2013年7月15日月曜日

“みりとポン吉” ―全9場― 2

 ポン吉「分からないんだ・・・」
  みり「分からないって・・・」
 ポン吉「昨日も言ったけど・・・墜落した時の衝撃で、僕の体は
       この宇宙船から飛び出して、どっか行っちゃったんだよ
       ・・・。」
  みり「どっかって・・・じゃあどうするの!?体がなけりゃ、帰れな
     いんでしょ?」
  ポン吉「うん・・・。一体、僕の体・・・何処にあるんだろう・・・。」
  みり「・・・ポン吉・・・」
  
         明るい音楽流れ、みり、元気よく歌う。

         “大丈夫よポン吉
         捜し物なんて直ぐに見つかるわ
         大丈夫よポン吉
         あなたには心強い味方がいるもの
         独りぼっちじゃないわ
         あなたと私2人なら
         無くした物は直ぐに見つかるわ
         だから大丈夫よ
         2人で捜しに行きましょう!!”

  ポン吉「みり・・・うん!!」

         ポン吉歌う。

         “捜し物は直ぐに見つかるよ
         平気な筈さ
         一人じゃないから
         君と2人なら勇気も湧いてくる
         だから力を貸してね みり!!”

  みり「勿論よ!!」
  ポン吉「でも・・・どうやって捜せばいいんだろう。こんな広い場所
       から、ちっぽけな僕の体を見つけることなんて、本当に
       出来るのかな・・・。」
  みり「何、気弱なこと言ってるの!?2人で捜せば、何とかなる
     わ!!宇宙船だって、この通り見つかったじゃない!!」
  ポン吉「・・・うん・・・そうだね!!」
  みり「・・・それより、あなたの体、何か目印になるような物は着け
     てないの!?」
  ポン吉「・・・目印?」
  みり「例えば、大きな鞄をぶら下げてるとか・・・光る服を着てる
     とか・・・携帯電話を持ってるとか!!」
  ポン吉「携帯・・・電話・・・?」
  みり「あら、知らないの?(ポケットから、携帯電話を取り出し。)
     ほら、これよ!!これがあれば、とっても便利なのよ!!
     何たって、遠くの人と話しが出来るんだから!!」
  ポン吉「ふうん・・・。僕らの星の、テレパシーみたいなものかな
       ・・・?そんな物、使わなくたって、僕らは話したい相手
       の頭の中に、直接話しかけるんだよ。」
  みり「直接ですって!?(何かに反応するように。)分かってるわ
     よ!!だからこうやって一生懸命捜して・・・(分かったよう
     に溜め息を吐き、ポン吉を見る。)今のがテレパシー・・・?」
  ポン吉「まあね・・・。」
  みり「凄いのね・・・あなたの声が心の中に聞こえたわ。(ハッと
     して。)そんなことより、何か目印よ!!捜す為に、手掛かり
     になるようなもの・・・。」
  ポン吉「(一時考えて。)そうだ!!光る服は着てないけど・・・僕
       が首から提げてたペンダントが、満月の夜、月が真上に
       来た時、その明かりに反応して光るんだ。」
  みり「それよ!!満月って言えば・・・丁度、今夜だわ!!これで
     見つかるわね、あなたの体!!」
  ポン吉「うん!!」

         音楽で暗転。
    ――――― 第 4 場 ――――― A

         舞台明るくなる。と、紗幕前。
         上手より、メアリ登場。続いてヒューイ、
         大きな箱を重そうに抱えたトンリー登場。

  ヒューイ「あああ、退屈だなぁ・・・。今日は学校も冴えなかったし
        ・・・。何で、みりの奴、休んでんだよ。」
  メアリ「知らないわよ、そんなこと!!それよりその箱、落とさな
      いでよ!!」
  トンリー「分かってるよ・・・。」
  ヒューイ「よかったな、メアリ。卒業パーティ用のドレス、買っても
        らえて。」
  メアリ「これで明日の卒業パーティで、皆の視線は私のものよ!
      」              ※
  トンリー「あああ・・・重いなぁ・・・(ボソッと独り言のように。)」
  ヒューイ「何だ?しっかり持てよ!落とすんじゃないぜ。」
  トンリー「はいはい。」
  メアリ「今日はみりが学校休んでて、苛める相手がいないから
      ムシャクシャしてたけど、素敵なドレスを買ってもらった
      お陰で、スッキリしたわ。次はこのドレスに合う、鞄と靴を
      パパにおねだりしなくちゃ。」

         メアリ、歌う。
         ヒューイ、トンリー、メアリの回りを踊る。

         “素敵なドレスに可愛い鞄
         大人びたヒールに光輝く宝石類
         誰が見ても一番目を引く
         飛びっきりのレディ
         誰もが私と踊りたがるわ
         誰もが私にダンスを申し込むの
         ラストダンスの相手に選ばれた者は
         最高の栄誉に酔い痴れるわ”

         3人、下手へ去る。

    ――――― 第 4 場 ――――― B

         上手方スポットに、みりのママ、受話器を
         持って電話しているように。

  ママ「はい・・・はい・・・え?みりが、今日学校をお休みしたんで
     すか!?まぁ、本当にあの子ったら何処ほっつき歩いて・・・
     。朝は元気に“行って来ます”なんて出て行ったんですけど
     ・・・。はい・・・はい、帰ったらきつく言い聞かせますから・・・
     本当にすみません・・・。」

         ママ、フェード・アウト。

    ――――― 第 5 場 ――――― A

         舞台明るくなる。と、舞台中央、みりとポン吉
         座り込んで話している。

  みり「ね!あなたの星ってどんな感じ?この地球に似てるのか
     しら?」
  ポン吉「顔形や姿は、似てるかな・・・」
  みり「あら・・・あなたタヌキじゃないの?」
  ポン吉「酷いな・・・。これは地球での仮の姿だよ。」
  みり「そうなの。」
  ポン吉「でも、科学の進歩はこの地球とは、比べ物にならない
       くらい、格段に進んでるよ。」
  みり「そうね・・・。宇宙船だなんて、聞いたことがないもの。」
  ポン吉「宇宙船だけじゃないさ。僕らの星には、タイムマシン
       だってあるんだよ。」
  みり「タイムマシン・・・?」
  ポン吉「そう!自由に昔に行ったり、未来に行ったり出来るんだ
       。タイムマシンで行く、未来ツアーなんてのもあるんだ
       から。」
  みり「へぇ・・・凄いのね。何でも未来のこと、分かっちゃうのね。
     じゃあ、ひょっとして・・・宇宙船を悪戯して、飛ばされちゃう
     ってことも知ってたりして。(笑う。)」
  ポン吉「(笑う。)・・・うん・・・」
  みり「・・・うん?うんって、知ってたの!?知ってたのに何故?」
  ポン吉「・・・つい・・・(笑って誤魔化す。)」
  みり「もう、仕様がないポン吉ねぇ!!」
  ポン吉「何故・・・僕が宇宙船を悪戯して、飛ばされることを知っ
       てたのに、発射ボタンを押したと思ってる・・・?」
  みり「そんなの、どうせあなたが忘れてたからでしょ?(笑う。)
     ・・・今・・・何か言った?」
  ポン吉「う・・・ううん!」
  みり「(何かを見つけたように。)見て、ポン吉!!四つ葉のクロ
     ーバーよ!!」
  ポン吉「本当だ!!地球でも四つ葉のクローバーって、何か特
       別な意味があるの?」
  みり「地球でも・・・って」
  ポン吉「僕達の住む星では、近代化が進んで、今じゃ土のある
       場所なんて、極僅かなんだ。その中で四つ葉のクロー
       バーを見つけるって、凄いことなんだよ。四つ葉のクロ
       ーバーを手に入れた者は、何でも願いが叶うって言わ
       れてるんだ・・・。」
  みり「へぇ・・・。はい!(四つ葉のクローバーを、ポン吉の方へ
     差し出す。)あなたにあげるわ!」
  ポン吉「え・・・?」
  みり「この地球でも、四つ葉のクローバーは幸せのお守りよ!
     屹度あなたの体、見つかるわ!!」
  ポン吉「みり・・・(クローバーを受け取り、見詰め呟くように歌う
       。)」

         “四つ葉のクローバーは
         幸せを運んで来る・・・
         僕の願いを叶える為に・・・”

         その時、下手よりメアリ、ヒューイ、トンリー
         話しながら登場。みりを認め、顔を見合わせ
         ゆっくり近付く。

  メアリ「あら・・・みりじゃない。」
  みり「メアリ・・・」

         ポン吉、じっとして動かなくなる。

  メアリ「学校サボって何してるの?こんな所で・・・」
  みり「何だっていいじゃない・・・。あなたに関係ないでしょ・・・」
  メアリ「ふうん・・・。私、今日ママに町の洋服屋さんで、とっても
      素敵なパーティドレスを買って貰ったのよ!ね!(ヒュー
      イとトンリーに。)」
  ヒューイ「ああ。」
  トンリー「とってもメアリに似合ってる。」
  メアリ「あなたは何を着て行くの?折角の卒業パーティだもの、
      その格好じゃあねぇ・・・。でも、あなたなんか卒業パー
      ティに相手してくれる男の子もいなかったわね。ドレスな
      んて関係ないわね。一番メインのラストダンスは誰とも
      踊らないで、一人で壁の花なんて可哀相。(笑う。)」
  
  ポン吉(心の声)「みりは誰かさんみたいに、気飾らなくても十分
             綺麗なんだ。」
  
  メアリ「何ですって!?」
  トンリー「どうしたんだい、メアリ?」
  メアリ「ヒューイ!!トンリー!!今、私に変なこと囁いたでしょ
      !?」
  ヒューイ「俺達、何も言わないさ!!なぁ、トンリー!!」
  トンリー「うん・・・」

  ポン吉(心の声)「おまえ達も我が儘お嬢様相手に大変だな。(
             笑う。)」

  ヒューイ「そうなんだよ・・・」
  トンリー「うん・・・」
  メアリ「どう言うこと!?」
  トンリー「え・・・?いや・・・」
  ヒューイ「俺達、何も・・・」
  メアリ「“我が儘お嬢様”ってどう言うことよ!!」
  みり「(小声で。)・・・ポン吉?」
  ポン吉「(みりに囁くように。)だって、みりに言いたい放題言い
       やがって、頭にきたんだ。」
  みり「駄目よ!!バレたらどうするの?でも・・・ありがとう・・・。
     (笑う。)」
  メアリ「何が可笑しいの!?」
  みり「(首を振る。)」
  ヒューイ「(ポン吉に気付いて。)おい、メアリ!!こいつ、変わっ
        た人形持ってるぜ。」
  トンリー「本当だ・・・。なんだ、このぬいぐるみ。(足で突いてみ
       る。)」
  みり「やめてよ!!」
  メアリ「何?みりってば、こんな大きなぬいぐるみ持って、ウロウ
      ロしてるの?」
  みり「いいでしょ!!ほっといてよ!!」

         みり、ポン吉を抱き抱えて行こうとする。

  メアリ「待ちなさいよ。何、そんなに大切そうに抱えてるの?ちょ
      っと見せてよ。ヒューイ!!トンリー!!」

         ヒューイ、トンリー、ポン吉を取ろうとする。

  みり「嫌よ!!止めて!!ポン吉!!」

         ヒューイ、トンリー、ポン吉を取り上げる。

  メアリ「ポン吉?」
  みり「ポン吉を返して!!」
  メアリ「(笑って。)ポン吉だなんて、変な名前。(ポン吉をマジマ
      ジ見て。)ポン吉っぽい顔・・・。汚いぬいぐるみねぇ・・・。」
  みり「そんなこと、どうだっていいでしょ!?早く返してよ!!」
  メアリ「向きになっちゃって可笑しい・・・。(ニヤリと笑う。)ちょっ
      とこのぬいぐるみ借りて行くわ。」
  みり「駄目よ!!」
  メアリ「ヒューイ!!トンリー!!」
  ヒューイ「じゃあ、みり、ちょっと借りてくぜ。」
  みり「ポン吉を返して!!」

         みり、ヒューイ、トンリーに掴みかかるが、
         押し退けられる。

  みり「キャッ!!(倒れる。)」

  ポン吉(心の声)「みり!!」

         ヒューイ、トンリー、ポン吉を抱えて上手へ
         去る。メアリ、笑いながら続いて去る。

  みり「ポン吉!!ポン吉ー!!・・・屹度助け出すわ・・・屹度、
     助けに行くからねー!!」
         
    ――――― 第 5 場 ――――― B

         みり、スポットに浮かび上がり歌う。

         “大切な私の友達
         遥か彼方
         宇宙の何処からか
         突然私の前に現れたあなただけど
         出会ったばかりの私達
         でも私にはとても大切な友達だわ
         姿形はただのぬいぐるみでも
         心はちゃんと通い合う
         生まれて初めて見つけた大切な友達”

  みり「ポン吉、待ってて!!」

         舞台明るくなる。と、みりの部屋。

  みり「(ベットの脇の木箱を探るように。)えっと・・・何処に仕舞っ
     たかしら・・・。あった!!これこれ・・・っと・・・」

         みり、木箱から取り出したヘルメットを被り、
         木の棒を掲げる。ベットの上に立ち上がり。

  みり「待ってなさい、メアリ、ヒューイ、トンリー!!私の大切な
     ポン吉を奪っといて、ただで済むと思ったら大間違いよ!!
     」

         その時、下手よりみりのママ登場。

  ママ「みり!!“ただいま”も言わないで、ドタバタ部屋に駆け込
     んだと思ったら、何て格好・・・(呆れたように。)それにあな
     た、今日学校どうしたの!?朝“行って来ます”って出て行
     ったっきり、こんな時間まで、どこほっつき歩いて・・・」
  みり「ママ!!お説教なら後でいくらでも聞くわ!!私、忙しい
     の!!今から決死の救出大作戦決行よ!!」

         みり、上手へ走り去る。

  ママ「あ・・・みり!!みり、待ちなさい!!みり・・・。決死の救出
     大作戦・・・って・・・」

         







     ――――― “みりとポン吉”3へつづく ―――――










     ※ 何の卒業パーティか・・・は、あまり深く考えないで
       ください^^;


























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