ネズミ2「ジ―クって、例の人間かい?」
チュー吉「そうだよ!」
子ネズミ3「チュー吉・・・人間と仲良くするなんて危ないぜ。」
チュー吉「大丈夫さ!ジ―クはとっても優しくて、僕にいつもビス
ケットをくれるんだ。」
子ネズミ1「そんな、食べ物で釣るなんて・・・」
チュー吉「釣るって何だよ!!ジ―クはそんなことしないよ!!」
子ネズミ1「ごめん・・・。」
子ネズミ2「けど、気を付けろよな。」
チュー吉「うん、分かってる・・・。心配してくれてありがとう。」
子ネズミ3「俺達みんな友達だろ!!」
子ネズミ1「当たり前じゃないか!」
チュー吉「そうだね。」
子ネズミ達、歌う。
“ここは僕達ネズミの学校
みんなが仲良く
みんなが友達
だから仲間の為になら
みんなで力を合わせて
立ち向かう!!”
子ネズミ4「あ!先生が来たわ!!」
子ネズミ2「やばい!!早く、席に着こうぜ!!」
子ネズミ達、席に着く。
その時、上手よりネズミ学校の先生
(チュー子先生。)、一匹の子ネズミ
(チュー介。)を伴って登場。
チュー子先生「皆さん、おはようございます。」
子ネズミ達口々に「おはようございます、チュー子先生!!」
子ネズミ達、チュー介を認め、口々に
コソコソと。
「見て見て!!」
「わぁ、誰だ!?」
「転校生?」
「へぇ・・・」
チュー子先生「これ、静かに!」
子ネズミ達黙る。
チュー子先生「(チュー介に。)さぁ、こっちへいらっしゃい。」
チュー介、チュー子先生の側へゆっくり
近寄る。
チュー子先生「さぁ、チュー介くん、クラスのみんなに自己紹介
なさいな。」
チュー介「・・・(黙ったまま横を向いている。)」
チュー子先生「チュー介くん?(チュー介の様子に、溜め息を吐
き。)この子はチュー介くん。今日から皆さんと一
緒に勉強することになりました。仲良くしてあげて
下さいね。」
子ネズミ達口々に「はーい!!」
チュー子先生「さぁ、チュー介くん、そこの窓際のチュー吉くんの
隣の席へ座りなさい。チュー吉くん!チュー介くん
に色々と教えてあげてね。」
チュー吉「はい!」
チュー介、チュー吉の隣の席の方へ。
チュー吉「よろしく、チュー介!仲良くしようね!(握手を求める
ように、手を差し出す。)」
チュー介「(チラッとチュー吉が差し出した手を見るが、知らん顔
して席に着く。)」
チュー吉「あ・・・おい君・・・。何だよ・・・。」
チュー子先生「さぁ、教科書を開いて下さい・・・」
紗幕閉まる。
チュー吉の声「最初は全く話もしない、何だか変わった奴だなぁ
・・・と思っていた・・・それが僕とチュー介が初めて
出会った日のことだったんだ・・・。」
――――― 第 2 場 ―――――
紗幕前。中央に大きなカゴ(ネズミ捕り。)
が一つ、置いてある。(中にはチーズ。)
そこへ下手より一匹の大人ネズミ、回りを
キョロキョロ見回しながら登場。
ネズミ捕りに興味を引かれるように、抜き足
差し足近付く。
大人ネズミ「おおっと・・・、さっきからいい匂いがすると思ったら
、こんな所にチーズが落っこちてるじゃないか・・・。
家で腹を空かせて待ってる子ども達に、持って帰っ
てやるとするか・・・。(回りを見回して。)よぉし、人
間はいないな・・・。それじゃあ今のうちに・・・」
大人ネズミ、ゆっくりとネズミ捕りに足を
踏み入れる。と、大きな音(“ガッシャーン”)を
たてて、ネズミ捕りの入口の柵が閉まる。
大人ネズミ「わあーっ!!罠だ!!畜生!!出しやがれ!!
出せ!!出せよ!!ここから出してくれーっ!!
(柵をガタガタ揺する。)」
その時、人間の足音が近付く。(“ドンドンドン・・・”)
大人ネズミ「あっ!!人間だーっ!!出してくれーっ!!誰か
・・・誰かーっ!!」
人間の声「おっと、ネズミが掛かってるぞ!!この野郎、散々
家の蔵の米を食い荒らしやがって!!直ぐに処分
してやる!!」
大人ネズミ「わあーっ!!助けてくれーっ!!」
その時、違う人間の足音が、再び近付く。
(“トントントン・・・”)
子どもの声「父さん!!」
人間の声「ああ、カーク、見てみろこれ。」
子どもの声「わあーっ、ネズミだぁ!!」
人間の声「こいつがいつも、蔵の米の俵を食い破り、中の米を
食べ散らかしてた張本人だぞ!」
子どもの声「へぇー・・・こんな可愛い顔してるのに・・・。」
人間の声「そうだろ?だから直ぐに川に沈めて・・・」
子どもの声「あ、そうだ!母さんに、町まで弟達のミルクを買い
に、馬車を出して欲しいから、父さんを呼んで来て
って言われてたんだ。」
人間の声「今から?」
子どもの声「うん、急ぐんだって。」
人間の声「仕方ないな。こいつの処分は、戻ってからすることに
しよう。カーク!そのネズミに手を出すんじゃないぞ。
噛み付かれでもしたら大変だからな。」
子どもの声「うん。」
一人の人間の足音、段々遠ざかる。
子どもの声「・・・へぇ・・・。おまえ、可愛い顔してんなぁ・・・。」
大人ネズミ「わ・・・わあ・・・出せ!!出せー!!(柵をガタガタ
揺する。)」
子どもの声「・・・ビスケット・・・食べる・・・?」
大人ネズミ「・・・わあーっ!!・・・(鼻をクンクンさせる。)・・・え
・・・?」
子どもの声「ほら・・・」
大人ネズミ「何だ・・・?(ビスケットを拾い上げ、手に持つ。)」
子どもの声「お食べ・・・」
大人ネズミ「(暫く手に持ったビスケットを見詰めているが、恐る
恐る一口かじる。)・・・美味い・・・」
子どもの声「美味しいかい?君、ビスケット食べるんだ。ジ―ク
兄ちゃんが言ってた通りだ・・・。可愛いなぁ・・・。そ
うだ!!父さんに内緒で、部屋でコッソリ僕が飼お
う!!父さんには、逃げたって言えばいいや!!
さぁ、おいで。僕の部屋へ一緒に行こう。」
大人ネズミ「わっ・・・ど・・・どこに連れて行きやがるんだよ!!
わあーっ!!」
ネズミ捕りのカゴ、大人ネズミ下がる。
――――― “チュー吉くんの君は友だち”2へつづく ―――――
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