ネリー「さぁ、涙のご対面は終わりだよ。」
大人ネズミ「誰かいるのか・・・?(ネリーは見えない風に。)」
ネリー「あんた達を道案内して、この部屋まで連れて来てやった
。私の仕事は終わりだよ。次はあんた達が、私に礼をす
る番だからね・・・。」
大人ネズミ「(ネリーに気付いて。)イタチじゃないか!!チュー
介!!早く友達と逃げるんだ!!」
チュー介「父ちゃん・・・?」
大人ネズミ「イタチはそんな小さい体をしているが、凶暴な肉食
獣だぞ!!」
チュー吉「肉食・・・?」
大人ネズミ「俺達みたいなネズミは、ひとたまりもないんだ!!
だから早く・・・!!」
ネリー「あーら・・・そんなカゴの中から、この子達に余計な忠告
をありがとう。けど、約束だからね!!“それなりのお礼”
!!私は危険を冒してここまで付いて来てやったんだ!
!だから、あんた達も私の為に、私のこの空腹を満たして
頂戴!!」
チュー吉「え・・・?」
おとなネズミ「早く逃げろ!!」
緊迫した音楽流れる。
ネリー、チュー吉とチュー介を追い掛ける。
チュー吉、チュー介悲鳴を上げて逃げ回る。
チュー吉「わあーっ!!」
チュー介「助けてーっ!!」
チュー吉「助けてーっ!!」
大人ネズミ「チュー介!!チュー介ーっ!!」
大人ネズミ、カゴを両手でガタガタ揺らす。
と、その時上手よりジ―クとカーク登場。
カーク「何だか騒がしいなぁ・・・」
ジーク「えらくカゴの中の奴、暴れてるみたいだけど・・・。」
カーク「え・・・?」
ジーク「父さんに見つかったら大変だぞ。」
カーク「うん。(カゴを見て。)おい!おまえ、何を騒いでんだよ。
ガタガタ揺らして大きな音出してたら、父さんに見つかっ
てしまうだろ!?」
ジーク「おい、カーク・・・(走り回っているネリーと子ネズミに気
付く。)あ・・・!!イタチとネズミ・・・!!」
カーク「え・・・?あ・・・こいつ!!僕のネズミを襲いに来たんだ
な!!」
ジーク「カーク!!そっちから回れ!!」
カーク「うん!!」
ジークとカーク、両方から挟むようにネリー
を、横にあったカゴで捕まえる。
ジーク「やった!!」
ネリー「あっ!!キャーッ!!何すんのよ!!出して・・・出して
よーっ!!」
カーク「捕まえたぞっ!!」
チュー吉「ああー・・・助かった・・・」
チュー介「よかった・・・」
チュー吉「命拾いしたな・・・。」
大人ネズミ「チュー介・・・(ホッとしたように座り込む。)」
その時、上手より、ジークとカークの父親登場。
父親「おい、ジ―ク、カーク!何を騒いでいるんだ?ルークとル
ータが起きるだろ?」
ジ―ク「あ・・・父さん、それが・・・」
カーク「イタチが部屋に・・・」
父親「イタチ・・・!?」
カーク「うん。」
父親「どうしてイタチが・・・(カゴの中のネズミに気付く。)・・・こ
のネズミ・・・カーク!!おまえ、この間父さんに、このネズ
ミは逃げたって言ったんじゃないか!?どうして、それが
ここにいるんだ!!」
カーク「それは・・・」
父親「おまえは父さんに嘘を吐いて、自分の部屋でネズミを飼っ
てたのか!?だからそのネズミを狙って、イタチが入り込ん
だんだな!!何て奴だ!!父さんに嘘を吐いた罰は大き
いぞ!!」
カーク「ごめんなさい、父さん・・・」
父親「このネズミは、今直ぐに処分だ!!いいな!!」
カーク「えーん・・・!!(泣く。)」
ジ―ク「(チュー吉、チュー介に気付いて。)待って、父さん!!」
父親「ん?何だ、ジ―ク。」
ジ―ク「このネズミは、逃がしてあげて!!」
父親「逃がす・・・!?」
ジ―ク「お願いだよ、父さん!!」
父親「何を言ってるんだ!!このネズミは蔵の米を・・・」
ジ―ク「違うよ!!屹度、蔵の米袋を破いてたのは、このイタチ
だよ!!」
ネリー「え・・・!?え・・・!!ち・・・違うわ!!」
ジ―ク「だから父さん!!このネズミは逃がしてあげて!!屹
度、このネズミは・・・あそこにいる子ネズミ達の父さん
なんだよ・・・。」
父親「何だと?」
(父親、カーク、下手端で、恐々様子を見ていた
チュー吉、チュー介を認める。)
ジ―ク「屹度・・・捕まった父さんネズミを捜しに来たんだよ・・・。
だから・・・だから逃がしてあげようよ!!」
父親「しかし・・・」
ジ―ク「それに、イタチを捕まえたじゃない!!イタチなら、その
うち毛皮を売って、お金にもなるし!!ネズミを飼ってたっ
て・・・勿論、殺して皮を剥いだって1円の得にもならない
じゃないか!!だから・・・な!!カークもネズミは諦めろ
!!その変わり、父さんにイタチを飼いたいって頼むんだ
!!ほら!!(カークの頭を押さえる。)お願いします、父
さん!!」
カーク「(泣き声で。)お願いします・・・父さん・・・」
父親「・・・(溜め息を吐いて。)仕方ない・・・。そんなに言うなら、
あの子ネズミ達に父親は返してやれ・・・。」
ジ―ク「父さん!!ありがとう!!」
カーク「ありがとう・・・」
ジ―ク、カゴの扉の柵を開けてやる。と、
大人ネズミ、大急ぎでカゴの中から走り出、
チュー介の側へ。
チュー介「父ちゃん!!」
大人ネズミ「チュー介!!」
チュー吉「よかったね。」
チュー介「うん!!ありがとう、チュー吉くん!!」
大人ネズミ「さぁ、帰ろう!!」
大人ネズミ、チュー介下手へ走り去る。
チュー吉、続いて行こうとするが、ふと振り返り
ジ―クを見詰める。
(一瞬の間、ジ―ク、チュー吉見詰め合う。)
チュー吉、下手へ走り去る。
ネリー「ちょ・・・ちょっと、待ってよ!!私はどうなるのよーっ!
!」
父親「(カゴの中に捕まっていたネリーを見る。)いい毛皮だな
ぁ・・・。思わぬ収穫だ。(笑う。)」
ネリー「助けてーっ!!」
紗幕閉まる。
――――― 第 7 場 ―――――
紗幕前。
チュー介の声「父さーん!!行って来まーす!!」
下手より、チュー介登場。
チュー吉の声「母さーん!!行って来まーす!!」
上手より、チュー吉登場。
チュー吉、チュー介お互いを認め、駆け寄る。
チュー吉「おはよう!!」
チュー介「おはよう!!」
チュー吉「行こう!!(笑う。)」
チュー介「うん!!(笑う。)」
2人、楽しそうに上手へ走り去る。
音楽流れ、鐘の音が響く。(“キーンコーン”
“カーンコーン”)
紗幕開く。と、学校の教室。
沢山の子ネズミ達、元気に歌っている。
“ここは僕達ネズミの学校
みんなが仲良く みんなが友達
誰も悪いことしない
みんなで楽しく暮らしてる
ここは僕達ネズミだけの国
みんな仲間で気心知れてる
だから安心ここにいれば
何も危険なことなんてない!!”
その時、上手よりチュー吉、チュー介
走り登場。
チュー吉、チュー介「おはようございまーす!!」
チュー子先生「これ、チュー吉くん!!チュー介くん!!2人揃っ
て今日も遅刻ですよ!!いくら仲がいいからって、
悪いところまで真似することないでしょう。(溜め息
を吐く。)」
チュー吉、チュー介「ごめんなさい。(笑う。)」
“ここは僕達ネズミの大国
たとえ何があっても仲間なんだ
力を合わせて立ち向かえば
乗り越えられない壁はない
ここは僕達ネズミだけの国
君と僕との出会いの場所
みんなが誰かの為を思う
そんな小さな大切な心
そんな心の輪を広げよう”
チュー介、他の子ネズミ達と楽しそうに
ふざけ合っている。
それを嬉しそうに見詰めるチュー吉。
チュー吉「これがチュー介と僕が友達になれた経緯なんだ。今
では無二の親友のチュー介と僕は、学校でも沢山の
友達と一緒に、楽しく学校生活を送っている・・・筈だ
ったんだけれど・・・そんなある時、楽しい筈の学校で、
大変な事件が起きたんだ・・・!!ま、その話しはまた
何れ・・・。どんな時も、友達は掛け替えのない宝物だ
から・・・みんなも友達を大切にしてね!!さよなら!!
」
――――― 幕 ―――――
りとるぱいんワールド
2013年8月26日月曜日
2013年8月18日日曜日
“チュー吉くんの君は友だち・・・” ―全7場― 3
カークの声「これから僕がのこ部屋で飼うんだ!」
ジ―クの声「飼うだって?父さんに見つかったら、大目玉だよ。」
カークの声「見つからないように、コッソリ飼うよ!」
ジ―クの声「でも・・・こんな狭いカゴに閉じ込めてちゃ、可哀相
じゃないか?」
カークの声「いいんだ!!だから、兄ちゃんも父さんには内緒だ
からね!!僕達の秘密だよ!!」
その時、ジ―ク達の父親の声が聞こえる。
父親の声「おーい、ジ―ク!!カーク!!どこにいるんだ!?
母さんと買い物に行って来るから、ルークとルータ
の面倒を見といてくれ。」
ジ―クの声「はーい!!直ぐ行くよ!!」
カークの声「ねぇ、兄ちゃん!!絶対に内緒だよ!!」
ジ―クの声「うん、分かったよ。」
2人の人間の足音、段々遠ざかる。
大人ネズミ、再び歌う。
“こんな風にいつまで怯えて
生きて行くんだろう俺は・・・”
カゴに入った大人ネズミ下がる。
紗幕開く。
――――― 第 5 場 ――――― A
人間の家の中。(壁の裏。)
下手よりチュー吉、チュー介、回りを見回し
ながら、恐る恐る一歩一歩確かめるように
登場。
チュー吉「ジ―クん家は、隅々まで知り尽くしているつもりだった
けど・・・さすがに壁の裏なんて、あんまり来たことがな
いよなぁ・・・。」
チュー介「僕は地下の自分家から、出たことなんて殆どないか
ら・・・」
チュー吉「本当に?」
チュー介「う・・・うん・・・。」
その時、見知らぬ声が聞こえる。
声「あーら、お2人さん・・・」
チュー吉「え・・・?」
声「こんな壁の裏へ、一体何のご用かしら?」
チュー吉「誰?」
そこへ、後方の物陰から、一匹のイタチ(ネリー)
しなやかな足取りで登場。
チュー吉「あなたは・・・」
ネリー「私はこの壁の裏で、ひっそり暮らすイタチのネリー・・・。
お2人さんは・・・(チュー吉、チュー介を舐めるように見る
。)子ネズミだね?(ニヤリと微笑む。)」
チュー吉「うん。僕らもこの家に住んでるんだ。」
ネリー「へぇ・・・同じ家の中に、こんなに美味しそうな子ネズミ
が、2匹もいたなんて・・・(小声で。)」
チュー吉「え・・・?」
ネリー「(笑う。)何でもないわよ。ところであなた達は、何処へ行
こうとしているのかしら?」
チュー吉「僕達はこの壁の向こうに・・・」
ネリー「壁の向こう!?この壁の向こうは、人間達の住む恐ろし
い場所だよ!」
チュー吉「その人間に用があるんだ、僕達。」
ネリー「人間に用があるって・・・。向こうは私達にあるかも知れ
ないけど、こっちから人間に用があるだなんて、変な奴ら
だねぇ・・・。」
チュー吉「ねぇ、ネリーさん!ネリーさんは、ずっとここに住んで
るの?」
ネリー「ああ、そうさ。」
チュー吉「じゃあ、この家の人間のことは、よく知ってる?」
ネリー「そりゃあ、人間とは壁一枚挟んだお隣さんだ。人間のこ
とは、よおく知ってるるよ。」
チュー吉「そしたら、少し前に僕らと同じネズミが、この家の人間
に捕まって、連れて来られたと思うんだ。ネリーさんな
らそのネズミのこと、知ってるんじゃないの?」
ネリー「ああ・・・あのネズミ捕りに捕まった、ドン臭い奴のことな
ら知ってるよ。」
チュー介「本当!?」
ネリー「(小声で。)何もあんなとこに入って、態々捕まらなくても
、私の食事になってくれりゃあいいものを・・・。」
チュー吉「今、そのネズミは何処で如何しているか分かる!?」
ネリー「さぁ・・・。でも、ネズミ捕りに捕まったんだから、とっくの昔
に殺されて・・・」
チュー介「殺され・・・父ちゃん・・・」
チュー吉「そんなことないよ!!屹度この家の何処かで生きて
いる筈なんだ!!ねぇ、ネリーさん!!ネリーさんは
この家の中のことに詳しいんでしょ!?僕らの仲間が
何処に捕まっているか、捕まっていそうな場所を、一
緒に考えてよ!!」
ネリー「(チュー介を見て。)あんたの父さんなのかい?そのドン
臭いネズミは・・・。」
チュー介「・・・うん・・・」
ネリー「ふうん・・・。」
チュー吉「ねぇ、何か思い出さない?」
ネリー「そんなこと言われたってねぇ・・・。そうそう、ここん家には
子どもが4人いるんだけれど・・・」
チュー吉「4人・・・?」
ネリー「下の2人は、まだ赤ん坊だから悪戯なんて出来っこない
けど・・・上のジ―クとカークは・・・」
チュー吉「・・・ジ―ク?」
ネリー「ええ。一番上の子どもの名前が、確かジ―ク・・・」
チュー吉「・・・へぇ・・・ビスケットのジ―クが・・・一番上のお兄さ
ん・・・」
ネリー「ジ―クは兎も角、その二番目のカークが曲者だわね。」
チュー吉「曲者・・・?」
ネリー「ええ、まだ学校も行かない小さな餓鬼の癖して、好奇心
旺盛で怖いもの知らず、私は危うく尻尾をちょん切られそ
うになったことがあるのよ!!」
チュー吉「へぇ・・・」
ネリー「もしまだ、あんた達の捜してるそのお父さんが、生かされ
てるとしたら、そのカークが咬んでんじゃないかねぇ・・・。」
チュー介「・・・カーク・・・」
ネリー「あの悪餓鬼なら、カゴの中に閉じ込めたネズミを、玩具
にしてたって不思議じゃないからさ。」
チュー吉「ねぇ、ネリーさん!!僕達をそのカークのいる所へ案
内してくれない!?」
ネリー「え!?いやよ!!何で私が、態々そんな危険な所へ、
何処の誰とも分からないあなた達の為に、行かなきゃな
らないのよ!!」
チュー吉「お願いだよ!!僕達だけでウロウロ人間の前へ出て
行ったって、屹度チュー介の父さんみたいに、捕まって
しまうのが目に見えてるよ!!」
ネリー「・・・お礼は・・・?」
チュー吉「え・・・?」
ネリー「お礼はちゃんとしてくれるんだろうねぇ・・・」
チュー吉「お礼・・・?」
ネリー「ええ。」
チュー吉「何をすればいいの・・・?」
ネリー「ううんと・・・そうねぇ・・・。私も危険を承知で道案内する
んだから、あんた達にもそれなりのことを頼むわ・・・。」
チュー吉「それなりのこと・・・?」
ネリー「そう・・・それなりの・・・。さ、そんなことは後で構わないか
ら、行くならさっさと行きましょう!!」
チュー吉「う・・・うん!!」
ネリー「(小声で。)・・・お楽しみは後にとっとかなくっちゃ・・・。
(舌舐めずりして、コッソリと笑う。)」
(紗幕閉まる。)
――――― 第 5 場 ――――― B
音楽流れ、3人歌う。
“行ってみよう
大切なものを捜しに
ほんの少しでも
望みがあるなら
それを見逃す手はないさ
だから行こう
危険があっても3人なら
屹度抜け出せる
どんなピンチも
ただの想像で
色々よくない思いに溢れて
下を向く
そんなの何の意味もないだろ
顔を上げるんだ!!”
ネリー「さぁ、こっちよ!!」
チュー吉、チュー介「うん!!」
3人上手へ去る。
――――― 第 6 場 ―――――
紗幕開く。と、ジ―クの家の子ども部屋。
上手より、ジ―ク登場。
ジ―ク「おおい・・・ビスケットを持って来たよ・・・。僕のビスケット
をいつも取りに来るのは、カークが飼ってるネズミじゃな
いんだ。だってあれからも、必ず朝には、夜置いた筈の
ビスケットの欠片がなくなってるから・・・。一体僕のビス
ケットを持って行くのは、誰なんだろう・・・。」
音楽流れ、ジ―ク歌う。
“見たことはないけど
屹度君は小さな小さな
この家の住人・・・
いつもいつもそっと伺い
誰もいなくなったその時
見つからないように
出て来るんだ・・・
そうして半分こしたビスケット
そっと手にして帰るんだ・・・”
ジ―ク「小さな君・・・またビスケットを置いておくよ・・・。(手に持
っていたビスケットを部屋の隅に置く。)」
ジ―ク、上手へ去る。
(と、カゴ、上手前方へ上がる。)
大人ネズミ「チュー介・・・みんな・・・」
一時置いて、下手より抜き足差し足で、
ネリー登場。続いてチュー吉、チュー介
登場。
ネリー「さぁ・・・ここが子ども部屋よ。」
チュー介「ここが!?」
ネリー「しっ!!見つかったら、あんた達も私も一巻の終わりよ
!」
チュー介「うん・・・」
ネリー「(回りを見回して。)良かった・・・悪餓鬼どもはいないみ
たいね。」
チュー介「父さん・・・いるのかな・・・」
チュー吉「捜してみようよ。」
チュー介「うん・・・」
チュー吉「チュー介くんのお父さーん・・・!!」
チュー介「父さーん・・・!!」
チュー吉、チュー介、暫く回りをキョロキョロと
捜すように。(ネリー、下手方に座り込んで、2人
の様子を見ている。)
チュー介「父さんーん・・・」
大人ネズミ「(チュー介の声に気付いたように、ビクッと顔を上げ
る。)・・・チュー介・・・?チュー介じゃないか!!」
チュー介「(大人ネズミに気付いて、カゴに駆け寄る。)父さん!
!」
大人ネズミ「チュー介!!如何してこんなとこに!!」
チュー介「父さんを助けに来たんだよ!!」
大人ネズミ「助け・・・って・・・、おまえ、如何してそんな危険なこ
とを!!」
チュー介「だって、父さんがいなくなって僕達・・・(涙声で。)」
大人ネズミ「チュー介・・・すまない・・・。でも、どうやってここまで
・・・」
チュー介「うん・・・。友達のチュー吉くんが・・・」
チュー吉「こんにちは・・・」
大人ネズミ「友達・・・?」
チュー介「僕・・・ばあちゃんに言われて、学校に行き始めたんだ
・・・。そこで出来た友達のチュー吉くんが、父さんは屹
度生きてるから、一緒に捜しに行こうって・・・。僕も一
緒に捜してあげるから・・・そう言ってくれて・・・。それで
僕・・・」
大人ネズミ「そうか・・・学校に・・・。良かったな、チュー介・・・。友
達まで出来て・・・。チュー吉くん、チュー介と一緒に
こんな所まで・・・本当にありがとう・・・。」
チュー吉「そんなこと・・・」
ネリー「さぁ、涙の御対面は終わりだよ・・・。」
チュー介「ネリーさん・・・」
大人ネズミ「ネリーさん・・・?」
ネリー、ゆっくりカゴの方へ。
――――― “チュー吉くんの君は友だち・・・”
4へつづく ―――――
ジ―クの声「飼うだって?父さんに見つかったら、大目玉だよ。」
カークの声「見つからないように、コッソリ飼うよ!」
ジ―クの声「でも・・・こんな狭いカゴに閉じ込めてちゃ、可哀相
じゃないか?」
カークの声「いいんだ!!だから、兄ちゃんも父さんには内緒だ
からね!!僕達の秘密だよ!!」
その時、ジ―ク達の父親の声が聞こえる。
父親の声「おーい、ジ―ク!!カーク!!どこにいるんだ!?
母さんと買い物に行って来るから、ルークとルータ
の面倒を見といてくれ。」
ジ―クの声「はーい!!直ぐ行くよ!!」
カークの声「ねぇ、兄ちゃん!!絶対に内緒だよ!!」
ジ―クの声「うん、分かったよ。」
2人の人間の足音、段々遠ざかる。
大人ネズミ、再び歌う。
“こんな風にいつまで怯えて
生きて行くんだろう俺は・・・”
カゴに入った大人ネズミ下がる。
紗幕開く。
――――― 第 5 場 ――――― A
人間の家の中。(壁の裏。)
下手よりチュー吉、チュー介、回りを見回し
ながら、恐る恐る一歩一歩確かめるように
登場。
チュー吉「ジ―クん家は、隅々まで知り尽くしているつもりだった
けど・・・さすがに壁の裏なんて、あんまり来たことがな
いよなぁ・・・。」
チュー介「僕は地下の自分家から、出たことなんて殆どないか
ら・・・」
チュー吉「本当に?」
チュー介「う・・・うん・・・。」
その時、見知らぬ声が聞こえる。
声「あーら、お2人さん・・・」
チュー吉「え・・・?」
声「こんな壁の裏へ、一体何のご用かしら?」
チュー吉「誰?」
そこへ、後方の物陰から、一匹のイタチ(ネリー)
しなやかな足取りで登場。
チュー吉「あなたは・・・」
ネリー「私はこの壁の裏で、ひっそり暮らすイタチのネリー・・・。
お2人さんは・・・(チュー吉、チュー介を舐めるように見る
。)子ネズミだね?(ニヤリと微笑む。)」
チュー吉「うん。僕らもこの家に住んでるんだ。」
ネリー「へぇ・・・同じ家の中に、こんなに美味しそうな子ネズミ
が、2匹もいたなんて・・・(小声で。)」
チュー吉「え・・・?」
ネリー「(笑う。)何でもないわよ。ところであなた達は、何処へ行
こうとしているのかしら?」
チュー吉「僕達はこの壁の向こうに・・・」
ネリー「壁の向こう!?この壁の向こうは、人間達の住む恐ろし
い場所だよ!」
チュー吉「その人間に用があるんだ、僕達。」
ネリー「人間に用があるって・・・。向こうは私達にあるかも知れ
ないけど、こっちから人間に用があるだなんて、変な奴ら
だねぇ・・・。」
チュー吉「ねぇ、ネリーさん!ネリーさんは、ずっとここに住んで
るの?」
ネリー「ああ、そうさ。」
チュー吉「じゃあ、この家の人間のことは、よく知ってる?」
ネリー「そりゃあ、人間とは壁一枚挟んだお隣さんだ。人間のこ
とは、よおく知ってるるよ。」
チュー吉「そしたら、少し前に僕らと同じネズミが、この家の人間
に捕まって、連れて来られたと思うんだ。ネリーさんな
らそのネズミのこと、知ってるんじゃないの?」
ネリー「ああ・・・あのネズミ捕りに捕まった、ドン臭い奴のことな
ら知ってるよ。」
チュー介「本当!?」
ネリー「(小声で。)何もあんなとこに入って、態々捕まらなくても
、私の食事になってくれりゃあいいものを・・・。」
チュー吉「今、そのネズミは何処で如何しているか分かる!?」
ネリー「さぁ・・・。でも、ネズミ捕りに捕まったんだから、とっくの昔
に殺されて・・・」
チュー介「殺され・・・父ちゃん・・・」
チュー吉「そんなことないよ!!屹度この家の何処かで生きて
いる筈なんだ!!ねぇ、ネリーさん!!ネリーさんは
この家の中のことに詳しいんでしょ!?僕らの仲間が
何処に捕まっているか、捕まっていそうな場所を、一
緒に考えてよ!!」
ネリー「(チュー介を見て。)あんたの父さんなのかい?そのドン
臭いネズミは・・・。」
チュー介「・・・うん・・・」
ネリー「ふうん・・・。」
チュー吉「ねぇ、何か思い出さない?」
ネリー「そんなこと言われたってねぇ・・・。そうそう、ここん家には
子どもが4人いるんだけれど・・・」
チュー吉「4人・・・?」
ネリー「下の2人は、まだ赤ん坊だから悪戯なんて出来っこない
けど・・・上のジ―クとカークは・・・」
チュー吉「・・・ジ―ク?」
ネリー「ええ。一番上の子どもの名前が、確かジ―ク・・・」
チュー吉「・・・へぇ・・・ビスケットのジ―クが・・・一番上のお兄さ
ん・・・」
ネリー「ジ―クは兎も角、その二番目のカークが曲者だわね。」
チュー吉「曲者・・・?」
ネリー「ええ、まだ学校も行かない小さな餓鬼の癖して、好奇心
旺盛で怖いもの知らず、私は危うく尻尾をちょん切られそ
うになったことがあるのよ!!」
チュー吉「へぇ・・・」
ネリー「もしまだ、あんた達の捜してるそのお父さんが、生かされ
てるとしたら、そのカークが咬んでんじゃないかねぇ・・・。」
チュー介「・・・カーク・・・」
ネリー「あの悪餓鬼なら、カゴの中に閉じ込めたネズミを、玩具
にしてたって不思議じゃないからさ。」
チュー吉「ねぇ、ネリーさん!!僕達をそのカークのいる所へ案
内してくれない!?」
ネリー「え!?いやよ!!何で私が、態々そんな危険な所へ、
何処の誰とも分からないあなた達の為に、行かなきゃな
らないのよ!!」
チュー吉「お願いだよ!!僕達だけでウロウロ人間の前へ出て
行ったって、屹度チュー介の父さんみたいに、捕まって
しまうのが目に見えてるよ!!」
ネリー「・・・お礼は・・・?」
チュー吉「え・・・?」
ネリー「お礼はちゃんとしてくれるんだろうねぇ・・・」
チュー吉「お礼・・・?」
ネリー「ええ。」
チュー吉「何をすればいいの・・・?」
ネリー「ううんと・・・そうねぇ・・・。私も危険を承知で道案内する
んだから、あんた達にもそれなりのことを頼むわ・・・。」
チュー吉「それなりのこと・・・?」
ネリー「そう・・・それなりの・・・。さ、そんなことは後で構わないか
ら、行くならさっさと行きましょう!!」
チュー吉「う・・・うん!!」
ネリー「(小声で。)・・・お楽しみは後にとっとかなくっちゃ・・・。
(舌舐めずりして、コッソリと笑う。)」
(紗幕閉まる。)
――――― 第 5 場 ――――― B
音楽流れ、3人歌う。
“行ってみよう
大切なものを捜しに
ほんの少しでも
望みがあるなら
それを見逃す手はないさ
だから行こう
危険があっても3人なら
屹度抜け出せる
どんなピンチも
ただの想像で
色々よくない思いに溢れて
下を向く
そんなの何の意味もないだろ
顔を上げるんだ!!”
ネリー「さぁ、こっちよ!!」
チュー吉、チュー介「うん!!」
3人上手へ去る。
――――― 第 6 場 ―――――
紗幕開く。と、ジ―クの家の子ども部屋。
上手より、ジ―ク登場。
ジ―ク「おおい・・・ビスケットを持って来たよ・・・。僕のビスケット
をいつも取りに来るのは、カークが飼ってるネズミじゃな
いんだ。だってあれからも、必ず朝には、夜置いた筈の
ビスケットの欠片がなくなってるから・・・。一体僕のビス
ケットを持って行くのは、誰なんだろう・・・。」
音楽流れ、ジ―ク歌う。
“見たことはないけど
屹度君は小さな小さな
この家の住人・・・
いつもいつもそっと伺い
誰もいなくなったその時
見つからないように
出て来るんだ・・・
そうして半分こしたビスケット
そっと手にして帰るんだ・・・”
ジ―ク「小さな君・・・またビスケットを置いておくよ・・・。(手に持
っていたビスケットを部屋の隅に置く。)」
ジ―ク、上手へ去る。
(と、カゴ、上手前方へ上がる。)
大人ネズミ「チュー介・・・みんな・・・」
一時置いて、下手より抜き足差し足で、
ネリー登場。続いてチュー吉、チュー介
登場。
ネリー「さぁ・・・ここが子ども部屋よ。」
チュー介「ここが!?」
ネリー「しっ!!見つかったら、あんた達も私も一巻の終わりよ
!」
チュー介「うん・・・」
ネリー「(回りを見回して。)良かった・・・悪餓鬼どもはいないみ
たいね。」
チュー介「父さん・・・いるのかな・・・」
チュー吉「捜してみようよ。」
チュー介「うん・・・」
チュー吉「チュー介くんのお父さーん・・・!!」
チュー介「父さーん・・・!!」
チュー吉、チュー介、暫く回りをキョロキョロと
捜すように。(ネリー、下手方に座り込んで、2人
の様子を見ている。)
チュー介「父さんーん・・・」
大人ネズミ「(チュー介の声に気付いたように、ビクッと顔を上げ
る。)・・・チュー介・・・?チュー介じゃないか!!」
チュー介「(大人ネズミに気付いて、カゴに駆け寄る。)父さん!
!」
大人ネズミ「チュー介!!如何してこんなとこに!!」
チュー介「父さんを助けに来たんだよ!!」
大人ネズミ「助け・・・って・・・、おまえ、如何してそんな危険なこ
とを!!」
チュー介「だって、父さんがいなくなって僕達・・・(涙声で。)」
大人ネズミ「チュー介・・・すまない・・・。でも、どうやってここまで
・・・」
チュー介「うん・・・。友達のチュー吉くんが・・・」
チュー吉「こんにちは・・・」
大人ネズミ「友達・・・?」
チュー介「僕・・・ばあちゃんに言われて、学校に行き始めたんだ
・・・。そこで出来た友達のチュー吉くんが、父さんは屹
度生きてるから、一緒に捜しに行こうって・・・。僕も一
緒に捜してあげるから・・・そう言ってくれて・・・。それで
僕・・・」
大人ネズミ「そうか・・・学校に・・・。良かったな、チュー介・・・。友
達まで出来て・・・。チュー吉くん、チュー介と一緒に
こんな所まで・・・本当にありがとう・・・。」
チュー吉「そんなこと・・・」
ネリー「さぁ、涙の御対面は終わりだよ・・・。」
チュー介「ネリーさん・・・」
大人ネズミ「ネリーさん・・・?」
ネリー、ゆっくりカゴの方へ。
――――― “チュー吉くんの君は友だち・・・”
4へつづく ―――――
2013年8月16日金曜日
“チュー吉くんの君は友だち・・・” ―全7場― 2
――――― 第 3 場 ―――――
紗幕開く。と、小高い丘の草むら。
(辺りは夕暮れ時の様子。)
チュー介、佇み静かに歌う。
“僕は何をしているんだろう・・・
こんなところで一人ぼっちに・・・
仲間もいない
味方もいない
大草原に一人放り出された
ちっぽけな僕・・・
誰も僕のことなど知らない・・・”
チュー介「父さん・・・」
チュー介、立ち尽くす。
その時、上手よりチュー吉、重そうに食料の
入った、買い物カゴを手に登場。
チュー吉「もう母さんは一体どれだけお使いを頼むんだよ・・・。
重いったらありゃしない・・・。よっ・・・。あれ・・・(チュー
介に気付く。)チュー介じゃないか。」
チュー介、チュー吉に気付くが、知らん顔して
下手へ行きかける。
チュー吉「おい!知らん顔して行くなよ!何してたんだよ、こん
なとこで。ひょっとして夕焼けを見てた?ここから見る
夕焼けって、綺麗だよなぁ・・・。僕も、この場所が大好
きなんだ!」
チュー介「・・・煩いんだよ・・・」
チュー吉「え?」
チュー介「煩いってんだよ!!僕は一人になりたいんだ!!」
チュー吉「何だよ!そんな言い方しなくてもいいだろ!折角、友
達になろうと思って・・・」
チュー介「友達なんていらないんだよ!!」
チュー吉「ああ、そうかい!!ふん!!何だよ!!そんな風に
突っ張った態度取ってると、その内学校で誰からも相
手にされなくなるぞ!!ふん!!ホントに・・・全く!!
」
チュー吉、下手方へ行きかけるが、何か
気になったように振り返る。
チュー吉「・・・おい・・・何でおまえ・・・そんな風に突っ張ってるん
だよ・・・」
チュー介「・・・突っ張ってなんか・・・いるもんか・・・」
音楽流れ、チュー介歌う。
“僕は突っ張ってる訳じゃない・・・
意気がってる訳でもない・・・
僕は僕なんだ
だから構うな
放っておいてくれ・・・”
チュー吉歌う。
“同じ仲間じゃないか
そんな風に壁を作って
他を寄せ付けない
そんな態度
放っとけない・・・”
チュー介歌う。
“勝手じゃないかそんなこと
僕がどうでも
関係ない・・・”
チュー吉「折角同じ学校に転校して来たんじゃないか。友達に
なろうよ!」
チュー介「友達・・・?ふざけるな!!」
チュー吉「ふざけてなんかないさ!だって折角知り合えたんじゃ
ないか。友達にならないと、勿体ないよ!」
チュー介「・・・勿体ない・・・?馬鹿じゃないか。」
チュー吉「馬鹿・・・?友達に向かって“馬鹿”って言ったら駄目
なんだぞ!!先生に教わらなかったのかい!?」
チュー介「・・・先生なんて知るもんか。」
チュー吉「知らない・・・って、学校の先生だよ!前の学校でも
いただろう?」
チュー介「・・・学校なんて行ったことない・・・」
チュー吉「・・・え?ホントに・・・?友達は・・・?」
チュー介「そんなのいるもんか!!」
チュー吉「じゃあ絶対、友達になろうよ!!」
チュー介「嫌だ!!」
チュー吉「そんなこと言わないでさ!折角、学校に来ることにな
ったんだから・・・。でも・・・如何して行き成り学校に・・・
?」
チュー介「・・・ばあちゃんが行けって言うから・・・」
チュー吉「ばあちゃん・・・?」
チュー介「・・・ばあちゃんが、僕ん家に来ることになって・・・」
チュー吉「ふうん・・・そうなんだ。君ん家は何処?」
チュー介「・・・学校の隣の赤い屋根・・・」
チュー吉「ジ―クん家!?」
チュー介「・・・ジ―ク・・・?」
チュー吉「うん!!僕ん家は、ジ―クん家の屋根裏なんだ!!
君は?」
チュー介「地下・・・」
チュー吉「同じ建物だなんて、近所じゃないか!!今まで全然
知らなかったなぁ。じゃあジ―クのこと、知ってる?」
チュー介「ジ―クって・・・」
チュー吉「とっても優しくって、毎日僕にビスケットを分けてくれ
るんだよ。」
チュー介「・・・ビスケット・・・?それ・・・何だよ・・・。」
チュー吉「ビスケットを知らないの!?」
チュー介「知らない・・・。」
チュー吉「ほら・・・これだよ・・・。(ポケットからひとかけのビスケ
ットを取り出し、チュー介へ差し出す。)」
チュー介「(ビスケットを受け取る。)」
チュー吉「食べてごらんよ!!とっても美味しいから!!」
チュー介「う・・・うん・・・(口へ放り込む。)」
チュー吉「ね!?美味しいだろ?」
チュー介「本当だ・・・。こんな美味しい食べ物があるなんて・・・」
チュー吉「だって、ジ―クは人間・・・」
チュー介「人間!?これ、人間の食べ物なの!?」
チュー吉「あ・・・うん。」
チュー介「こんなのいるもんか!!(手に残っていたビスケットを
放り投げ、口に残っていたビスケットを吐き出すように
。)」
チュー吉「ど・・・どうしたんだよ・・・。」
チュー介「僕、人間なんて大っ嫌いだ!!」
チュー吉「大っ嫌いって・・・ジ―クはすごくいい人間なんだよ。」
チュー介「人間に“いい奴”なんているもんか!!」
チュー吉「そんなことないよ!!」
音楽流れ、チュー介歌う。
“自分勝手に
好き放題生きる
恐ろしい生き物
それが人間” ※
チュー吉歌う。
“そんなことない人間だって
思い遣りに溢れて
僕達に優しく接する
食べ物を分けて
いつも気にかけてくれる
恐ろしい訳ない”
チュー介歌う。
“人間なんて 人間なんて
ただ恐ろしいだけ
人間なんて 人間なんて
みんながいなくなればいい!!”
チュー介「そしたら僕の父ちゃんも死なずに済んだんだ!!」
チュー吉「え・・・?」
チュー介「父ちゃんが人間に捕まって・・・弟や妹の面倒を見る
人がいなくなったから・・・だから・・・ばあちゃんが家へ
来た・・・!!」
チュー吉「お父さん・・・人間に捕まったの・・・?」
チュー介「・・・そうさ・・・」
チュー吉「ジ―クの家で・・・?」
チュー介「(頷く。)」
チュー吉「(少し考えるように。)・・・捜しに行こう!!」
チュー介「え・・・?」
チュー吉「ジ―クん家に捜しに行こうよ!!僕も一緒に行くから
さ!!」
チュー介「そんな・・・もう屹度、父ちゃんは・・・」
チュー吉「まだ生きてる!!ジ―クは僕達を殺したりしないよ!
!」
チュー介「・・・そんなこと・・・分かるもんか・・・」
チュー吉「分かるよ!!ジ―クはそんなことしない!!」
チュー介「父ちゃんを捕まえたのが・・・そのジ―クじゃないかも
知れないじゃないか・・・。」
チュー吉「でも行ってみようよ!!ちゃんと確かめもしないで、
疑うのはよくないだろ?」
チュー介「それは・・・」
音楽流れ、チュー吉歌う。
“行ってみよう
大切な者を捜しに
ほんの少しでも
望みがあるなら
それを見逃す手はないさ
だから行こう
危険があっても2人なら
屹度抜け出せる
どんなピンチも
ただの想像で
色々良くない思いに溢れて
下を向く
そんなの何の意味もないだろう
顔を上げるんだ!”
チュー介「チュー吉・・・」
チュー介が自分の名前を呼んだことに
少し驚いた面持ちで、でも嬉しそうに
チュー吉頷く。
“行けば分かるさ
何が真実か
今まで見えていなかった
気付かなかった大切なことも
屹度何もかもが見えてくる
だから行かないと
今この時を逃す手はないから!”
チュー介歌う。
“そうだね行こう
君の言う通り
もしかすると僕の思い違い・・・
一人勝手に下を向いて
前を見ないで勿体ない・・・
君がいるんだ
怖くはないさ
臆病を隠して突っ張ったって
屹度何も解決しない”
2人歌う。
“そうさだから行こう!!
2人手をつないで
まだ知らない未知の世界だけれど
屹度光は見えてくる筈!!”
チュー吉「行こう!!」
チュー介「うん!!」
2人、下手へ走り去る。 ※2
紗幕閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕前。
音楽流れ、大人ネズミが入ったカゴ、
上がる。
大人ネズミ、悲し気に歌う。
“こんな檻に閉じ込められた
惨めな俺・・・
自分の行きたいとこにも行けず
愛しい家族にも会えないなんて・・・
こんな生き地獄
いつまで続くんだろう
それならいっそ・・・”
大人ネズミ「(カゴの中にあったビスケットを、一口かじる。)食べ
るものには困らないが・・・こんなカゴの中で、死ぬま
で暮らすのか・・・」
その時、2人の人間の足音が近付く。
(“トントントン・・・”)
カークの声「ほら・・・ほら見てよ、兄ちゃん!!」
ジ―クの声「わあーっ!!可愛いネズミじゃないか!!」
カークの声「でしょ!?兄ちゃんが言ってた通り、ビスケットを食
べるんだ、このネズミ!」
ジ―クの声「へぇ・・・。こいつなのかなぁ・・・僕がいつも置いてた
ビスケットの欠片を食べてたの・・・。おい・・・おまえ
が、僕の友達かい・・・?」
――――― “チュー吉くんの君は友だち・・・”
3へつづく ―――――
※ “人間”と言うものを、人間でないものから見た時に、
どういったように見えるのか・・・私は人間なので・・・^^;
本当のところはこの表現が正解かどうか分かりません。
が、春公演作品でも、同じような表現の歌詞がある・・・
と言うことは、私自身が、こんな風に見えているんであろう
・・・と自分の中に、固定観念があるんでしょうね(^_^;)
※2、お気付きの通り“人”ではなく“匹”が正解です^^;
が、今回“も”敢えて人間と同じ数え方“人”で書かせて
頂きますm(__)m
紗幕開く。と、小高い丘の草むら。
(辺りは夕暮れ時の様子。)
チュー介、佇み静かに歌う。
“僕は何をしているんだろう・・・
こんなところで一人ぼっちに・・・
仲間もいない
味方もいない
大草原に一人放り出された
ちっぽけな僕・・・
誰も僕のことなど知らない・・・”
チュー介「父さん・・・」
チュー介、立ち尽くす。
その時、上手よりチュー吉、重そうに食料の
入った、買い物カゴを手に登場。
チュー吉「もう母さんは一体どれだけお使いを頼むんだよ・・・。
重いったらありゃしない・・・。よっ・・・。あれ・・・(チュー
介に気付く。)チュー介じゃないか。」
チュー介、チュー吉に気付くが、知らん顔して
下手へ行きかける。
チュー吉「おい!知らん顔して行くなよ!何してたんだよ、こん
なとこで。ひょっとして夕焼けを見てた?ここから見る
夕焼けって、綺麗だよなぁ・・・。僕も、この場所が大好
きなんだ!」
チュー介「・・・煩いんだよ・・・」
チュー吉「え?」
チュー介「煩いってんだよ!!僕は一人になりたいんだ!!」
チュー吉「何だよ!そんな言い方しなくてもいいだろ!折角、友
達になろうと思って・・・」
チュー介「友達なんていらないんだよ!!」
チュー吉「ああ、そうかい!!ふん!!何だよ!!そんな風に
突っ張った態度取ってると、その内学校で誰からも相
手にされなくなるぞ!!ふん!!ホントに・・・全く!!
」
チュー吉、下手方へ行きかけるが、何か
気になったように振り返る。
チュー吉「・・・おい・・・何でおまえ・・・そんな風に突っ張ってるん
だよ・・・」
チュー介「・・・突っ張ってなんか・・・いるもんか・・・」
音楽流れ、チュー介歌う。
“僕は突っ張ってる訳じゃない・・・
意気がってる訳でもない・・・
僕は僕なんだ
だから構うな
放っておいてくれ・・・”
チュー吉歌う。
“同じ仲間じゃないか
そんな風に壁を作って
他を寄せ付けない
そんな態度
放っとけない・・・”
チュー介歌う。
“勝手じゃないかそんなこと
僕がどうでも
関係ない・・・”
チュー吉「折角同じ学校に転校して来たんじゃないか。友達に
なろうよ!」
チュー介「友達・・・?ふざけるな!!」
チュー吉「ふざけてなんかないさ!だって折角知り合えたんじゃ
ないか。友達にならないと、勿体ないよ!」
チュー介「・・・勿体ない・・・?馬鹿じゃないか。」
チュー吉「馬鹿・・・?友達に向かって“馬鹿”って言ったら駄目
なんだぞ!!先生に教わらなかったのかい!?」
チュー介「・・・先生なんて知るもんか。」
チュー吉「知らない・・・って、学校の先生だよ!前の学校でも
いただろう?」
チュー介「・・・学校なんて行ったことない・・・」
チュー吉「・・・え?ホントに・・・?友達は・・・?」
チュー介「そんなのいるもんか!!」
チュー吉「じゃあ絶対、友達になろうよ!!」
チュー介「嫌だ!!」
チュー吉「そんなこと言わないでさ!折角、学校に来ることにな
ったんだから・・・。でも・・・如何して行き成り学校に・・・
?」
チュー介「・・・ばあちゃんが行けって言うから・・・」
チュー吉「ばあちゃん・・・?」
チュー介「・・・ばあちゃんが、僕ん家に来ることになって・・・」
チュー吉「ふうん・・・そうなんだ。君ん家は何処?」
チュー介「・・・学校の隣の赤い屋根・・・」
チュー吉「ジ―クん家!?」
チュー介「・・・ジ―ク・・・?」
チュー吉「うん!!僕ん家は、ジ―クん家の屋根裏なんだ!!
君は?」
チュー介「地下・・・」
チュー吉「同じ建物だなんて、近所じゃないか!!今まで全然
知らなかったなぁ。じゃあジ―クのこと、知ってる?」
チュー介「ジ―クって・・・」
チュー吉「とっても優しくって、毎日僕にビスケットを分けてくれ
るんだよ。」
チュー介「・・・ビスケット・・・?それ・・・何だよ・・・。」
チュー吉「ビスケットを知らないの!?」
チュー介「知らない・・・。」
チュー吉「ほら・・・これだよ・・・。(ポケットからひとかけのビスケ
ットを取り出し、チュー介へ差し出す。)」
チュー介「(ビスケットを受け取る。)」
チュー吉「食べてごらんよ!!とっても美味しいから!!」
チュー介「う・・・うん・・・(口へ放り込む。)」
チュー吉「ね!?美味しいだろ?」
チュー介「本当だ・・・。こんな美味しい食べ物があるなんて・・・」
チュー吉「だって、ジ―クは人間・・・」
チュー介「人間!?これ、人間の食べ物なの!?」
チュー吉「あ・・・うん。」
チュー介「こんなのいるもんか!!(手に残っていたビスケットを
放り投げ、口に残っていたビスケットを吐き出すように
。)」
チュー吉「ど・・・どうしたんだよ・・・。」
チュー介「僕、人間なんて大っ嫌いだ!!」
チュー吉「大っ嫌いって・・・ジ―クはすごくいい人間なんだよ。」
チュー介「人間に“いい奴”なんているもんか!!」
チュー吉「そんなことないよ!!」
音楽流れ、チュー介歌う。
“自分勝手に
好き放題生きる
恐ろしい生き物
それが人間” ※
チュー吉歌う。
“そんなことない人間だって
思い遣りに溢れて
僕達に優しく接する
食べ物を分けて
いつも気にかけてくれる
恐ろしい訳ない”
チュー介歌う。
“人間なんて 人間なんて
ただ恐ろしいだけ
人間なんて 人間なんて
みんながいなくなればいい!!”
チュー介「そしたら僕の父ちゃんも死なずに済んだんだ!!」
チュー吉「え・・・?」
チュー介「父ちゃんが人間に捕まって・・・弟や妹の面倒を見る
人がいなくなったから・・・だから・・・ばあちゃんが家へ
来た・・・!!」
チュー吉「お父さん・・・人間に捕まったの・・・?」
チュー介「・・・そうさ・・・」
チュー吉「ジ―クの家で・・・?」
チュー介「(頷く。)」
チュー吉「(少し考えるように。)・・・捜しに行こう!!」
チュー介「え・・・?」
チュー吉「ジ―クん家に捜しに行こうよ!!僕も一緒に行くから
さ!!」
チュー介「そんな・・・もう屹度、父ちゃんは・・・」
チュー吉「まだ生きてる!!ジ―クは僕達を殺したりしないよ!
!」
チュー介「・・・そんなこと・・・分かるもんか・・・」
チュー吉「分かるよ!!ジ―クはそんなことしない!!」
チュー介「父ちゃんを捕まえたのが・・・そのジ―クじゃないかも
知れないじゃないか・・・。」
チュー吉「でも行ってみようよ!!ちゃんと確かめもしないで、
疑うのはよくないだろ?」
チュー介「それは・・・」
音楽流れ、チュー吉歌う。
“行ってみよう
大切な者を捜しに
ほんの少しでも
望みがあるなら
それを見逃す手はないさ
だから行こう
危険があっても2人なら
屹度抜け出せる
どんなピンチも
ただの想像で
色々良くない思いに溢れて
下を向く
そんなの何の意味もないだろう
顔を上げるんだ!”
チュー介「チュー吉・・・」
チュー介が自分の名前を呼んだことに
少し驚いた面持ちで、でも嬉しそうに
チュー吉頷く。
“行けば分かるさ
何が真実か
今まで見えていなかった
気付かなかった大切なことも
屹度何もかもが見えてくる
だから行かないと
今この時を逃す手はないから!”
チュー介歌う。
“そうだね行こう
君の言う通り
もしかすると僕の思い違い・・・
一人勝手に下を向いて
前を見ないで勿体ない・・・
君がいるんだ
怖くはないさ
臆病を隠して突っ張ったって
屹度何も解決しない”
2人歌う。
“そうさだから行こう!!
2人手をつないで
まだ知らない未知の世界だけれど
屹度光は見えてくる筈!!”
チュー吉「行こう!!」
チュー介「うん!!」
2人、下手へ走り去る。 ※2
紗幕閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕前。
音楽流れ、大人ネズミが入ったカゴ、
上がる。
大人ネズミ、悲し気に歌う。
“こんな檻に閉じ込められた
惨めな俺・・・
自分の行きたいとこにも行けず
愛しい家族にも会えないなんて・・・
こんな生き地獄
いつまで続くんだろう
それならいっそ・・・”
大人ネズミ「(カゴの中にあったビスケットを、一口かじる。)食べ
るものには困らないが・・・こんなカゴの中で、死ぬま
で暮らすのか・・・」
その時、2人の人間の足音が近付く。
(“トントントン・・・”)
カークの声「ほら・・・ほら見てよ、兄ちゃん!!」
ジ―クの声「わあーっ!!可愛いネズミじゃないか!!」
カークの声「でしょ!?兄ちゃんが言ってた通り、ビスケットを食
べるんだ、このネズミ!」
ジ―クの声「へぇ・・・。こいつなのかなぁ・・・僕がいつも置いてた
ビスケットの欠片を食べてたの・・・。おい・・・おまえ
が、僕の友達かい・・・?」
――――― “チュー吉くんの君は友だち・・・”
3へつづく ―――――
※ “人間”と言うものを、人間でないものから見た時に、
どういったように見えるのか・・・私は人間なので・・・^^;
本当のところはこの表現が正解かどうか分かりません。
が、春公演作品でも、同じような表現の歌詞がある・・・
と言うことは、私自身が、こんな風に見えているんであろう
・・・と自分の中に、固定観念があるんでしょうね(^_^;)
※2、お気付きの通り“人”ではなく“匹”が正解です^^;
が、今回“も”敢えて人間と同じ数え方“人”で書かせて
頂きますm(__)m
2013年8月1日木曜日
“チュー吉くんの君は友だち・・・” ―全○場―
〈主な登場人物〉
チュー吉 ・・・ 本編の主人公。ネズミ学校に通う子ネズミ。
チュー介 ・・・ ネズミ学校の転校生。
チュー子先生 ・・・ ネズミ学校の先生。
子ネズミ達
その他
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
音楽フェード・インする。(幕は開けておく。)
「ここはネズミ学校の教室です。
少し覗いてみましょうか・・・。あら・・・小さな子ネズミ
達が沢山・・・楽しそうに歌を歌って遊んでいます。」
(ライトが点き、音楽明るく。)
――――― 第 1 場 ―――――
ネズミ学校の教室。
沢山の子ネズミ達、元気に歌っている。
“ここは僕達ネズミの学校
みんなが仲良く
みんなが友達
誰も悪いことしない
みんなで楽しく暮らしてる
ここは僕達ネズミだけの国
みんな仲間で
気心しれてる
だから安心ここにいれば
何も危険なことなんてない!”
その時、鐘の音が鳴り響く。(“キーンコーン”
“カーンコーン”)
そこへ上手より、一匹の子ネズミ(チュー吉)
慌てて走り登場。
チュー吉「わあーっ!!遅刻だー!!」
子ネズミ1「チュー吉!!」
子ネズミ2「チュー吉、遅いぞ!!」
チュー吉「寝坊しちゃったんだ!!先生は!?」
子ネズミ1「まだだよ。」
チュー吉「(ホッとしたように。)よかった・・・ふう・・・。(席に着く。)
」
子ネズミ3「駄目だなぁ、チュー吉は。(笑う。)」
子ネズミ2「遅刻ばっかしてたんじゃ、その内、先生に大目玉食う
ぜ。(笑う。)」
チュー吉「だって、ジ―クのとこにも寄ってたし・・・。」
子ネズミ1「ジ―ク・・・?」
子ネズミ2「ジ―クって、例の人間かい?」
チュー吉「そうだよ!」
子ネズミ3「チュー吉・・・人間と仲良くするなんて危ないぜ。」
チュー吉「大丈夫さ!ジ―クはとっても優しくて、僕にいつもビス
ケットをくれるんだ。」
子ネズミ1「そんな、食べ物で釣るなんて・・・」
チュー吉「釣るって何だよ!!ジ―クはそんなことしないよ!!」
子ネズミ1「ごめん・・・。」
子ネズミ2「けど、気を付けろよな。」
チュー吉「うん、分かってる・・・。心配してくれてありがとう。」
子ネズミ3「俺達みんな友達だろ!!」
子ネズミ1「当たり前じゃないか!」
チュー吉「そうだね。」
子ネズミ達、歌う。
“ここは僕達ネズミの学校
みんなが仲良く
みんなが友達
だから仲間の為になら
みんなで力を合わせて
立ち向かう!!”
子ネズミ4「あ!先生が来たわ!!」
子ネズミ2「やばい!!早く、席に着こうぜ!!」
子ネズミ達、席に着く。
その時、上手よりネズミ学校の先生
(チュー子先生。)、一匹の子ネズミ
(チュー介。)を伴って登場。
チュー子先生「皆さん、おはようございます。」
子ネズミ達口々に「おはようございます、チュー子先生!!」
子ネズミ達、チュー介を認め、口々に
コソコソと。
「見て見て!!」
「わぁ、誰だ!?」
「転校生?」
「へぇ・・・」
チュー子先生「これ、静かに!」
子ネズミ達黙る。
チュー子先生「(チュー介に。)さぁ、こっちへいらっしゃい。」
チュー介、チュー子先生の側へゆっくり
近寄る。
チュー子先生「さぁ、チュー介くん、クラスのみんなに自己紹介
なさいな。」
チュー介「・・・(黙ったまま横を向いている。)」
チュー子先生「チュー介くん?(チュー介の様子に、溜め息を吐
き。)この子はチュー介くん。今日から皆さんと一
緒に勉強することになりました。仲良くしてあげて
下さいね。」
子ネズミ達口々に「はーい!!」
チュー子先生「さぁ、チュー介くん、そこの窓際のチュー吉くんの
隣の席へ座りなさい。チュー吉くん!チュー介くん
に色々と教えてあげてね。」
チュー吉「はい!」
チュー介、チュー吉の隣の席の方へ。
チュー吉「よろしく、チュー介!仲良くしようね!(握手を求める
ように、手を差し出す。)」
チュー介「(チラッとチュー吉が差し出した手を見るが、知らん顔
して席に着く。)」
チュー吉「あ・・・おい君・・・。何だよ・・・。」
チュー子先生「さぁ、教科書を開いて下さい・・・」
紗幕閉まる。
チュー吉の声「最初は全く話もしない、何だか変わった奴だなぁ
・・・と思っていた・・・それが僕とチュー介が初めて
出会った日のことだったんだ・・・。」
――――― 第 2 場 ―――――
紗幕前。中央に大きなカゴ(ネズミ捕り。)
が一つ、置いてある。(中にはチーズ。)
そこへ下手より一匹の大人ネズミ、回りを
キョロキョロ見回しながら登場。
ネズミ捕りに興味を引かれるように、抜き足
差し足近付く。
大人ネズミ「おおっと・・・、さっきからいい匂いがすると思ったら
、こんな所にチーズが落っこちてるじゃないか・・・。
家で腹を空かせて待ってる子ども達に、持って帰っ
てやるとするか・・・。(回りを見回して。)よぉし、人
間はいないな・・・。それじゃあ今のうちに・・・」
大人ネズミ、ゆっくりとネズミ捕りに足を
踏み入れる。と、大きな音(“ガッシャーン”)を
たてて、ネズミ捕りの入口の柵が閉まる。
大人ネズミ「わあーっ!!罠だ!!畜生!!出しやがれ!!
出せ!!出せよ!!ここから出してくれーっ!!
(柵をガタガタ揺する。)」
その時、人間の足音が近付く。(“ドンドンドン・・・”)
大人ネズミ「あっ!!人間だーっ!!出してくれーっ!!誰か
・・・誰かーっ!!」
人間の声「おっと、ネズミが掛かってるぞ!!この野郎、散々
家の蔵の米を食い荒らしやがって!!直ぐに処分
してやる!!」
大人ネズミ「わあーっ!!助けてくれーっ!!」
その時、違う人間の足音が、再び近付く。
(“トントントン・・・”)
子どもの声「父さん!!」
人間の声「ああ、カーク、見てみろこれ。」
子どもの声「わあーっ、ネズミだぁ!!」
人間の声「こいつがいつも、蔵の米の俵を食い破り、中の米を
食べ散らかしてた張本人だぞ!」
子どもの声「へぇー・・・こんな可愛い顔してるのに・・・。」
人間の声「そうだろ?だから直ぐに川に沈めて・・・」
子どもの声「あ、そうだ!母さんに、町まで弟達のミルクを買い
に、馬車を出して欲しいから、父さんを呼んで来て
って言われてたんだ。」
人間の声「今から?」
子どもの声「うん、急ぐんだって。」
人間の声「仕方ないな。こいつの処分は、戻ってからすることに
しよう。カーク!そのネズミに手を出すんじゃないぞ。
噛み付かれでもしたら大変だからな。」
子どもの声「うん。」
一人の人間の足音、段々遠ざかる。
子どもの声「・・・へぇ・・・。おまえ、可愛い顔してんなぁ・・・。」
大人ネズミ「わ・・・わあ・・・出せ!!出せー!!(柵をガタガタ
揺する。)」
子どもの声「・・・ビスケット・・・食べる・・・?」
大人ネズミ「・・・わあーっ!!・・・(鼻をクンクンさせる。)・・・え
・・・?」
子どもの声「ほら・・・」
大人ネズミ「何だ・・・?(ビスケットを拾い上げ、手に持つ。)」
子どもの声「お食べ・・・」
大人ネズミ「(暫く手に持ったビスケットを見詰めているが、恐る
恐る一口かじる。)・・・美味い・・・」
子どもの声「美味しいかい?君、ビスケット食べるんだ。ジ―ク
兄ちゃんが言ってた通りだ・・・。可愛いなぁ・・・。そ
うだ!!父さんに内緒で、部屋でコッソリ僕が飼お
う!!父さんには、逃げたって言えばいいや!!
さぁ、おいで。僕の部屋へ一緒に行こう。」
大人ネズミ「わっ・・・ど・・・どこに連れて行きやがるんだよ!!
わあーっ!!」
ネズミ捕りのカゴ、大人ネズミ下がる。
――――― “チュー吉くんの君は友だち”2へつづく ―――――
2013年7月28日日曜日
“みりとポン吉” ―全9場― 4
7月28日(日)
いつも使っているパソコンが、ここ数日全くの
アウト状態に陥っていました(>_<)
この今使っているパソコンも、古い以前使用していた
物を、修正し直して使っているので、またいつどうなるか
・・・と思うと、ドキドキです(ーー;)
またお休みが続いたなら、パソコンがアウトになったか
・・・とお考え下さいませm(_ _)m
ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪ ー ♪
ーーーーー 第 8 場 ーーーーー
舞台後方、カーテン後ろに大木と、みり、ポン吉
のシルエットが浮かび上がる。
2人、上方を見上げながら。
みり「この木の上ね・・・」
ポン吉「うん・・・。みり・・・僕は自分の星へ帰っても、この地球
から君があの月を見てる時、僕も反対側の星から同じ
月を見てる・・・必ず・・・心はつながっているから・・・」
みり「・・・ポン吉・・・」
ポン吉「行って来るよ!!」
みり「(頷く。)気を付けて、ポン吉!!」
ポン吉、大木に登って行く。
ポン吉の声「(一時置いて。)・・・あった・・・あった!!みり!!
あったよ!!僕の体だ!!」
みり「やったわね!!」
ポン吉の声「ありが・・・(声が途切れる。)」
みり「・・・ポン吉・・・?ポン吉!?どうしたの!?」
その時、木の上からポン吉(ぬいぐるみ)が
落ちて来る。
みり「(ポン吉を抱き上げる。)・・・ポン吉・・・?ポン吉!!そん
な突然に帰っちゃうなんて・・・!!嫌・・・嫌よ、ポン吉ー
!!(声を上げて泣く。)」
紗幕閉まる。暗転。
――――― 第 9 場 ―――――― A
紗幕前。下手よりパーティドレスに着飾った
メアリ、ヒューイ、トンリー登場。
ヒューイ「ありゃ屹度、クマ鍋なんて言った、崇りだぜ。」
メアリ「もう嫌なこと思い出させないでよ!!今日は待ちに待っ
た卒業パーティなのよ!!それよりどう?今日の私!」
トンリー「凄い綺麗だよ、メアリ。」
ヒューイ「勿論。」
メアリ「ありがとう。」
ヒューイ「ラストダンスは是非、僕と!」
メアリ「そうねぇ・・・」
トンリー「あ・・・ずるいぞ!!」
3人、話しながら上手へ(一旦)去る。
―――――第 9 場 ――――― B
紗幕開く。と、卒業パーティ会場。明るい音楽
流れ、ドレスアップした生徒達、其々楽しそうに
踊っている。メアリ、ヒューイ、トンリー上手より
登場。
メアリ「ヒューイ!(手を出す。)」
ヒューイ「喜んで・・・(メアリの手を取り、踊りに加わる。)」
トンリー「あ!!抜け駆け・・・(溜め息を吐き、違う女の子を誘っ
て踊る。)」
その時、上手よりドレス姿のみり、一人で登場。
みんなの様子を見て、溜め息を吐き、踊りの輪
から離れた壁に凭れる。曲が終わり、其々バラ
バラに離れる。
そこへ下手より、一際目を惹くハンサムな少年
登場。誰かを捜しているように。みりを認め、
ゆっくり近付く。
生徒1「(コソコソと。)・・・誰?」
ヒューイ「あんな奴、うちの学校にいたか?」
メアリ「知らないわよ!!」
生徒1「あんなカッコいい男の子いたら、即アタックするわよね
。」
生徒2「見て・・・!!みりの方へ寄って行くわ!!」
メアリ「嘘・・・」
少年、ゆっくりみりの前へ。
少年「みり・・・僕と踊ってくれませんか?(手を出し、微笑む。)」
みり「・・・王子様・・・」
少年、みりの手を取り、舞台中央へ。
音楽流れ、2人スポットに浮かび上がる。
少年「お礼が中途半端になってごめんね。みり・・・ありがとう・・・
」
みり「・・・誰・・・?」
少年「(微笑む。)」
みり「・・・ポン吉・・・?」
少年「うん・・・君のポン吉だよ。」
みり「嘘・・・(呆然と少年を見詰める。)」
少年「本当さ。(ポケットから四つ葉のクローバーを取り出す。)
ほら・・・君に貰った、この四つ葉のクローバーのお陰で、
僕は体を見つけることが出来たんだ・・・。」
みり「ポン吉・・・(思わず涙が溢れる。)ポン吉!!(少年に抱
きつく。)」
音楽大きくなり、2人、ダンスを踊る。
(いつしか回りのみんなも踊りに加わる。)
一頻り踊った後、見詰め合うみりとポン吉
残し、場面変わる。
みり「もう、お別れなのね・・・」
少年「うん・・・。」
みり「ポン吉・・・(泣く。)」
少年「泣かないで、みり。(微笑む。)僕の星と、この地球は随分
離れているけれど・・・言っただろ?僕の星は科学の進歩
が目覚ましいって・・・。会いたくなったら、君が僕の心に
話し掛けてくれさえすれば、僕は直ぐに宇宙船に乗って、
また、みりに会いに飛んで来るよ・・・。」
みり「・・・本当に・・・?」
少年「うん!!」
みり「(嬉しそうに。)ポン吉!!」
少年「また、会おう!!」
みり、ポン吉歌う。
“2人で力を合わせて
何かを成し遂げる
それがたとえどんな些細なことでも
力を合わせることに意味がある
1人じゃどうしようもなかったこと
2人なら大丈夫(願いは叶う)
あなたと2人
共に手を取り叶えた思い
いつも心は側に・・・”
音楽盛り上がり
――――― 幕 ―――――
2013年7月18日木曜日
“みりとポン吉” ―全9場― 3
ママ、溜め息を吐きながら、ベットに座り込み
歌う。(ベットの上のガラクタや、木の破片、
ピストルの玩具などを手に取り見る。)
“丸であの娘は鉄砲玉
女の子だって言うのに
こんな物ばかり集めて
丸で正義のヒーロー気取り
決死の救出大作戦決行・・・?
一体あの娘は何を考えてるのかしら・・・
もう直ぐ卒業パーティだと言うのに
ラストダンスの相手もいないわ・・・”
ママ、下手へ去る。暗転。
――――― 第 6 場 ―――――
舞台前方、紗幕前、ヒューイ、トンリー
インディアン調の調べに乗り、上手より
歌いながら登場。 ※
“やっほっほ やっほっほ
今夜は祭だ
卒業パーティの前祝いだ
みんなで一晩中騒ぎまくろう
飛びっきりのご馳走で
飛びっきりの前夜祭
今夜はみんなで盛り上がろう!!”
紗幕開く。と、舞台中央、木が一本立っている。
その木に、ポン吉縛られている。
ヒューイ「今夜は滅多にお目にかかれないクマ鍋パーティだ!
!」
トンリー「おいおい・・・クマ鍋って、クマなんか何処にも・・・」
ヒューイ「馬鹿、そこに縛り付けてあるだろ!」
トンリー「あのぬいぐるみ?」
ポン吉、ビクッとする。
トンリー「(笑って。)あんなの食べれないよ。」
ヒューイ「いいんだよ!!大鍋に放り込んで、グツグツ煮出して
スープを・・・。何より、それを見たみりの顔が楽しみだ
ぜ。」
ヒューイ、トンリー再び歌う。
“やっほっほ やっほっほ
今夜は祭だ
今夜は愉快だ
みんなで騒ぎまくろうぜ!!”
ヒューイ、トンリー、歌いながら下手へ去る。
ポン吉「(2人が去ったのを確認して。)クマ鍋だって・・・。どうし
よう・・・僕の体、食べられちゃうのかな・・・。」
ポン吉、静かに歌う。
“僕が何故・・・
飛ばされること知ってたのに
ボタンを押したと思ってるんだい・・・
見たことのない・・・
君の面影を求めて
僕は遥々遠く彼方
この地球まで来た・・・”
舞台、薄暗くなり、後方カーテン後ろにポン吉
のシルエット、浮かび上がる。
ポン吉「本当は、未来ツアーの途中で、単独行動はしちゃいけ
ないんだけど・・・僕は未来の僕の部屋に、どうしても
入ってみたかったんだ・・・。(扉を開ける。)わあ・・・ここ
が3年後の僕の部屋・・・?今と、あんまり変わらないな
ぁ・・・。そりゃそうか・・・たった3年じゃ、やっぱ、あんまり
変わらないか・・・。今度はパパにもっとお願いして、30
年後未来ツアーにでも行かせてもらおうっと・・・。あれ
・・・これは僕の日記・・・へぇ・・・面白そうだ。何々・・・え
-っ!?明日、僕がパパの宇宙船を悪戯して、何処か
へ飛ばされちゃうって!?冗談じゃないよ・・・ああ、助
かった・・・。そのことが分かってりゃ、悪戯なんてするも
んか!!・・・え・・・?次に書いてるのは・・・一週間後の
日付になってるぞ・・・。“・・・飛ばされて、不時着した地
球と言う星で、僕は・・・素敵な女の子と出会った・・・。
名前は“みり”・・・”みり・・・?」
シルエット、フェード・アウトし、舞台明るくなる。
ポン吉「みり・・・」
その時、上手より、木を隠れ蓑にして、みり
登場。ゆっくりポン吉の側へ。
みり「ポン吉・・・!!ポン吉・・・!!(小声で。)もう・・・こんな時
ポン吉みたいに、心に直接話し掛けることが出来たらいい
のに・・・!!ポン吉・・・!!」
みりの心の声「ポン吉・・・」
ポン吉「(項垂れていたが、その声にハッとする。)みり・・・?(み
りに気付く。)みり!!」
みり「しっ!!」
ポン吉「(みりの格好に、思わず吹き出す。)みり・・・なんて格好
・・・」
みり「助けに来たわ!!(ポン吉に駆け寄り、ロープを解こうと
する。)」
ポン吉「・・・僕の為に来てくれたんだ・・・(独り言のように。)」
みり「・・・え?」
ポン吉「う・・・ううん・・・」
みり「解けないなぁ・・・。一体どんな結び方してるのよ・・・(ブツ
ブツと。)」
その時、下手よりメアリ、ヒューイ、トンリー
登場。
ポン吉「みり!!メアリ達だ!!」
みり「やばい・・・(木の陰に隠れる。)」
ヒューイ「そろそろ、鍋のお湯が沸騰してきた頃だから、こいつ
を連れて行って、クマ鍋作ろうぜ。」
メアリ「私、クマ鍋なんかいらないわ。」
ヒューイ「そんなこと言うなよ。それを見た、みりがどんなに驚く
かって、考えただけで面白いだろ?」
メアリ「まぁね。」
トンリー「みりの奴、来るかなぁ・・・。」
ヒューイ「来るさ。あいつ、変に正義感が強いんだ。」
ヒューイ、トンリー、ポン吉のロープを解いて、
連れて行こうとする。
その時、木陰からみり登場。
みり「待ちなさい!!」
トンリー「みり!!」
ヒューイ「来たな!!」
みり「ポン吉を返してもらうわ!!この泥棒達!!」
ヒューイ「そう、易々と取り返せると思ってるのか!!」
みり「思ってなくても・・・ポン吉は渡さない!!(木の棒を構え
る。)」
音楽流れ、みり、ポン吉を取り返す為に、
メアリ、ヒューイ、トンリーに掛かって行く。
一時、戦いの踊り。
みり、3人に遣られそうになりながら、奮闘する。
ポン吉「(思わず。)みり!!」
メアリ「ヒューイ、トンリー!!早く遣っ付けちゃってよ!!」
トンリー「分かってるよ!!」
メアリ「キャッ!!痛い!!ヒューイ、トンリー何遣ってるのよ!
!」
トンリー「あ、ごめん!!」
ヒューイ「くそう!!」
とうとうメアリ、ヒューイ、トンリー、みりが手に
したロープで、ポン吉が縛られていた木に、
縛り付けられる。
メアリ「ヒューイ!!トンリー!!」
ヒューイ「この野郎!!」
トンリー「放せ!!放せよ!!」
みり、ポン吉の方へ。今までジッとしていた
ポン吉、自分で立ち上がる。
ポン吉「(服を払いながら。)あああ、ジッとしてるのって肩が凝
るなぁ。」
みり、ポン吉、顔を見合わせ微笑む。
メアリ、ヒューイ、トンリー呆然とその様子を
見ている。
みり、ポン吉「(3人の方を見て。)べーっ!!」
みり、ポン吉、笑いながら下手へ走り去る。
トンリー「(呆然と。)・・・あれ・・・」
メアリ「・・・クマの・・・」
ヒューイ「・・・ぬいぐるみ・・・だったよなぁ・・・」
3人「お化けだー!!」
音楽、大きくなり暗転。
――――― 第 7 場 ―――――
紗幕前。
下手より、みり、ポン吉登場。
みり「(客席方を見て。)さぁ、ポン吉!この小高い丘の上から
なら、屹度あなたの体を見つけられるわ!!」
ポン吉「(首を振る。)・・・駄目だ・・・みり・・・。(見上げて指差す
。)雲が掛かってて、お月様が見えないよ・・・。月の光
がないと、僕のペンダントは光らないんだ。」
みり「もう、そろそろお月様が真上に昇る頃よ・・・!!どうしよう
・・・!!」
ポン吉「もう・・・帰れないんだ・・・。」
みり「ポン吉・・・何、気弱なことを言ってるの!?そんなんじゃ、
たとえペンダントが光ったって、あなたの体を捜し当てるこ
となんて出来っこないわ!!」
ポン吉「みり・・・」
みり「四つ葉のクローバーだって見つけたのよ!!あなたの体
だって、屹度見つかるわ!!」
ポン吉「・・・うん・・・うん、そうだね!!」 ※2
みり「(空を仰ぐように。)お月様、お願い!!ポン吉の為に、そ
の姿をほんの一瞬だけ私達の前に現わして!!」
ポン吉「お月様!!僕に力を貸して!!」
その時、雲が切れるように、舞台が明るくなる。
みり「見て!!雲が切れるわ!!」
ポン吉「本当だ!!」
みり「さぁ、あなたの体は何処!?」
2人、客席方を捜すように。
その時、客席後方、輝く。
ポン吉「あ・・・あった!!あれだ!!(客席後方を指差す。)あ
そこに僕の体があるんだ!!」
みり「あれは・・・家の裏庭に生えてる大木だわ!!」
ポン吉「本当!?」
みり「こんな近くにあったのね!!」
音楽流れ、2人歌う。
ポン吉“やっと見つけた僕の体”
みり“やっと見つかった本当のあなた”
2人“2人で力を合わせて
何かを成し遂げる
それがたとえどんな些細なことでも
力を合わせることに意味がある”
ポン吉“1人じゃどうしようもなかったこと”
みり“2人なら大丈夫”
2人“あなたと2人
共に手を取り叶えた思い”
ポン吉「やっと帰れるんだ・・・」
みり「ポン吉・・・(淋しそうに。)」
ポン吉「みり・・・?」
みり「体が見つかったら・・・帰っちゃうのね・・・自分の星に・・・。」
ポン吉「みり・・・」
みり「何だか・・・淋しいな・・・なんて・・・(無理に微笑む。)」
ポン吉「・・・みり・・・僕の星からも、あの今見てるのと同じお月
様が見えるんだ。(指差す。)」
みり「ポン吉・・・」
ポン吉「僕の星とこの地球は、あのお月様を挟んでつながって
いるんだよ・・・。」
みり「つながっている・・・。そうね・・・私・・・淋しいなんて変ね・・・
。(涙を隠すように。)さ!!早く体を見つけに行きましょう!
!」
みり、上手へ走り去る。
ポン吉「・・・地球で・・・素敵な女の子と出会った・・・(呟く。)」
暗転。
――――― “みりとポン吉”4へつづく ―――――
※ 彼らは一体、何歳くらいなんでしょうね・・・(^_^;)
※2、この台詞、今現在の作品でもよく登場する台詞です。
屹度、好きなんでしょうね~・・・こんな風に、同じ言葉
を繰り返すのが・・・^^;余談ですが・・・
同じように、よく登場するな~・・・と思っているのが、
皆様お気付きでしょうか・・・(^_^;) 「え・・・」と言う
台詞です(^.^)しかも主人公がよく使うので、毎作品
一体私は何回「え・・・」を言っているのでしょうか・・・?
と、問題が作れそうです~^^;
2013年7月15日月曜日
“みりとポン吉” ―全9場― 2
ポン吉「分からないんだ・・・」
みり「分からないって・・・」
ポン吉「昨日も言ったけど・・・墜落した時の衝撃で、僕の体は
この宇宙船から飛び出して、どっか行っちゃったんだよ
・・・。」
みり「どっかって・・・じゃあどうするの!?体がなけりゃ、帰れな
いんでしょ?」
ポン吉「うん・・・。一体、僕の体・・・何処にあるんだろう・・・。」
みり「・・・ポン吉・・・」
明るい音楽流れ、みり、元気よく歌う。
“大丈夫よポン吉
捜し物なんて直ぐに見つかるわ
大丈夫よポン吉
あなたには心強い味方がいるもの
独りぼっちじゃないわ
あなたと私2人なら
無くした物は直ぐに見つかるわ
だから大丈夫よ
2人で捜しに行きましょう!!”
ポン吉「みり・・・うん!!」
ポン吉歌う。
“捜し物は直ぐに見つかるよ
平気な筈さ
一人じゃないから
君と2人なら勇気も湧いてくる
だから力を貸してね みり!!”
みり「勿論よ!!」
ポン吉「でも・・・どうやって捜せばいいんだろう。こんな広い場所
から、ちっぽけな僕の体を見つけることなんて、本当に
出来るのかな・・・。」
みり「何、気弱なこと言ってるの!?2人で捜せば、何とかなる
わ!!宇宙船だって、この通り見つかったじゃない!!」
ポン吉「・・・うん・・・そうだね!!」
みり「・・・それより、あなたの体、何か目印になるような物は着け
てないの!?」
ポン吉「・・・目印?」
みり「例えば、大きな鞄をぶら下げてるとか・・・光る服を着てる
とか・・・携帯電話を持ってるとか!!」
ポン吉「携帯・・・電話・・・?」
みり「あら、知らないの?(ポケットから、携帯電話を取り出し。)
ほら、これよ!!これがあれば、とっても便利なのよ!!
何たって、遠くの人と話しが出来るんだから!!」
ポン吉「ふうん・・・。僕らの星の、テレパシーみたいなものかな
・・・?そんな物、使わなくたって、僕らは話したい相手
の頭の中に、直接話しかけるんだよ。」
みり「直接ですって!?(何かに反応するように。)分かってるわ
よ!!だからこうやって一生懸命捜して・・・(分かったよう
に溜め息を吐き、ポン吉を見る。)今のがテレパシー・・・?」
ポン吉「まあね・・・。」
みり「凄いのね・・・あなたの声が心の中に聞こえたわ。(ハッと
して。)そんなことより、何か目印よ!!捜す為に、手掛かり
になるようなもの・・・。」
ポン吉「(一時考えて。)そうだ!!光る服は着てないけど・・・僕
が首から提げてたペンダントが、満月の夜、月が真上に
来た時、その明かりに反応して光るんだ。」
みり「それよ!!満月って言えば・・・丁度、今夜だわ!!これで
見つかるわね、あなたの体!!」
ポン吉「うん!!」
音楽で暗転。
――――― 第 4 場 ――――― A
舞台明るくなる。と、紗幕前。
上手より、メアリ登場。続いてヒューイ、
大きな箱を重そうに抱えたトンリー登場。
ヒューイ「あああ、退屈だなぁ・・・。今日は学校も冴えなかったし
・・・。何で、みりの奴、休んでんだよ。」
メアリ「知らないわよ、そんなこと!!それよりその箱、落とさな
いでよ!!」
トンリー「分かってるよ・・・。」
ヒューイ「よかったな、メアリ。卒業パーティ用のドレス、買っても
らえて。」
メアリ「これで明日の卒業パーティで、皆の視線は私のものよ!
」 ※
トンリー「あああ・・・重いなぁ・・・(ボソッと独り言のように。)」
ヒューイ「何だ?しっかり持てよ!落とすんじゃないぜ。」
トンリー「はいはい。」
メアリ「今日はみりが学校休んでて、苛める相手がいないから
ムシャクシャしてたけど、素敵なドレスを買ってもらった
お陰で、スッキリしたわ。次はこのドレスに合う、鞄と靴を
パパにおねだりしなくちゃ。」
メアリ、歌う。
ヒューイ、トンリー、メアリの回りを踊る。
“素敵なドレスに可愛い鞄
大人びたヒールに光輝く宝石類
誰が見ても一番目を引く
飛びっきりのレディ
誰もが私と踊りたがるわ
誰もが私にダンスを申し込むの
ラストダンスの相手に選ばれた者は
最高の栄誉に酔い痴れるわ”
3人、下手へ去る。
――――― 第 4 場 ――――― B
上手方スポットに、みりのママ、受話器を
持って電話しているように。
ママ「はい・・・はい・・・え?みりが、今日学校をお休みしたんで
すか!?まぁ、本当にあの子ったら何処ほっつき歩いて・・・
。朝は元気に“行って来ます”なんて出て行ったんですけど
・・・。はい・・・はい、帰ったらきつく言い聞かせますから・・・
本当にすみません・・・。」
ママ、フェード・アウト。
――――― 第 5 場 ――――― A
舞台明るくなる。と、舞台中央、みりとポン吉
座り込んで話している。
みり「ね!あなたの星ってどんな感じ?この地球に似てるのか
しら?」
ポン吉「顔形や姿は、似てるかな・・・」
みり「あら・・・あなたタヌキじゃないの?」
ポン吉「酷いな・・・。これは地球での仮の姿だよ。」
みり「そうなの。」
ポン吉「でも、科学の進歩はこの地球とは、比べ物にならない
くらい、格段に進んでるよ。」
みり「そうね・・・。宇宙船だなんて、聞いたことがないもの。」
ポン吉「宇宙船だけじゃないさ。僕らの星には、タイムマシン
だってあるんだよ。」
みり「タイムマシン・・・?」
ポン吉「そう!自由に昔に行ったり、未来に行ったり出来るんだ
。タイムマシンで行く、未来ツアーなんてのもあるんだ
から。」
みり「へぇ・・・凄いのね。何でも未来のこと、分かっちゃうのね。
じゃあ、ひょっとして・・・宇宙船を悪戯して、飛ばされちゃう
ってことも知ってたりして。(笑う。)」
ポン吉「(笑う。)・・・うん・・・」
みり「・・・うん?うんって、知ってたの!?知ってたのに何故?」
ポン吉「・・・つい・・・(笑って誤魔化す。)」
みり「もう、仕様がないポン吉ねぇ!!」
ポン吉「何故・・・僕が宇宙船を悪戯して、飛ばされることを知っ
てたのに、発射ボタンを押したと思ってる・・・?」
みり「そんなの、どうせあなたが忘れてたからでしょ?(笑う。)
・・・今・・・何か言った?」
ポン吉「う・・・ううん!」
みり「(何かを見つけたように。)見て、ポン吉!!四つ葉のクロ
ーバーよ!!」
ポン吉「本当だ!!地球でも四つ葉のクローバーって、何か特
別な意味があるの?」
みり「地球でも・・・って」
ポン吉「僕達の住む星では、近代化が進んで、今じゃ土のある
場所なんて、極僅かなんだ。その中で四つ葉のクロー
バーを見つけるって、凄いことなんだよ。四つ葉のクロ
ーバーを手に入れた者は、何でも願いが叶うって言わ
れてるんだ・・・。」
みり「へぇ・・・。はい!(四つ葉のクローバーを、ポン吉の方へ
差し出す。)あなたにあげるわ!」
ポン吉「え・・・?」
みり「この地球でも、四つ葉のクローバーは幸せのお守りよ!
屹度あなたの体、見つかるわ!!」
ポン吉「みり・・・(クローバーを受け取り、見詰め呟くように歌う
。)」
“四つ葉のクローバーは
幸せを運んで来る・・・
僕の願いを叶える為に・・・”
その時、下手よりメアリ、ヒューイ、トンリー
話しながら登場。みりを認め、顔を見合わせ
ゆっくり近付く。
メアリ「あら・・・みりじゃない。」
みり「メアリ・・・」
ポン吉、じっとして動かなくなる。
メアリ「学校サボって何してるの?こんな所で・・・」
みり「何だっていいじゃない・・・。あなたに関係ないでしょ・・・」
メアリ「ふうん・・・。私、今日ママに町の洋服屋さんで、とっても
素敵なパーティドレスを買って貰ったのよ!ね!(ヒュー
イとトンリーに。)」
ヒューイ「ああ。」
トンリー「とってもメアリに似合ってる。」
メアリ「あなたは何を着て行くの?折角の卒業パーティだもの、
その格好じゃあねぇ・・・。でも、あなたなんか卒業パー
ティに相手してくれる男の子もいなかったわね。ドレスな
んて関係ないわね。一番メインのラストダンスは誰とも
踊らないで、一人で壁の花なんて可哀相。(笑う。)」
ポン吉(心の声)「みりは誰かさんみたいに、気飾らなくても十分
綺麗なんだ。」
メアリ「何ですって!?」
トンリー「どうしたんだい、メアリ?」
メアリ「ヒューイ!!トンリー!!今、私に変なこと囁いたでしょ
!?」
ヒューイ「俺達、何も言わないさ!!なぁ、トンリー!!」
トンリー「うん・・・」
ポン吉(心の声)「おまえ達も我が儘お嬢様相手に大変だな。(
笑う。)」
ヒューイ「そうなんだよ・・・」
トンリー「うん・・・」
メアリ「どう言うこと!?」
トンリー「え・・・?いや・・・」
ヒューイ「俺達、何も・・・」
メアリ「“我が儘お嬢様”ってどう言うことよ!!」
みり「(小声で。)・・・ポン吉?」
ポン吉「(みりに囁くように。)だって、みりに言いたい放題言い
やがって、頭にきたんだ。」
みり「駄目よ!!バレたらどうするの?でも・・・ありがとう・・・。
(笑う。)」
メアリ「何が可笑しいの!?」
みり「(首を振る。)」
ヒューイ「(ポン吉に気付いて。)おい、メアリ!!こいつ、変わっ
た人形持ってるぜ。」
トンリー「本当だ・・・。なんだ、このぬいぐるみ。(足で突いてみ
る。)」
みり「やめてよ!!」
メアリ「何?みりってば、こんな大きなぬいぐるみ持って、ウロウ
ロしてるの?」
みり「いいでしょ!!ほっといてよ!!」
みり、ポン吉を抱き抱えて行こうとする。
メアリ「待ちなさいよ。何、そんなに大切そうに抱えてるの?ちょ
っと見せてよ。ヒューイ!!トンリー!!」
ヒューイ、トンリー、ポン吉を取ろうとする。
みり「嫌よ!!止めて!!ポン吉!!」
ヒューイ、トンリー、ポン吉を取り上げる。
メアリ「ポン吉?」
みり「ポン吉を返して!!」
メアリ「(笑って。)ポン吉だなんて、変な名前。(ポン吉をマジマ
ジ見て。)ポン吉っぽい顔・・・。汚いぬいぐるみねぇ・・・。」
みり「そんなこと、どうだっていいでしょ!?早く返してよ!!」
メアリ「向きになっちゃって可笑しい・・・。(ニヤリと笑う。)ちょっ
とこのぬいぐるみ借りて行くわ。」
みり「駄目よ!!」
メアリ「ヒューイ!!トンリー!!」
ヒューイ「じゃあ、みり、ちょっと借りてくぜ。」
みり「ポン吉を返して!!」
みり、ヒューイ、トンリーに掴みかかるが、
押し退けられる。
みり「キャッ!!(倒れる。)」
ポン吉(心の声)「みり!!」
ヒューイ、トンリー、ポン吉を抱えて上手へ
去る。メアリ、笑いながら続いて去る。
みり「ポン吉!!ポン吉ー!!・・・屹度助け出すわ・・・屹度、
助けに行くからねー!!」
――――― 第 5 場 ――――― B
みり、スポットに浮かび上がり歌う。
“大切な私の友達
遥か彼方
宇宙の何処からか
突然私の前に現れたあなただけど
出会ったばかりの私達
でも私にはとても大切な友達だわ
姿形はただのぬいぐるみでも
心はちゃんと通い合う
生まれて初めて見つけた大切な友達”
みり「ポン吉、待ってて!!」
舞台明るくなる。と、みりの部屋。
みり「(ベットの脇の木箱を探るように。)えっと・・・何処に仕舞っ
たかしら・・・。あった!!これこれ・・・っと・・・」
みり、木箱から取り出したヘルメットを被り、
木の棒を掲げる。ベットの上に立ち上がり。
みり「待ってなさい、メアリ、ヒューイ、トンリー!!私の大切な
ポン吉を奪っといて、ただで済むと思ったら大間違いよ!!
」
その時、下手よりみりのママ登場。
ママ「みり!!“ただいま”も言わないで、ドタバタ部屋に駆け込
んだと思ったら、何て格好・・・(呆れたように。)それにあな
た、今日学校どうしたの!?朝“行って来ます”って出て行
ったっきり、こんな時間まで、どこほっつき歩いて・・・」
みり「ママ!!お説教なら後でいくらでも聞くわ!!私、忙しい
の!!今から決死の救出大作戦決行よ!!」
みり、上手へ走り去る。
ママ「あ・・・みり!!みり、待ちなさい!!みり・・・。決死の救出
大作戦・・・って・・・」
――――― “みりとポン吉”3へつづく ―――――
※ 何の卒業パーティか・・・は、あまり深く考えないで
ください^^;
みり「分からないって・・・」
ポン吉「昨日も言ったけど・・・墜落した時の衝撃で、僕の体は
この宇宙船から飛び出して、どっか行っちゃったんだよ
・・・。」
みり「どっかって・・・じゃあどうするの!?体がなけりゃ、帰れな
いんでしょ?」
ポン吉「うん・・・。一体、僕の体・・・何処にあるんだろう・・・。」
みり「・・・ポン吉・・・」
明るい音楽流れ、みり、元気よく歌う。
“大丈夫よポン吉
捜し物なんて直ぐに見つかるわ
大丈夫よポン吉
あなたには心強い味方がいるもの
独りぼっちじゃないわ
あなたと私2人なら
無くした物は直ぐに見つかるわ
だから大丈夫よ
2人で捜しに行きましょう!!”
ポン吉「みり・・・うん!!」
ポン吉歌う。
“捜し物は直ぐに見つかるよ
平気な筈さ
一人じゃないから
君と2人なら勇気も湧いてくる
だから力を貸してね みり!!”
みり「勿論よ!!」
ポン吉「でも・・・どうやって捜せばいいんだろう。こんな広い場所
から、ちっぽけな僕の体を見つけることなんて、本当に
出来るのかな・・・。」
みり「何、気弱なこと言ってるの!?2人で捜せば、何とかなる
わ!!宇宙船だって、この通り見つかったじゃない!!」
ポン吉「・・・うん・・・そうだね!!」
みり「・・・それより、あなたの体、何か目印になるような物は着け
てないの!?」
ポン吉「・・・目印?」
みり「例えば、大きな鞄をぶら下げてるとか・・・光る服を着てる
とか・・・携帯電話を持ってるとか!!」
ポン吉「携帯・・・電話・・・?」
みり「あら、知らないの?(ポケットから、携帯電話を取り出し。)
ほら、これよ!!これがあれば、とっても便利なのよ!!
何たって、遠くの人と話しが出来るんだから!!」
ポン吉「ふうん・・・。僕らの星の、テレパシーみたいなものかな
・・・?そんな物、使わなくたって、僕らは話したい相手
の頭の中に、直接話しかけるんだよ。」
みり「直接ですって!?(何かに反応するように。)分かってるわ
よ!!だからこうやって一生懸命捜して・・・(分かったよう
に溜め息を吐き、ポン吉を見る。)今のがテレパシー・・・?」
ポン吉「まあね・・・。」
みり「凄いのね・・・あなたの声が心の中に聞こえたわ。(ハッと
して。)そんなことより、何か目印よ!!捜す為に、手掛かり
になるようなもの・・・。」
ポン吉「(一時考えて。)そうだ!!光る服は着てないけど・・・僕
が首から提げてたペンダントが、満月の夜、月が真上に
来た時、その明かりに反応して光るんだ。」
みり「それよ!!満月って言えば・・・丁度、今夜だわ!!これで
見つかるわね、あなたの体!!」
ポン吉「うん!!」
音楽で暗転。
――――― 第 4 場 ――――― A
舞台明るくなる。と、紗幕前。
上手より、メアリ登場。続いてヒューイ、
大きな箱を重そうに抱えたトンリー登場。
ヒューイ「あああ、退屈だなぁ・・・。今日は学校も冴えなかったし
・・・。何で、みりの奴、休んでんだよ。」
メアリ「知らないわよ、そんなこと!!それよりその箱、落とさな
いでよ!!」
トンリー「分かってるよ・・・。」
ヒューイ「よかったな、メアリ。卒業パーティ用のドレス、買っても
らえて。」
メアリ「これで明日の卒業パーティで、皆の視線は私のものよ!
」 ※
トンリー「あああ・・・重いなぁ・・・(ボソッと独り言のように。)」
ヒューイ「何だ?しっかり持てよ!落とすんじゃないぜ。」
トンリー「はいはい。」
メアリ「今日はみりが学校休んでて、苛める相手がいないから
ムシャクシャしてたけど、素敵なドレスを買ってもらった
お陰で、スッキリしたわ。次はこのドレスに合う、鞄と靴を
パパにおねだりしなくちゃ。」
メアリ、歌う。
ヒューイ、トンリー、メアリの回りを踊る。
“素敵なドレスに可愛い鞄
大人びたヒールに光輝く宝石類
誰が見ても一番目を引く
飛びっきりのレディ
誰もが私と踊りたがるわ
誰もが私にダンスを申し込むの
ラストダンスの相手に選ばれた者は
最高の栄誉に酔い痴れるわ”
3人、下手へ去る。
――――― 第 4 場 ――――― B
上手方スポットに、みりのママ、受話器を
持って電話しているように。
ママ「はい・・・はい・・・え?みりが、今日学校をお休みしたんで
すか!?まぁ、本当にあの子ったら何処ほっつき歩いて・・・
。朝は元気に“行って来ます”なんて出て行ったんですけど
・・・。はい・・・はい、帰ったらきつく言い聞かせますから・・・
本当にすみません・・・。」
ママ、フェード・アウト。
――――― 第 5 場 ――――― A
舞台明るくなる。と、舞台中央、みりとポン吉
座り込んで話している。
みり「ね!あなたの星ってどんな感じ?この地球に似てるのか
しら?」
ポン吉「顔形や姿は、似てるかな・・・」
みり「あら・・・あなたタヌキじゃないの?」
ポン吉「酷いな・・・。これは地球での仮の姿だよ。」
みり「そうなの。」
ポン吉「でも、科学の進歩はこの地球とは、比べ物にならない
くらい、格段に進んでるよ。」
みり「そうね・・・。宇宙船だなんて、聞いたことがないもの。」
ポン吉「宇宙船だけじゃないさ。僕らの星には、タイムマシン
だってあるんだよ。」
みり「タイムマシン・・・?」
ポン吉「そう!自由に昔に行ったり、未来に行ったり出来るんだ
。タイムマシンで行く、未来ツアーなんてのもあるんだ
から。」
みり「へぇ・・・凄いのね。何でも未来のこと、分かっちゃうのね。
じゃあ、ひょっとして・・・宇宙船を悪戯して、飛ばされちゃう
ってことも知ってたりして。(笑う。)」
ポン吉「(笑う。)・・・うん・・・」
みり「・・・うん?うんって、知ってたの!?知ってたのに何故?」
ポン吉「・・・つい・・・(笑って誤魔化す。)」
みり「もう、仕様がないポン吉ねぇ!!」
ポン吉「何故・・・僕が宇宙船を悪戯して、飛ばされることを知っ
てたのに、発射ボタンを押したと思ってる・・・?」
みり「そんなの、どうせあなたが忘れてたからでしょ?(笑う。)
・・・今・・・何か言った?」
ポン吉「う・・・ううん!」
みり「(何かを見つけたように。)見て、ポン吉!!四つ葉のクロ
ーバーよ!!」
ポン吉「本当だ!!地球でも四つ葉のクローバーって、何か特
別な意味があるの?」
みり「地球でも・・・って」
ポン吉「僕達の住む星では、近代化が進んで、今じゃ土のある
場所なんて、極僅かなんだ。その中で四つ葉のクロー
バーを見つけるって、凄いことなんだよ。四つ葉のクロ
ーバーを手に入れた者は、何でも願いが叶うって言わ
れてるんだ・・・。」
みり「へぇ・・・。はい!(四つ葉のクローバーを、ポン吉の方へ
差し出す。)あなたにあげるわ!」
ポン吉「え・・・?」
みり「この地球でも、四つ葉のクローバーは幸せのお守りよ!
屹度あなたの体、見つかるわ!!」
ポン吉「みり・・・(クローバーを受け取り、見詰め呟くように歌う
。)」
“四つ葉のクローバーは
幸せを運んで来る・・・
僕の願いを叶える為に・・・”
その時、下手よりメアリ、ヒューイ、トンリー
話しながら登場。みりを認め、顔を見合わせ
ゆっくり近付く。
メアリ「あら・・・みりじゃない。」
みり「メアリ・・・」
ポン吉、じっとして動かなくなる。
メアリ「学校サボって何してるの?こんな所で・・・」
みり「何だっていいじゃない・・・。あなたに関係ないでしょ・・・」
メアリ「ふうん・・・。私、今日ママに町の洋服屋さんで、とっても
素敵なパーティドレスを買って貰ったのよ!ね!(ヒュー
イとトンリーに。)」
ヒューイ「ああ。」
トンリー「とってもメアリに似合ってる。」
メアリ「あなたは何を着て行くの?折角の卒業パーティだもの、
その格好じゃあねぇ・・・。でも、あなたなんか卒業パー
ティに相手してくれる男の子もいなかったわね。ドレスな
んて関係ないわね。一番メインのラストダンスは誰とも
踊らないで、一人で壁の花なんて可哀相。(笑う。)」
ポン吉(心の声)「みりは誰かさんみたいに、気飾らなくても十分
綺麗なんだ。」
メアリ「何ですって!?」
トンリー「どうしたんだい、メアリ?」
メアリ「ヒューイ!!トンリー!!今、私に変なこと囁いたでしょ
!?」
ヒューイ「俺達、何も言わないさ!!なぁ、トンリー!!」
トンリー「うん・・・」
ポン吉(心の声)「おまえ達も我が儘お嬢様相手に大変だな。(
笑う。)」
ヒューイ「そうなんだよ・・・」
トンリー「うん・・・」
メアリ「どう言うこと!?」
トンリー「え・・・?いや・・・」
ヒューイ「俺達、何も・・・」
メアリ「“我が儘お嬢様”ってどう言うことよ!!」
みり「(小声で。)・・・ポン吉?」
ポン吉「(みりに囁くように。)だって、みりに言いたい放題言い
やがって、頭にきたんだ。」
みり「駄目よ!!バレたらどうするの?でも・・・ありがとう・・・。
(笑う。)」
メアリ「何が可笑しいの!?」
みり「(首を振る。)」
ヒューイ「(ポン吉に気付いて。)おい、メアリ!!こいつ、変わっ
た人形持ってるぜ。」
トンリー「本当だ・・・。なんだ、このぬいぐるみ。(足で突いてみ
る。)」
みり「やめてよ!!」
メアリ「何?みりってば、こんな大きなぬいぐるみ持って、ウロウ
ロしてるの?」
みり「いいでしょ!!ほっといてよ!!」
みり、ポン吉を抱き抱えて行こうとする。
メアリ「待ちなさいよ。何、そんなに大切そうに抱えてるの?ちょ
っと見せてよ。ヒューイ!!トンリー!!」
ヒューイ、トンリー、ポン吉を取ろうとする。
みり「嫌よ!!止めて!!ポン吉!!」
ヒューイ、トンリー、ポン吉を取り上げる。
メアリ「ポン吉?」
みり「ポン吉を返して!!」
メアリ「(笑って。)ポン吉だなんて、変な名前。(ポン吉をマジマ
ジ見て。)ポン吉っぽい顔・・・。汚いぬいぐるみねぇ・・・。」
みり「そんなこと、どうだっていいでしょ!?早く返してよ!!」
メアリ「向きになっちゃって可笑しい・・・。(ニヤリと笑う。)ちょっ
とこのぬいぐるみ借りて行くわ。」
みり「駄目よ!!」
メアリ「ヒューイ!!トンリー!!」
ヒューイ「じゃあ、みり、ちょっと借りてくぜ。」
みり「ポン吉を返して!!」
みり、ヒューイ、トンリーに掴みかかるが、
押し退けられる。
みり「キャッ!!(倒れる。)」
ポン吉(心の声)「みり!!」
ヒューイ、トンリー、ポン吉を抱えて上手へ
去る。メアリ、笑いながら続いて去る。
みり「ポン吉!!ポン吉ー!!・・・屹度助け出すわ・・・屹度、
助けに行くからねー!!」
――――― 第 5 場 ――――― B
みり、スポットに浮かび上がり歌う。
“大切な私の友達
遥か彼方
宇宙の何処からか
突然私の前に現れたあなただけど
出会ったばかりの私達
でも私にはとても大切な友達だわ
姿形はただのぬいぐるみでも
心はちゃんと通い合う
生まれて初めて見つけた大切な友達”
みり「ポン吉、待ってて!!」
舞台明るくなる。と、みりの部屋。
みり「(ベットの脇の木箱を探るように。)えっと・・・何処に仕舞っ
たかしら・・・。あった!!これこれ・・・っと・・・」
みり、木箱から取り出したヘルメットを被り、
木の棒を掲げる。ベットの上に立ち上がり。
みり「待ってなさい、メアリ、ヒューイ、トンリー!!私の大切な
ポン吉を奪っといて、ただで済むと思ったら大間違いよ!!
」
その時、下手よりみりのママ登場。
ママ「みり!!“ただいま”も言わないで、ドタバタ部屋に駆け込
んだと思ったら、何て格好・・・(呆れたように。)それにあな
た、今日学校どうしたの!?朝“行って来ます”って出て行
ったっきり、こんな時間まで、どこほっつき歩いて・・・」
みり「ママ!!お説教なら後でいくらでも聞くわ!!私、忙しい
の!!今から決死の救出大作戦決行よ!!」
みり、上手へ走り去る。
ママ「あ・・・みり!!みり、待ちなさい!!みり・・・。決死の救出
大作戦・・・って・・・」
――――― “みりとポン吉”3へつづく ―――――
※ 何の卒業パーティか・・・は、あまり深く考えないで
ください^^;
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