警官1、ブローチを受け取り、隣にいた
警官2へ手渡す。と、警官2、そのブローチ
を見て警官1に向かって頷く。
警官1「矢張りそうか・・・」
ジェシカ「一体何ですの?」
警官1「あなたを昨夜の宝石店強盗の容疑者として、署へ連行します
。」
ジェシカ「え?」
ライアン「連行!?」
ジェシカ「ま・・・待って下さい!!如何して私が・・」
警官2「このブローチは、宝石店で昨夜盗まれたものと同じ・・・。」
ジェシカ「まさか・・・」
警官1「ここ数カ月、同一犯と思われる強盗事件の犯人の足取りを
追っていたところ、その盗まれたものが一部・・・毎回少量で
はあるのですが、同じ所へ流れていることが分かったのです
。」
ジェシカ「・・・同じ所・・・?」
警官1「そう、ここあなたの所へね!!」
ジェシカ「・・・嘘・・・」
警官1「警察までご同行願います。」
ジェシカ「待って下さい!!」
警官2人、ジェシカの腕を掴み、下手方へ
無理矢理連れて行こうとする。
ライアン「お巡りさん!!ばあちゃんは犯人なんかじゃない!!」
ジェシカ「(一瞬、怪訝な表情でライアンを見るが、何か少し感ずいた
ように。)ライアン!!ジャックのことをお願い!!私が戻る
までその子を・・・!!」
ライアン「え・・・え・・・!?僕・・・!!でも・・・!!」
ジェシカ「ジャック・・・!!ジャックーッ!!」
ジェシカ、警官に引っ張られるように、下手へ
去る。
ライアン「ばあちゃーん!!」
ジャック「うぇーん・・・!!(泣く。)」
ライアン「あ・・・え・・・!?よしよし・・・(あやす。)おい、泣くなよ・・・!!
嘘だろ・・・!!ばあちゃーん!!早く帰って来てくれよーっ!!
よしよし・・・高い高ーい!!(泣いていたジャック、笑い出す。)
高い高-い!!ばあちゃーん!!」
ライアンの叫び声残して、紗幕閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕前。音楽流れ、下手より泥棒達登場。歌う。
“俺たちゃ泥棒
この町のお宝全て
頂戴するぜ
俺たちゃ泥棒
目を付けた金品財宝
必ず手に入れてやる”
男1「今度は町の大富豪に目を付けてあるんだ!」
男2「へえ・・・」
マイク「・・・俺・・・」
男1「ん?」
マイク「そろそろ、この泥棒稼業も潮時なんじゃないか・・・?」
男1「何言ってんだ!!」
男2「マイクは、この間のヘマで、少しばかし怖気付いてんのさ。」
マイク「俺は・・・」
男1「マイク!今度はドジ踏むなよ!この間みたいに警官に見つかっ
て、怪我を・・・あ?おまえ、そう言や、怪我如何したんだよ・・・。
腕を撃たれたんだよな?確か・・・」
マイク「え・・・あ・・・ああ・・・それが・・・か・・・勘違いしてたんだ!!」
男3「勘違い・・・?」
マイク「腕を撃たれたと思って、大騒ぎしたけど、掠っただけだったん
だ。」
男2「掠っただけ・・・?」
男3「なあんだ、そうだったのか。」
マイク「ああ、悪い・・・!大騒ぎして・・・。」
男1「ふうん・・・。まあいいや、今度はあんな大騒ぎするなよ。」
マイク「あ・・・ああ。」
マイク残して泥棒達、上手へ去る。
――――― 第 5 場 ―――――
紗幕開く。と、前場の風景。(マイク、ジェシカの
家の前。)
マイク、佇む。一瞬大風が吹き抜ける。(“ビューン”)
マイク「何だか風が強くなってきたな・・・」
そこへ家の中からライアン、慌てた様子で登場。
ライアン「じいちゃん!!」
マイク「え・・・おまえ・・・何で、俺ン家に・・・?」
ライアン「馬鹿野郎!!じいちゃん、今まで何やってんだよ!!」
マイク「誰がおまえのじいちゃんなんだ、馬鹿!」
ライアン「ばあちゃんが、警察に連れて行かれたんだ!!」
マイク「え・・・?ばあちゃん・・・?」
ライアン「じいちゃんの奥さんのジェシカだよ!!」
マイク「おまえの話し、よく分かんねぇよ。それより人ン家でおまえは
何やってんだよ!ジェシカは?」
ライアン「あーっ!!もう!!だから!!ハリケーンの向かう先に、
兄ちゃんの奥さんのジェシカが、警察に泥棒の容疑を掛け
られて、連れて行かれたんだよ!!」
マイク「泥棒の容疑って・・・」
ライアン「兄ちゃんが昨夜、宝石店から盗んだブローチを付けてたか
ら、犯人扱いされて連れて行かれたんだ!!」
マイク「まさか・・・」
ライアン「本当だよ!!ハリケーンが今にも町の中心へ向かおうとし
ている時に、何でそんな危ない場所に、ばあちゃん連れて行
かせるんだ!!」
マイク「そんなこと言ったって・・・」
ライアン「早く、ばあちゃん助けに行くぞ!!」
マイク「あ・・・ああ・・・!!そうだ、ジャック・・・」
ライアン「大丈夫!!ひいじいちゃんなら、隣のおばさんに頼んだよ
!!」
マイク「え?ひいじいちゃんって・・・おまえ誰なんだよーっ!!」
ライアン、マイクの手を取り、下手へ走り去る。
紗幕閉まる。
――――― 第 6 場 ――――― A
紗幕前。
ハリケーンの大風が吹き荒れ、人々が逃げ惑う。
人々「キャーッ!!」
「わあーっ!!」
「早く逃げろーっ!!」
「ハリケーンが家屋を巻き上げながら、町の中心部へ向かって
行くぞーっ!!」
「わあーっ!!助けてーっ!!」
(“ゴオーッ!!”)
暫くの喧騒の後、静寂が辺りを包む。
――――― 第 6 場 ――――― B
紗幕開く。と、嵐の過ぎ去った後の町の様子。
その時、ジェシカの名前を呼ぶ声が聞こえる。
声「ジェシカー!!」
声「ばあちゃーん!!」
そこへ、下手よりマイクとライアン、慌てて走り
登場。回りを見回し、ジェシカを捜すように。
マイク「ジェシカー!!」
ライアン「ばあちゃーん!!」
マイク「ジェシカー!!何処なんだーっ!!ジェシカーッ!!」
ライアン「ばあちゃーん!!ばあちゃーん!!」
マイク「・・・おい・・・おまえ、その“ばあちゃん”って何なんだよ、さっき
から・・・。」
ライアン「いいじゃない、そんなこと如何だって。」
マイク「いいじゃないって・・・」
ライアン「あ!!あそこを見て!!(後方、倒壊した家屋の方を指差
して。)」
マイク「え?」
ライアン「ばあちゃん!!」
マイク「ジェシカ!!」
2人、その方へ駆け寄り、マイク家屋の後ろから
ジェシカを抱き抱え、ゆっくり前へ。下へ下ろす。
マイク「ジェシカ!!ジェシカ・・・!!」
ライアン「ばあちゃん・・・間に合わなかったんだ・・・」
マイク「ジェシカ・・・(ジェシカに伏せ、泣く。何かに気付いたように。)
・・・ジェシカ・・・?ジェシカ!!まだ生きてる・・・!!」
ライアン「え・・・?」
マイク「まだ息をしているぞ!!直ぐに病院へ連れて・・・」
ライアン「待って!!」
マイク「え?」
ライアン「待って、じいちゃん!!ばあちゃんを僕に見せて!!」
マイク「おまえ何言って・・・」
ライアン「忘れたの!?僕、じいちゃんの怪我を治してあげたでしょ
!!」
マイク「あ・・・ああ・・・!!そうか・・・」
ライアン「(ジェシカを見て。)・・・大丈夫だ!!まだ死んでない!!
(ジェシカの体に触れ、暫く祈るように。)」
その時、ジェシカ、ゆっくり目覚める。
マイク「ジェシカ・・・」
ジェシカ「マイク・・・?」
マイク「ジェシカーッ!!(抱き締める。)」
マイクとジェシカを微笑んで見詰めるライアン。
暗転。
――――― 第 7 場 ―――――
(紗幕前。)
上手スポットにライアン、下手スポットにマイク
浮かび上がる。
マイク「おまえのお陰なんだろ・・・?ジェシカの命を救ってくれた・・・。」
ライアン「僕はその為にここに来たんだ、だから・・・」
マイク「その為・・・?」
ライアン「うん。僕は未来のあなたの玄孫・・・。あなたは未来の僕の
ひいひいお祖父さんにあたる人だよ・・・。」
マイク「まさか・・・って驚いても、現実にあんな魔法使いみたいなこと
を目の前で見せられちゃ・・・信じるなって言われても、信じるしか
ないよな・・・。そうか・・・未来の俺の・・・。え・・・?でもどうやっ
てここに・・・?」
ライアン「100年以上先の未来には、タイムマシンだってあるんだ。」
マイク「へえ・・・」
ライアン「人間の寿命も、この世界とは比べ物にならないくらい長い
んだ。だから僕の家には、150歳の元気なひいひいお祖父さ
ん・・・あなたがいるんだよ。」
マイク「150歳の・・・俺が?そうか・・・。長生きなんだな、俺・・・(笑う。
)ジェシカは・・?」
ライアン「お祖母さんのことは・・・僕は知らない・・・。」
マイク「・・・知らない・・・?」
ライアン「僕が生まれるずっと以前にもう・・・」
マイク「ジェシカが・・・」
ライアン「このハリケーンで本当は・・・おばあさんは亡くなる筈だった
んだ・・・。」
マイク「え・・・じゃあ・・・」
ライアン「うん。だから僕はおじいさんに頼まれて、おばあさんを助け
る為に未来から来たんだよ。」
音楽流れ、ライアン歌う。
“僕はあなたの命を受け
遥か彼方からやって来た・・・
大切な人 助ける為に
まだ見たことのないその人が
僕にとっても大切な
未来につながる人だから・・・”
マイク歌う。
“何て言うこと・・・
そんなことが
未来には当たり前に起こるのか
俺には全く考え及ばない
ただ普通に生きてるだけで
未来はどんどん変わって行くのか・・・”
ライアン「うん!!」
マイク「未来では、魔法まで使えるみたいだな・・・」
ライアン「え?」
マイク「おまえは・・・俺の傷を治し、そしてジェシカの命まで救ってく
れた・・・。あんなことは、普通の人間じゃ、出来ないぞ。」
ライアン「そうだね。」
マイク「じゃあ・・・」
ライアン「だって、僕のママは宇宙人だから。」
マイク「う・・・宇宙人!?」
ライアン「何、そんなに驚いてるの?そんなの、僕らの時代では当た
り前だよ。」
――――― “ライアン”完結編へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
無茶苦茶余談ですが・・・
今朝、初めて“毛玉取り”なるものを使用してみたら、
面白くて夢中になり過ぎて・・・気付いたら洋服に
虫食いのような穴がチラホラ・・・(>_<)
毛玉取りの威力に、朝っぱらから驚かされた次第です^_^;
・・・にしても・・・穴が開いた洋服に・・・ショックです・・・(>_<)
2012年3月27日火曜日
2012年3月23日金曜日
“ライアン” ―全8場― 2
その時、マイクの声がどこからか聞こえる。
マイクの声「ジェシカーッ!!」
そこへ、上手よりマイク走り登場。
マイク「ジェシカ!!」
ジェシカ「マイク・・・どこへ行ってたの、今まで・・・。昨日も帰って来
なかったし・・・。」
マイク「ほら、ジェシカ!君にプレゼントだ!(ポケットから取り出し
たブローチを差し出す。)」
ジェシカ「(ブローチを受け取って。)まあ・・・綺麗。」
マイク「貸して!(ジェシカからブローチを取り、ジェシカの胸に付け
る。)君に絶対似合うと思ってたんだ!」
ジェシカ「ありがとう・・・。でも、どうしたの?こんな高そうなブローチ
。」
マイク「君はそんなことを気にしなくていいんだ!」
ジェシカ「だって・・・」
何時の間にか、上手より数人の男達登場。
男1「マイクー!そろそろ行くぞ!」
マイク「あ・・・ああ!」
マイク、男達について、下手方へ行こうと
する。
ジェシカ「マイク!!」
マイク、立ち止まり、チラッと振り返りジェシカ
を見るが、男達について下手へ去る。
ジェシカ「マイクー!!」
――――― 第 3 場 ――――― B
下手方を見詰め、佇むジェシカ。紗幕開く。
と、町外れのマイクとジェシカの家の前。
(ジェシカ、溜め息を吐き、家の中へ入る。)
そこへ下手より、回りを見回しながらライアン
登場。音楽流れ、ライアン歌う。
“とても遠くてとても近い
なんだか不思議な感覚だ・・・
見たことがある見たことがない・・・
そんな奇妙なデジャヴが
僕を包み込む・・・
だけど怖くはない
だって妙に懐かしく
温かい温もりを
感じるから・・・”
ライアン「確か未来の僕ン家は、ここら辺だと・・・(家を認め。)あ・・・
あった!!あれだ!!(家に駆け寄り、珍しそうに見る。)
へえ・・・僕ン家って、昔はこんな古めかしい家だったんだ・・・
って、当たり前か・・・。(笑う。)誰かいるのかなぁ・・・」
ライアン、窓から家の中を覗いていると、
扉が開いてジェシカ、赤ん坊を抱いて登場。
ライアン、慌てて家の陰に身を隠す。
ジェシカ「ジャック・・・、パパは一体何処へ行ったのかしらね・・・。さっ
きラジオのニュースで言ってたわ、とても大きなハリケーン
が、本土の町の中心部へ向かってやってくるんですって・・・。
そんな危険な時にあの人は何処へ行ったのかしら・・・。毎日
毎日・・・フラッと出て行ったかと思えば、突然帰って来て・・・
あなたの顔も見ずに、また今日も行ってしまったわね・・・。(
人の気配を感じて。)誰!?」
ライアン、ゆっくり登場。
ライアン「・・・こんにちは・・・」
ジェシカ「・・・あなた・・・誰・・・?私の家で、何をしているの?」
ライアン「僕・・・ライアン・・・。あの・・・別に怪しい者じゃないんだ!!
ちょっと、おば・・・さんに用があって・・・」
ジェシカ「私に用事・・・?何かしら・・・」
ライアン「えっと・・・あの・・・(口籠る。)」
ジェシカ「(笑う。)可笑しな子ね・・・。でも、何故だかあなたのことを、
怪しい子だなんてちっとも思わないわ・・・。変ね・・・。」
ライアン「ごめんなさい・・・。」
ジェシカ「その目の色かしら・・・。私と同じ青い色が・・・怪しい所か、
懐かしい感じさえする・・・。」
ライアン「(呟くように。)おばあさん・・・」
ジェシカ「あなた、何処から来たの・・・?」
ライアン「え・・・えっと・・・すごく遠い所から・・・」
ジェシカ「そう。そんな遠くから一人でここへ?お父さんやお母さんが
心配するわよ。」
ライアン「(笑う。)心配なんてしないよ!ママなんて、いっつもこんな
風に怖い顔して、僕のことを怒ってばかりいるんだから。」
ジェシカ「そんなことないわ。大切な人がいなくなれば、心配しない人
なんていないわよ。私もマイクのことがとても心配・・・。」
ライアン「おば・・・さん・・・(ジェシカが抱いている赤ん坊を見て。)
その子・・・」
ジェシカ「ジャックと言うのよ。」
ライアン「可愛い・・・?」
ジェシカ「当たり前じゃない、変なこと聞くのね。自分の子どもが可愛
くない親なんていないわよ。だからあなたも早く帰って、お母
さん達を安心させてあげなくちゃ。」
ライアン「その子・・・僕に少し抱かせてもらってもいい・・・?」
ジェシカ「ええ、勿論よ。(ジャックをライアンの胸へ抱かせる。)」
ライアン「・・・へえ・・・案外重いね・・・。(独り言のように。)これが、
いつもおっかない顔して怒ってばかりいる、ひいじいちゃん
か・・・」
ジェシカ「いいわねぇ、ジャック。お兄ちゃんに抱っこしてもらって・・・。」
ジャック、嬉しそうに笑う。
ジェシカ「あらあら・・・珍しいわ、この子が知らない人に抱かれて、笑う
なんて。」
ライアン「・・・そうなんだ・・・」
ジェシカ「屹度その瞳の色ね。私と同じ・・・。」
下手より、いつの間にか2人組の警官登場。
ジェシカの側へ。
警官1「奥さん・・・」
ジェシカ「え?(振り返って警官を認める。)まぁ、お巡りさん・・・。」
警官1「ご主人はご在宅でしょうか・・・?」
ジェシカ「いいえ・・・。」
警官1「そうですか・・・。では昨夜は・・・?」
ジェシカ「いいえ、いませんでした・・・。主人は先程、ブラッと戻って
また直ぐに出て行ってしまいました・・・。あの・・・主人が何
か・・・?」
警官2「昨夜、町の宝石店から、全ての宝石が何者かによって、
盗み出されたのです・・・。」
ジェシカ「・・・宝石が・・・。それが何か・・・?主人と関係があるので
しょうか・・・。」
警官1「奥さんの胸元で輝いているブローチ・・・素敵ですね。」
ジェシカ「(胸元を見る。)・・・ええ・・・主人が先程プレゼントだと言っ
て私に・・・」
警官1「ほう・・・。大切なものだと承知でお願いするのですが、その
ブローチ・・・少しお借りしてもよろしいかな・・・?」
ジェシカ「え・・・?ええ・・・(ブローチを外して、警官に手渡す。)」
――――― “ライアン”3へつづく ―――――
マイクの声「ジェシカーッ!!」
そこへ、上手よりマイク走り登場。
マイク「ジェシカ!!」
ジェシカ「マイク・・・どこへ行ってたの、今まで・・・。昨日も帰って来
なかったし・・・。」
マイク「ほら、ジェシカ!君にプレゼントだ!(ポケットから取り出し
たブローチを差し出す。)」
ジェシカ「(ブローチを受け取って。)まあ・・・綺麗。」
マイク「貸して!(ジェシカからブローチを取り、ジェシカの胸に付け
る。)君に絶対似合うと思ってたんだ!」
ジェシカ「ありがとう・・・。でも、どうしたの?こんな高そうなブローチ
。」
マイク「君はそんなことを気にしなくていいんだ!」
ジェシカ「だって・・・」
何時の間にか、上手より数人の男達登場。
男1「マイクー!そろそろ行くぞ!」
マイク「あ・・・ああ!」
マイク、男達について、下手方へ行こうと
する。
ジェシカ「マイク!!」
マイク、立ち止まり、チラッと振り返りジェシカ
を見るが、男達について下手へ去る。
ジェシカ「マイクー!!」
――――― 第 3 場 ――――― B
下手方を見詰め、佇むジェシカ。紗幕開く。
と、町外れのマイクとジェシカの家の前。
(ジェシカ、溜め息を吐き、家の中へ入る。)
そこへ下手より、回りを見回しながらライアン
登場。音楽流れ、ライアン歌う。
“とても遠くてとても近い
なんだか不思議な感覚だ・・・
見たことがある見たことがない・・・
そんな奇妙なデジャヴが
僕を包み込む・・・
だけど怖くはない
だって妙に懐かしく
温かい温もりを
感じるから・・・”
ライアン「確か未来の僕ン家は、ここら辺だと・・・(家を認め。)あ・・・
あった!!あれだ!!(家に駆け寄り、珍しそうに見る。)
へえ・・・僕ン家って、昔はこんな古めかしい家だったんだ・・・
って、当たり前か・・・。(笑う。)誰かいるのかなぁ・・・」
ライアン、窓から家の中を覗いていると、
扉が開いてジェシカ、赤ん坊を抱いて登場。
ライアン、慌てて家の陰に身を隠す。
ジェシカ「ジャック・・・、パパは一体何処へ行ったのかしらね・・・。さっ
きラジオのニュースで言ってたわ、とても大きなハリケーン
が、本土の町の中心部へ向かってやってくるんですって・・・。
そんな危険な時にあの人は何処へ行ったのかしら・・・。毎日
毎日・・・フラッと出て行ったかと思えば、突然帰って来て・・・
あなたの顔も見ずに、また今日も行ってしまったわね・・・。(
人の気配を感じて。)誰!?」
ライアン、ゆっくり登場。
ライアン「・・・こんにちは・・・」
ジェシカ「・・・あなた・・・誰・・・?私の家で、何をしているの?」
ライアン「僕・・・ライアン・・・。あの・・・別に怪しい者じゃないんだ!!
ちょっと、おば・・・さんに用があって・・・」
ジェシカ「私に用事・・・?何かしら・・・」
ライアン「えっと・・・あの・・・(口籠る。)」
ジェシカ「(笑う。)可笑しな子ね・・・。でも、何故だかあなたのことを、
怪しい子だなんてちっとも思わないわ・・・。変ね・・・。」
ライアン「ごめんなさい・・・。」
ジェシカ「その目の色かしら・・・。私と同じ青い色が・・・怪しい所か、
懐かしい感じさえする・・・。」
ライアン「(呟くように。)おばあさん・・・」
ジェシカ「あなた、何処から来たの・・・?」
ライアン「え・・・えっと・・・すごく遠い所から・・・」
ジェシカ「そう。そんな遠くから一人でここへ?お父さんやお母さんが
心配するわよ。」
ライアン「(笑う。)心配なんてしないよ!ママなんて、いっつもこんな
風に怖い顔して、僕のことを怒ってばかりいるんだから。」
ジェシカ「そんなことないわ。大切な人がいなくなれば、心配しない人
なんていないわよ。私もマイクのことがとても心配・・・。」
ライアン「おば・・・さん・・・(ジェシカが抱いている赤ん坊を見て。)
その子・・・」
ジェシカ「ジャックと言うのよ。」
ライアン「可愛い・・・?」
ジェシカ「当たり前じゃない、変なこと聞くのね。自分の子どもが可愛
くない親なんていないわよ。だからあなたも早く帰って、お母
さん達を安心させてあげなくちゃ。」
ライアン「その子・・・僕に少し抱かせてもらってもいい・・・?」
ジェシカ「ええ、勿論よ。(ジャックをライアンの胸へ抱かせる。)」
ライアン「・・・へえ・・・案外重いね・・・。(独り言のように。)これが、
いつもおっかない顔して怒ってばかりいる、ひいじいちゃん
か・・・」
ジェシカ「いいわねぇ、ジャック。お兄ちゃんに抱っこしてもらって・・・。」
ジャック、嬉しそうに笑う。
ジェシカ「あらあら・・・珍しいわ、この子が知らない人に抱かれて、笑う
なんて。」
ライアン「・・・そうなんだ・・・」
ジェシカ「屹度その瞳の色ね。私と同じ・・・。」
下手より、いつの間にか2人組の警官登場。
ジェシカの側へ。
警官1「奥さん・・・」
ジェシカ「え?(振り返って警官を認める。)まぁ、お巡りさん・・・。」
警官1「ご主人はご在宅でしょうか・・・?」
ジェシカ「いいえ・・・。」
警官1「そうですか・・・。では昨夜は・・・?」
ジェシカ「いいえ、いませんでした・・・。主人は先程、ブラッと戻って
また直ぐに出て行ってしまいました・・・。あの・・・主人が何
か・・・?」
警官2「昨夜、町の宝石店から、全ての宝石が何者かによって、
盗み出されたのです・・・。」
ジェシカ「・・・宝石が・・・。それが何か・・・?主人と関係があるので
しょうか・・・。」
警官1「奥さんの胸元で輝いているブローチ・・・素敵ですね。」
ジェシカ「(胸元を見る。)・・・ええ・・・主人が先程プレゼントだと言っ
て私に・・・」
警官1「ほう・・・。大切なものだと承知でお願いするのですが、その
ブローチ・・・少しお借りしてもよろしいかな・・・?」
ジェシカ「え・・・?ええ・・・(ブローチを外して、警官に手渡す。)」
――――― “ライアン”3へつづく ―――――
2012年3月18日日曜日
“光の国のエリオット” 2012年3月16日 5分動画
エリオットくんの短縮バージョンから、始めの5分動画をご覧
下さい(^^)v
見て頂くとお分かりですが、私が始まりの挨拶をしている
最後の方の音声が一緒に入っています^_^;
あの「はじまり、はじまりです~」は、
どの公演でも必ず言う“決め台詞”的なもの・・・
とでも言いましょうか・・・
一種“癖”のようなものです^_^;
へへへ・・・^^;
へへへ・・・^^;
2012年3月16日金曜日
“ライアン” ―全8場―
グーグル版“ワールド”での発表が一番最初となる脚本を
書き始めました(^^)v
まだ途中ではありますが、形は出来上がっているので、
少しずつご紹介していこうと思います(^.^)
不思議な感覚のお話しが書いてみたくなり、出来た作品
“ライアン”、ご覧下さい<(_ _)>
どら。
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
〈 主な登場人物 〉
ライアン ・・・ 本編の主人公。 未来に住む少年。
マイク ・・・ ライアンのひいひいお祖父さん。
ジェシカ ・・・ マイクの妻。 ※
その他
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
――――― 第 1 場 ―――――
幕が上がる。と、街の路地裏。
薄明かりの中、辺りを静寂の時が包む。
そこへ上手より、後ろを気にしながら、
慌てた様子で腕を押さえ、一人の青年
(マイク)、走り登場。
マイク「(息を切らせて。)いってぇ・・・(中央に積み重ねてあった
木箱の後ろに身を潜める。)」
そこへ上手より、銃を片手に数人の警官、
誰かを追い掛けるように、走り登場。
警官1「待てーっ!!」
警官2「何処へ行った!?(キョロキョロする。)」
警官3「全く、逃げ足の早い・・・」
その時、下手より声が聞こえる。
声「わあーっ!!この人、怪我してるんじゃないかーっ!!」
警官達、その声に顔を見合わせる。
警官1「おい!!」
警官、その声に引き寄せられるように、下手
へ走り去る。警官去るのを見計らってマイク、
物陰から登場。
マイク「そろそろヤバいかな・・・。まだ顔は知れてないだろうけど
・・・。足が付くのも時間の問題だな・・・。(座り込む。)」
一時置いて、下手より後ろを気にしながら、
一人の少年(ライアン)楽しそうな様子で登場。
マイクに近寄る。
ライアン「お巡りさん行ったよ。(マイクを覗き込んで。)あらら・・・一杯
血が出てるね・・・。痛そうだ・・・。」
マイク「・・・誰だ・・・」
ライアン「僕はライアン。ねぇ、痛い?」
マイク「(ライアンの言葉は無視するように、辛そうにゆっくり立ち上が
り、上手方へ足を引き摺り、少しずつ進む。)」
ライアン「もうお巡りさん、来ないよ。」
マイク「(怪訝そうにライアンを見る。が、知らん顔して上手方へ行き
かける。)」
ライアン「そんな傷で何処行くの?死んじゃうよ。(笑う。)」
マイク「煩いな・・・。俺が死のうが生きようが、おまえには関係ない
だろ。さっさとママの待つお家へ帰って、ぬくぬくしてろ!!」
ライアン「冷たいなぁ・・・。(笑う。)あなたが死んだら、困るんだ僕。」
マイク「ふん・・・」
ライアン「ねぇ、その傷・・・治してあげようか?」
マイク「あのな・・・そんなつまんない冗談言ってないで・・・」
ライアン、マイクの腕を掴む。と、みるみる傷が
治ったように。
マイク「・・・(驚いて傷を見詰める。)おまえ・・・」
ライアン「血、止まったね。」
マイク「一体どうやって・・・」
ライアン「じゃあね、お兄さん!また会いに来るよ!(手を振り、上手
へ走り去る。)」
マイク「あ・・・おい!!」
マイク、スポットに浮かび上がり歌う。
(紗幕閉まる。)
紗幕前。
“誰だあいつ・・・
青く澄んだ瞳で俺を見る・・・
どこかで会ったか
魔法使いかマジシャンか・・・
はたまた天使か分からない・・・
やたら慣れ慣れしく
妙に懐かしい・・・
何故だか変な感覚だ・・・”
暗転。
――――― 第 2 場 ――――― A
音楽流れ、紗幕開く。と、未来の風景。
上手より、ライアン登場。元気良く歌う。
“楽しいことが大好き
愉快なことが大好き
面白いこと冗談だって
大笑いするようなことが
大好きさ
冒険が大好き
ワクワクが大好き
ドキドキすること興味津々
僕は気になることには
何でも挑戦するんだ!”
――――― 第 2 場 ――――― B
声「ライアーン!!」
ライアン「やばい!!」
ライアン、下手へ走り去る。
入れ代るように、下手より車椅子に乗った
一人の老人(マイク)、ゆっくり登場。
上手より、ライアンの母登場。
母「ライアーン!!宿題は済んだのー!?ライアーン!!あ、おじい
さん、ライアンを見なかったかしら!?」
マイク「わしは知らんのぉ・・・」
母「もう本当に、逃げ足だけは早いんだから!おじいさん!ライアン
を見かけたら、私が捜していたと伝えて下さいね!!」
マイク「ああ・・・分かったよ・・・。」
母「(溜め息を吐く。)もう全く・・・。あの子ったら・・・親の言うことなん
て、どこ吹く風ね!自分が興味のあることなら、誰が何も言わな
くても、サッサと行動する・・・悪いことは見過ごせない正義感・・・
一体誰に似たのかしら・・・。」
母親、ブツブツ言いながら、上手へ去る。
マイク「ライアンは、わしの妻、ジェシカの子どもの頃にそっくりじゃよ
・・・。(笑う。)」
ライアン、母親が去るのを見計らって、
ゆっくり下手より登場。
ライアン「ふう・・・」
マイク「(ライアンを認め。)ライアン・・・、お母さんがえらく探し回って
おったぞ。」
ライアン「ふん!いいんだ!母さんなんか、宿題しろだの勉強しろだ
のお使い行けだの・・・煩くって!」
マイク「おいおい・・・。母さんをそんな風に言っちゃいかんな・・・。」
ライアン「いいんだよ!おじいさん!!もしまた母さんに僕のことを
聞かれても知らないって言っといてよ!」
その時、マイクが手に持っていた小型テレビ
の音声が流れてくる。
声「・・・臨時気象ニュースです。太平洋沖で発生した大型のハリケ
ーンが、明日、本土へ最接近、その後上陸する模様です・・・。」
ライアン「ハリケーンだって!今夜、遊びに出られないや!ちぇっ!
地下シェルターで休まなけりゃいけないなんて最悪だ!!
ジョニーん家はいいよなぁ。父さんが瞬間移動民族だから、
隠れなくていいんだもんな。シュッと忽ち、海外だって何処
へだって行けちゃうんだから・・・。」
マイク「これこれライアン、人を羨むな。それに今は何処の家にも
地下シェルターなんてもんがあるから、いいではないか。・・・
わしらが若い頃には、ハリケーンが来たって、逃げる場所な
どなかったんじゃぞ。」
ライアン「じゃあ、ハリケーンが来たら如何したの?」
マイク「避けて行ってくれるのを願うだけじゃよ。」
ライアン「まさか・・・。(笑う。)」
マイク「走って逃げた所で、追い付いかれて巻き込まれてしまうのが
目に見えておるじゃろう・・・。」
ライアン「そんなこと・・・嘘だ・・・。」
マイク「・・・嘘なものか・・・。ライアン、こっちへ来ておくれ・・・。」
ライアン「何?ひいひいおじいさん・・・。」
マイク「・・・わしは、もう長くは生きられん・・・。そこで、おまえに一つ
だけ頼みがあるんじゃ・・・。」
ライアン「頼み・・・?どんなこと・・・?」
マイク「わしは、若い頃の過ちから・・・一つだけ後悔しておる出来ごと
があるんじゃ・・・。」
ライアン「後悔していること・・・?」
マイク「ああ、そうじゃ・・・。(写真を取り出し、ライアンへ差し出す。)」
ライアン「何・・・?」
マイク「そこに、女の人が写っておるじゃろう?」
ライアン「うん・・・。とても綺麗な人だね。」
マイク「おまえのひいひいおばあさん・・・わしの妻だった人じゃよ。」
ライアン「ひいひいおばあさん・・・?」
マイク「おまえの瞳の色は、そのジェシカに瓜二つじゃよ・・・。おまえ
を見ていると、ジェシカを思い出す・・・。わしらは子どもの頃
からの、幼馴染だったんじゃ・・・。ジェシカは、子どもの頃は
男の子と間違えられる程、元気でお転婆な女の子だったよ
・・・。丸で今のライアンのように・・・。(笑う。)」
ライアン「そのジェシカおばあさんは、若くして亡くなったんでしょ?」
マイク「・・・ああ・・・。わしのせいで・・・な・・・。」
ライアン「おじいさんのせい・・・?おじいさんのせいって・・・」
マイク「ライアン・・・タイムマシンで過去のわしの過ちを正して来て
くれないか・・・。そして、ジェシカの命を救っておくれ・・・。この
年寄りの最後の頼みじゃ・・・。」
ライアン「おじいさん・・・けど、命を救うって・・・どうやって・・・」
マイク「わしがまだ若かりし頃・・・ジェシカとジャック、3人で幸せに暮
らす一方で、ジェシカには内緒でわしは・・・良からぬ奴らと手
を組み、悪事に加担しておったのじゃ・・・。そして、130年前
の5月10日・・・わしはその日もまた、そんな奴らの誘いに乗
って、ジェシカが止めるのも聞かず、家を出て行ったのじゃ。
金さえあれば・・・家族が幸せに暮せると信じて・・・。しかし、
その日は・・・今なお語り継がれておる、国を壊滅状態に陥れ
ることになった、あの巨大ハリケーンが本土を襲った日・・・。
ジェシカはそのハリケーンに・・・」 ※1
ライアン「ハリケーンに・・・?(手に持っていた写真を見る。)」
ライアン、マイク、セリ下がる。
――――― 第 3 場 ――――― A
音楽流れ、入れ代るように、前方ジェシカ、
セリ上がる。(紗幕閉まる。)
紗幕前。ジェシカ歌う。
“今日になれば昨日より
明日になれば今日この時より
少しでも良くなると信じて
歩いているけれど・・・
何故だか少しの不安が
心を過るの・・・
大切な時間のこの時を・・・”
ジェシカ「一体、あの人は何時もどこで何をしているのかしら・・・。
フラッと出て行ったかと思えば、お金を持って帰って来る・・・。
そしてまた・・・。あの人の後ろに見え隠れする良くない影が、
とても気になるの・・・。いい儲け話しの仕事が見つかったか
らと、突然会社を辞めて、あの人達と、付き合うようになって、
急に羽振りが良くなったような気がするわ。いい儲け話しって
一体・・・」
――――― “ライアン”2へつづく ―――――
※ この“マイク”と“ジェシカ”と言う名前、よーく覚えておいて
下さい(^^)v人形劇での今年発表4作品の中の一作で、
とても重要な人物として登場します(^.^)
※1 130年以上も生きるか!・・・と、言われるかも知れま
せんが、後で、ライアンくん、ちゃんと「未来では寿命が
延びて・・・云々・・・」と、説明しておりますので、ご安心
を・・・^_^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
書き上がったので、“8場”となりました(^^)v
書き始めました(^^)v
まだ途中ではありますが、形は出来上がっているので、
少しずつご紹介していこうと思います(^.^)
不思議な感覚のお話しが書いてみたくなり、出来た作品
“ライアン”、ご覧下さい<(_ _)>
どら。
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
〈 主な登場人物 〉
ライアン ・・・ 本編の主人公。 未来に住む少年。
マイク ・・・ ライアンのひいひいお祖父さん。
ジェシカ ・・・ マイクの妻。 ※
その他
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
――――― 第 1 場 ―――――
幕が上がる。と、街の路地裏。
薄明かりの中、辺りを静寂の時が包む。
そこへ上手より、後ろを気にしながら、
慌てた様子で腕を押さえ、一人の青年
(マイク)、走り登場。
マイク「(息を切らせて。)いってぇ・・・(中央に積み重ねてあった
木箱の後ろに身を潜める。)」
そこへ上手より、銃を片手に数人の警官、
誰かを追い掛けるように、走り登場。
警官1「待てーっ!!」
警官2「何処へ行った!?(キョロキョロする。)」
警官3「全く、逃げ足の早い・・・」
その時、下手より声が聞こえる。
声「わあーっ!!この人、怪我してるんじゃないかーっ!!」
警官達、その声に顔を見合わせる。
警官1「おい!!」
警官、その声に引き寄せられるように、下手
へ走り去る。警官去るのを見計らってマイク、
物陰から登場。
マイク「そろそろヤバいかな・・・。まだ顔は知れてないだろうけど
・・・。足が付くのも時間の問題だな・・・。(座り込む。)」
一時置いて、下手より後ろを気にしながら、
一人の少年(ライアン)楽しそうな様子で登場。
マイクに近寄る。
ライアン「お巡りさん行ったよ。(マイクを覗き込んで。)あらら・・・一杯
血が出てるね・・・。痛そうだ・・・。」
マイク「・・・誰だ・・・」
ライアン「僕はライアン。ねぇ、痛い?」
マイク「(ライアンの言葉は無視するように、辛そうにゆっくり立ち上が
り、上手方へ足を引き摺り、少しずつ進む。)」
ライアン「もうお巡りさん、来ないよ。」
マイク「(怪訝そうにライアンを見る。が、知らん顔して上手方へ行き
かける。)」
ライアン「そんな傷で何処行くの?死んじゃうよ。(笑う。)」
マイク「煩いな・・・。俺が死のうが生きようが、おまえには関係ない
だろ。さっさとママの待つお家へ帰って、ぬくぬくしてろ!!」
ライアン「冷たいなぁ・・・。(笑う。)あなたが死んだら、困るんだ僕。」
マイク「ふん・・・」
ライアン「ねぇ、その傷・・・治してあげようか?」
マイク「あのな・・・そんなつまんない冗談言ってないで・・・」
ライアン、マイクの腕を掴む。と、みるみる傷が
治ったように。
マイク「・・・(驚いて傷を見詰める。)おまえ・・・」
ライアン「血、止まったね。」
マイク「一体どうやって・・・」
ライアン「じゃあね、お兄さん!また会いに来るよ!(手を振り、上手
へ走り去る。)」
マイク「あ・・・おい!!」
マイク、スポットに浮かび上がり歌う。
(紗幕閉まる。)
紗幕前。
“誰だあいつ・・・
青く澄んだ瞳で俺を見る・・・
どこかで会ったか
魔法使いかマジシャンか・・・
はたまた天使か分からない・・・
やたら慣れ慣れしく
妙に懐かしい・・・
何故だか変な感覚だ・・・”
暗転。
――――― 第 2 場 ――――― A
音楽流れ、紗幕開く。と、未来の風景。
上手より、ライアン登場。元気良く歌う。
“楽しいことが大好き
愉快なことが大好き
面白いこと冗談だって
大笑いするようなことが
大好きさ
冒険が大好き
ワクワクが大好き
ドキドキすること興味津々
僕は気になることには
何でも挑戦するんだ!”
――――― 第 2 場 ――――― B
声「ライアーン!!」
ライアン「やばい!!」
ライアン、下手へ走り去る。
入れ代るように、下手より車椅子に乗った
一人の老人(マイク)、ゆっくり登場。
上手より、ライアンの母登場。
母「ライアーン!!宿題は済んだのー!?ライアーン!!あ、おじい
さん、ライアンを見なかったかしら!?」
マイク「わしは知らんのぉ・・・」
母「もう本当に、逃げ足だけは早いんだから!おじいさん!ライアン
を見かけたら、私が捜していたと伝えて下さいね!!」
マイク「ああ・・・分かったよ・・・。」
母「(溜め息を吐く。)もう全く・・・。あの子ったら・・・親の言うことなん
て、どこ吹く風ね!自分が興味のあることなら、誰が何も言わな
くても、サッサと行動する・・・悪いことは見過ごせない正義感・・・
一体誰に似たのかしら・・・。」
母親、ブツブツ言いながら、上手へ去る。
マイク「ライアンは、わしの妻、ジェシカの子どもの頃にそっくりじゃよ
・・・。(笑う。)」
ライアン、母親が去るのを見計らって、
ゆっくり下手より登場。
ライアン「ふう・・・」
マイク「(ライアンを認め。)ライアン・・・、お母さんがえらく探し回って
おったぞ。」
ライアン「ふん!いいんだ!母さんなんか、宿題しろだの勉強しろだ
のお使い行けだの・・・煩くって!」
マイク「おいおい・・・。母さんをそんな風に言っちゃいかんな・・・。」
ライアン「いいんだよ!おじいさん!!もしまた母さんに僕のことを
聞かれても知らないって言っといてよ!」
その時、マイクが手に持っていた小型テレビ
の音声が流れてくる。
声「・・・臨時気象ニュースです。太平洋沖で発生した大型のハリケ
ーンが、明日、本土へ最接近、その後上陸する模様です・・・。」
ライアン「ハリケーンだって!今夜、遊びに出られないや!ちぇっ!
地下シェルターで休まなけりゃいけないなんて最悪だ!!
ジョニーん家はいいよなぁ。父さんが瞬間移動民族だから、
隠れなくていいんだもんな。シュッと忽ち、海外だって何処
へだって行けちゃうんだから・・・。」
マイク「これこれライアン、人を羨むな。それに今は何処の家にも
地下シェルターなんてもんがあるから、いいではないか。・・・
わしらが若い頃には、ハリケーンが来たって、逃げる場所な
どなかったんじゃぞ。」
ライアン「じゃあ、ハリケーンが来たら如何したの?」
マイク「避けて行ってくれるのを願うだけじゃよ。」
ライアン「まさか・・・。(笑う。)」
マイク「走って逃げた所で、追い付いかれて巻き込まれてしまうのが
目に見えておるじゃろう・・・。」
ライアン「そんなこと・・・嘘だ・・・。」
マイク「・・・嘘なものか・・・。ライアン、こっちへ来ておくれ・・・。」
ライアン「何?ひいひいおじいさん・・・。」
マイク「・・・わしは、もう長くは生きられん・・・。そこで、おまえに一つ
だけ頼みがあるんじゃ・・・。」
ライアン「頼み・・・?どんなこと・・・?」
マイク「わしは、若い頃の過ちから・・・一つだけ後悔しておる出来ごと
があるんじゃ・・・。」
ライアン「後悔していること・・・?」
マイク「ああ、そうじゃ・・・。(写真を取り出し、ライアンへ差し出す。)」
ライアン「何・・・?」
マイク「そこに、女の人が写っておるじゃろう?」
ライアン「うん・・・。とても綺麗な人だね。」
マイク「おまえのひいひいおばあさん・・・わしの妻だった人じゃよ。」
ライアン「ひいひいおばあさん・・・?」
マイク「おまえの瞳の色は、そのジェシカに瓜二つじゃよ・・・。おまえ
を見ていると、ジェシカを思い出す・・・。わしらは子どもの頃
からの、幼馴染だったんじゃ・・・。ジェシカは、子どもの頃は
男の子と間違えられる程、元気でお転婆な女の子だったよ
・・・。丸で今のライアンのように・・・。(笑う。)」
ライアン「そのジェシカおばあさんは、若くして亡くなったんでしょ?」
マイク「・・・ああ・・・。わしのせいで・・・な・・・。」
ライアン「おじいさんのせい・・・?おじいさんのせいって・・・」
マイク「ライアン・・・タイムマシンで過去のわしの過ちを正して来て
くれないか・・・。そして、ジェシカの命を救っておくれ・・・。この
年寄りの最後の頼みじゃ・・・。」
ライアン「おじいさん・・・けど、命を救うって・・・どうやって・・・」
マイク「わしがまだ若かりし頃・・・ジェシカとジャック、3人で幸せに暮
らす一方で、ジェシカには内緒でわしは・・・良からぬ奴らと手
を組み、悪事に加担しておったのじゃ・・・。そして、130年前
の5月10日・・・わしはその日もまた、そんな奴らの誘いに乗
って、ジェシカが止めるのも聞かず、家を出て行ったのじゃ。
金さえあれば・・・家族が幸せに暮せると信じて・・・。しかし、
その日は・・・今なお語り継がれておる、国を壊滅状態に陥れ
ることになった、あの巨大ハリケーンが本土を襲った日・・・。
ジェシカはそのハリケーンに・・・」 ※1
ライアン「ハリケーンに・・・?(手に持っていた写真を見る。)」
ライアン、マイク、セリ下がる。
――――― 第 3 場 ――――― A
音楽流れ、入れ代るように、前方ジェシカ、
セリ上がる。(紗幕閉まる。)
紗幕前。ジェシカ歌う。
“今日になれば昨日より
明日になれば今日この時より
少しでも良くなると信じて
歩いているけれど・・・
何故だか少しの不安が
心を過るの・・・
大切な時間のこの時を・・・”
ジェシカ「一体、あの人は何時もどこで何をしているのかしら・・・。
フラッと出て行ったかと思えば、お金を持って帰って来る・・・。
そしてまた・・・。あの人の後ろに見え隠れする良くない影が、
とても気になるの・・・。いい儲け話しの仕事が見つかったか
らと、突然会社を辞めて、あの人達と、付き合うようになって、
急に羽振りが良くなったような気がするわ。いい儲け話しって
一体・・・」
――――― “ライアン”2へつづく ―――――
※ この“マイク”と“ジェシカ”と言う名前、よーく覚えておいて
下さい(^^)v人形劇での今年発表4作品の中の一作で、
とても重要な人物として登場します(^.^)
※1 130年以上も生きるか!・・・と、言われるかも知れま
せんが、後で、ライアンくん、ちゃんと「未来では寿命が
延びて・・・云々・・・」と、説明しておりますので、ご安心
を・・・^_^;
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書き上がったので、“8場”となりました(^^)v
“ブルー” ―全9場― 完結編
ブルー、ジャックを見据えると、ジャックの
動きが止まる。
ジャック「な・・・何をしたんだ・・・?」
マーク「父さん!?」
ブルー「(微笑んで、マークに言うように。)大丈夫、心配しなくて
もいいよ・・・。一時間もすれば動けるようになるから・・・
。」
ジャック「いち・・・何の魔法を使ったんだ!!おい!!今直ぐ、
私を動けるようにしろ!!」
ブルー「(ジャックの方へ近寄り。)さようなら・・・。(ゆっくり上手
方へ。)」
ジャック「待て!!マーク!!奴を捕まえろ!!マーク!!」
マーク「・・・やだよ・・・。」
ジャック「マーク!!」
マーク「(ブルーに。)・・・早く行きなよ・・・。」
ブルー「ありがとう・・・。」
ジャック「おい、何言ってるんだ!!マーク!!そいつは世紀の
大発表なんだぞ!!マーク!!」
ブルー、上手側から客席へ。前通って下手方へ。
カイト、ローズマリー、ジャックの様子に呆然と
しながら、ブルーの後を追うように続く。
舞台フェード・アウト。
カイト「兄ちゃん!!兄ちゃん、本当に魔法使ったのか!?
何で、あのおじさん動けなくなったんだ!?」
ブルー「(立ち止まり、振り返る。)魔法なんかじゃないよ・・・。
あれは元々、私達の身に具わった力なんだ・・・。」
カイト「元々具わった・・・力・・・?」
ローズマリー「如何言うこと・・・?」
ブルー「・・・カイト・・・私はもう行かなければいけないんだ・・・。」
カイト「・・・行くって・・・何処に・・・?」
ブルー「自分の星へ・・・。」
カイト「何言ってんだよ、兄ちゃん・・・。」
ブルー「私は青い血を持つ者・・・。」
ローズマリー「・・・青い血・・・?」
カイト「・・・じゃあ・・・あの時の・・・。」
ブルー「(頷く。)夢なんかじゃない・・・。」
カイト「嘘だ・・・!!」
ブルー「(優しく微笑んで、首を振る。)」
カイト「けど兄ちゃん言ったじゃないか!!何処へも行かない
って!!一人にしないって言ったじゃないか!!兄ちゃ
んが人間でなくたって、俺・・・!!」
舞台フェード・インする。と、アパートの部屋。
ソファーでローラ寝ている。
ブルー「君は一人じゃない・・・。ローズもお母さんもいる・・・。
それに、もう友達だっているじゃないか・・・。」
3人、話しながら下手より舞台へ。
カイト「・・・いやだ・・・。いやだ、兄ちゃん!!俺と病気の母ちゃ
んだけ、置いて行っちゃうのかよ!!」
ブルー、微笑んでゆっくりローラの側へ。ローラの
横へ跪き、手を取り目を閉じる。一時すると、ローラ
目覚める。ブルー、立ち上がる。
カイト「兄ちゃん・・・。」
ローラ「(起き上がる。)あら・・・帰ってたの?(立ち上がり、
不思議そうな顔をする。)」
カイト「・・・母ちゃん・・・?」
ローラ「何だか今・・・とっても気分がいいんだよ・・・。丸で病気
なんか治っちまったみたいに・・・。さぁて、今のうちに、
用事を済ませてしまおうかね。今なら何でも出来そうだ
!カイト、今夜は腕によりをかけて、夕食の支度をする
からね!(笑いながら上手へ去る。)」
カイト「母ちゃん・・・!!兄ちゃん・・・!!母ちゃん・・・。」
ブルー「もう大丈夫・・・。」
ローズマリー「・・・病気、治ったの・・・?」
ブルー「(微笑んで頷く。)言っただろ?病気のお母さんと、2人
にしないと・・・。」
カイト「兄ちゃん・・・(涙声になる。)けど、いやだ・・・兄ちゃんが
いなくなるのは・・・!!」
ブルー「私の星は、この地球から20億光年彼方にある、ワード
ワースと言う星なんだ・・・。私達には、病気を治す力や、
ものを自由に動かす力・・・時間を止める力・・・もっと、
色々な力が具わっているんだ・・・。けれど反対に、我々
には、ものを食べる習慣はない・・・。勿論、眠ることも
笑うこともない・・・。」
カイト「だから・・・。」
ローズマリー「忘れたんじゃなくて、知らなかったのね、最初
から・・・。」
ブルー「今、我々の星は段々と、感情のなくなった者達の横行
に振り回されているんだ・・・。だから私は、色々な星の
生き物を研究する為に旅に出た・・・。星を統轄するの
に、必要なものは何かを探る為にね・・・。」
ローズマリー「・・・星の王子様・・・。」
音楽流れる。3人スポット。 ※
ブルー「皆が待っているんだよ・・・。」
カイト「兄ちゃん・・・。」
ブルー「私は、この地球で学んだ、食べる・・・眠る・・・笑う・・・
忘れないよ・・・。生きていくうえで、一番大切な感情を
・・・教えてくれた、この地球を決して忘れない・・・。
だから・・・」
ブルー、歌う。
“覚えていてほしい・・・
どんな時でも
僕が君らの側にいること
覚えていてほしい・・・
たとえ離れて
いても必ず
見守ってると・・・”
ブルー「・・・今日までありがとう・・・。楽しかった、本当に・・・。
地球に来ることができて・・・、君達に出会えて・・・。
一生忘れない・・・。ここで経験した全てのことを・・・。」
カイト「兄ちゃん・・・。」
ローズマリー「私達だって、楽しかった・・・!!あなたと出会え
て・・・。ずっと忘れない・・・。だから・・・」
ローズマリー、歌う。
“覚えていてほしい・・・
どんな時でも
あなたがここで
生きていたこと
覚えていてほしい・・・
たとえ離れて
いても必ず
心は側に・・・”
ブルー、歌う。
“どんな時でも・・・”
ブルー「さようなら・・・。」
ブルー、2人を笑顔で見詰める。
フェード・アウト。
――――― 第 9 場 ―――――
フェード・インする。と、アパートの部屋。
上手奥よりローラ、パンの入った籠を持って登場。
テーブルの方へ。テーブルの上へ籠を置き、皿を
並べたりする。
そこへ下手奥よりカイト、走り登場。
カイト「ただいま、母ちゃん!!(パンを見て。)おっ、美味そう!
!また姉ちゃんの差し入れかい?」
ローラ「私が今朝、焼いたんだよ!」
カイト「(不思議そうに、だが嬉しそうにローラを見て。)・・・へぇ
・・・。どれ・・・!!(籠の中から、パンを取りかじる。)」
ローラ「これ!!手を洗いな!!カイトったら本当に・・・!!
スープ入れてくるから、ちゃんと手を洗っとくんだよ!!」
ローラ、上手奥へ去る。
カイト、パンをかじりながらソファーへ腰を下ろす。
と、ソファーの上に箱があったことに気付く。
カイト「仕舞った!!何か踏ん付けちまった!!何だ、これ・・・
?(パンを銜えたまま、箱を開ける。驚いた面持ちで、
呆然と箱の中を見詰める。)これ・・・(箱の中から、カード
を取り出し読む。思わず溢れる涙を拭うように。箱の中
から靴を取り出す。)」
ブルーの声「生まれて初めて稼いだお金で、生まれて初めて
のプレゼントを君に・・・。」
下手方に窓枠のセット。
カイト、靴を持ってその方へ。スポットに浮かび
上がる。
カイト「(空を見上げて。)20億光年って・・・どのくらい先なん
だろうなぁ・・・。物貰ったら、ちゃんと礼言わなきゃな・・・。
兄ちゃん・・・ありがとう!!(叫ぶ。)」
嬉しそうに靴を胸に抱き、微笑んで遠くを
見遣るカイト。
音楽盛り上がり、フェード・アウト。
――――― 幕 ―――――
※ どうも、この場面には決まった曲が付いているようで、
珍しく曲のタイトルが書いてありました(^^)
だから、未発表脚本での歌詞は詩的な物に対して、
この場面の歌詞だけ、人形劇脚本の歌詞のように、
変な場所で段変えなんかをしています^^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
動きが止まる。
ジャック「な・・・何をしたんだ・・・?」
マーク「父さん!?」
ブルー「(微笑んで、マークに言うように。)大丈夫、心配しなくて
もいいよ・・・。一時間もすれば動けるようになるから・・・
。」
ジャック「いち・・・何の魔法を使ったんだ!!おい!!今直ぐ、
私を動けるようにしろ!!」
ブルー「(ジャックの方へ近寄り。)さようなら・・・。(ゆっくり上手
方へ。)」
ジャック「待て!!マーク!!奴を捕まえろ!!マーク!!」
マーク「・・・やだよ・・・。」
ジャック「マーク!!」
マーク「(ブルーに。)・・・早く行きなよ・・・。」
ブルー「ありがとう・・・。」
ジャック「おい、何言ってるんだ!!マーク!!そいつは世紀の
大発表なんだぞ!!マーク!!」
ブルー、上手側から客席へ。前通って下手方へ。
カイト、ローズマリー、ジャックの様子に呆然と
しながら、ブルーの後を追うように続く。
舞台フェード・アウト。
カイト「兄ちゃん!!兄ちゃん、本当に魔法使ったのか!?
何で、あのおじさん動けなくなったんだ!?」
ブルー「(立ち止まり、振り返る。)魔法なんかじゃないよ・・・。
あれは元々、私達の身に具わった力なんだ・・・。」
カイト「元々具わった・・・力・・・?」
ローズマリー「如何言うこと・・・?」
ブルー「・・・カイト・・・私はもう行かなければいけないんだ・・・。」
カイト「・・・行くって・・・何処に・・・?」
ブルー「自分の星へ・・・。」
カイト「何言ってんだよ、兄ちゃん・・・。」
ブルー「私は青い血を持つ者・・・。」
ローズマリー「・・・青い血・・・?」
カイト「・・・じゃあ・・・あの時の・・・。」
ブルー「(頷く。)夢なんかじゃない・・・。」
カイト「嘘だ・・・!!」
ブルー「(優しく微笑んで、首を振る。)」
カイト「けど兄ちゃん言ったじゃないか!!何処へも行かない
って!!一人にしないって言ったじゃないか!!兄ちゃ
んが人間でなくたって、俺・・・!!」
舞台フェード・インする。と、アパートの部屋。
ソファーでローラ寝ている。
ブルー「君は一人じゃない・・・。ローズもお母さんもいる・・・。
それに、もう友達だっているじゃないか・・・。」
3人、話しながら下手より舞台へ。
カイト「・・・いやだ・・・。いやだ、兄ちゃん!!俺と病気の母ちゃ
んだけ、置いて行っちゃうのかよ!!」
ブルー、微笑んでゆっくりローラの側へ。ローラの
横へ跪き、手を取り目を閉じる。一時すると、ローラ
目覚める。ブルー、立ち上がる。
カイト「兄ちゃん・・・。」
ローラ「(起き上がる。)あら・・・帰ってたの?(立ち上がり、
不思議そうな顔をする。)」
カイト「・・・母ちゃん・・・?」
ローラ「何だか今・・・とっても気分がいいんだよ・・・。丸で病気
なんか治っちまったみたいに・・・。さぁて、今のうちに、
用事を済ませてしまおうかね。今なら何でも出来そうだ
!カイト、今夜は腕によりをかけて、夕食の支度をする
からね!(笑いながら上手へ去る。)」
カイト「母ちゃん・・・!!兄ちゃん・・・!!母ちゃん・・・。」
ブルー「もう大丈夫・・・。」
ローズマリー「・・・病気、治ったの・・・?」
ブルー「(微笑んで頷く。)言っただろ?病気のお母さんと、2人
にしないと・・・。」
カイト「兄ちゃん・・・(涙声になる。)けど、いやだ・・・兄ちゃんが
いなくなるのは・・・!!」
ブルー「私の星は、この地球から20億光年彼方にある、ワード
ワースと言う星なんだ・・・。私達には、病気を治す力や、
ものを自由に動かす力・・・時間を止める力・・・もっと、
色々な力が具わっているんだ・・・。けれど反対に、我々
には、ものを食べる習慣はない・・・。勿論、眠ることも
笑うこともない・・・。」
カイト「だから・・・。」
ローズマリー「忘れたんじゃなくて、知らなかったのね、最初
から・・・。」
ブルー「今、我々の星は段々と、感情のなくなった者達の横行
に振り回されているんだ・・・。だから私は、色々な星の
生き物を研究する為に旅に出た・・・。星を統轄するの
に、必要なものは何かを探る為にね・・・。」
ローズマリー「・・・星の王子様・・・。」
音楽流れる。3人スポット。 ※
ブルー「皆が待っているんだよ・・・。」
カイト「兄ちゃん・・・。」
ブルー「私は、この地球で学んだ、食べる・・・眠る・・・笑う・・・
忘れないよ・・・。生きていくうえで、一番大切な感情を
・・・教えてくれた、この地球を決して忘れない・・・。
だから・・・」
ブルー、歌う。
“覚えていてほしい・・・
どんな時でも
僕が君らの側にいること
覚えていてほしい・・・
たとえ離れて
いても必ず
見守ってると・・・”
ブルー「・・・今日までありがとう・・・。楽しかった、本当に・・・。
地球に来ることができて・・・、君達に出会えて・・・。
一生忘れない・・・。ここで経験した全てのことを・・・。」
カイト「兄ちゃん・・・。」
ローズマリー「私達だって、楽しかった・・・!!あなたと出会え
て・・・。ずっと忘れない・・・。だから・・・」
ローズマリー、歌う。
“覚えていてほしい・・・
どんな時でも
あなたがここで
生きていたこと
覚えていてほしい・・・
たとえ離れて
いても必ず
心は側に・・・”
ブルー、歌う。
“どんな時でも・・・”
ブルー「さようなら・・・。」
ブルー、2人を笑顔で見詰める。
フェード・アウト。
――――― 第 9 場 ―――――
フェード・インする。と、アパートの部屋。
上手奥よりローラ、パンの入った籠を持って登場。
テーブルの方へ。テーブルの上へ籠を置き、皿を
並べたりする。
そこへ下手奥よりカイト、走り登場。
カイト「ただいま、母ちゃん!!(パンを見て。)おっ、美味そう!
!また姉ちゃんの差し入れかい?」
ローラ「私が今朝、焼いたんだよ!」
カイト「(不思議そうに、だが嬉しそうにローラを見て。)・・・へぇ
・・・。どれ・・・!!(籠の中から、パンを取りかじる。)」
ローラ「これ!!手を洗いな!!カイトったら本当に・・・!!
スープ入れてくるから、ちゃんと手を洗っとくんだよ!!」
ローラ、上手奥へ去る。
カイト、パンをかじりながらソファーへ腰を下ろす。
と、ソファーの上に箱があったことに気付く。
カイト「仕舞った!!何か踏ん付けちまった!!何だ、これ・・・
?(パンを銜えたまま、箱を開ける。驚いた面持ちで、
呆然と箱の中を見詰める。)これ・・・(箱の中から、カード
を取り出し読む。思わず溢れる涙を拭うように。箱の中
から靴を取り出す。)」
ブルーの声「生まれて初めて稼いだお金で、生まれて初めて
のプレゼントを君に・・・。」
下手方に窓枠のセット。
カイト、靴を持ってその方へ。スポットに浮かび
上がる。
カイト「(空を見上げて。)20億光年って・・・どのくらい先なん
だろうなぁ・・・。物貰ったら、ちゃんと礼言わなきゃな・・・。
兄ちゃん・・・ありがとう!!(叫ぶ。)」
嬉しそうに靴を胸に抱き、微笑んで遠くを
見遣るカイト。
音楽盛り上がり、フェード・アウト。
――――― 幕 ―――――
※ どうも、この場面には決まった曲が付いているようで、
珍しく曲のタイトルが書いてありました(^^)
だから、未発表脚本での歌詞は詩的な物に対して、
この場面の歌詞だけ、人形劇脚本の歌詞のように、
変な場所で段変えなんかをしています^^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
2012年3月15日木曜日
“ブルー” ―全9場― 4
――――― 第 7 場 ―――――
フェード・インする。と、アパートの部屋。
カイト、ブルー話しながらテーブルの上を片付けて
いる。
カイト「もうそろそろ働き始めて一週間だろ?兄ちゃん、何も
欲しいものないのかよ。ズボンだって・・・そんなお下がり
・・・。」
ブルー「ローズマリーのお兄さんのを貰ったから、これで十分
・・・。長さも丁度よくなったし・・・。」
カイト「ふうん・・・。まぁ確かに、丈は父ちゃんのに比べれば、
ピッタシだけど・・・。」
ブルー「いたっ・・・!」
カイト「如何したんだい、兄ちゃん?切ったのか?見せてみろ
よ!皿、欠けてたんだな。」
ブルー、指を見ている。カイト覗き込んでブルーの
指を見ると、驚いて後ずさる。
カイト「あおい・・・」
ブルー「え?」
カイト「何で・・・青い血が流れてんだよ・・・」
ブルー「(平然と。)青いと可笑しいのかい?」
カイト「だって・・・俺達人間は・・・赤い血が流れてんだ!!」
ブルー「・・・あかい・・・血?(自分の指を見る。)」
カイト「(呆然と。)兄ちゃん・・・人間じゃないのか・・・?」
上手より、ローラ登場。
ローラ「如何かしたのかい?」
カイト「(驚いて。)母ちゃん!!う・・・ううん・・・なんでもな・・・」
突然、ブルー以外の時間が止まったように、カイト、
ローラ動かなくなる。
ブルー「(驚いて、回りを見回す。)・・・カイト・・・?カイト・・・!!
」
そこへ下手より、エンド登場。
ブルー「(エンドを認め。)誰だ!?」
エンド「ドレイファス王子・・・。」
ブルー「・・・ドレイファス・・・?」
エンド「矢張り、まだ記憶がないようですね・・・。」
ブルー「・・・おまえは・・・?」
エンド「王子の側近、エンドをお忘れえすか?」
ブルー「・・・王子・・・?」
エンド「この地球より、20億光年離れたワードワース星・・・我々
の星です・・・。あなたは、そこの統治者の御子息、ドレイ
ファス王子・・・。次期星王様です。王子がこの地球付近
で消息を絶たれ、我々は直ちに捜索に向かい、そこで
王子の無事は直ぐに確認できたものの、記憶を無くされ
ているとは・・・。ご自分から思い出されるのを待ちました
が、人間に、あなたの正体が暴かれるようなことにでも
なれば面倒です。」
ブルー「待ってくれ・・・!今の話しを聞かされても僕には・・・」
エンド「あなたの青い血を見れば、何の疑う余地もない筈・・・。」
ブルー「だが・・・」
エンド「お父上がお待ちです。」
ブルー「・・・それがたとえ本当でも・・・、今はまだ君と一緒には
行けない・・・。」
エンド「何時まで待てばよいのですか?」
ブルー「もう暫く・・・せめて僕の回りの人々に、お礼がしたい・・・
。」
エンド「分かりました・・・。王子、手を・・・。」
ブルー「え・・・?」
エンド、ブルーの手を取り、怪我した指を包み込む
ように。
ブルー「(指を見て驚く。)傷が・・・治っている・・・。」
エンド「(溜め息を吐いて。)こんなこと位・・・あなたなら、造作
なくやれること・・・。何もかもお忘れとは・・・。前に、王子
が見せた表情にも驚かされましたが・・・。」
ブルー「表情?」
エンド「口元がだらしなく緩み、目の端が下がった・・・」
ブルー「(ハッとして微笑む。)それは笑顔と言うんだ。」
エンド「笑顔・・・?お止め下さい、王子。我々が無闇矢鱈と顔
の変化を、他人に見せるなど、決してしてはならないこと
です。」
ブルー「そうだったな、エンド・・・。(今言った言葉に、自分自身
驚いたように一時、立ち尽くす。)」
エンド「・・・如何かされましたか・・・?」
ブルー「・・・いや・・・なんでもない・・・。」
エンド、ブルーが記憶を取り戻したことを、
悟ったようにブルーを見る。
エンド「・・・3日待ちましょう・・・。では・・・。」
エンド、ゆっくり下手へ去る。と、同時にカイト、
ローラ動き出す。
カイト「・・・いよ、母ちゃん!兄ちゃん、指隠しな!!(小声で
ブルーに言うように。)俺はたとえ兄ちゃんが、人間で
あろうがなかろうが、そんなこと全然関係ないんだ!!
兄ちゃんは兄ちゃんなんだし!!けど他の人は・・・!!」
ブルー「(微笑んで。)何言ってるんだい、カイト・・・。」
カイト「青い血のことだろ!?」
ブルー「青い血?」
カイト「指!!(ブルーの手を取って、指を見る。)指・・・治ってる
・・・。(呆然と。)」
ブルー「治るも何も・・・。」
カイト「だって、たった今、皿で・・・!!変だな・・・俺、目開けた
まま夢でも見てたかな・・・。そうだよな・・・!青い血の人
間なんて、いる訳ねぇよな!!・・・よかった・・・。」
ローラ「如何したの2人共、コソコソと・・・。」
カイト「うん、何でもないんだ!!」
ローラ「・・・じゃあ私は先に休むからね・・・。片付け、すまないね
・・・。」
カイト「何言ってんだよ!おやすみ、母ちゃん!ちゃんと薬飲め
よ!!」
ローラ、ソファーの上から取った服を羽織りながら、
しんどそうにゆっくりと、上手へ去る。
カイト「・・・兄ちゃん・・・」
ブルー「ん?」
カイト「・・・兄ちゃん、何処へも行かないでくれよ!!兄ちゃんの
記憶が戻って、突然いなくなったらって思うと俺・・・。母
ちゃんの具合、段々悪くなる一方だし・・・。俺、兄ちゃん
が妖怪でもドラキュラでも宇宙人でも構わない!!兄ちゃ
んさえいてくれたら・・・。」
ブルー「カイト・・・」
カイト「俺・・・兄ちゃんが家に来てくれて、本当によかったと思っ
てる・・・。凄い嬉しいんだ!!だから・・・」
ブルー「もう、お休み・・・。僕は病気のお母さんと君を、ほって
行ったりはしないよ・・・。」
カイト「本当に・・・?」
ブルー「ああ・・・」
カイト「約束だよ・・・!?」
ブルー「(微笑んで。)ああ、約束だ・・・。」
カイト「(安心したように。)よかった・・・。じゃあ・・・おやすみ、
兄ちゃん!」
ブルー「おやすみ・・・」
カイト、上手へ去る。
ブルー「(カイトが出て行くのを見計らって。)病気のお母さん
と2人にはしない・・・。(自分の指を見る。)そうだ・・・
私はワードワース星のドレイファス・・・。さっき、エンド
のエネルギーが指から流れ込み・・・全てを思い出し
た・・・。帰らなければならない場所のあることを・・・。」
音楽でフェード・アウト。
――――― 第 8 場 ―――――
フェード・インする。
下手より楽しそうに話しながら、マーク、トーマ、
ジミー登場。
トーマ「知ってるか?クリストの奴、停学だってさ。(笑う。)」
ジミー「へぇ・・・何やらかしたんだ?」
トーマ「休みの日に、学校に忍び込んで、試験問題盗もうと
したらしいぜ。」
マーク「ドジな奴。(笑う。)」
そこへ、上手よりカイト登場。
ジミー「カイト・・・。」
他の2人も、カイトを認める。
カイト、知らん顔で通り過ぎようとする。が、
3人の少年、カイトの前に立ち塞がり歌う。
“誰が気にくわない
何が気にくわない
その目が生意気だ
口のきき方に問題がる
もっと謙虚に
もっと控え目に
後から来た余所者のくせに!!”
カイト「おまえらとは一度、遣り合わなきゃならないようだな!!
」
マーク「それはこっちの台詞だ!!」
ジミー「やっちまえ!!」
トーマ「やれ、マーク!!」
カイト、マーク殴り合いの喧嘩になる。
ジミー、トーマはやす。
一時置いて、上手よりブルーとローズマリー、
楽しそうに話しながら登場。
カイト、マークの喧嘩を認め、驚いて駆け寄る。
ローズマリー「カイト!!」
ブルー「カイト!!(2人の間に割って入る。)こら、止めろ!!
2人共!!止めるんだ!!」
マーク「何で止めんだよ!!」
カイト「兄ちゃん、やらせてくれよ!!」
ブルー「喧嘩して殴り合って解決するのか!?それで本当に
仲良くなれるのか!?」
カイト「ごめんだ、こんな奴ら!!」
マーク「こっちもだ!!」
ブルー「待つんだ、2人共!!(マークに。)君は何故、何時も
カイトを目の敵にする・・・?(トーマ、ジミーに向かって
。)君達もだ・・・。」
マーク「こいつが生意気なんだ!!」
ジミー「そうさ!!」
トーマ「いっつも澄ましているからな!!」
マーク「いくら苛めても泣かない・・・だから余計に腹が立つんだ
!!学校にもろくに行けない貧乏なくせして!!」
ブルー「そうか・・・確かに貧乏は当たってるな・・・。けど、それは
カイトにはお父さんがいなくて、病気のお母さんと2人
暮らしだからだ・・・。」
カイト「兄ちゃん!!」
マーク「何だよ!!俺達に同情しろって言うのかよ!!」
ブルー「(首を振る。)違うよ。カイトに同情はいらない・・・。何故
なら、彼は貧乏かも知れないが、心はとても満たされて
いるからね・・・。一生懸命、生きようと努力している。
だからカイトに必要なのは、同情じゃなく友情だ・・・。
何時も一緒に側にいてくれる仲間が必要なんだ・・・。
君達はカイトが泣かないから生意気だと言った・・・。
それは君達が、彼の上辺だけを見て、心の中を探ろう
としなかったからだよ・・・。もし、君達に悩みがあったと
して・・・その悩みは他人から見れば、些細なことでも、
悩んでいる者にとっては、屹度、どんな悩みでも・・・同
じ重さなんだと思うよ・・・。」
マーク「だから俺達に、友達になってやれって言うのかよ・・・!
!」
ブルー「君達、カイトのことが好きだろ?」
マーク「何で俺達が・・・!!」
ジミー「そうだよ・・・!!」
トーマ「・・・なぁ・・・!!」
ブルー「本当にカイトのことが嫌いなら、無視してる筈だからね
・・・。何も態々、自分達が不愉快になる為に、カイトに
ちょっかい出したりしないだろう?」
カイト「・・・兄ちゃん・・・。」
ブルー「それにカイト・・・君も、もっと素直にならなけりゃ・・・。僕
には、あんなに正直になれるんだから・・・。」
カイト「・・・分かったよ・・・。」
4人の少年達、少し気まずそうに、けれど何故か
安堵した面持ちで、其々立っている。
その時、下手よりジャック登場。
ジャック「マーク!こんな所にいたのか。」
マーク「(振り返ってジャックを認める。)父さん・・・如何したの?
こんな時間に・・・。」
ジャック「(ブルーを見て。)丁度よかった。捜す手間が省けそう
だ・・・。この間の石を貰ったのは、その青年かね・・・
?」
マーク「・・・うん・・・。(ブルーをチラッと見る。)貰ったと言うか・・・
。(口籠もる。)」
ジャック「(ブルーの前へ、ゆっくりと進み出る。)私はマークの父
親です。この間、息子があなたに頂いた石のことで、
詳しくお話しを伺いたいのですが・・・一緒に私の研究
室まで来てもらえませんか?」
マーク「・・・如何したんだよ・・・父さん・・・。」
ブルー「・・・マークに差し上げた・・・あの石が何か・・・?」
マーク、ブルーの言葉に嬉しそうな面持ちをする。
ジャック「いや何・・・、詳しく調べてみると、面白い研究結果が
出ましてね・・・。如何もあの石は、この地球外の・・・」
――――― “ブルー”完結編へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
フェード・インする。と、アパートの部屋。
カイト、ブルー話しながらテーブルの上を片付けて
いる。
カイト「もうそろそろ働き始めて一週間だろ?兄ちゃん、何も
欲しいものないのかよ。ズボンだって・・・そんなお下がり
・・・。」
ブルー「ローズマリーのお兄さんのを貰ったから、これで十分
・・・。長さも丁度よくなったし・・・。」
カイト「ふうん・・・。まぁ確かに、丈は父ちゃんのに比べれば、
ピッタシだけど・・・。」
ブルー「いたっ・・・!」
カイト「如何したんだい、兄ちゃん?切ったのか?見せてみろ
よ!皿、欠けてたんだな。」
ブルー、指を見ている。カイト覗き込んでブルーの
指を見ると、驚いて後ずさる。
カイト「あおい・・・」
ブルー「え?」
カイト「何で・・・青い血が流れてんだよ・・・」
ブルー「(平然と。)青いと可笑しいのかい?」
カイト「だって・・・俺達人間は・・・赤い血が流れてんだ!!」
ブルー「・・・あかい・・・血?(自分の指を見る。)」
カイト「(呆然と。)兄ちゃん・・・人間じゃないのか・・・?」
上手より、ローラ登場。
ローラ「如何かしたのかい?」
カイト「(驚いて。)母ちゃん!!う・・・ううん・・・なんでもな・・・」
突然、ブルー以外の時間が止まったように、カイト、
ローラ動かなくなる。
ブルー「(驚いて、回りを見回す。)・・・カイト・・・?カイト・・・!!
」
そこへ下手より、エンド登場。
ブルー「(エンドを認め。)誰だ!?」
エンド「ドレイファス王子・・・。」
ブルー「・・・ドレイファス・・・?」
エンド「矢張り、まだ記憶がないようですね・・・。」
ブルー「・・・おまえは・・・?」
エンド「王子の側近、エンドをお忘れえすか?」
ブルー「・・・王子・・・?」
エンド「この地球より、20億光年離れたワードワース星・・・我々
の星です・・・。あなたは、そこの統治者の御子息、ドレイ
ファス王子・・・。次期星王様です。王子がこの地球付近
で消息を絶たれ、我々は直ちに捜索に向かい、そこで
王子の無事は直ぐに確認できたものの、記憶を無くされ
ているとは・・・。ご自分から思い出されるのを待ちました
が、人間に、あなたの正体が暴かれるようなことにでも
なれば面倒です。」
ブルー「待ってくれ・・・!今の話しを聞かされても僕には・・・」
エンド「あなたの青い血を見れば、何の疑う余地もない筈・・・。」
ブルー「だが・・・」
エンド「お父上がお待ちです。」
ブルー「・・・それがたとえ本当でも・・・、今はまだ君と一緒には
行けない・・・。」
エンド「何時まで待てばよいのですか?」
ブルー「もう暫く・・・せめて僕の回りの人々に、お礼がしたい・・・
。」
エンド「分かりました・・・。王子、手を・・・。」
ブルー「え・・・?」
エンド、ブルーの手を取り、怪我した指を包み込む
ように。
ブルー「(指を見て驚く。)傷が・・・治っている・・・。」
エンド「(溜め息を吐いて。)こんなこと位・・・あなたなら、造作
なくやれること・・・。何もかもお忘れとは・・・。前に、王子
が見せた表情にも驚かされましたが・・・。」
ブルー「表情?」
エンド「口元がだらしなく緩み、目の端が下がった・・・」
ブルー「(ハッとして微笑む。)それは笑顔と言うんだ。」
エンド「笑顔・・・?お止め下さい、王子。我々が無闇矢鱈と顔
の変化を、他人に見せるなど、決してしてはならないこと
です。」
ブルー「そうだったな、エンド・・・。(今言った言葉に、自分自身
驚いたように一時、立ち尽くす。)」
エンド「・・・如何かされましたか・・・?」
ブルー「・・・いや・・・なんでもない・・・。」
エンド、ブルーが記憶を取り戻したことを、
悟ったようにブルーを見る。
エンド「・・・3日待ちましょう・・・。では・・・。」
エンド、ゆっくり下手へ去る。と、同時にカイト、
ローラ動き出す。
カイト「・・・いよ、母ちゃん!兄ちゃん、指隠しな!!(小声で
ブルーに言うように。)俺はたとえ兄ちゃんが、人間で
あろうがなかろうが、そんなこと全然関係ないんだ!!
兄ちゃんは兄ちゃんなんだし!!けど他の人は・・・!!」
ブルー「(微笑んで。)何言ってるんだい、カイト・・・。」
カイト「青い血のことだろ!?」
ブルー「青い血?」
カイト「指!!(ブルーの手を取って、指を見る。)指・・・治ってる
・・・。(呆然と。)」
ブルー「治るも何も・・・。」
カイト「だって、たった今、皿で・・・!!変だな・・・俺、目開けた
まま夢でも見てたかな・・・。そうだよな・・・!青い血の人
間なんて、いる訳ねぇよな!!・・・よかった・・・。」
ローラ「如何したの2人共、コソコソと・・・。」
カイト「うん、何でもないんだ!!」
ローラ「・・・じゃあ私は先に休むからね・・・。片付け、すまないね
・・・。」
カイト「何言ってんだよ!おやすみ、母ちゃん!ちゃんと薬飲め
よ!!」
ローラ、ソファーの上から取った服を羽織りながら、
しんどそうにゆっくりと、上手へ去る。
カイト「・・・兄ちゃん・・・」
ブルー「ん?」
カイト「・・・兄ちゃん、何処へも行かないでくれよ!!兄ちゃんの
記憶が戻って、突然いなくなったらって思うと俺・・・。母
ちゃんの具合、段々悪くなる一方だし・・・。俺、兄ちゃん
が妖怪でもドラキュラでも宇宙人でも構わない!!兄ちゃ
んさえいてくれたら・・・。」
ブルー「カイト・・・」
カイト「俺・・・兄ちゃんが家に来てくれて、本当によかったと思っ
てる・・・。凄い嬉しいんだ!!だから・・・」
ブルー「もう、お休み・・・。僕は病気のお母さんと君を、ほって
行ったりはしないよ・・・。」
カイト「本当に・・・?」
ブルー「ああ・・・」
カイト「約束だよ・・・!?」
ブルー「(微笑んで。)ああ、約束だ・・・。」
カイト「(安心したように。)よかった・・・。じゃあ・・・おやすみ、
兄ちゃん!」
ブルー「おやすみ・・・」
カイト、上手へ去る。
ブルー「(カイトが出て行くのを見計らって。)病気のお母さん
と2人にはしない・・・。(自分の指を見る。)そうだ・・・
私はワードワース星のドレイファス・・・。さっき、エンド
のエネルギーが指から流れ込み・・・全てを思い出し
た・・・。帰らなければならない場所のあることを・・・。」
音楽でフェード・アウト。
――――― 第 8 場 ―――――
フェード・インする。
下手より楽しそうに話しながら、マーク、トーマ、
ジミー登場。
トーマ「知ってるか?クリストの奴、停学だってさ。(笑う。)」
ジミー「へぇ・・・何やらかしたんだ?」
トーマ「休みの日に、学校に忍び込んで、試験問題盗もうと
したらしいぜ。」
マーク「ドジな奴。(笑う。)」
そこへ、上手よりカイト登場。
ジミー「カイト・・・。」
他の2人も、カイトを認める。
カイト、知らん顔で通り過ぎようとする。が、
3人の少年、カイトの前に立ち塞がり歌う。
“誰が気にくわない
何が気にくわない
その目が生意気だ
口のきき方に問題がる
もっと謙虚に
もっと控え目に
後から来た余所者のくせに!!”
カイト「おまえらとは一度、遣り合わなきゃならないようだな!!
」
マーク「それはこっちの台詞だ!!」
ジミー「やっちまえ!!」
トーマ「やれ、マーク!!」
カイト、マーク殴り合いの喧嘩になる。
ジミー、トーマはやす。
一時置いて、上手よりブルーとローズマリー、
楽しそうに話しながら登場。
カイト、マークの喧嘩を認め、驚いて駆け寄る。
ローズマリー「カイト!!」
ブルー「カイト!!(2人の間に割って入る。)こら、止めろ!!
2人共!!止めるんだ!!」
マーク「何で止めんだよ!!」
カイト「兄ちゃん、やらせてくれよ!!」
ブルー「喧嘩して殴り合って解決するのか!?それで本当に
仲良くなれるのか!?」
カイト「ごめんだ、こんな奴ら!!」
マーク「こっちもだ!!」
ブルー「待つんだ、2人共!!(マークに。)君は何故、何時も
カイトを目の敵にする・・・?(トーマ、ジミーに向かって
。)君達もだ・・・。」
マーク「こいつが生意気なんだ!!」
ジミー「そうさ!!」
トーマ「いっつも澄ましているからな!!」
マーク「いくら苛めても泣かない・・・だから余計に腹が立つんだ
!!学校にもろくに行けない貧乏なくせして!!」
ブルー「そうか・・・確かに貧乏は当たってるな・・・。けど、それは
カイトにはお父さんがいなくて、病気のお母さんと2人
暮らしだからだ・・・。」
カイト「兄ちゃん!!」
マーク「何だよ!!俺達に同情しろって言うのかよ!!」
ブルー「(首を振る。)違うよ。カイトに同情はいらない・・・。何故
なら、彼は貧乏かも知れないが、心はとても満たされて
いるからね・・・。一生懸命、生きようと努力している。
だからカイトに必要なのは、同情じゃなく友情だ・・・。
何時も一緒に側にいてくれる仲間が必要なんだ・・・。
君達はカイトが泣かないから生意気だと言った・・・。
それは君達が、彼の上辺だけを見て、心の中を探ろう
としなかったからだよ・・・。もし、君達に悩みがあったと
して・・・その悩みは他人から見れば、些細なことでも、
悩んでいる者にとっては、屹度、どんな悩みでも・・・同
じ重さなんだと思うよ・・・。」
マーク「だから俺達に、友達になってやれって言うのかよ・・・!
!」
ブルー「君達、カイトのことが好きだろ?」
マーク「何で俺達が・・・!!」
ジミー「そうだよ・・・!!」
トーマ「・・・なぁ・・・!!」
ブルー「本当にカイトのことが嫌いなら、無視してる筈だからね
・・・。何も態々、自分達が不愉快になる為に、カイトに
ちょっかい出したりしないだろう?」
カイト「・・・兄ちゃん・・・。」
ブルー「それにカイト・・・君も、もっと素直にならなけりゃ・・・。僕
には、あんなに正直になれるんだから・・・。」
カイト「・・・分かったよ・・・。」
4人の少年達、少し気まずそうに、けれど何故か
安堵した面持ちで、其々立っている。
その時、下手よりジャック登場。
ジャック「マーク!こんな所にいたのか。」
マーク「(振り返ってジャックを認める。)父さん・・・如何したの?
こんな時間に・・・。」
ジャック「(ブルーを見て。)丁度よかった。捜す手間が省けそう
だ・・・。この間の石を貰ったのは、その青年かね・・・
?」
マーク「・・・うん・・・。(ブルーをチラッと見る。)貰ったと言うか・・・
。(口籠もる。)」
ジャック「(ブルーの前へ、ゆっくりと進み出る。)私はマークの父
親です。この間、息子があなたに頂いた石のことで、
詳しくお話しを伺いたいのですが・・・一緒に私の研究
室まで来てもらえませんか?」
マーク「・・・如何したんだよ・・・父さん・・・。」
ブルー「・・・マークに差し上げた・・・あの石が何か・・・?」
マーク、ブルーの言葉に嬉しそうな面持ちをする。
ジャック「いや何・・・、詳しく調べてみると、面白い研究結果が
出ましてね・・・。如何もあの石は、この地球外の・・・」
――――― “ブルー”完結編へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
2012年3月14日水曜日
“ブルー” ―全9場― 3
ジミー、トーマ、ブルーを見る。
その時、下手よりエンド登場。ブルーを見ている。
ジミー「こいつ、昨日の・・・」
マーク「何、ニヤニヤしてんだよ!!(思わずブルーの胸元を
掴む。)」
ブルー「(笑顔のまま。)いらっしゃいませ。」
マーク「煩い!!」
トーマ「やっちまえ!!」
マーク、ブルーに殴りかかる。その時、エンド、
マークを睨み付けると、ブルーに殴りかかった
マークの手が、ブルーの横を通り過ぎるように
逸れ、ヨロける。
(ブルー、相変わらずニコニコしている。)
ジミー「何やってんだよ!!」
マーク「畜生!!(再び殴りかかるが、また逸れる。)」
そこへ、上手よりカイト登場。驚いて駆け寄る。
カイト「兄ちゃん!!おまえら、何やってんだ!!(ブルーの腕
を掴んで、自分の方へ引き寄せる。)」
マーク、呆然と自分の手を見詰める。
トーマ「如何したんだよ、マーク?」
マーク「手が・・・」
カイト「帰れよ!!」
ジミー「言われなくたって、帰ってやるよ!!」
トーマ「おい、マーク!行こうぜ!(呆然としているマークを、
引っ張るように。)」
マーク、トーマ、ジミー下手へ去る。
カイト「(3人が出て行くのを見計らって。)大丈夫か、兄ちゃん
!?」
ブルー「(微笑んで、カイトを見る。)」
カイト「・・・兄ちゃん!怒る時は怒らなきゃ!!・・・(溜め息を
吐いて。)まぁ、いっか・・・怒ったって解決する訳じゃない
んだし・・・。兄ちゃん、皿洗いの方、手伝ってくれよ。」
カイト、ブルー上手方へ行きかける。
エンド「・・・ドレイファス!」
2人、その声に振り返ってエンドの方を見る。
が、知らん顔で上手へ去る。
ブルーの笑顔に困惑そうな表情をするエンドで、
フェード・アウト。
――――― 第 4 場 ―――――
客席下手方より、マーク、ジミー、トーマ登場。
話しながら、上手方へ。
ジミー「さっきは如何したんだよ、マーク。」
マーク「知るかよ!」
トーマ「・・・知るかって・・・。」
マーク「あいつを殴ろうと思ったら、手が勝手に空を切るんだ!」
ジミー「そんなこと!(笑う。)」
マーク「本当なんだぜ!!」
トーマ「何時ものマークなら、あんな奴、一発でノックアウトなの
に!」
マーク「だから言ってるだろ!手が勝手に・・・!!」
トーマ「ところで昨日、あいつから奪ったあの石・・・如何した?」
マーク「ああ、あの石・・・、帰って父さんに見せたら、目の色変え
て取り上げられちまったよ。大学の研究室に持ってって、
もっとよく調べてみたいんだってさ。」
ジミー「あの石、普通のよりは綺麗だったけど・・・そんな調べて
みたくなるような、凄い石なのかい?」
マーク「知らないさ。父さん、何も教えてくれないし。石、取り上げ
て直ぐにまた、大学行っちゃったから・・・。一週間振りに
帰って来たところなのにだぜ!?」
トーマ「ふうん・・・。」
マーク「(独り言のように。)畜生・・・あんな石のせいで・・・。」
ジミー「父さんがいないと淋しい?」
マーク「馬鹿野郎!!俺は煩いのがいなくて清々するさ!!
けど、母さんは・・・。」
マーク、怒ったように舞台上手へ去る。
トーマ「あ、マーク!!待ってくれよ!!」
ジミー「マーク!!」
トーマ、ジミー慌ててマークの後を追うように、
舞台上手へ去る。
入れ代るように、白衣を着たマークの父(ジャック)、
下手方スポットに浮かび上がる。
ジャック「これは・・・いくら調べても地球外物質であることは確か
だ・・・。でも一体何処からこんな・・・。確か、知らない
男に貰ったと言っていたが・・・。マークに如何して手に
入れたのか、よく利き出さなくては・・・。持っていたの
が人間ではないとすると・・・。(ニヤリと笑う。)ひょっと
すると、世紀の大発見になるかも知れないぞ・・・。」
フェード・アウト。
――――― 第 5 場 ―――――
フェード・インする。と、舞台上手方にローズマリー、
カイト、ブルー立っている。
ローズマリー「今日はお疲れ様!はい、今日の分のお給料!」
カイト「(袋を受け取って。)ありがとう!」
ブルー「・・・これは・・・?」
カイト「給料だろ?これは兄ちゃんのものなんだから、好きに使
っていいんだ!但し、食費は置いとくんだぜ。(笑う。)」
ローズマリー「無駄使いしちゃ駄目よ、2人共!カイトは大分、
貯金溜まった?」
カイト「冬が来る前には、母ちゃんに暖かいショール買ってやれ
そうだよ!」
ローズマリー「そう、よかったわね。」
カイト「うん!」
ローズマリー「それから、これ・・・(袋を2人の方へ差し出す。)
今日の夕飯ね。店の余りものだけど・・・。」
カイト「わあ・・・サンキュー、姉ちゃん!!(袋を受け取る。)」
ブルー、黙って袋を受け取る。
カイト「兄ちゃん!こう言う時は“ありがとう”って言うんだぜ!」
ブルー「ありがとう・・・?」
カイト「そう!ありがとうだ。ちゃんともの貰ったら、礼言わな
きゃ!それから・・・」
カイト、ブルーに教えるように歌う。
2人、舞台中央へ。
“朝起きたら おはよう
夜寝る時は おやすみ
昼は こんにちは
夜は こんばんは
食事の前は いただきます
食事が済めば ごちそうさま
人には色々挨拶がある
気持ちを相手に伝える為
黙ってたって分からない
その日を楽しく過ごすには
自分の思いを伝えなきゃ
よそのお宅におじゃまします
ドアを開けておじゃましました
謝る時には ごめんなさい
別れの時は さようなら
感謝の気持ちはありがとう!”
カイト「分かったかい?」
ブルー「分かった・・・。(微笑んで。)ありがとう・・・色々なことを
教えてくれて・・・。」
カイト「なぁに、お安いご用さ!」
ブルー「・・・僕は、自分が誰なのか・・・何故ここにいるのか・・・
今まで何処で生活していたのか・・・何一つ思い出せな
い・・・。ここに、こうして暮らしていても・・・丸で、全てが
・・・今、初めて経験したことのようで・・・。」
カイト「・・・兄ちゃん・・・記憶がないんだから仕方ないよ!焦る
なって!そのうち、何もかも思い出すからさ!!」
2人、ゆっくり下手方へ行きかけて、カイト、何かに
突っ掛かったように。
カイト「おっと・・・!(靴を見て。)ちぇっ!!とうとう底が抜けち
まった!(足を上げる。)また、母ちゃんの縫物が増えちゃ
ったな・・・。あ・・・見てくれよ、兄ちゃん・・・。」
カイト立ち止まり、憧れの眼差しで、ガラス越しに
何かを見詰めるように、手を当てる。
上手方スポット、台の上に置いてある、まっさらの
スニーカーが浮かび上がる。
カイト「綺麗な靴だなぁ・・・。俺、何時か絶対、金、貯めて自分
の靴買うんだ!!」
ブルー「・・・カイト・・・。」
カイト、振り向く。
ブルー「これを・・・。(さっき貰った給料袋を、カイトの方へ差し
出す。)これで、靴が買える・・・?」
カイト「(驚いてブルーを見る。)ばっ・・・ばっかだなぁ、兄ちゃん
!これは兄ちゃんの食費だって言ってるだろ?それに、
この靴を買う為には、もっと沢山の金がいるんだ・・・。
ありがとう・・・。(照れたように。)」
ブルー「・・・ありがとう・・・?何故・・・?靴が買えないのに、感謝
するのは変だ・・・。」
カイト「嬉しかったんだよ!!」
ブルー「うれしい・・・?」
カイト「兄ちゃんの思い遣りに感謝したんだって!!」
ブルー「思い遣り・・・。まだまだ僕には、分からない感情や・・・
言葉が沢山ありそうだ・・・。」
カイト「そうだよ!!(笑う。)」
フェード・インする。と、アパートの部屋。
カイト「ただいま、母ちゃん!(手に持っていた袋をテーブルの
上へ置く。)」
上手より、ゆっくりローラ登場。
ローラ「おかえり・・・2人共・・・。」
カイト「(ローラの様子に心配そうに。)母ちゃん、具合悪いのか
い?」
ローラ「少しね・・・。今日は、夕食の支度ができなくて・・・何か
外で・・・。」
カイト「平気さ!!今日は姉ちゃんにハンバーガー貰って来た
から!!母ちゃんの分も・・・!!」
ローラ「私はいいから、2人でおあがり・・・。先に休ませておくれ
ね・・・。」
カイト「うん・・・おやすみ・・・。」
ローラ、上手へ去る。
カイト「母ちゃん・・・」
ブルー「お母さん、大分悪そうだね・・・。」
カイト「・・・大丈夫・・・大丈夫さ!俺、ミルク取って来るよ!
ちょっと待ってて!」
カイト、走って上手奥に去る。
ブルー、ソファーに腰を下ろす。と、欠伸が出る。
ブルー、欠伸に不思議そうな顔をし、首を傾げるが、
思わずソファーに横になると、直ぐに寝息をたてて
眠り込む。
一時置いて、2つのコップを手に、カイト、上手奥
より登場。
カイト「お待たせ!・・・あれ・・・?兄ちゃん?(コップをテーブル
の上に置いて、ブルーの側へ。覗き込むように。)寝ちゃ
ったのかよ・・・。疲れたんだな、屹度・・・。(ソファーの背
にかかっていた毛布を広げ、ブルーに掛ける。)おやすみ
、兄ちゃん・・・。」
フェード・アウト。
――――― 第 6 場 ―――――
音楽流れ、歌声聞こえる。
“初めて見た夢・・・
初めて得た安らぎ・・・
心地好い体の落ち着き・・・
そこでは誰でもヒーローで・・・
そこでは誰もが主人公・・・”
フェード・インする。(紗幕前。)
下手よりローズマリー、後ろを気にしながら登場。
上手方へ。上手より、ハンバーガー店の店員登場。
ローズマリーを認め、近寄る。
店員「おはよう、ローズ!」
ローズマリー「あ・・・おはよう!」
店員「(ローズマリーが気にしている下手方を見て。)何かあるの
かい?」
ローズマリー「うん。ここ何日間か、ずっとあの男の人がうちの店
の中を窺ってるのよ!」
店員「どれ?ああ、あのグラサン野郎・・・、あいつなら俺も知って
る・・・。丁度、ブルーがうちで働き始めた頃からよく見かけ
るなぁって・・・。また来てんだな。何か用か聞いてやろうか
?」
ローズマリー「いいわよ!まだ何かされた訳じゃないし・・・。けど
、気をつけるように皆にも言っておいてね。」
2人、話しながら上手へ去る。
入れ代るように、下手よりエンド登場。サングラスを
取って上手方を見詰める。
フェード・アウト。
――――― “ブルー”4へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
その時、下手よりエンド登場。ブルーを見ている。
ジミー「こいつ、昨日の・・・」
マーク「何、ニヤニヤしてんだよ!!(思わずブルーの胸元を
掴む。)」
ブルー「(笑顔のまま。)いらっしゃいませ。」
マーク「煩い!!」
トーマ「やっちまえ!!」
マーク、ブルーに殴りかかる。その時、エンド、
マークを睨み付けると、ブルーに殴りかかった
マークの手が、ブルーの横を通り過ぎるように
逸れ、ヨロける。
(ブルー、相変わらずニコニコしている。)
ジミー「何やってんだよ!!」
マーク「畜生!!(再び殴りかかるが、また逸れる。)」
そこへ、上手よりカイト登場。驚いて駆け寄る。
カイト「兄ちゃん!!おまえら、何やってんだ!!(ブルーの腕
を掴んで、自分の方へ引き寄せる。)」
マーク、呆然と自分の手を見詰める。
トーマ「如何したんだよ、マーク?」
マーク「手が・・・」
カイト「帰れよ!!」
ジミー「言われなくたって、帰ってやるよ!!」
トーマ「おい、マーク!行こうぜ!(呆然としているマークを、
引っ張るように。)」
マーク、トーマ、ジミー下手へ去る。
カイト「(3人が出て行くのを見計らって。)大丈夫か、兄ちゃん
!?」
ブルー「(微笑んで、カイトを見る。)」
カイト「・・・兄ちゃん!怒る時は怒らなきゃ!!・・・(溜め息を
吐いて。)まぁ、いっか・・・怒ったって解決する訳じゃない
んだし・・・。兄ちゃん、皿洗いの方、手伝ってくれよ。」
カイト、ブルー上手方へ行きかける。
エンド「・・・ドレイファス!」
2人、その声に振り返ってエンドの方を見る。
が、知らん顔で上手へ去る。
ブルーの笑顔に困惑そうな表情をするエンドで、
フェード・アウト。
――――― 第 4 場 ―――――
客席下手方より、マーク、ジミー、トーマ登場。
話しながら、上手方へ。
ジミー「さっきは如何したんだよ、マーク。」
マーク「知るかよ!」
トーマ「・・・知るかって・・・。」
マーク「あいつを殴ろうと思ったら、手が勝手に空を切るんだ!」
ジミー「そんなこと!(笑う。)」
マーク「本当なんだぜ!!」
トーマ「何時ものマークなら、あんな奴、一発でノックアウトなの
に!」
マーク「だから言ってるだろ!手が勝手に・・・!!」
トーマ「ところで昨日、あいつから奪ったあの石・・・如何した?」
マーク「ああ、あの石・・・、帰って父さんに見せたら、目の色変え
て取り上げられちまったよ。大学の研究室に持ってって、
もっとよく調べてみたいんだってさ。」
ジミー「あの石、普通のよりは綺麗だったけど・・・そんな調べて
みたくなるような、凄い石なのかい?」
マーク「知らないさ。父さん、何も教えてくれないし。石、取り上げ
て直ぐにまた、大学行っちゃったから・・・。一週間振りに
帰って来たところなのにだぜ!?」
トーマ「ふうん・・・。」
マーク「(独り言のように。)畜生・・・あんな石のせいで・・・。」
ジミー「父さんがいないと淋しい?」
マーク「馬鹿野郎!!俺は煩いのがいなくて清々するさ!!
けど、母さんは・・・。」
マーク、怒ったように舞台上手へ去る。
トーマ「あ、マーク!!待ってくれよ!!」
ジミー「マーク!!」
トーマ、ジミー慌ててマークの後を追うように、
舞台上手へ去る。
入れ代るように、白衣を着たマークの父(ジャック)、
下手方スポットに浮かび上がる。
ジャック「これは・・・いくら調べても地球外物質であることは確か
だ・・・。でも一体何処からこんな・・・。確か、知らない
男に貰ったと言っていたが・・・。マークに如何して手に
入れたのか、よく利き出さなくては・・・。持っていたの
が人間ではないとすると・・・。(ニヤリと笑う。)ひょっと
すると、世紀の大発見になるかも知れないぞ・・・。」
フェード・アウト。
――――― 第 5 場 ―――――
フェード・インする。と、舞台上手方にローズマリー、
カイト、ブルー立っている。
ローズマリー「今日はお疲れ様!はい、今日の分のお給料!」
カイト「(袋を受け取って。)ありがとう!」
ブルー「・・・これは・・・?」
カイト「給料だろ?これは兄ちゃんのものなんだから、好きに使
っていいんだ!但し、食費は置いとくんだぜ。(笑う。)」
ローズマリー「無駄使いしちゃ駄目よ、2人共!カイトは大分、
貯金溜まった?」
カイト「冬が来る前には、母ちゃんに暖かいショール買ってやれ
そうだよ!」
ローズマリー「そう、よかったわね。」
カイト「うん!」
ローズマリー「それから、これ・・・(袋を2人の方へ差し出す。)
今日の夕飯ね。店の余りものだけど・・・。」
カイト「わあ・・・サンキュー、姉ちゃん!!(袋を受け取る。)」
ブルー、黙って袋を受け取る。
カイト「兄ちゃん!こう言う時は“ありがとう”って言うんだぜ!」
ブルー「ありがとう・・・?」
カイト「そう!ありがとうだ。ちゃんともの貰ったら、礼言わな
きゃ!それから・・・」
カイト、ブルーに教えるように歌う。
2人、舞台中央へ。
“朝起きたら おはよう
夜寝る時は おやすみ
昼は こんにちは
夜は こんばんは
食事の前は いただきます
食事が済めば ごちそうさま
人には色々挨拶がある
気持ちを相手に伝える為
黙ってたって分からない
その日を楽しく過ごすには
自分の思いを伝えなきゃ
よそのお宅におじゃまします
ドアを開けておじゃましました
謝る時には ごめんなさい
別れの時は さようなら
感謝の気持ちはありがとう!”
カイト「分かったかい?」
ブルー「分かった・・・。(微笑んで。)ありがとう・・・色々なことを
教えてくれて・・・。」
カイト「なぁに、お安いご用さ!」
ブルー「・・・僕は、自分が誰なのか・・・何故ここにいるのか・・・
今まで何処で生活していたのか・・・何一つ思い出せな
い・・・。ここに、こうして暮らしていても・・・丸で、全てが
・・・今、初めて経験したことのようで・・・。」
カイト「・・・兄ちゃん・・・記憶がないんだから仕方ないよ!焦る
なって!そのうち、何もかも思い出すからさ!!」
2人、ゆっくり下手方へ行きかけて、カイト、何かに
突っ掛かったように。
カイト「おっと・・・!(靴を見て。)ちぇっ!!とうとう底が抜けち
まった!(足を上げる。)また、母ちゃんの縫物が増えちゃ
ったな・・・。あ・・・見てくれよ、兄ちゃん・・・。」
カイト立ち止まり、憧れの眼差しで、ガラス越しに
何かを見詰めるように、手を当てる。
上手方スポット、台の上に置いてある、まっさらの
スニーカーが浮かび上がる。
カイト「綺麗な靴だなぁ・・・。俺、何時か絶対、金、貯めて自分
の靴買うんだ!!」
ブルー「・・・カイト・・・。」
カイト、振り向く。
ブルー「これを・・・。(さっき貰った給料袋を、カイトの方へ差し
出す。)これで、靴が買える・・・?」
カイト「(驚いてブルーを見る。)ばっ・・・ばっかだなぁ、兄ちゃん
!これは兄ちゃんの食費だって言ってるだろ?それに、
この靴を買う為には、もっと沢山の金がいるんだ・・・。
ありがとう・・・。(照れたように。)」
ブルー「・・・ありがとう・・・?何故・・・?靴が買えないのに、感謝
するのは変だ・・・。」
カイト「嬉しかったんだよ!!」
ブルー「うれしい・・・?」
カイト「兄ちゃんの思い遣りに感謝したんだって!!」
ブルー「思い遣り・・・。まだまだ僕には、分からない感情や・・・
言葉が沢山ありそうだ・・・。」
カイト「そうだよ!!(笑う。)」
フェード・インする。と、アパートの部屋。
カイト「ただいま、母ちゃん!(手に持っていた袋をテーブルの
上へ置く。)」
上手より、ゆっくりローラ登場。
ローラ「おかえり・・・2人共・・・。」
カイト「(ローラの様子に心配そうに。)母ちゃん、具合悪いのか
い?」
ローラ「少しね・・・。今日は、夕食の支度ができなくて・・・何か
外で・・・。」
カイト「平気さ!!今日は姉ちゃんにハンバーガー貰って来た
から!!母ちゃんの分も・・・!!」
ローラ「私はいいから、2人でおあがり・・・。先に休ませておくれ
ね・・・。」
カイト「うん・・・おやすみ・・・。」
ローラ、上手へ去る。
カイト「母ちゃん・・・」
ブルー「お母さん、大分悪そうだね・・・。」
カイト「・・・大丈夫・・・大丈夫さ!俺、ミルク取って来るよ!
ちょっと待ってて!」
カイト、走って上手奥に去る。
ブルー、ソファーに腰を下ろす。と、欠伸が出る。
ブルー、欠伸に不思議そうな顔をし、首を傾げるが、
思わずソファーに横になると、直ぐに寝息をたてて
眠り込む。
一時置いて、2つのコップを手に、カイト、上手奥
より登場。
カイト「お待たせ!・・・あれ・・・?兄ちゃん?(コップをテーブル
の上に置いて、ブルーの側へ。覗き込むように。)寝ちゃ
ったのかよ・・・。疲れたんだな、屹度・・・。(ソファーの背
にかかっていた毛布を広げ、ブルーに掛ける。)おやすみ
、兄ちゃん・・・。」
フェード・アウト。
――――― 第 6 場 ―――――
音楽流れ、歌声聞こえる。
“初めて見た夢・・・
初めて得た安らぎ・・・
心地好い体の落ち着き・・・
そこでは誰でもヒーローで・・・
そこでは誰もが主人公・・・”
フェード・インする。(紗幕前。)
下手よりローズマリー、後ろを気にしながら登場。
上手方へ。上手より、ハンバーガー店の店員登場。
ローズマリーを認め、近寄る。
店員「おはよう、ローズ!」
ローズマリー「あ・・・おはよう!」
店員「(ローズマリーが気にしている下手方を見て。)何かあるの
かい?」
ローズマリー「うん。ここ何日間か、ずっとあの男の人がうちの店
の中を窺ってるのよ!」
店員「どれ?ああ、あのグラサン野郎・・・、あいつなら俺も知って
る・・・。丁度、ブルーがうちで働き始めた頃からよく見かけ
るなぁって・・・。また来てんだな。何か用か聞いてやろうか
?」
ローズマリー「いいわよ!まだ何かされた訳じゃないし・・・。けど
、気をつけるように皆にも言っておいてね。」
2人、話しながら上手へ去る。
入れ代るように、下手よりエンド登場。サングラスを
取って上手方を見詰める。
フェード・アウト。
――――― “ブルー”4へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
2012年3月12日月曜日
“ブルー” ―全9場― 2
カイト「犬コロに名前付けてんじゃないんだぜ・・・。(ブツブツ
と。)」
ローズマリー「空の色よ・・・!!ブルー・・・スカイブルー!」
ブルー「・・・ブルー・・・。」
ブルー、突然座り込む。
カイト「どうしたんだよ、兄ちゃん!!」
ローズマリー「ブルー!?」
ブルー「・・・何だか、力が入らなくて・・・。(お腹を押さえて。)
この辺がポッカリ空洞のようだ・・・。」
カイト、ローズマリー顔を見合わせて笑う。
カイト「ばっかだなぁ!!腹減ってんだろ、兄ちゃん!?ほら!
!(手に持っていたパンを、ブルーに差し出す。)食いな
よ!!ここのパン、美味いんだぜ!!」
ブルー「(パンを見詰める。)・・・これは・・・?」
カイト「だからパンだって!・・・やだなぁ、いくら記憶がないから
って、食いもんまで忘れちまったのかよ!?(笑う。)
見詰めてたって、腹一杯にならないぜ!口に放り込まな
くっちゃ!!こうやって!!(籠からパンを取って、かじる
。)」
ローズマリー「行儀悪いわよ!!」
ブルー「(カイトの様子を見て、パンを千切って一口放り込む。
)」
カイト「な?美味いだろ?」
ブルー「・・・柔らかい・・・。」
ローズマリー「焼きたてだからよ!あなたって変わった人ね!
(笑う。)」
音楽流れ、ローズマリー歌う。
“パンが柔らかいのは当たり前
いい香りに包まれて
パンさえあれば心は幸せ
朝の目覚めは優しいママのキスと
ふっくらパンの香りから
ミルクを添えれば その日は幸せ
パンの不思議が心を和ませる
パンの暖かさは心の暖かさ
だからパンを食べましょう!”
ローズマリー、笑う。
ローズマリー「じゃあ、そろそろ私帰るわね。おやすみ、カイト!
また明日!ブルー・・・おやすみなさい!」
カイト「おやすみ、姉ちゃん!」
ブルー、会釈する。ローズマリー、手を上げて
下手奥へ去る。
ローズマリーが出て行くのを見計らってカイト、
欠伸しながら背を伸ばす。
カイト「さあて・・・俺、もう寝るよ。明日も朝早いから・・・。それか
ら兄ちゃんも、食う為に働かねぇとな!明日、仕事紹介
してやるから、早く寝なよ!」
ブルー「・・・ねる・・・?」
カイト「(ソファーの後ろから毛布を取って、ブルーに渡す。)これ
を頭からひっ被って、目を閉じて数かぞえればいいんだ
よ!数くらいかぞえられっだろ?じゃあ、おやすみ!」
カイト、上手へ去る。
ブルー、暫くその方を見ているが、ゆっくりソファーへ
腰を下ろす。
ブルー「(一つ一つ、思い出すように。)・・・パン・・・働く・・・ブル
-・・・記憶・・・喪失・・・寝る・・・(毛布を見て。)これを
頭から・・・。(毛布を広げて、座ったまま頭からすっぽり
被る。)・・・1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・」
ブルーの数をかぞえる声が遠ざかるのと並行して
フェード・アウト。
――――― 第 2 場 ――――― B
清々しい音楽に合わせて、小鳥の囀りが聞こえて
くる。段々大きく。
フェード・インするのと並行して、ブルーの数をかぞ
える声が聞こえてくる。
ブルー「(前景と同じ格好のまま。)1万8456・・・1万8457・・・
1万8458・・・」
そこへ上手より、元気よくカイト、手に服を持って
登場。
カイト「おはよう、兄ちゃん!!起きてっ・・・か・・・(ブルーの
様子に気付いて不思議そうに、恐々近寄る。)兄ちゃん
・・・兄ちゃん!!」
ブルー、毛布を取ってカイトを見る。
カイト「何やってんだよ、兄ちゃん・・・。ひょっとして、一晩中、
ずっと数かぞえてたのかよ・・・?」
ブルー「・・・君の言った通り・・・これが“ねる”ってことだろう・・・
?」
カイト「ばっかだなぁ!!それじゃあ寝たことにならないだろ?
それは“起きてる”ってんだ!兄ちゃん、眠くないのかよ
!?」
ブルー「(首を傾げる。)・・・それより・・・また“ハラがヘッタ”よう
な気がするんだが・・・。パンを食った筈なのに・・・。」
カイト「(溜め息を吐いて。)昨日食ったパンは夕食!今、腹減
ってんのは、朝だからだろ!全く・・・記憶喪失って、こん
なに何もかも忘れちまうもんなのかなぁ・・・。もし俺が
“記憶喪失”になったら、直ぐに飢え死にだな。(笑う。)
まぁ、いいや。朝メシは店で食わしてやるから、もうちょっ
と我慢しなよ。」
ブルー「・・・みせ・・・?」
カイト「俺の仕事先!ハンバーガーショップなんだ!本当なら
俺みたいな餓鬼、靴磨きくらいしか働けないのに、ローズ
姉ちゃんの親父さんの店だから!そこで兄ちゃんも働か
せてもらえるように頼んでやるよ!但し、兄ちゃんは一番
下っ端だから、床掃除か皿洗いだぜ。俺は先週から、
ハンバーグ焼かせてもらってんだ!(嬉しそうに。)兄ちゃ
んも頑張れば、直ぐに野菜洗いくらいにはなれるからさ。
あ、それからその服(ブルーを指差す。)・・・これに着替え
なよ!(手に持っていた服を差し出す。)いくら俺が頼んで
やっても、その格好じゃ、雇ってもらえないからな。(笑う。
衝立の方を顎で指して。)そこで着替えなよ!ほら!」
カイト、ブルーに服を渡して背中を押す。
ブルー、言われるまま衝立の後ろへ。服を着替える。
カイト「俺の服じゃあ、みんなこんなだし・・・。(自分の服を見
る。)その服・・・死んだ父ちゃんのなんだ!その中から、
一番若そうなの、選んでやったからさ!兄ちゃんでも着
れると思うぜ。ただ・・・俺の記憶が正しければ、兄ちゃ
ん背高いけど、父ちゃん・・・兄ちゃんよりずっと背が低
かったような・・・。(手で背丈を確認するように。)まぁ、
たいして問題ないか!(ソファーに腰を下ろして。)パン
代はもらうけど、兄ちゃんが他に金の使い道を忘れた
ってんなら、一週間も働きゃ、服の1枚くらいは買える
からさ!」
そこへ、服を着替えたブルー登場。
カイト「(ブルーのズボンの裾が短いのを見て。)げっ!!
矢っ張り・・・。それじゃ、俺のズボンとたいして違わない
や・・・。ま、でもさっきまで着てたのより、大分よくなった
じゃん!じゃあ、そろそろ行こうぜ!まだ母ちゃん寝てる
から、戸は静かに閉めろよ!」
カイト、ブルー下手奥へ走り去る。
フェード・アウト。
――――― 第 3 場 ―――――
明るい音楽流れ、フェード・インすると、
ハンバーガーショップのユニフォームに身を
包んだ店員達、ポーズを取り歌う。
中央にローズマリー。
(前場からのテーブルの上に、テーブルクロス、
中央に花が飾られている。)
“いらっしゃいませ
ハンバーガーですね?
ご一緒にポテトはいかがですか?
チーズにトマトにウインナー
ピクルス多めにケチャップたっぷり
お客様のご注文
何でもお応え致します!
ありがとうございました!
またのご来店お待ちしております!”
ポーズで、皆、其々上手下手奥へ去る。
ローズマリー、テーブルの上の花を直している。
そこへ上手より、ユニフォーム姿のカイト、ブルー
登場。(ブルーの手にはモップ。)
カイト「姉ちゃん、おはよう!」
ローズマリー「(カイトとブルーを認めて。)おはよう!(ブルーの
服を見て。)似合うじゃない、そのユニフォーム!
昨日のボロ布まとったような格好より、ずっといい
わ!(笑う。)」
カイト「だろ?(笑う。ブルーの方を向いて。)いいか、兄ちゃん!
お客様には愛想よくだ!いくら嫌な客が来ても、ニコニコ
してりゃいいんだからな。ニコニコして“いらっしゃいませ!
”言ってみな!」
ブルー「(真顔で。)・・・いらっしゃいませ・・・。」
カイト「顔が怖いぜ!そういや・・・兄ちゃんの笑った顔、見たこと
ないな・・・。兄ちゃん、笑ってみなよ!!」
ブルー「・・・わらう・・・?」
カイト「ほら!こうやって・・・!(笑ってみせる。)」
ブルー、カイトを見て、真似て笑おうとするが、
笑えない。
カイト「こうするんだよ!(ブルーの頬を両手で引っ張って、無理
に笑顔を作るように。)いいか?手を離しても、そのまま
にしとくんだ!!(手を離す。)」
ブルー、言われたまま顔を引き攣らせるような笑顔
を作ったまま、カイトを見詰める。
カイト、ローズマリー思わず吹き出して、声を上げて
笑う。
ローズマリー「変な顔!」
ブルー、暫く笑っている2人を見ているが、その
様子に自然と顔が綻ぶように、笑顔を作る。
カイト「(ブルーの笑顔に気付いて。)・・・笑ってる・・・笑える
じゃないか、兄ちゃん!!」
ローズマリー「本当!」
ブルー「・・・え・・・?」
ローズマリー「(ポケットからミラーを出し、ブルーに手渡す。)
ほら、見てみなさいよ!」
ブルー「(ミラーの中の自分を見る。)これが・・・笑う・・・?」
カイト「そうだよ!その顔で“いらっしゃいませ”だ!」
ブルー「(笑顔のまま。)いらっしゃいませ・・・。」
ローズマリー「いいわ!いいわ!」
ブルー「何だか・・・優しい感じがする・・・。」
ローズマリー「笑顔を作れば、誰だって優しい気持ちになれるも
のよ!目を吊り上がらせてプンプンしてたって、
自分も他人も面白くないでしょ?笑顔でいれば、
回りの人も幸せになれるわ!だから、人間は笑う
の!」
ブルー「人間は・・・笑うもの・・・。」
ローズマリー「そう!笑顔の素敵な人は、生き方もきっと素敵な
筈よ!」
カイト「でも姉ちゃん、“記憶喪失”って面倒だな。笑うことも、食
べることも・・・寝ることだって忘れちまうんだぜ。」
ローズマリー「本当?」
カイト「ああ。」
ローズマリー「私には、よく分からないけど・・・。(下手方を見て
。)あ、お客様だわ!いらっやいませ!」
ローズマリー、下手へ走り去る。
ブルー「(微笑んで。)いらっしゃいませ・・・。」
カイト「(微笑んでブルーを見る。)じゃあ頑張れよ、兄ちゃん!
俺、奥行くから!」
カイト、上手へ去る。
ブルー、ニコニコしながら立っている。
一時置いて、下手よりマーク、ジミー、トーマ其々
手にカップを持って登場。
ブルー「(笑顔で。)いらっしゃいませ。」
トーマ「午前中、授業サボろうぜ!」
ジミー「かったるいなぁ・・・。」
3人、テーブルに腰を下ろす。
マーク「この頃カイトの奴、奥に入り込んでるから、ここに来て
も気分晴れねぇしな!」
トーマ「(横でニコニコしながら立っている、ブルーに気付いて。
)なんだよ、気持ち悪い奴だなぁ!向こう行けよ!!」
ブルー「いらっしゃいませ。」
マーク「分かったってんだろ!!(ブルーの顔を見て、何か思い
出したように。)おまえ・・・(立ち上がる。)」
――――― “ブルー”3へつづく ―――――
と。)」
ローズマリー「空の色よ・・・!!ブルー・・・スカイブルー!」
ブルー「・・・ブルー・・・。」
ブルー、突然座り込む。
カイト「どうしたんだよ、兄ちゃん!!」
ローズマリー「ブルー!?」
ブルー「・・・何だか、力が入らなくて・・・。(お腹を押さえて。)
この辺がポッカリ空洞のようだ・・・。」
カイト、ローズマリー顔を見合わせて笑う。
カイト「ばっかだなぁ!!腹減ってんだろ、兄ちゃん!?ほら!
!(手に持っていたパンを、ブルーに差し出す。)食いな
よ!!ここのパン、美味いんだぜ!!」
ブルー「(パンを見詰める。)・・・これは・・・?」
カイト「だからパンだって!・・・やだなぁ、いくら記憶がないから
って、食いもんまで忘れちまったのかよ!?(笑う。)
見詰めてたって、腹一杯にならないぜ!口に放り込まな
くっちゃ!!こうやって!!(籠からパンを取って、かじる
。)」
ローズマリー「行儀悪いわよ!!」
ブルー「(カイトの様子を見て、パンを千切って一口放り込む。
)」
カイト「な?美味いだろ?」
ブルー「・・・柔らかい・・・。」
ローズマリー「焼きたてだからよ!あなたって変わった人ね!
(笑う。)」
音楽流れ、ローズマリー歌う。
“パンが柔らかいのは当たり前
いい香りに包まれて
パンさえあれば心は幸せ
朝の目覚めは優しいママのキスと
ふっくらパンの香りから
ミルクを添えれば その日は幸せ
パンの不思議が心を和ませる
パンの暖かさは心の暖かさ
だからパンを食べましょう!”
ローズマリー、笑う。
ローズマリー「じゃあ、そろそろ私帰るわね。おやすみ、カイト!
また明日!ブルー・・・おやすみなさい!」
カイト「おやすみ、姉ちゃん!」
ブルー、会釈する。ローズマリー、手を上げて
下手奥へ去る。
ローズマリーが出て行くのを見計らってカイト、
欠伸しながら背を伸ばす。
カイト「さあて・・・俺、もう寝るよ。明日も朝早いから・・・。それか
ら兄ちゃんも、食う為に働かねぇとな!明日、仕事紹介
してやるから、早く寝なよ!」
ブルー「・・・ねる・・・?」
カイト「(ソファーの後ろから毛布を取って、ブルーに渡す。)これ
を頭からひっ被って、目を閉じて数かぞえればいいんだ
よ!数くらいかぞえられっだろ?じゃあ、おやすみ!」
カイト、上手へ去る。
ブルー、暫くその方を見ているが、ゆっくりソファーへ
腰を下ろす。
ブルー「(一つ一つ、思い出すように。)・・・パン・・・働く・・・ブル
-・・・記憶・・・喪失・・・寝る・・・(毛布を見て。)これを
頭から・・・。(毛布を広げて、座ったまま頭からすっぽり
被る。)・・・1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・」
ブルーの数をかぞえる声が遠ざかるのと並行して
フェード・アウト。
――――― 第 2 場 ――――― B
清々しい音楽に合わせて、小鳥の囀りが聞こえて
くる。段々大きく。
フェード・インするのと並行して、ブルーの数をかぞ
える声が聞こえてくる。
ブルー「(前景と同じ格好のまま。)1万8456・・・1万8457・・・
1万8458・・・」
そこへ上手より、元気よくカイト、手に服を持って
登場。
カイト「おはよう、兄ちゃん!!起きてっ・・・か・・・(ブルーの
様子に気付いて不思議そうに、恐々近寄る。)兄ちゃん
・・・兄ちゃん!!」
ブルー、毛布を取ってカイトを見る。
カイト「何やってんだよ、兄ちゃん・・・。ひょっとして、一晩中、
ずっと数かぞえてたのかよ・・・?」
ブルー「・・・君の言った通り・・・これが“ねる”ってことだろう・・・
?」
カイト「ばっかだなぁ!!それじゃあ寝たことにならないだろ?
それは“起きてる”ってんだ!兄ちゃん、眠くないのかよ
!?」
ブルー「(首を傾げる。)・・・それより・・・また“ハラがヘッタ”よう
な気がするんだが・・・。パンを食った筈なのに・・・。」
カイト「(溜め息を吐いて。)昨日食ったパンは夕食!今、腹減
ってんのは、朝だからだろ!全く・・・記憶喪失って、こん
なに何もかも忘れちまうもんなのかなぁ・・・。もし俺が
“記憶喪失”になったら、直ぐに飢え死にだな。(笑う。)
まぁ、いいや。朝メシは店で食わしてやるから、もうちょっ
と我慢しなよ。」
ブルー「・・・みせ・・・?」
カイト「俺の仕事先!ハンバーガーショップなんだ!本当なら
俺みたいな餓鬼、靴磨きくらいしか働けないのに、ローズ
姉ちゃんの親父さんの店だから!そこで兄ちゃんも働か
せてもらえるように頼んでやるよ!但し、兄ちゃんは一番
下っ端だから、床掃除か皿洗いだぜ。俺は先週から、
ハンバーグ焼かせてもらってんだ!(嬉しそうに。)兄ちゃ
んも頑張れば、直ぐに野菜洗いくらいにはなれるからさ。
あ、それからその服(ブルーを指差す。)・・・これに着替え
なよ!(手に持っていた服を差し出す。)いくら俺が頼んで
やっても、その格好じゃ、雇ってもらえないからな。(笑う。
衝立の方を顎で指して。)そこで着替えなよ!ほら!」
カイト、ブルーに服を渡して背中を押す。
ブルー、言われるまま衝立の後ろへ。服を着替える。
カイト「俺の服じゃあ、みんなこんなだし・・・。(自分の服を見
る。)その服・・・死んだ父ちゃんのなんだ!その中から、
一番若そうなの、選んでやったからさ!兄ちゃんでも着
れると思うぜ。ただ・・・俺の記憶が正しければ、兄ちゃ
ん背高いけど、父ちゃん・・・兄ちゃんよりずっと背が低
かったような・・・。(手で背丈を確認するように。)まぁ、
たいして問題ないか!(ソファーに腰を下ろして。)パン
代はもらうけど、兄ちゃんが他に金の使い道を忘れた
ってんなら、一週間も働きゃ、服の1枚くらいは買える
からさ!」
そこへ、服を着替えたブルー登場。
カイト「(ブルーのズボンの裾が短いのを見て。)げっ!!
矢っ張り・・・。それじゃ、俺のズボンとたいして違わない
や・・・。ま、でもさっきまで着てたのより、大分よくなった
じゃん!じゃあ、そろそろ行こうぜ!まだ母ちゃん寝てる
から、戸は静かに閉めろよ!」
カイト、ブルー下手奥へ走り去る。
フェード・アウト。
――――― 第 3 場 ―――――
明るい音楽流れ、フェード・インすると、
ハンバーガーショップのユニフォームに身を
包んだ店員達、ポーズを取り歌う。
中央にローズマリー。
(前場からのテーブルの上に、テーブルクロス、
中央に花が飾られている。)
“いらっしゃいませ
ハンバーガーですね?
ご一緒にポテトはいかがですか?
チーズにトマトにウインナー
ピクルス多めにケチャップたっぷり
お客様のご注文
何でもお応え致します!
ありがとうございました!
またのご来店お待ちしております!”
ポーズで、皆、其々上手下手奥へ去る。
ローズマリー、テーブルの上の花を直している。
そこへ上手より、ユニフォーム姿のカイト、ブルー
登場。(ブルーの手にはモップ。)
カイト「姉ちゃん、おはよう!」
ローズマリー「(カイトとブルーを認めて。)おはよう!(ブルーの
服を見て。)似合うじゃない、そのユニフォーム!
昨日のボロ布まとったような格好より、ずっといい
わ!(笑う。)」
カイト「だろ?(笑う。ブルーの方を向いて。)いいか、兄ちゃん!
お客様には愛想よくだ!いくら嫌な客が来ても、ニコニコ
してりゃいいんだからな。ニコニコして“いらっしゃいませ!
”言ってみな!」
ブルー「(真顔で。)・・・いらっしゃいませ・・・。」
カイト「顔が怖いぜ!そういや・・・兄ちゃんの笑った顔、見たこと
ないな・・・。兄ちゃん、笑ってみなよ!!」
ブルー「・・・わらう・・・?」
カイト「ほら!こうやって・・・!(笑ってみせる。)」
ブルー、カイトを見て、真似て笑おうとするが、
笑えない。
カイト「こうするんだよ!(ブルーの頬を両手で引っ張って、無理
に笑顔を作るように。)いいか?手を離しても、そのまま
にしとくんだ!!(手を離す。)」
ブルー、言われたまま顔を引き攣らせるような笑顔
を作ったまま、カイトを見詰める。
カイト、ローズマリー思わず吹き出して、声を上げて
笑う。
ローズマリー「変な顔!」
ブルー、暫く笑っている2人を見ているが、その
様子に自然と顔が綻ぶように、笑顔を作る。
カイト「(ブルーの笑顔に気付いて。)・・・笑ってる・・・笑える
じゃないか、兄ちゃん!!」
ローズマリー「本当!」
ブルー「・・・え・・・?」
ローズマリー「(ポケットからミラーを出し、ブルーに手渡す。)
ほら、見てみなさいよ!」
ブルー「(ミラーの中の自分を見る。)これが・・・笑う・・・?」
カイト「そうだよ!その顔で“いらっしゃいませ”だ!」
ブルー「(笑顔のまま。)いらっしゃいませ・・・。」
ローズマリー「いいわ!いいわ!」
ブルー「何だか・・・優しい感じがする・・・。」
ローズマリー「笑顔を作れば、誰だって優しい気持ちになれるも
のよ!目を吊り上がらせてプンプンしてたって、
自分も他人も面白くないでしょ?笑顔でいれば、
回りの人も幸せになれるわ!だから、人間は笑う
の!」
ブルー「人間は・・・笑うもの・・・。」
ローズマリー「そう!笑顔の素敵な人は、生き方もきっと素敵な
筈よ!」
カイト「でも姉ちゃん、“記憶喪失”って面倒だな。笑うことも、食
べることも・・・寝ることだって忘れちまうんだぜ。」
ローズマリー「本当?」
カイト「ああ。」
ローズマリー「私には、よく分からないけど・・・。(下手方を見て
。)あ、お客様だわ!いらっやいませ!」
ローズマリー、下手へ走り去る。
ブルー「(微笑んで。)いらっしゃいませ・・・。」
カイト「(微笑んでブルーを見る。)じゃあ頑張れよ、兄ちゃん!
俺、奥行くから!」
カイト、上手へ去る。
ブルー、ニコニコしながら立っている。
一時置いて、下手よりマーク、ジミー、トーマ其々
手にカップを持って登場。
ブルー「(笑顔で。)いらっしゃいませ。」
トーマ「午前中、授業サボろうぜ!」
ジミー「かったるいなぁ・・・。」
3人、テーブルに腰を下ろす。
マーク「この頃カイトの奴、奥に入り込んでるから、ここに来て
も気分晴れねぇしな!」
トーマ「(横でニコニコしながら立っている、ブルーに気付いて。
)なんだよ、気持ち悪い奴だなぁ!向こう行けよ!!」
ブルー「いらっしゃいませ。」
マーク「分かったってんだろ!!(ブルーの顔を見て、何か思い
出したように。)おまえ・・・(立ち上がる。)」
――――― “ブルー”3へつづく ―――――
2012年3月11日日曜日
“ブルー” ―全9場―
以前は“下敷き”を使用していなかった為、裏の
鉛筆あとが、一杯残っています^^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
〈主な登場人物〉
ブルー(ドレイファス) ・・・ 記憶のない青年。
カイト ・・・ ブルーと仲良くなる少年。
ローズマリー ・・・ カイトの隣に住む娘。
マーク
ジミー
トーマ
ローラ ・・・ カイトの母。
エンド ・・・ ドレイファスの知り合い。
ジャック・マコーレー博士 ・・・ マークの父。
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
開演アナウンス。
警報装置の音が鳴り響く。(“ピーピーピー”)
コンピューターの声「第1エンジン停止!!減速!!急降下
!!第2エンジン停止!!地球圏に
突入!!墜落します!!」
“ピーピーピー・・・”
飛行物体の墜落音。(“ヒューン”“ドッカーン”)
段々、遠ざかる。
――――― 第 1 場 ―――――
下手スポット。
窓枠の簡単なセットの後ろに椅子が1つ。
その椅子に正座して、外を見ている少年(カイト)。
カイト「あっ!!流れ星だ!!(両手を合わせる。)神様!!
母ちゃんの病気を治して下さい!!お願いします!!
俺、いい子になります!!だから・・・!!」
フェード・アウト。
音楽流れる。3人の少年(マーク、ジミー、トーマ)
客席下手より、話しながら登場。 ※
上手方より舞台へ。
ジミー「俺、昨日の夜、UFO見たぜ!!」
マーク「馬鹿!あれは人口衛星だよ!墜落したんだ!!新聞
見なかったのか?」
ジミー「知らないよ、そんなこと・・・。」
トーマ「おまえこそ、本当に新聞なんて読んでんのかよ。(笑う
。)」
マーク「俺は、これでも家では“いい子”で通ってるんだぜ。」
ジミー「何か面白いことないかなぁ・・・。」
マーク「カイトの奴、今日見かけたか?」
トーマ「いいや。」
マーク「また苛めてやろうぜ!!」
少年達歌う。
“この町は俺達のもの
大手を振って歩くのは俺達だけ
糞面白くもねぇ 何もない町だけど
他の奴らにゃ渡さない
歯向かう奴は許さない
口出し手出しは一切無用
この町は俺達だけのもの
優雅に表を歩くのは俺達だけ”
下手よりカイト登場。3人を認め、一瞬躊躇った
ように歩を止めるが、横を向いて通り過ぎようと
する。3人、カイトに気付き、其々顔を見合す。
ニヤリと笑い、ゆっくりカイトの前へ。
カイト、立ちはだかる3人の間を縫って行こうと
するが、3人、行かせまいとする。
カイト「通してくれよ・・・。」
マーク「よお、カイト!何処行くんだよ!」
カイト「何処だっていいだろ!?早く通せよ!!」
ジミー「生意気!!」
マーク「誰がそんな口聞いていいったかなぁ・・・。」
カイト「(3人を睨みつけて、唾を吐く。)煩い!!(行こうとする。
)」
3人、カイトを取り囲み歌う。
“誰が気にくわない
何が気にくわない
その目が生意気だ
口の利き方に問題がある
もっと謙虚に
もっと控え目に
後から来た余所者のくせに!!”
カイト「やめろよ!!」
トーマ、カイトが握っていた財布に気付く。
トーマ「こいつ、財布なんか持ってるぜ!!」
ジミー「へぇ・・・。」
マーク「あんなボロアパートに住んでんだ、きっと大金持ってん
だぜ。(笑う。)貸せよ!!(カイトの財布を取り上げる。
)」
カイト「やめろ!!それは母ちゃんの薬代なんだ!!返せよ!
!」
3人、カイトの制止を振り切って、下手方へ行こうと
する。そこへ下手より、普通とは違う一風変わった
格好をした1人の青年(ブルー)、手に握っていた石
を見ながら茫然と出、3人とぶつかる。
マーク、手に持っていた財布をぶつかった拍子に
落とす。
マーク「何処見てんだ、おっさん!!」
カイト「返せ!!」
ブルー、カイトの“返せ”の言葉に、財布を拾い、
カイトに渡し、再び茫然と石を見ながら、上手方
へ行きかける。
カイト「(呆然と。)・・・あ・・・ありがとう・・・。」
マーク「何するんだ!!(ブルーの肩を掴む。)」
ブルー「(思わず持っていた石を落とす。)あ・・・(慌てて、探す
ようにしゃがみ込む。)」
カイト「何だよ・・・、何落としたんだよ、兄ちゃん!大切な物なの
かい?(一緒に探すように、しゃがむ。)」
3人の少年、意地悪そうにその様子を見ているが、
足元に落ちていた石に気付いたマーク、ニヤリと
し、それを拾う。
マーク「(石を空に翳して。)へぇ・・・、珍しい石コロだなぁ・・・。
カイトの財布の代わりに、これ貰っとくぜ!!変な格好
のおっさん!!」
ブルー「(立ち上がり、手を差し出して。)返してくれ・・・。それは
、唯一自分が誰なのか、思い出せる手掛かりなんだ・・・
。」
マーク「(無視して。)行こうぜ!!」
トーマ「おう!」
3人、下手方へ行こうとする。
カイト「返してくれって言ってんだろ!?聞こえねぇのかよ!!」
ブルー「返してくれ・・・。」
カイト「おい!!(マイクの前へ立つ。)」
マイク「どけよ!!(カイトを押し退ける。)」
3人、笑いながら下手へ去る。
カイト「畜生!!」
ブルー「返して・・・」
カイト「(溜め息を吐いて。)ごめんよ、兄ちゃん・・・。俺のせいで
大事な石、取られちゃって・・・。けど、さっき変なこと言っ
てなかったか?“自分が誰なのか思い出せる手掛かり
・・・”って、どう言うことだい?」
ブルー「・・・あの石を握ってた・・・。気が付いた時・・・。」
カイト「気が付いた時?何処で?」
ブルー「(首を振る。)」
カイト「兄ちゃん、名前は?」
ブルー「・・・分からない・・・。」
カイト「(驚いたように。)分からないだって!?ひょっとして
兄ちゃん、あれかい?記憶喪失ってやつ・・・。」
ブルー「(カイトを見る。)・・・きおく・・・そうしつ・・・。」
カイト「じゃあ、勿論帰る家も分からないんだ・・・?」
ブルー「・・・いえ・・・何処か・・・遠い・・・。(頭を抱かえて、
しゃがみ込む。)思い出せない・・・。」
カイト「あ・・・(ブルーに近寄って、腕を取る。)じゃあ、家来なよ
!仕方ないから、思い出すまで泊めてやるからさ!!
・・・母ちゃんの薬代、あいつらから取り返してくれた礼
だよ・・・。その代わり、すっげぇボロアパートだぜ。(笑う
。)」
カイト、上手へ行きかける。茫然と佇むブルーの
方を向いて。
カイト「何、ボケッと突っ立ってんだよ!!行くぜ!!」
2人、上手へ去る。
音楽でフェード・アウト。
――――― 第 2 場 ――――― A
フェード・インする。と、カイトのアパートの部屋。
上手方に一つのソファー、下手方に丸テーブルと
椅子。中央には衝立。
ソファーにカイトの母(ローラ)腰を下ろし、縫物に
ゆっくり針を動かしている。
そこへ、下手奥より1人の娘(ローズマリー)、
手荷物を持って登場。
ローズマリー「こんにちは、小母さん!」
ローラ「ローズマリー・・・いらっしゃい。」
ローズマリー「(持っていた袋を見せるように。)パン買って来た
わ!」
ローラ「何時も、済まないね・・・。」
ローズマリー「いいのよ!それより起きてて大丈夫なの?(ロー
ラの方へ。縫物を見て。)カイトのシャツ?また
あの子、破いたのね?」
ローラ「(微笑んで。)私は、カイトの洋服を繕っている時が、
一番幸せだと思ってるんだよ・・・。それは、いくらやん
ちゃでも・・・あの子が元気な証拠だから・・・。」
ローズマリー「・・・小母さん・・・。」
ローラ「あの子には、私はこんな体で、父親が死んでから苦労
かけっぱなしだもの・・・。」
ローズマリー「食事の用意するわ・・・。(パンを、テーブルの上
の籠に入れながら。)」
ローラ「(首を振って。)何時もローズに甘えてばかりいられない
よ・・・、いくらお隣さんだからって。それに今日は何時も
より気分がずっと良かったから、もう済ませてあるんだ
よ。」
ローズマリー「小母さん・・・。遠慮はなしよ!って何時も言って
るじゃない。」
ローラ「ありがとう、ローズ。」
カイトの声「ただいまー!!」
ローズマリー「帰って来た!次は“腹減ったー”ね。(笑う。)」
下手奥よりカイト、続いてブルー登場。
カイト「腹減ったー!!」
ローズマリー「当たった!(笑う。)」
ローラ「お帰り・・・。ローズマリーが、パンを買って来てくれて
るよ。」
カイト「姉ちゃん、いらっしゃい!姉ちゃんの買って来るパン、
何時も美味いんだ!(籠からパンを一つ取る。)」
ローズマリー「手、洗いなさい!(ブルーに気付いて。)あら・・・
お客様?」
カイト「あっ、そうだ!!母ちゃん、今日から暫くこの兄ちゃん、
家に泊めてやっていいだろ?」
ローラ「泊めるったって・・・こんな狭い所で・・・。」
カイト「そのソファーでいいんだよ!夜露が凌げれば。な、兄
ちゃん!実はこの兄ちゃん記憶喪失で、俺がマークの
奴らに絡まれてるとこ、助けてもらったんだ。」
ローズマリー「まあ、またあの悪餓鬼どもね!何処も怪我ない
の?」
カイト「うん、大丈夫さ!ただ、兄ちゃんの大切な石をあいつ
らに・・・。」
ローラ「石?」
カイト「記憶を取り戻す手掛かりなんだ・・・。それをあいつら
・・・。」
ローラ「まぁ・・・。(立ち上がって。)カイトがお世話をかけて・・・
ありがとうございました・・・。こんな所でよかったら、何時
までもいて下さいな。」
ブルー、軽く頭を下げる。
カイト「よかったな、兄ちゃん!そうだ、母ちゃん、ほら薬!(手
に持っていた袋を、ローラの方へ差し出す。)早くこれ
飲んで、もう休みなよ!奥は俺が片付けとくからさ!」
ローラ「ありがとう、カイト・・・。」
ローラ、カイトから袋を受け取り、上手へゆっくり
去る。
ローズマリー「あなたって無口ね!名前は?」
カイト「分からないんだよ何も!」
ローズマリー「ふうん・・・。(ブルーに近寄って。)けど、名無し
じゃ呼び辛いじゃない。いいわ!私が付けてあげ
る!(ブルーをマジマジ見る。)あなたの瞳・・・
青味がかって綺麗ね・・・。青い・・・ブルー・・・
ブルーだわ!!ブルーにしましょう!!ね!?」
カイト「もちっとマシな名前付けれないのかよ、姉ちゃん・・・。
ブルーだなんて・・・。」
ローズマリー「いいの、ブルーで!!」
――――― “ブルー”2へつづく ―――――
※ 舞台脚本のお話しでは、この客席に下りて登場する
・・・のように、客席を舞台変わりに使う・・・と言った方法が、
多々現れます(^^)
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2012年3月10日土曜日
“ジョニー・クラウン” ―全9場― 完結編
その時、くしゃみが一つ聞こえ、上手後方に裁判官、
スポットに浮かび上がる。横に、天使が控えている。
ジョニー、ジョン、楽しそうにふざけあっている。
裁判官「(鼻を擦りながら。)やれ・・・風邪か?」
天使「裁判官様・・・その眼鏡・・・レンズを入れ替えた方がいい
んじゃ・・・」
裁判官「・・・ふむ・・・。」
天使「“ジョニー・クラウン”と“ジョン・クラウニー”のお次は、
“ジョン・クラウニー”と“ジョー・ブラウン”を間違えたなん
て・・・。」
裁判官「(声を上げて笑う。)いやぁ・・・しまった、しまった・・・。」
天使「笑いごとじゃないですよ!年齢も、“ジョン・クラウニー”の
25歳と、“ジョー・ブラウン”の76歳を間違えるなんて・・・。
確かに、目を細めて見ると似てるけど・・・。危うく、全く
関係のない人間を、こっちの世界へ連れて来るところだっ
たんだから!!」
裁判官「やれやれ、好い加減な書類を作ってしまったわ・・・。
(笑いながら、手に持っていた紙を破る。)作り損じゃった
な。」
天使「裁判官様!!」
裁判官の豪快な笑い声で、裁判官、天使
フェード・アウト。
音楽流れ、ジョニー、ジョン楽しそうに歌う。
“おなえと俺はいつでも一緒
共に楽しみ 共に叱られ 共に歩いた仲間
これからだってかわらねぇ”
ジョニー「悪いことは卒業だ!これからは“いいこと”ってやつを
探して生きていかなきゃあな!何時までも、餓鬼っぽ
いことばっかやってると、怒られっちまうぜ。(笑う。)」
“いいことなんて頭で考えて
できるもんでもないけどよ
ちょっとだけ回りを見れば
すぐ手の届くところに落ちてる筈さ
ただ気付かずに いつも
黙って通り過ぎ
ただ気付いても 態と
黙って知らんふり
それじゃあ生きてる意味がねぇ
何も気張らなくたっていい
ほんの少し自分じゃない他人のこと
考えてみるだけでいいんだよ!”
ジョニーとジョン、嬉しそうに、ふざけあいながら、
彼方を見遣る。
――――― 幕 ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
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スポットに浮かび上がる。横に、天使が控えている。
ジョニー、ジョン、楽しそうにふざけあっている。
裁判官「(鼻を擦りながら。)やれ・・・風邪か?」
天使「裁判官様・・・その眼鏡・・・レンズを入れ替えた方がいい
んじゃ・・・」
裁判官「・・・ふむ・・・。」
天使「“ジョニー・クラウン”と“ジョン・クラウニー”のお次は、
“ジョン・クラウニー”と“ジョー・ブラウン”を間違えたなん
て・・・。」
裁判官「(声を上げて笑う。)いやぁ・・・しまった、しまった・・・。」
天使「笑いごとじゃないですよ!年齢も、“ジョン・クラウニー”の
25歳と、“ジョー・ブラウン”の76歳を間違えるなんて・・・。
確かに、目を細めて見ると似てるけど・・・。危うく、全く
関係のない人間を、こっちの世界へ連れて来るところだっ
たんだから!!」
裁判官「やれやれ、好い加減な書類を作ってしまったわ・・・。
(笑いながら、手に持っていた紙を破る。)作り損じゃった
な。」
天使「裁判官様!!」
裁判官の豪快な笑い声で、裁判官、天使
フェード・アウト。
音楽流れ、ジョニー、ジョン楽しそうに歌う。
“おなえと俺はいつでも一緒
共に楽しみ 共に叱られ 共に歩いた仲間
これからだってかわらねぇ”
ジョニー「悪いことは卒業だ!これからは“いいこと”ってやつを
探して生きていかなきゃあな!何時までも、餓鬼っぽ
いことばっかやってると、怒られっちまうぜ。(笑う。)」
“いいことなんて頭で考えて
できるもんでもないけどよ
ちょっとだけ回りを見れば
すぐ手の届くところに落ちてる筈さ
ただ気付かずに いつも
黙って通り過ぎ
ただ気付いても 態と
黙って知らんふり
それじゃあ生きてる意味がねぇ
何も気張らなくたっていい
ほんの少し自分じゃない他人のこと
考えてみるだけでいいんだよ!”
ジョニーとジョン、嬉しそうに、ふざけあいながら、
彼方を見遣る。
――――― 幕 ―――――
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2012年3月8日木曜日
“ジョニー・クラウン” ―全9場― 4
音楽流れ、ジョニー語りかけるように歌う。
“生きると言うことは
誰もが望んで止まないこと・・・
少しでも望みが叶うかも知れないなら
努力してみようと思わないか
生きると言うことは
これから待ち受ける
素晴らしい出来事に会いに行くと言うこと・・・
誰もが望んで止まないけれど
誰もが手に入れられるものでもない・・・”
ジョニー「頑張ってみろよ・・・。手術して・・・元気になって・・・
新しい自分に出会うんだ・・・。遊園地だけじゃない・・・
スポーツだって、山登りだって・・・元気になれば、
やれること、まだまだあるだろ?」
ミシェル「・・・ええ・・・。プールで泳ぎたいわ・・・。マラソン大会に
も出たい・・・何時も見学してたスポーツ大会で、皆の
注目を浴びたいわ!!」
ジョニー「生きたいと思うんだ・・・。(微笑む。)」
ミシェル、スポットに浮かび上がり歌う。
“生きると言うことは
誰もが望んで止まないこと・・・
少しでも望みが叶うかも知れないなら
私 努力してみるわ!
生きると言うことは
誰もが望んで止まないけれど
誰もが手に入れられるものでもない・・・
だから精一杯頑張ってみよう
生きたいから!!”
ミシェル「分かったわ・・・私、帰る・・・。ジョニー・・・?(回りを
見回す。)ジョニー?ジョニー!!(握っていた、
ジョニーに貰った小さなキーホルダーを、見詰める。)
ありがとう・・・私の・・・サンタさん・・・。」
音楽盛り上がり、暗転。
――――― 第 8 場 ―――――
スモーク流れ、舞台明るくなる。
舞台中央に机が一つ。(1場のセット。)
下手より、ジョニー登場。
ジョニー「爺!!爺!!(裁判官を捜すように。)おい!いねぇ
のか!!糞爺!!(突然、手首を押さえ。)いててて
て・・・!!畜生!!分かったよ!!裁判官殿!!
裁判官殿!!裁判官殿は、いらっしゃいますでしょう
かねぇ!!(手首を摩って。)いってぇ・・・。」
その時、上手より裁判官登場。机の後ろへ。
裁判官「なんだ騒々しい・・・。」
ジョニー「おお、来たな!!(手を差し出して。)これ、外せ!!」
裁判官「外せ・・・?」
ジョニー「いや・・・違いました!外して下さい!もう、やめた
やめた!!俺は、いくら時間を貰ったって、“いいこと”
なんてできる人間じゃねぇってことが、よぉく分かった
んだ!!このまま地上で頑張ってても、人を助ける所
か殺しちまうかも知れねぇからよ、さっさと地獄へ送っ
て貰おうと思ってな!!」
裁判官「・・・それはできないな・・・。」
ジョニー「何でだよ!!俺が地獄でいいってんだろ!?早いと
こ・・・!!」
裁判官「間違いだったのだ・・・。」
ジョニー「・・・間違い?何が!?」
裁判官「おまえの名は“ジョニー・クラウン”・・・。」
ジョニー「ああ、俺様は確かにジョニー・クラウン・・・。」
裁判官「本当にここへ来るべき人間は、“ジョン・クラウニー”
だったのだ・・・。」
ジョニー「なんでぇ、名前違いか!(笑う。)そんなこと、どうでも
いいから、早いとこ地獄へやってくれ!」
裁判官「だから天国へも地獄へも、おまえは行けない・・・。
おまえはまだ生きるべき人間なのだ。」
ジョニー「生きる人間・・・?ちょっと・・・待てよ・・・。じゃあ何か?
俺は、その“ジョン・クラウニー”とやらの身代わりで、
ここに連れてこられた揚句、こんな時計まで着けさせ
られて、“いいこと”なんて探しに地上へ送られたって
のか!?」
裁判官「・・・そう言うことだ・・・。」
ジョニー「冗談じゃねぇ!!おい爺!!てめぇ、確りしろよ!!
なんで俺がそんな野郎の代わりに、こんな痛いめまで
しなくちゃならなかったんだよ!!じゃあ早いとこ、
その“ジョン・クラウニー”とやらをここへ呼んで、俺を
さっさと生きかえらせろ!!(何かに気付いたように。)
え・・・?・・・ちょ・・・ちょっと待ってくれよ・・・。ジョン・・・
クラウニー・・・?ジョン・クラウニーって言ったのかよ
・・・?」
裁判官「そうだ・・・。」
ジョニー「ジョン・・・ジョンが死んじまうってことか・・・?」
裁判官「おまえが生きて、その人間が死ぬと言うことだ・・・。」
ジョニー「ま・・・待ってくれ!!あいつは駄目だ!!あいつは
たった一人のばあさんがいて・・・そのばあさんは、
ちょっとばかし体が悪くて、それでもあいつは、その
ばあさんと一緒に住めるようになる為に、一生懸命
頑張ってるんだ・・・。そんな奴を死なせることはでき
ないだろ・・・?あいつが死んじまったら、後に残った
ばあさんはどうなるんだ!!第一、なんであいつが
死ぬんだよ!!」
裁判官「彼が腹部に受けた銃の掠り傷・・・ちゃんと手当せず、
そのままにしておいた為に、それが悪化して亡くなる
のだ・・・。」
ジョニー「ああ、その傷なら俺も見たけど、もうすっかり良くな
ってたぜ!!そんなので、あいつが死ぬなんて・・・
!!そんなこと有り得ねぇ!!(何も言わない裁判
官の顔を見て。)・・・本当なのか・・・?」
裁判官「(頷く。)」
ジョニー「・・・俺・・・俺を殺してくれ・・・。俺、生き返らなくて
いい!!このまま地獄送りにしてくれ!!」
裁判官「何?」
ジョニー「そのかわり・・・そのかわりジョンの奴は、連れて行か
ないでくれ!!頼む!!あいつは本当に俺と違って
いい奴なんだ!!俺が生きるより、何十倍も世間の
役に立つ人間だ!!それに比べて俺は、身寄りも
いねぇ、悪いことばっかやってきた、生きててもしょう
がねぇ人間なんだ!!地獄の閻魔様も大喜びって
やつだ!!(笑う。)だから頼む、爺さん!!あいつ
だけは・・・!!」
裁判官「・・・それはできない相談だ・・・。」
ジョニー「なんでだよ、爺!!てめぇは俺に散々、偉そうなこと
をぶっこいといて、俺にひでぇことをやらかしたんだろ
!?一つ位、俺の言うこと聞いてくれたって、罰は当
たらねぇ!!違うか!?そ・・・それによ・・・ほら!!
今日はクリスマスだ!!俺も爺さんの間違いを、何
も咎めたりしねぇ!!そのかわり、ジョンの命は爺さ
んからのクリスマスプレゼント・・・ってことで・・・な?」
裁判官「・・・戻りなさい、ジョニー・クラウン・・・。今直ぐ、地上へ
舞い戻るのだ・・・。」
ジョニー「い・・・いやだ・・・いやだ!!(机にしがみつく。)俺、
かえらねぇ!!俺は地獄へ行くんだ!!絶対にかえ
らねぇ!!やめろ・・・!!やめてくれーっ!!・・・
やめてくれ・・・(段々、意識が遠退くように。)」
ジョニー倒れ、スポットに浮かび上がる。
そのまま、次景へ続く。
――――― 第 9 場 ―――――
静かなクリスマスソング流れ、舞台明るくなる。
上手、下手より、人々登場し、其々何かの用事を
持って、動いている。
舞台中央、倒れているジョニーを、怪訝そうに見、
ヒソヒソ話しをしたりする。
女性「いやぁね、こんな所で・・・。折角のクリスマスだって言うの
に。死んでるのかしら・・・?」
男性「救急車、呼んだ方がいいんじゃないか?こんな寒空に、
凍死してしまうぜ。」
その時、ジョニー目が覚め、覗き込んでいる人々
の、顔をぼうっと見回す。
男性「生きてるぞ!」
女性「なぁんだ・・・つまんない!」
ジョニー「おら!!何見てんだ、馬鹿野郎!!(起き上がる。)」
覗き込んでいた人々、悲鳴を上げて其々走り去る。
ジョニー、ゆっくり立ち上がる。
ジョニー「畜生、何だ!!人を化けもんみてぇに!!(くしゃみ
する。)寒・・・。(身震いする。服を払ったり。何かに
気付いたように、慌てて手首を見る。時計を外して
みると、簡単に外れる。)・・・俺・・・生き返っちまった
のか・・・。なんてクリスマスだ・・・。神様なんて、いや
しねぇ・・・。(時計を見詰める。)何で俺が生き返んだ
よ・・・!!何であいつが行っちまう・・・。何で世の中
こんな不公平なんだ・・・。何でなんだよ!!(思わず
座り込み、涙を堪え、地面を叩くように。)畜生・・・!!
畜生!!(声を上げて泣く。)」
その時、下手より嬉しそうにズボンのポケットに
両手を突っ込み、スキップしながらジョン登場。
ジョン「(ジョニーを認め。)あ・・・兄貴!!こんなとこにいた!!
捜したんだよ・・・!何してるのさ・・・?」
ジョニー「(顔を伏せたまま。)うるせぇ!!俺は今、感傷に浸っ
て・・・!!(驚いたように、顔を上げる。ジョンを認め、
腰を抜かしたように。)ジョ・・・ジョン・・・!?」
ジョン「やだな・・・ど・・・どうしたんだい?そんな幽霊でも見た
みたいに・・・。(笑う。)」
ジョニー「お・・・おまえ・・・い・・・生きてんのか・・・?(ジョンの足
を触ってみる。)あ・・・足がある・・・。」
ジョン「・・・当たり前じゃないか・・・変だよ、兄貴・・・。」
ジョニー「腹の傷・・・腹の傷は!?(立ち上がり、ジョンの服を
捲くって見る。)・・・治ってる・・・。」
ジョン「・・・言ったじゃない!あんな掠り傷、すーぐに治っちゃっ
たよ・・・。」
ジョニー「何で・・・?」
ジョン「何で・・・って言われても・・・。生きてちゃ悪いかなぁ・・・。
(ボソッと呟く。)そ・・・それより兄貴!!ミシェルの手術
が、無事成功したんだ!!」
ジョニー「え・・・?」
ジョン「ミシェルのママの話しだと、後、一週間もすれば起き上
がれるようになるんだってさ!!・・・よかったねぇ・・・。
凄い生命力だ!!って、先生も驚いてたって!」
ジョニー「(微笑んで。)・・・そっか・・・。助かった・・・か・・・。畜生
・・・。(嬉しそうに。)これで、何でも好きなこと・・・やれ
っな・・・。スポーツ大会のスターだ!(笑う。)」
ジョン「ど・・・どう言うこと・・・?(不思議そうに、ジョニーの顔を
覗き込む。)」
ジョニー「何で、すべて上手く納まったのか分かんねぇけど・・・。
(天を見上げ。)爺さん!!あんたのお陰だろ!?
ありがとうよ!!」
――――― “ジョニー・クラウン”完結編へつづく ―――――
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“生きると言うことは
誰もが望んで止まないこと・・・
少しでも望みが叶うかも知れないなら
努力してみようと思わないか
生きると言うことは
これから待ち受ける
素晴らしい出来事に会いに行くと言うこと・・・
誰もが望んで止まないけれど
誰もが手に入れられるものでもない・・・”
ジョニー「頑張ってみろよ・・・。手術して・・・元気になって・・・
新しい自分に出会うんだ・・・。遊園地だけじゃない・・・
スポーツだって、山登りだって・・・元気になれば、
やれること、まだまだあるだろ?」
ミシェル「・・・ええ・・・。プールで泳ぎたいわ・・・。マラソン大会に
も出たい・・・何時も見学してたスポーツ大会で、皆の
注目を浴びたいわ!!」
ジョニー「生きたいと思うんだ・・・。(微笑む。)」
ミシェル、スポットに浮かび上がり歌う。
“生きると言うことは
誰もが望んで止まないこと・・・
少しでも望みが叶うかも知れないなら
私 努力してみるわ!
生きると言うことは
誰もが望んで止まないけれど
誰もが手に入れられるものでもない・・・
だから精一杯頑張ってみよう
生きたいから!!”
ミシェル「分かったわ・・・私、帰る・・・。ジョニー・・・?(回りを
見回す。)ジョニー?ジョニー!!(握っていた、
ジョニーに貰った小さなキーホルダーを、見詰める。)
ありがとう・・・私の・・・サンタさん・・・。」
音楽盛り上がり、暗転。
――――― 第 8 場 ―――――
スモーク流れ、舞台明るくなる。
舞台中央に机が一つ。(1場のセット。)
下手より、ジョニー登場。
ジョニー「爺!!爺!!(裁判官を捜すように。)おい!いねぇ
のか!!糞爺!!(突然、手首を押さえ。)いててて
て・・・!!畜生!!分かったよ!!裁判官殿!!
裁判官殿!!裁判官殿は、いらっしゃいますでしょう
かねぇ!!(手首を摩って。)いってぇ・・・。」
その時、上手より裁判官登場。机の後ろへ。
裁判官「なんだ騒々しい・・・。」
ジョニー「おお、来たな!!(手を差し出して。)これ、外せ!!」
裁判官「外せ・・・?」
ジョニー「いや・・・違いました!外して下さい!もう、やめた
やめた!!俺は、いくら時間を貰ったって、“いいこと”
なんてできる人間じゃねぇってことが、よぉく分かった
んだ!!このまま地上で頑張ってても、人を助ける所
か殺しちまうかも知れねぇからよ、さっさと地獄へ送っ
て貰おうと思ってな!!」
裁判官「・・・それはできないな・・・。」
ジョニー「何でだよ!!俺が地獄でいいってんだろ!?早いと
こ・・・!!」
裁判官「間違いだったのだ・・・。」
ジョニー「・・・間違い?何が!?」
裁判官「おまえの名は“ジョニー・クラウン”・・・。」
ジョニー「ああ、俺様は確かにジョニー・クラウン・・・。」
裁判官「本当にここへ来るべき人間は、“ジョン・クラウニー”
だったのだ・・・。」
ジョニー「なんでぇ、名前違いか!(笑う。)そんなこと、どうでも
いいから、早いとこ地獄へやってくれ!」
裁判官「だから天国へも地獄へも、おまえは行けない・・・。
おまえはまだ生きるべき人間なのだ。」
ジョニー「生きる人間・・・?ちょっと・・・待てよ・・・。じゃあ何か?
俺は、その“ジョン・クラウニー”とやらの身代わりで、
ここに連れてこられた揚句、こんな時計まで着けさせ
られて、“いいこと”なんて探しに地上へ送られたって
のか!?」
裁判官「・・・そう言うことだ・・・。」
ジョニー「冗談じゃねぇ!!おい爺!!てめぇ、確りしろよ!!
なんで俺がそんな野郎の代わりに、こんな痛いめまで
しなくちゃならなかったんだよ!!じゃあ早いとこ、
その“ジョン・クラウニー”とやらをここへ呼んで、俺を
さっさと生きかえらせろ!!(何かに気付いたように。)
え・・・?・・・ちょ・・・ちょっと待ってくれよ・・・。ジョン・・・
クラウニー・・・?ジョン・クラウニーって言ったのかよ
・・・?」
裁判官「そうだ・・・。」
ジョニー「ジョン・・・ジョンが死んじまうってことか・・・?」
裁判官「おまえが生きて、その人間が死ぬと言うことだ・・・。」
ジョニー「ま・・・待ってくれ!!あいつは駄目だ!!あいつは
たった一人のばあさんがいて・・・そのばあさんは、
ちょっとばかし体が悪くて、それでもあいつは、その
ばあさんと一緒に住めるようになる為に、一生懸命
頑張ってるんだ・・・。そんな奴を死なせることはでき
ないだろ・・・?あいつが死んじまったら、後に残った
ばあさんはどうなるんだ!!第一、なんであいつが
死ぬんだよ!!」
裁判官「彼が腹部に受けた銃の掠り傷・・・ちゃんと手当せず、
そのままにしておいた為に、それが悪化して亡くなる
のだ・・・。」
ジョニー「ああ、その傷なら俺も見たけど、もうすっかり良くな
ってたぜ!!そんなので、あいつが死ぬなんて・・・
!!そんなこと有り得ねぇ!!(何も言わない裁判
官の顔を見て。)・・・本当なのか・・・?」
裁判官「(頷く。)」
ジョニー「・・・俺・・・俺を殺してくれ・・・。俺、生き返らなくて
いい!!このまま地獄送りにしてくれ!!」
裁判官「何?」
ジョニー「そのかわり・・・そのかわりジョンの奴は、連れて行か
ないでくれ!!頼む!!あいつは本当に俺と違って
いい奴なんだ!!俺が生きるより、何十倍も世間の
役に立つ人間だ!!それに比べて俺は、身寄りも
いねぇ、悪いことばっかやってきた、生きててもしょう
がねぇ人間なんだ!!地獄の閻魔様も大喜びって
やつだ!!(笑う。)だから頼む、爺さん!!あいつ
だけは・・・!!」
裁判官「・・・それはできない相談だ・・・。」
ジョニー「なんでだよ、爺!!てめぇは俺に散々、偉そうなこと
をぶっこいといて、俺にひでぇことをやらかしたんだろ
!?一つ位、俺の言うこと聞いてくれたって、罰は当
たらねぇ!!違うか!?そ・・・それによ・・・ほら!!
今日はクリスマスだ!!俺も爺さんの間違いを、何
も咎めたりしねぇ!!そのかわり、ジョンの命は爺さ
んからのクリスマスプレゼント・・・ってことで・・・な?」
裁判官「・・・戻りなさい、ジョニー・クラウン・・・。今直ぐ、地上へ
舞い戻るのだ・・・。」
ジョニー「い・・・いやだ・・・いやだ!!(机にしがみつく。)俺、
かえらねぇ!!俺は地獄へ行くんだ!!絶対にかえ
らねぇ!!やめろ・・・!!やめてくれーっ!!・・・
やめてくれ・・・(段々、意識が遠退くように。)」
ジョニー倒れ、スポットに浮かび上がる。
そのまま、次景へ続く。
――――― 第 9 場 ―――――
静かなクリスマスソング流れ、舞台明るくなる。
上手、下手より、人々登場し、其々何かの用事を
持って、動いている。
舞台中央、倒れているジョニーを、怪訝そうに見、
ヒソヒソ話しをしたりする。
女性「いやぁね、こんな所で・・・。折角のクリスマスだって言うの
に。死んでるのかしら・・・?」
男性「救急車、呼んだ方がいいんじゃないか?こんな寒空に、
凍死してしまうぜ。」
その時、ジョニー目が覚め、覗き込んでいる人々
の、顔をぼうっと見回す。
男性「生きてるぞ!」
女性「なぁんだ・・・つまんない!」
ジョニー「おら!!何見てんだ、馬鹿野郎!!(起き上がる。)」
覗き込んでいた人々、悲鳴を上げて其々走り去る。
ジョニー、ゆっくり立ち上がる。
ジョニー「畜生、何だ!!人を化けもんみてぇに!!(くしゃみ
する。)寒・・・。(身震いする。服を払ったり。何かに
気付いたように、慌てて手首を見る。時計を外して
みると、簡単に外れる。)・・・俺・・・生き返っちまった
のか・・・。なんてクリスマスだ・・・。神様なんて、いや
しねぇ・・・。(時計を見詰める。)何で俺が生き返んだ
よ・・・!!何であいつが行っちまう・・・。何で世の中
こんな不公平なんだ・・・。何でなんだよ!!(思わず
座り込み、涙を堪え、地面を叩くように。)畜生・・・!!
畜生!!(声を上げて泣く。)」
その時、下手より嬉しそうにズボンのポケットに
両手を突っ込み、スキップしながらジョン登場。
ジョン「(ジョニーを認め。)あ・・・兄貴!!こんなとこにいた!!
捜したんだよ・・・!何してるのさ・・・?」
ジョニー「(顔を伏せたまま。)うるせぇ!!俺は今、感傷に浸っ
て・・・!!(驚いたように、顔を上げる。ジョンを認め、
腰を抜かしたように。)ジョ・・・ジョン・・・!?」
ジョン「やだな・・・ど・・・どうしたんだい?そんな幽霊でも見た
みたいに・・・。(笑う。)」
ジョニー「お・・・おまえ・・・い・・・生きてんのか・・・?(ジョンの足
を触ってみる。)あ・・・足がある・・・。」
ジョン「・・・当たり前じゃないか・・・変だよ、兄貴・・・。」
ジョニー「腹の傷・・・腹の傷は!?(立ち上がり、ジョンの服を
捲くって見る。)・・・治ってる・・・。」
ジョン「・・・言ったじゃない!あんな掠り傷、すーぐに治っちゃっ
たよ・・・。」
ジョニー「何で・・・?」
ジョン「何で・・・って言われても・・・。生きてちゃ悪いかなぁ・・・。
(ボソッと呟く。)そ・・・それより兄貴!!ミシェルの手術
が、無事成功したんだ!!」
ジョニー「え・・・?」
ジョン「ミシェルのママの話しだと、後、一週間もすれば起き上
がれるようになるんだってさ!!・・・よかったねぇ・・・。
凄い生命力だ!!って、先生も驚いてたって!」
ジョニー「(微笑んで。)・・・そっか・・・。助かった・・・か・・・。畜生
・・・。(嬉しそうに。)これで、何でも好きなこと・・・やれ
っな・・・。スポーツ大会のスターだ!(笑う。)」
ジョン「ど・・・どう言うこと・・・?(不思議そうに、ジョニーの顔を
覗き込む。)」
ジョニー「何で、すべて上手く納まったのか分かんねぇけど・・・。
(天を見上げ。)爺さん!!あんたのお陰だろ!?
ありがとうよ!!」
――――― “ジョニー・クラウン”完結編へつづく ―――――
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2012年3月7日水曜日
“公演日記” ―楽しい森の仲間達&ピンクのももちゃん―
2012年2月7日(火)
今日は朝から生憎のお天気でしたが、人形劇公演日
としては、先ず先ずの日和の中、大阪市内から飛び出し、
関西空港に程近い・・・?和泉市の保育園に、ボランティア
公演に出掛けて来ました(^.^)
今回は簡易舞台を使用しての公演だったので、会場となる
保育園に到着したのは、開演40分前くらいです(^^)v
8時30分 ・・・ 出発
9時40分 ・・・ 保育園着
始まる前に、チュンコちゃんと記念撮影してるのは・・・
私です^^;
ご存じ、簡易舞台の中です(^^)v
上の写真から、私がどれか分かりますね~^^;
まだ開演前です^_^;
決して時間があり余ってた訳ではありません^^;
10時20分 ・・・ 開演
“楽しい森の仲間たち”
何が可笑しいのか、子ども達にはこのクマさんの登場が、
エラいウケテました^_^;
すると、このチュンコちゃん登場にも、大喜びでした^_^;
でも、このヒョウ君は・・・怖かったみたいです(>_<)
この作品では、主人公のクマさんでも・・・自分が声担当の
チュンコちゃんでもなく・・・私はこのヒョウ君人形の担当でし
た~(^^)v
ちょっと悪い子なので、“フンッ”と言った感じの動きなので
すが、元々お顔が上向き加減のお人形なので、敢えて演技
させなくても、“ツンツン”した感じは出しやすかったです^^;
たまには悪い子の気持ちも分からないとね・・・^_^;
このヒョウ君、短縮バージョンでは何の切っ掛けもないの
に、ただお腹を空かせてフラフラ登場し、勝手に“岩”の間に
挟まるのです(^_^;)
この“岩”、以前は画用紙で出来ていたのですが、団員が
新たにフェルトで作り直してくれ、より“岩”っぽくなりました♥
片手でヒョウ君の本体と岩を持ち、ヒョウ君の左手だけ、もう
一方の手で動かしているので、本体と岩を持っている方の
腕は・・・ダルかったです^_^;
でも前回のエリオットくん2本を乗り切った後なので、楽勝♥
でした~(^^)v・・・なんてね・・・^^;
手持ちビデオからの写真なので、時々アップがあります^^;
近くで見ると・・・チュンコちゃん・・・ホント“ひよこ”みたいです
ね~(>_<)・・・もしくは“アヒル”・・・?どちらでもないんです
けど・・・(-_-;)
ヒョウ君アップです(^.^)
“挟まってる雰囲気”出てますか・・・?
クマさん岩をどかそうと、頑張っているところです^^;
“ピンクのももちゃん”
何となく全体像が分かりますか・・・?
舞台全体は分かっても、ももちゃん・・・全然分かりませんね。
上の場面の写真のアップが、この写真です^_^;
ここまで近寄ると、ももちゃん・・・分かりますね^^;頭の上に
リボンが付いています♥
サメのおじさん登場(^.^)
タコのおばさん登場(^^)
私・・・ももちゃんを持って、下に置いてある“岩”もどきの
画用紙を探しています^^;
分かり難いですね・・・(>_<)
その“岩”もどきの画用紙を、後ろの絵の洞窟(・・・もどきの
^^;)に蓋をする役目だったのですが・・・あの後ろのカーテン
は、壁に沿っているのではなく、壁とカーテンの間に少し隙間
があったのです^^;でも、そんなことは始まってしまえば・・・
忘れてますよね~・・・(>_<)堅い物にペタッと貼り付けられ
るものと思って押さえたら、カーテンが後ろにフワ~ッと・・・
上の写真は、分かり難いですが、無茶苦茶焦っている私・・・
の“手”です^_^;
私が貼れなかった“岩”もどきの画用紙を、他の団員が
貼り付けてくれました^^;
ももちゃんが出てないこの場面は、先生と小魚さんの2体
(・・・と言うのでしょうか・・・^^;)持ちしている私です^_^;
黄色い小魚さん・・・どうしても横を向いてしまいます(>_<)
「ばいば~い!!」と手(・・・は振れないので、体を振って
ました^^;)を振るももちゃんに、子ども達の「ばいば~い」
と言う可愛い声と、小さな手が見えました♥
さて、今回も沢山の方々のご協力により、無事に終了する
ことが出来ました(^.^)
久しぶりに小さい子ども達の公演で、どんな感じか忘れてい
るところもあり、喜んでもらえるのか不安な部分もありました
が、蓋を開ければ最初から、沢山の元気な笑い声に包まれ
た、すごく賑やかな公演で、演じ手の私達も、とても楽しめた
公演となりました♥
また来月、違う保育園での公演、小学校のひと学年公演
と続きます。
その後、春公演の準備に追われる日々を迎える訳ですが、
その前に沢山の子ども達から元気を貰い、チョー多忙な日々
を乗り切りたいと思っています(^^)v
それでは、
色々とお世話して下さった方々に、心より感謝致します♥
「ありがとうございましたまた公演でお会いしまし
ょう(^^♪」
ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
代表 どら。
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
今日は、グーグル版“ワールド”に、“楽しい森の仲間たち”
の撮りたてを、少し動画掲載してみました^^;
が・・・こちら、そこにも書いていますが、訳あって手持ち撮影
しています(>_<)よって・・・あまり質としては良くありませんが、
楽しい雰囲気をご覧頂きたくて、敢えてマズイビデオを公開
致しました^^;
また、雰囲気だけでも楽しみに、いらしてみてください^_^;
どら。
(おまけフォト^^;)
↑
終演後、挨拶に出る為に慌てて移動している・・・私の背中
です^_^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
2012年3月7日(水)
今日は先月公演させて頂いた保育園と、わりと近い場所
にある保育園で、公演させて頂いて来ました(^^)v
一人、メンバーが欠席だった為、多少ドタバタした本番では
ありましたが、子ども達がとても喜んでくれ、演じての我々
もすごく楽しく公演できた一日でした(^^)
本日の舞台です(^^)
ご覧の通り、舞台の足は“三脚”を使用しています^^;
↑
わたしです^^;
今日は、ビデオを撮るメンバーがいなくて、舞台裏に設置
したままビデオから、少し写真にしてみました^_^;
ヒョウ君、スタンバッています(^^)v
チラッと見えてる“ももちゃん”操作が私です^_^;
今回は、同じようなアングルの写真ばかりですみません(>_<)
毎回そうですが、今回もとても子ども達が喜んでくれ、私達
に“ちょっとした人気者”・・・と言った感じに接してくれ、何だ
か恥ずかしいような嬉しいような・・・
車が出て行くまで「ばいば~い!!」と手を振って見送って
くれた子ども達の、素直な反応に、とても感動した一日でし
た♥
協力頂いた皆様、熱心に見てくれた子ども達・・・
本当にありがとうございました
ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
代表 どら。
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2012年3月6日火曜日
“ジョニー・クラウン” ―全9場― 3
老婦人「(ジョンを認め、嬉しそうに。)ジョン・・・!」
ジョン「どうしたんだよ、ばあちゃん・・・こんな所に一人で・・・。
また老人ホーム、抜け出してきたのかい・・・?」
ジョニー「ばあちゃん・・・って・・・。(立ち上がる。)」
ジョン「・・・うん・・・。俺のたった一人のばあちゃん・・・。」
ジョニー「へぇ・・・。」
老婦人「・・・あそこは嫌じゃ・・・。戻りたくない・・・。」
ジョン「そんなこと言ったって、仕方ないだろ・・・?身内は俺だけ
・・・。けど俺は、昼間はバイトがあるし・・・ばあちゃん引き
取るなんて出来ないよ・・・。我慢してくれよ・・・。その内、
必ず一緒に住めるようにするからさ・・・。うんと働いて、金
貯めて・・・家政婦雇って、ばあちゃん家で住めるように
するからさ・・・!」
老婦人「ジョン・・・。」
その時、一人の看護師、上手より登場。
老婦人を認め、近寄る。 ※
看護師「こんな所にいたのね!あれ程、黙って抜け出しちゃ駄目
って言ってたでしょ!?ジョン、あなたからもちゃんと言っ
て頂戴!今度こんなことがあったら、部屋に鍵を付ける
ことになりますからね!!さあ、おばあさん、帰るわよ!!
(老婦人を無理矢理引っ張るように。)」
看護師、老婦人上手方へ。
ジョン「か・・・看護師さん!ば・・・ばあちゃんのこと、宜しく頼み
ます・・・。(頭を深々と下げる。)」
看護師、知らん顔で、老婦人、後ろを気にしながら、
上手へ去る。
ジョニー「なんだ、えっらそうな看護師だな!!しかし、おまえが
ばあさんと2人っきりの家族だなんて知らなかったねぇ
・・・。偉いじゃん・・・、その内、一緒に住もうだなんて
心意気・・・。」
ジョン「(落ち込んでいるように。)・・・兄貴・・・。」
ジョニー「ばぁか!何、暗い顔してんだよ!」
ジョニー歌う。途中、ジョン、ミシェル歌に加わる。
“笑え!笑え!
笑顔を作れば心も晴れる
明るく!明るく!
微笑んでいれば幸せがくる
悲しいなんてただの思い過ごし
辛いなんてただの考え過ぎ
明るく笑えば幸せがやってくる!
両手を振って 足並み揃え
そいつを迎えに行こうじゃないか!”
暗転。
――――― 第 6 場 ―――――
遊園地のざわめきが、段々大きくなる。
ジェットコースターの走る音、子ども達の
笑い声、楽し気な音楽など。
舞台、明るくなる。
上手より、なんとなくワクワクしたようなジョニー
登場。続いて、ジョン、ミシェル登場。
ジョニー「さぁ、着いたぜ!!何年振りだ?こんなとこ・・・。(回り
を見回す。)」
ジョン「・・・あ・・・兄貴、嬉しそうだね・・・。」
ジョニー「馬鹿!!なんで俺が・・・!!さあ、何乗るんだ?ジェット
コースターか?お化け屋敷か?ウオータースライダーか
?」 ※1
ジョン「・・・兄貴・・・それ・・・みーんな、兄貴の乗りたいものじゃあ
・・・?」
ジョニー「うるせぇ!!」
ジョン「お・・・女の子は矢っ張り、メリーゴーラウンドとか・・・コーヒ
ーカップとか・・・」
ジョニー「ばぁか!!そんなチンタラしたの乗っても面白くねえだろ
!?矢っ張り、遊園地といやぁ、ジェットコースターじゃ
ねぇか!!」
ミシェル「(クスクス笑う。)」
ジョン「わ・・・笑われてるよ、兄貴・・・。」
ジョニー「おまえだろ!!」
ミシェル「私・・・何も乗れないの・・・。」
ジョニー「・・・乗れない?なぁんだ、怖いのか!!あんなもん、
レールの上を走る、ちょっとばかしスピードの速い、ただ
の列車みたいなもんだぜ?つまんねぇ・・・。」
ミシェル「生まれつき心臓が弱くて、そんなのに乗ったら、発作が
おきて死んじゃうの・・・。」
ジョニー「死んじゃう・・・って・・・。」
ミシェル「私、来週、手術なんだ!!でも、手術しても助かるか
どうか分からないって・・・。だから、その前にどうしても
思い出が欲しかったの・・・。好きな人と2人っきりで、
初めてのデートをして、普通の女の子のように、幸せ
な気分に浸ってみたかったの・・・。小さい時に、一度
だけ連れて来てもらったここで!先生を説得するの、
大変だったのよ!(笑う。)」
ジョニー「おまえ・・・。」
ミシェル「好きな人と2人っきり・・・って言う訳にはいかなかった
けど、一応夢は叶ったし・・・もう・・・私・・・。」
ジョニー、何か思いついたように、ミシェルの手を
引っ張り、後方へ。ジョン、慌てて続く。
そこに置いてあった箱のような椅子に、3人並んで
座る。音楽流れ、スポットに浮かび上がる。
ジョニー「これ位なら乗れっだろ!?」
ミシェル「観覧車!!私、初めてよ!!(下を見るように。)わあ
・・・!!なんて高いの!!下にいる人達が丸で人形
!!夜景がとっても綺麗!!町の中が、クリスマス
ツリーだわ!!(はしゃぐ。)」
ジョン「(怖がるように。)わ・・・わぁ・・・高い・・・。あ・・・兄貴・・・!
兄貴!!」
ジョニー「なんだ、うるせぇな!!」
ジョン「こ・・・これ、落っこちないよね・・・?」
ジョニー「当たり前だろ!何ビビってんだよ!!」
ジョン「お・・・俺・・・高いとこ、駄目なんだよぉ・・・!!兄貴・・・!」
ジョニー「じゃあ、何で一緒に乗ってんだ、馬鹿!!」
ジョン「だ・・・だって・・・!!」
楽しそうに、2人の様子を見ていたミシェル歌う。
“こんな気分は初めてよ!
何だかワクワクして とても楽しい!”
ミシェル、立ち上がって前方へ。
ジョニー、ジョン顔を見合わせ、嬉しそうに前方へ。
ジョニー「(偉そうに。)遊園地って言うのは、楽しいものなんだ!」
ミシェル歌う。
“今まで感じたことないわ!
だって何もかも初めての出来ごと!”
ジョニー「そんなのつまんねぇだろ?」
ジョニー歌う。
“ここに来れば大人も子どもも
みんなが童心
忘れていた心を思い出す
素敵なとこだ!”
ジョン「(思わず吹き出す。)・・・あ・・・兄貴の口から“素敵”だ
なんて言葉・・・。」
ジョニー「てめぇ、何笑ってんだよ!!」
ミシェル歌う。
“本当に素敵!!
見るもの全て素敵!!
ここにいる私も素敵だわ!!”
3人、声を上げて笑う。
その時、チラチラ白いものが舞う。
ミシェル「(上を見上げて。)あ・・・雪・・・?」
ジョン「・・・ホワイト・・・クリスマスだ・・・。」
ジョニー「(何かに気付いたように、ポケットを探す。取り出した
キーホルダーを、ミシェルの方へ差し出す。)ほら、
メリー・クリスマス・・・。」
ミシェル「(嬉しそうに、キーホルダーを受け取る。)」
ジョン「何?何?俺には?」
ジョニー「ある訳ないだろ!馬鹿!!」
ジョン「えーっ!そんなぁ・・・!」
その時、下手よりブライアント登場。
ブライアント「(ジョニーを認める。)ジョニー・・・(茫然と。)」
ジョニー「・・・ブライアント・・・」
ジョン「あ・・・兄貴・・・(ミシェルを背後に隠すように。)」
ブライアント「これはこれは・・・。おまえが生きていたとはね・・・。」
ジョニー「悪かったな!まんまと俺を嵌めたつもりだったみてぇ
だが、残念だったな。(笑う。)」
ブライアント「・・・目の上のたんこぶが、まだ存在していたとは、
本当に残念だ・・・。だが、今回はどうかな・・・?ここ
で会ったのも何かの縁・・・、今度こそ・・・。(ニヤリと
笑い、背広の内ポケットへ、手を差し入れる。)」
ジョニー「(何かに感付いたように真顔になる。小声でジョンと、
ミシェルに。)逃げるぞ・・・。ジョン、彼女を守ってやれ
よ・・・。」
ジョン「お・・・俺・・・」
ミシェル「OK!!任せて!!」
ジョニー「(驚いたようにミシェルを見、頭に手を乗せ、微笑む。)
走れ!!」
ジョン、ミシェル上手方へ。ジョニー、下手へ
走り去る。
ブライアント「あ!!待ちやがれ!!待てー!!」 ※2
ブライアント、ジョニーを追って、下手へ走り去る。
ジョン「あ・・・兄貴-!!」
暗転。
――――― 第 7 場 ――――― A
舞台明るくなる。
一時置いて、ジョン、ミシェル上手より走り登場。
ジョン「(息を切らせて。上手方を気にするように。)・・・兄貴
・・・。」
ミシェル「(激しく息切れするように。)」
ジョン「(そんなミシェルの様子に。)・・・ミシェル・・・大丈夫・・・?」
そこへ、上手よりジョニー走りながら登場。
ジョニー「(息を切らせて。)危なかったなぁ!!(ジョン、ミシェル
の側に。)おい、大丈夫だったか!?」
ジョン「(ジョニーに気付いて。)あ・・・兄貴!!無事だったの!?
」
ジョニー「当たり前だ!!二度も同じ奴にやられるジョニー様じゃ
・・・(ミシェルの様子に気付いて。)・・・ミシェル?」
ミシェル、突然苦しそうに胸を押さえて、座り込む。
ジョン「・・・ミシェル・・・ど・・・どうしたの・・・?」
ジョニー「おい・・・?どうした!?苦しいのか!?おい・・・おい!
!確りしろよ!!直ぐ、病院に連れて行ってやるからな
!!死ぬんじゃないぞ!!(エコー。)」
――――― 第 7 場 ――――― B
舞台中央スポットに、茫然と佇むジョニー
浮かび上がる。
医者の声「何故、彼女を走らせたりしたんです!!彼女の心臓
が、長い時間、走るなんてことに耐えられる訳がない
ことを、君は知らなかったんですか!!」
扉が激しく閉まる音が響き渡る。
ジョニー「・・・悪かったな・・・走らせちまって・・・。おまえが走れね
ぇの・・・知ってたのに・・・。俺の所為で・・・。なんて
こった・・・。(天を見上げ。)おい、爺さん・・・。俺はいい
ことどころか・・・最低最悪のことを、やっちまったぜ・・・。
(フッと笑う。)・・・死ぬんじゃないぞ・・・生きるんだ・・・。」
その時、ミシェルの声が聞こえる。
ミシェルの声「あなた矢っ張り、幽霊さんだったのね!」
舞台明るくなると、上手方にミシェル立ち、微笑んで
ジョニーを見ている。
ジョニー「(ミシェルを認め、茫然と。)・・・ミシェル・・・?」
ミシェル「(嬉しそうに。)だって、私のこと見えてる!他の誰も私
のこと気付かないのよ!苦しい・・・と思ってたら突然、
体から心が抜け出たの!私、このまま死んじゃうのかし
ら・・・?でも、手術受けなくて済むんなら、その方がいい
わ!何も痛い思いしなくていいんだもの!ねえ!!
私もあなたと一緒に行こうかな・・・。」
ジョニー「ばっ・・・馬鹿野郎!!俺と一緒に行くってことは、本当
に死んじまうってことなんだぞ!!俺みたいに、ある日
突然死んじまって・・・何が何だか分からねぇ・・・心の
準備も何もあったもんじゃない人間のこと、少しでも考え
てみろ!!俺からみりゃ、生きれるチャンスが100万
分の1の確率でもある、おまえが羨ましいよ・・・。生きて
みてぇと思えよ!!遠くでおまえを呼ぶ声が聞こえる
だろ!?」
微かに“ミシェル”の名を呼ぶ声が、遠くで
聞こえる。
ミシェル「・・・パパの声・・・?ママ・・・?」
ジョニー「あいつらを悲しませていいのかよ!!遊園地に行って
も何も乗れねぇようじゃ意味がないだろ?手術受けて
元気になれよ!!恋人見つけて、2人でジェットコース
ター乗ってみろよ!!」
ミシェル「・・・ジョニー・・・」
―――――“ジョニー・クラウン”4へつづく・・・―――――
※ 本当は“看護婦”でした・・・^^;
※1、ジョニーさん、よく“馬鹿”を連発しますが、子ども作品
では、絶対に使わない言葉の一つです(^_^;)
※2、こんなセリフ、人形劇でもたまに登場しますが、この頃
も使ってたんですね~(~_~;)多分、これ以前も・・・^^;
はい、そしてこれからも・・・(-"-)
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
実は・・・ほんの数行ですが、一部、つけ足した場面が上の
ページの中にあります(^.^)つながりが可笑しいと思って、
つなげ直したのですが、分かりますか・・・?
久しぶりに、こんなセリフを数行ですが書いてみて、またまた
ちょっと大人な作品も、書いてみたくなりました~(^^)♥
どら。
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ジョン「どうしたんだよ、ばあちゃん・・・こんな所に一人で・・・。
また老人ホーム、抜け出してきたのかい・・・?」
ジョニー「ばあちゃん・・・って・・・。(立ち上がる。)」
ジョン「・・・うん・・・。俺のたった一人のばあちゃん・・・。」
ジョニー「へぇ・・・。」
老婦人「・・・あそこは嫌じゃ・・・。戻りたくない・・・。」
ジョン「そんなこと言ったって、仕方ないだろ・・・?身内は俺だけ
・・・。けど俺は、昼間はバイトがあるし・・・ばあちゃん引き
取るなんて出来ないよ・・・。我慢してくれよ・・・。その内、
必ず一緒に住めるようにするからさ・・・。うんと働いて、金
貯めて・・・家政婦雇って、ばあちゃん家で住めるように
するからさ・・・!」
老婦人「ジョン・・・。」
その時、一人の看護師、上手より登場。
老婦人を認め、近寄る。 ※
看護師「こんな所にいたのね!あれ程、黙って抜け出しちゃ駄目
って言ってたでしょ!?ジョン、あなたからもちゃんと言っ
て頂戴!今度こんなことがあったら、部屋に鍵を付ける
ことになりますからね!!さあ、おばあさん、帰るわよ!!
(老婦人を無理矢理引っ張るように。)」
看護師、老婦人上手方へ。
ジョン「か・・・看護師さん!ば・・・ばあちゃんのこと、宜しく頼み
ます・・・。(頭を深々と下げる。)」
看護師、知らん顔で、老婦人、後ろを気にしながら、
上手へ去る。
ジョニー「なんだ、えっらそうな看護師だな!!しかし、おまえが
ばあさんと2人っきりの家族だなんて知らなかったねぇ
・・・。偉いじゃん・・・、その内、一緒に住もうだなんて
心意気・・・。」
ジョン「(落ち込んでいるように。)・・・兄貴・・・。」
ジョニー「ばぁか!何、暗い顔してんだよ!」
ジョニー歌う。途中、ジョン、ミシェル歌に加わる。
“笑え!笑え!
笑顔を作れば心も晴れる
明るく!明るく!
微笑んでいれば幸せがくる
悲しいなんてただの思い過ごし
辛いなんてただの考え過ぎ
明るく笑えば幸せがやってくる!
両手を振って 足並み揃え
そいつを迎えに行こうじゃないか!”
暗転。
――――― 第 6 場 ―――――
遊園地のざわめきが、段々大きくなる。
ジェットコースターの走る音、子ども達の
笑い声、楽し気な音楽など。
舞台、明るくなる。
上手より、なんとなくワクワクしたようなジョニー
登場。続いて、ジョン、ミシェル登場。
ジョニー「さぁ、着いたぜ!!何年振りだ?こんなとこ・・・。(回り
を見回す。)」
ジョン「・・・あ・・・兄貴、嬉しそうだね・・・。」
ジョニー「馬鹿!!なんで俺が・・・!!さあ、何乗るんだ?ジェット
コースターか?お化け屋敷か?ウオータースライダーか
?」 ※1
ジョン「・・・兄貴・・・それ・・・みーんな、兄貴の乗りたいものじゃあ
・・・?」
ジョニー「うるせぇ!!」
ジョン「お・・・女の子は矢っ張り、メリーゴーラウンドとか・・・コーヒ
ーカップとか・・・」
ジョニー「ばぁか!!そんなチンタラしたの乗っても面白くねえだろ
!?矢っ張り、遊園地といやぁ、ジェットコースターじゃ
ねぇか!!」
ミシェル「(クスクス笑う。)」
ジョン「わ・・・笑われてるよ、兄貴・・・。」
ジョニー「おまえだろ!!」
ミシェル「私・・・何も乗れないの・・・。」
ジョニー「・・・乗れない?なぁんだ、怖いのか!!あんなもん、
レールの上を走る、ちょっとばかしスピードの速い、ただ
の列車みたいなもんだぜ?つまんねぇ・・・。」
ミシェル「生まれつき心臓が弱くて、そんなのに乗ったら、発作が
おきて死んじゃうの・・・。」
ジョニー「死んじゃう・・・って・・・。」
ミシェル「私、来週、手術なんだ!!でも、手術しても助かるか
どうか分からないって・・・。だから、その前にどうしても
思い出が欲しかったの・・・。好きな人と2人っきりで、
初めてのデートをして、普通の女の子のように、幸せ
な気分に浸ってみたかったの・・・。小さい時に、一度
だけ連れて来てもらったここで!先生を説得するの、
大変だったのよ!(笑う。)」
ジョニー「おまえ・・・。」
ミシェル「好きな人と2人っきり・・・って言う訳にはいかなかった
けど、一応夢は叶ったし・・・もう・・・私・・・。」
ジョニー、何か思いついたように、ミシェルの手を
引っ張り、後方へ。ジョン、慌てて続く。
そこに置いてあった箱のような椅子に、3人並んで
座る。音楽流れ、スポットに浮かび上がる。
ジョニー「これ位なら乗れっだろ!?」
ミシェル「観覧車!!私、初めてよ!!(下を見るように。)わあ
・・・!!なんて高いの!!下にいる人達が丸で人形
!!夜景がとっても綺麗!!町の中が、クリスマス
ツリーだわ!!(はしゃぐ。)」
ジョン「(怖がるように。)わ・・・わぁ・・・高い・・・。あ・・・兄貴・・・!
兄貴!!」
ジョニー「なんだ、うるせぇな!!」
ジョン「こ・・・これ、落っこちないよね・・・?」
ジョニー「当たり前だろ!何ビビってんだよ!!」
ジョン「お・・・俺・・・高いとこ、駄目なんだよぉ・・・!!兄貴・・・!」
ジョニー「じゃあ、何で一緒に乗ってんだ、馬鹿!!」
ジョン「だ・・・だって・・・!!」
楽しそうに、2人の様子を見ていたミシェル歌う。
“こんな気分は初めてよ!
何だかワクワクして とても楽しい!”
ミシェル、立ち上がって前方へ。
ジョニー、ジョン顔を見合わせ、嬉しそうに前方へ。
ジョニー「(偉そうに。)遊園地って言うのは、楽しいものなんだ!」
ミシェル歌う。
“今まで感じたことないわ!
だって何もかも初めての出来ごと!”
ジョニー「そんなのつまんねぇだろ?」
ジョニー歌う。
“ここに来れば大人も子どもも
みんなが童心
忘れていた心を思い出す
素敵なとこだ!”
ジョン「(思わず吹き出す。)・・・あ・・・兄貴の口から“素敵”だ
なんて言葉・・・。」
ジョニー「てめぇ、何笑ってんだよ!!」
ミシェル歌う。
“本当に素敵!!
見るもの全て素敵!!
ここにいる私も素敵だわ!!”
3人、声を上げて笑う。
その時、チラチラ白いものが舞う。
ミシェル「(上を見上げて。)あ・・・雪・・・?」
ジョン「・・・ホワイト・・・クリスマスだ・・・。」
ジョニー「(何かに気付いたように、ポケットを探す。取り出した
キーホルダーを、ミシェルの方へ差し出す。)ほら、
メリー・クリスマス・・・。」
ミシェル「(嬉しそうに、キーホルダーを受け取る。)」
ジョン「何?何?俺には?」
ジョニー「ある訳ないだろ!馬鹿!!」
ジョン「えーっ!そんなぁ・・・!」
その時、下手よりブライアント登場。
ブライアント「(ジョニーを認める。)ジョニー・・・(茫然と。)」
ジョニー「・・・ブライアント・・・」
ジョン「あ・・・兄貴・・・(ミシェルを背後に隠すように。)」
ブライアント「これはこれは・・・。おまえが生きていたとはね・・・。」
ジョニー「悪かったな!まんまと俺を嵌めたつもりだったみてぇ
だが、残念だったな。(笑う。)」
ブライアント「・・・目の上のたんこぶが、まだ存在していたとは、
本当に残念だ・・・。だが、今回はどうかな・・・?ここ
で会ったのも何かの縁・・・、今度こそ・・・。(ニヤリと
笑い、背広の内ポケットへ、手を差し入れる。)」
ジョニー「(何かに感付いたように真顔になる。小声でジョンと、
ミシェルに。)逃げるぞ・・・。ジョン、彼女を守ってやれ
よ・・・。」
ジョン「お・・・俺・・・」
ミシェル「OK!!任せて!!」
ジョニー「(驚いたようにミシェルを見、頭に手を乗せ、微笑む。)
走れ!!」
ジョン、ミシェル上手方へ。ジョニー、下手へ
走り去る。
ブライアント「あ!!待ちやがれ!!待てー!!」 ※2
ブライアント、ジョニーを追って、下手へ走り去る。
ジョン「あ・・・兄貴-!!」
暗転。
――――― 第 7 場 ――――― A
舞台明るくなる。
一時置いて、ジョン、ミシェル上手より走り登場。
ジョン「(息を切らせて。上手方を気にするように。)・・・兄貴
・・・。」
ミシェル「(激しく息切れするように。)」
ジョン「(そんなミシェルの様子に。)・・・ミシェル・・・大丈夫・・・?」
そこへ、上手よりジョニー走りながら登場。
ジョニー「(息を切らせて。)危なかったなぁ!!(ジョン、ミシェル
の側に。)おい、大丈夫だったか!?」
ジョン「(ジョニーに気付いて。)あ・・・兄貴!!無事だったの!?
」
ジョニー「当たり前だ!!二度も同じ奴にやられるジョニー様じゃ
・・・(ミシェルの様子に気付いて。)・・・ミシェル?」
ミシェル、突然苦しそうに胸を押さえて、座り込む。
ジョン「・・・ミシェル・・・ど・・・どうしたの・・・?」
ジョニー「おい・・・?どうした!?苦しいのか!?おい・・・おい!
!確りしろよ!!直ぐ、病院に連れて行ってやるからな
!!死ぬんじゃないぞ!!(エコー。)」
――――― 第 7 場 ――――― B
舞台中央スポットに、茫然と佇むジョニー
浮かび上がる。
医者の声「何故、彼女を走らせたりしたんです!!彼女の心臓
が、長い時間、走るなんてことに耐えられる訳がない
ことを、君は知らなかったんですか!!」
扉が激しく閉まる音が響き渡る。
ジョニー「・・・悪かったな・・・走らせちまって・・・。おまえが走れね
ぇの・・・知ってたのに・・・。俺の所為で・・・。なんて
こった・・・。(天を見上げ。)おい、爺さん・・・。俺はいい
ことどころか・・・最低最悪のことを、やっちまったぜ・・・。
(フッと笑う。)・・・死ぬんじゃないぞ・・・生きるんだ・・・。」
その時、ミシェルの声が聞こえる。
ミシェルの声「あなた矢っ張り、幽霊さんだったのね!」
舞台明るくなると、上手方にミシェル立ち、微笑んで
ジョニーを見ている。
ジョニー「(ミシェルを認め、茫然と。)・・・ミシェル・・・?」
ミシェル「(嬉しそうに。)だって、私のこと見えてる!他の誰も私
のこと気付かないのよ!苦しい・・・と思ってたら突然、
体から心が抜け出たの!私、このまま死んじゃうのかし
ら・・・?でも、手術受けなくて済むんなら、その方がいい
わ!何も痛い思いしなくていいんだもの!ねえ!!
私もあなたと一緒に行こうかな・・・。」
ジョニー「ばっ・・・馬鹿野郎!!俺と一緒に行くってことは、本当
に死んじまうってことなんだぞ!!俺みたいに、ある日
突然死んじまって・・・何が何だか分からねぇ・・・心の
準備も何もあったもんじゃない人間のこと、少しでも考え
てみろ!!俺からみりゃ、生きれるチャンスが100万
分の1の確率でもある、おまえが羨ましいよ・・・。生きて
みてぇと思えよ!!遠くでおまえを呼ぶ声が聞こえる
だろ!?」
微かに“ミシェル”の名を呼ぶ声が、遠くで
聞こえる。
ミシェル「・・・パパの声・・・?ママ・・・?」
ジョニー「あいつらを悲しませていいのかよ!!遊園地に行って
も何も乗れねぇようじゃ意味がないだろ?手術受けて
元気になれよ!!恋人見つけて、2人でジェットコース
ター乗ってみろよ!!」
ミシェル「・・・ジョニー・・・」
―――――“ジョニー・クラウン”4へつづく・・・―――――
※ 本当は“看護婦”でした・・・^^;
※1、ジョニーさん、よく“馬鹿”を連発しますが、子ども作品
では、絶対に使わない言葉の一つです(^_^;)
※2、こんなセリフ、人形劇でもたまに登場しますが、この頃
も使ってたんですね~(~_~;)多分、これ以前も・・・^^;
はい、そしてこれからも・・・(-"-)
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
実は・・・ほんの数行ですが、一部、つけ足した場面が上の
ページの中にあります(^.^)つながりが可笑しいと思って、
つなげ直したのですが、分かりますか・・・?
久しぶりに、こんなセリフを数行ですが書いてみて、またまた
ちょっと大人な作品も、書いてみたくなりました~(^^)♥
どら。
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html
http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
2012年3月5日月曜日
“ジョニー・クラウン” ―全9場― 2
ジョニー「ばぁか!!泣くな!!それより金はどうなった?」
ジョン「それが・・・」
ジョニー「全く・・・。まんまとブライアントにしてやられたな!!
くっそう!!俺が命懸けで奪った金を、横からかっさらい
やがって!!こうなりゃ奪い返して、あいつの息の根を
ギュッと・・・!!(急に手首を押さえて。)いてててて・・・
!!」
ジョン「あ・・・兄貴?」
ジョニー「・・・いってぇなぁ!!・・・わ・・・分かったよ!!いいこと
だろ!?分かってるさ!!(溜め息を吐いて、手首を
摩る。)」
ジョン「どうしたんだよ・・・兄貴?」
ジョニー「それが、どうもこうも・・・。俺、やらなきゃならない仕事が
あんだ。悪いな、折角会えたのに・・・。もう行くわ!
(下手方へ行きかける。)」
ジョン「ま・・・待ってくれよ、兄貴!!何処行くんだよ!!俺も連れ
てってくれよ!!」
ジョニー「おまえ、俺に付いて来ても仕方ないぜ。俺は“いいこと”
ってやつを探しに行くんだから!!」
ジョン「・・・いいこと?」
ジョニー「ああ!いいか、付いてくんなよ!おまえは、そろそろ俺
から独り立ちしねぇとな!!」
ジョン「・・・い・・・いやだよ・・・。一緒に行くよ・・・!!」
ジョニー「じゃあな!!」
ジョニー、手を上げ下手へ去る。
ジョン「ま・・・待ってくれよ!!兄貴!!兄貴!!いいことしたい
なら、俺いい場所知ってるよ!!兄貴!!」
ジョン、慌ててジョニーを追うように、下手へ去る。
暗転。
――――― 第 3 場 ―――――
音楽流れ、明るくなる。と、舞台中央、1人の少女
(ミシェル)幸せそうに佇む。
ミシェル、何かソワソワと回りを見回し、鞄の中から
鏡を取り出し、覗き込んで髪をセット為直す。
ミシェル「初めてのデートって・・・こんな感じなのかしら・・・。なん
だか、ドキドキして落ち着かない・・・。髪は・・・OKね・・・
。(自分の服を見る。)このワンピース・・・マークは気に
入ってくれるかしら・・・。いつも病院で会ってる時は、
パジャマ姿だもの。それに比べれば・・・。(クスッと笑う
。)先週、マークが退院していっちゃって、とても淋しか
った・・・。けど、彼は退院してからも、毎日お見舞いに
来てくれたわ!ここ2、3日は、彼、仕事が忙しくて会え
なかったけど・・・。いいの!!今日はマークと一日中、
二人っきりなんだもの・・・!!」
ミシェル歌う。
“何て幸せな気分なの?
世界中が私を祝福してるよう
何て満ち足りた気分なの?
まるで地球は私の為に回るよう
こんなに幸せでいいのかしら?
この思いがあれば
何でも乗り越えられる
未来で手を振る幸せが
目の前に見えるもの!!”
その時、上手よりマーク登場。
マークに続いて一人の女性、登場。
マーク「ミシェル!」
ミシェル「(マークを認め。)マーク!!」
マーク「遅くなって御免。」
ミシェル「ううん、いいの!」
マーク「こいつが、中々仕度できなくてさ・・・。(笑う。)」
ミシェル「・・・こいつ・・・?」
マーク「ああ!(女性を前へ。)紹介するよ。こいつは僕の奥さん。」
女性「こんにちは、ミシェル。(微笑む。)あなたのことは、この人
から色々聞いてるわ。今日はお弁当作ってきたのよ。」
ミシェル「・・・奥さん・・・ですって・・・?」
マーク「あれ?言ってなかったっけ?さあ、ミシェル!今日はどこ
へ行きたいんだい?どこへでも連れて行ってあげるよ!
君の行きたい所へ・・・。」
ミシェル「・・・酷い・・・酷いわ・・・」
マーク「え?」
ミシェル「私のこと、騙してたのね!!(鞄を振り回すように、
マークを叩く。)マークの馬鹿!!」
ミシェル、下手へ走り去る。
マーク「ミシェル!!待ってくれよ、ミシェル!!(溜め息を吐いて。
)どうしたんだ・・・。彼女、何か誤解してたのかな・・・?
騙したって・・・何のことだろう・・・?」
女性「きっと、あなたに恋してたのよ・・・。初めてのね・・・。」
マーク「初めての恋って・・・20も年上の僕に?まさか・・・。(笑う。
)」
女性「女心が分かってないのね、あなたは・・・。」
暗転。
――――― 第 4 場 ―――――
明るくなる。と、舞台は教会。
上手方、懺悔室。狭苦しそうに、ジョニーと
ジョン、肩を並べて座っている。
ジョニー「おい!!狭いんだよ!!なんでテメーまで一緒に入って
るんだよ!!」
ジョン「・・・いいじゃないか・・・!俺のアイデアじゃない、ここに
いれば、自分の行いを懺悔したい人が一杯来るって・・・。」
ジョニー「だからって、いいことをするのはこの俺で、おまえじゃ
ないんだよ!!」
ジョン「一緒にいたいんだよ・・・!」
ジョニー「煩いよ!!」
その時、下手よりミシェル登場。
ゆっくり、懺悔室の方へ。(仕切りを挟む。)
ジョニー「早く、あっち行けってんだろ!!」
ジョン「いやだよ!!」
ミシェル「(不思議そうに、声のする方を見て。)あの・・・」
ジョニー「押すな、馬鹿!!」
ミシェル「あの!!」
懺悔室の中、一瞬静かになる。
ジョニー「(咳払いをする。)・・・あなたの行いを、懺悔しなさい・・・
。」
ミシェル「・・・はい・・・。今日・・・私は、とてもいけない心を持って
しまいました・・・。私を傷付けたマークを許せなかったん
です・・・。だって、今日の日を凄く楽しみにしてたのに・・・
初めてのデートだったのに・・・昨夜から眠れない程、
ワクワクしてたのに・・・!なのにマークは、待ち合わせ
場所に奥さんを連れて来るなんて!!(泣く。)彼、結婚
してたなんて!!」
ジョニー「ひでえ野郎だな!!」
ジョン「しっ!!」
ミシェル「・・・え・・・?」
ジョニー「それで・・・?」
ミシェル「マークと一緒に行きたい場所があったのに!!もう私、
絶対に恋なんてしないわ!!二度とこんな思いしたく
ないもの!!(再び泣く。)」
ジョニー「ああ、うるせえ・・・。分かったよ・・・!!分かったから
泣くな!!どうして女って、そんなつまんねぇことでビー
ビー泣けるのかね?」
ミシェル「酷いわ!!つまらないことだなんて!!」
ジョニー「そのマークとやらと、どこ行きたかったんだ・・・?一緒
に行ってやるから、もう泣くな!!」
ミシェル「え・・・?」
ロック調の音楽流れ、証明クラブ風。
懺悔室から、僧衣を身にまとったジョニー、
勢いよく飛び出し、ポーズを決める。
ジョン、続いて出、深呼吸する。 ※
ミシェル「牧師様・・・?」
ジョニー「イエス!」
ミシェル「・・・冗談でしょ・・・?」
ジョニー「(舌を鳴らし、指を立てて振る。)チッチッチッ・・・」
ミシェル「あなた一体・・・」
ジョニー歌う。
途中、僧衣を脱ぎ捨てる。
“俺はおまえを幸せにする者!
おまえの望みを叶える者!
何がやりたい?どこへ行きたい?
何でもおまえのお望み通り
俺は誰もを幸せにする者!
皆が望むことを何でも叶える
どうしたい?これからどうする?
何でも言えば 忽ち誰でも幸せ者!”
ジョニー「カモン!!ベイビー!!」
3人下手へ走り去る。
暗転。
――――― 第 5 場 ―――――
上手より、一人の老婦人ゆっくり登場。
鞄から紙を取り出し、それに見入る。
一時置いて、下手よりジョニー登場。下手方を見る。
ジョニー「おっせえなぁ・・・チンタラ歩いてんじゃねえ!!俺は
時間がねぇんだ!!あぁあ・・・。(舞台の縁に腰を下ろ
す。)どっかに、“いいこと”ってやつ、落っこちてねぇか
なぁ・・・。(下を探すように。)大体だぜ?俺の辞書に
“いいこと”なんて文字はないんだ!“いけないこと”
なら、いっくらでもあるけどよ!(笑う。)畜生・・・。」
その時、上手より一人の不良少年、走りながら
登場。老婦人にぶつかる。(老婦人、倒れる。)
不良少年「何、ボケッと突っ立ってんだよ、糞ばばぁ!!」
ジョニー、その声に気付き、2人を認める。 ※2
老婦人「・・・悪かったの・・・僕・・・。」
不良少年「・・・僕?僕だと?誰が僕なんだよぉ!(老婦人に
突っかかるように。)」
ジョニー「(2人の側へ。)おい、餓鬼!!」
不良少年「あ!?(振り返り、ジョニーを認める。)何だ、
おっさん!!」
ジョニー「・・・おっさん?おっさんって言うのは誰のことかなぁ・・・
?」
不良少年「えめぇだよ!!てめぇ!!」
ジョニー「そんな悪い口をきくのは、どの口かな!?(少年の頬
を抓る。)」
不良少年「いてててて・・・!!何すんだ、離せ・・・離せよ!!」
ジョニー「二度と俺に“おっさん”なんて口きいたら、てめぇの命
はないと思え!!(手を離す。)」
不良少年「くっそう!!覚えてろ!!糞親父!!」
暴言を吐いて、少年下手へ走り去る。
ジョニー「(下に落ちている石を拾って、少年の方へ投げる仕草
をする。)誰が親父だ、糞餓鬼!!全く・・・最近の
悪餓鬼は・・・。ばあさん、大丈夫か?」
老婦人「すまんの、僕・・・。」
ジョニー「あ!?僕?僕って誰のことだよ、ばあさん!(溜め息
を吐いて。)まぁいいっか・・・。(老婦人が紙を見て、
何か探している風なのに気付いて。)ばあさん、何処
か探してんのか?何処行こうとしてんだよ。その地図
貸してみな!俺は今、丁度“いいこと”ってやつを、
やらなきゃならねぇとこだったんだ!探してやるよ!!
(紙を取ろうとする。)」
老婦人「・・・いや・・・これは・・・。(紙を離そうとせずに。)」
ジョニー「離せよ!!馬鹿、離さねぇと、見れねえだろ!?何処
かへ行こうとしてんじゃないのかよ、ばあさん!!」
その時、紙が真っ二つに破け、ジョニー尻餅をつく。
老婦人「あ・・・」
ジョニー「・・・やっべ・・・。」
老婦人、放心したように悲しそうな顔をして、
紙を見詰める。
ジョニー「ハハハ・・・(作り笑いをする。その時、手首が締まる
ように、手首を押さえて。)いてててて・・・!!何しやが
んだ・・・!!やめろ!!やめろってんだよ!!俺は
いいことをしようとして・・・!!分かった・・・分かったよ
!!ばあさん、俺が悪かったよ!!だから許してくれ
!!(手首を押さえたまま、頭を下げて土下座する。)
・・・ふう・・・。危ねぇ時計だな・・・。手首がちょん切れる
かと思ったぜ、全く・・・。(老婦人の紙をサッと取り上げ
て。)貸してみなよ!(下で2枚の紙を、上手く重ね合
わせ見る。)ほら・・・これで地図は元通り・・・。どれどれ
・・・何処に行くんだ・・・?ここが今いる場所で・・・(地図
に見入る。)
老婦人、ジョニーの様子を、黙って見ている。
その時、下手よりジョンとミシェル、楽しそうに
話しながら登場。
ジョン「(ジョニーを認め。)あ!!いたいた・・・。兄貴、歩くの早い
よ・・・。(老婦人を認め。)あれ・・・?ば・・・ばあちゃん・・・?
ばあちゃんじゃないか・・・?」
分からないまま“いいこと”を探すジョニー・・・
本当に“いいこと”なんて、出来るのでしょうか・・・?
それでは“3”へと続きます・・・。
※ こんな“ト書き”は、人形劇では有り得ないので、なんだか
とても新鮮な感じがします(^^)
もうすでに、いつもの人形劇脚本のセリフ回しとは異なった、
珍しい感じは受けられているかも知れませんが、ここから
ちょっと読み直してみて・・・「恥ずかしいかも・・・」的な、
台詞が数行・・・続きます・・・が気にせずお読みください^^;
(書きながら、これは・・・と思う台詞は、書き直している・・・
と、先にお伝えしましたが、この場面は敢えて、書いた当初
のままで読んで頂こうと思います。)
※2、ここだけに限ったことではないのですが、数字の表記が、
“1”になったり“一”になったりすることが・・・多々あります。
あまり拘って書いている訳でない為ですが、読み難くなる
としたら、お許し下さい
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
ある劇団のお稽古場にお邪魔して、初めて自分の作品の
読み合わせに参加させてもらった時の感動は・・・一生・・・
忘れないでしょう・・・♥
ジョン「それが・・・」
ジョニー「全く・・・。まんまとブライアントにしてやられたな!!
くっそう!!俺が命懸けで奪った金を、横からかっさらい
やがって!!こうなりゃ奪い返して、あいつの息の根を
ギュッと・・・!!(急に手首を押さえて。)いてててて・・・
!!」
ジョン「あ・・・兄貴?」
ジョニー「・・・いってぇなぁ!!・・・わ・・・分かったよ!!いいこと
だろ!?分かってるさ!!(溜め息を吐いて、手首を
摩る。)」
ジョン「どうしたんだよ・・・兄貴?」
ジョニー「それが、どうもこうも・・・。俺、やらなきゃならない仕事が
あんだ。悪いな、折角会えたのに・・・。もう行くわ!
(下手方へ行きかける。)」
ジョン「ま・・・待ってくれよ、兄貴!!何処行くんだよ!!俺も連れ
てってくれよ!!」
ジョニー「おまえ、俺に付いて来ても仕方ないぜ。俺は“いいこと”
ってやつを探しに行くんだから!!」
ジョン「・・・いいこと?」
ジョニー「ああ!いいか、付いてくんなよ!おまえは、そろそろ俺
から独り立ちしねぇとな!!」
ジョン「・・・い・・・いやだよ・・・。一緒に行くよ・・・!!」
ジョニー「じゃあな!!」
ジョニー、手を上げ下手へ去る。
ジョン「ま・・・待ってくれよ!!兄貴!!兄貴!!いいことしたい
なら、俺いい場所知ってるよ!!兄貴!!」
ジョン、慌ててジョニーを追うように、下手へ去る。
暗転。
――――― 第 3 場 ―――――
音楽流れ、明るくなる。と、舞台中央、1人の少女
(ミシェル)幸せそうに佇む。
ミシェル、何かソワソワと回りを見回し、鞄の中から
鏡を取り出し、覗き込んで髪をセット為直す。
ミシェル「初めてのデートって・・・こんな感じなのかしら・・・。なん
だか、ドキドキして落ち着かない・・・。髪は・・・OKね・・・
。(自分の服を見る。)このワンピース・・・マークは気に
入ってくれるかしら・・・。いつも病院で会ってる時は、
パジャマ姿だもの。それに比べれば・・・。(クスッと笑う
。)先週、マークが退院していっちゃって、とても淋しか
った・・・。けど、彼は退院してからも、毎日お見舞いに
来てくれたわ!ここ2、3日は、彼、仕事が忙しくて会え
なかったけど・・・。いいの!!今日はマークと一日中、
二人っきりなんだもの・・・!!」
ミシェル歌う。
“何て幸せな気分なの?
世界中が私を祝福してるよう
何て満ち足りた気分なの?
まるで地球は私の為に回るよう
こんなに幸せでいいのかしら?
この思いがあれば
何でも乗り越えられる
未来で手を振る幸せが
目の前に見えるもの!!”
その時、上手よりマーク登場。
マークに続いて一人の女性、登場。
マーク「ミシェル!」
ミシェル「(マークを認め。)マーク!!」
マーク「遅くなって御免。」
ミシェル「ううん、いいの!」
マーク「こいつが、中々仕度できなくてさ・・・。(笑う。)」
ミシェル「・・・こいつ・・・?」
マーク「ああ!(女性を前へ。)紹介するよ。こいつは僕の奥さん。」
女性「こんにちは、ミシェル。(微笑む。)あなたのことは、この人
から色々聞いてるわ。今日はお弁当作ってきたのよ。」
ミシェル「・・・奥さん・・・ですって・・・?」
マーク「あれ?言ってなかったっけ?さあ、ミシェル!今日はどこ
へ行きたいんだい?どこへでも連れて行ってあげるよ!
君の行きたい所へ・・・。」
ミシェル「・・・酷い・・・酷いわ・・・」
マーク「え?」
ミシェル「私のこと、騙してたのね!!(鞄を振り回すように、
マークを叩く。)マークの馬鹿!!」
ミシェル、下手へ走り去る。
マーク「ミシェル!!待ってくれよ、ミシェル!!(溜め息を吐いて。
)どうしたんだ・・・。彼女、何か誤解してたのかな・・・?
騙したって・・・何のことだろう・・・?」
女性「きっと、あなたに恋してたのよ・・・。初めてのね・・・。」
マーク「初めての恋って・・・20も年上の僕に?まさか・・・。(笑う。
)」
女性「女心が分かってないのね、あなたは・・・。」
暗転。
――――― 第 4 場 ―――――
明るくなる。と、舞台は教会。
上手方、懺悔室。狭苦しそうに、ジョニーと
ジョン、肩を並べて座っている。
ジョニー「おい!!狭いんだよ!!なんでテメーまで一緒に入って
るんだよ!!」
ジョン「・・・いいじゃないか・・・!俺のアイデアじゃない、ここに
いれば、自分の行いを懺悔したい人が一杯来るって・・・。」
ジョニー「だからって、いいことをするのはこの俺で、おまえじゃ
ないんだよ!!」
ジョン「一緒にいたいんだよ・・・!」
ジョニー「煩いよ!!」
その時、下手よりミシェル登場。
ゆっくり、懺悔室の方へ。(仕切りを挟む。)
ジョニー「早く、あっち行けってんだろ!!」
ジョン「いやだよ!!」
ミシェル「(不思議そうに、声のする方を見て。)あの・・・」
ジョニー「押すな、馬鹿!!」
ミシェル「あの!!」
懺悔室の中、一瞬静かになる。
ジョニー「(咳払いをする。)・・・あなたの行いを、懺悔しなさい・・・
。」
ミシェル「・・・はい・・・。今日・・・私は、とてもいけない心を持って
しまいました・・・。私を傷付けたマークを許せなかったん
です・・・。だって、今日の日を凄く楽しみにしてたのに・・・
初めてのデートだったのに・・・昨夜から眠れない程、
ワクワクしてたのに・・・!なのにマークは、待ち合わせ
場所に奥さんを連れて来るなんて!!(泣く。)彼、結婚
してたなんて!!」
ジョニー「ひでえ野郎だな!!」
ジョン「しっ!!」
ミシェル「・・・え・・・?」
ジョニー「それで・・・?」
ミシェル「マークと一緒に行きたい場所があったのに!!もう私、
絶対に恋なんてしないわ!!二度とこんな思いしたく
ないもの!!(再び泣く。)」
ジョニー「ああ、うるせえ・・・。分かったよ・・・!!分かったから
泣くな!!どうして女って、そんなつまんねぇことでビー
ビー泣けるのかね?」
ミシェル「酷いわ!!つまらないことだなんて!!」
ジョニー「そのマークとやらと、どこ行きたかったんだ・・・?一緒
に行ってやるから、もう泣くな!!」
ミシェル「え・・・?」
ロック調の音楽流れ、証明クラブ風。
懺悔室から、僧衣を身にまとったジョニー、
勢いよく飛び出し、ポーズを決める。
ジョン、続いて出、深呼吸する。 ※
ミシェル「牧師様・・・?」
ジョニー「イエス!」
ミシェル「・・・冗談でしょ・・・?」
ジョニー「(舌を鳴らし、指を立てて振る。)チッチッチッ・・・」
ミシェル「あなた一体・・・」
ジョニー歌う。
途中、僧衣を脱ぎ捨てる。
“俺はおまえを幸せにする者!
おまえの望みを叶える者!
何がやりたい?どこへ行きたい?
何でもおまえのお望み通り
俺は誰もを幸せにする者!
皆が望むことを何でも叶える
どうしたい?これからどうする?
何でも言えば 忽ち誰でも幸せ者!”
ジョニー「カモン!!ベイビー!!」
3人下手へ走り去る。
暗転。
――――― 第 5 場 ―――――
上手より、一人の老婦人ゆっくり登場。
鞄から紙を取り出し、それに見入る。
一時置いて、下手よりジョニー登場。下手方を見る。
ジョニー「おっせえなぁ・・・チンタラ歩いてんじゃねえ!!俺は
時間がねぇんだ!!あぁあ・・・。(舞台の縁に腰を下ろ
す。)どっかに、“いいこと”ってやつ、落っこちてねぇか
なぁ・・・。(下を探すように。)大体だぜ?俺の辞書に
“いいこと”なんて文字はないんだ!“いけないこと”
なら、いっくらでもあるけどよ!(笑う。)畜生・・・。」
その時、上手より一人の不良少年、走りながら
登場。老婦人にぶつかる。(老婦人、倒れる。)
不良少年「何、ボケッと突っ立ってんだよ、糞ばばぁ!!」
ジョニー、その声に気付き、2人を認める。 ※2
老婦人「・・・悪かったの・・・僕・・・。」
不良少年「・・・僕?僕だと?誰が僕なんだよぉ!(老婦人に
突っかかるように。)」
ジョニー「(2人の側へ。)おい、餓鬼!!」
不良少年「あ!?(振り返り、ジョニーを認める。)何だ、
おっさん!!」
ジョニー「・・・おっさん?おっさんって言うのは誰のことかなぁ・・・
?」
不良少年「えめぇだよ!!てめぇ!!」
ジョニー「そんな悪い口をきくのは、どの口かな!?(少年の頬
を抓る。)」
不良少年「いてててて・・・!!何すんだ、離せ・・・離せよ!!」
ジョニー「二度と俺に“おっさん”なんて口きいたら、てめぇの命
はないと思え!!(手を離す。)」
不良少年「くっそう!!覚えてろ!!糞親父!!」
暴言を吐いて、少年下手へ走り去る。
ジョニー「(下に落ちている石を拾って、少年の方へ投げる仕草
をする。)誰が親父だ、糞餓鬼!!全く・・・最近の
悪餓鬼は・・・。ばあさん、大丈夫か?」
老婦人「すまんの、僕・・・。」
ジョニー「あ!?僕?僕って誰のことだよ、ばあさん!(溜め息
を吐いて。)まぁいいっか・・・。(老婦人が紙を見て、
何か探している風なのに気付いて。)ばあさん、何処
か探してんのか?何処行こうとしてんだよ。その地図
貸してみな!俺は今、丁度“いいこと”ってやつを、
やらなきゃならねぇとこだったんだ!探してやるよ!!
(紙を取ろうとする。)」
老婦人「・・・いや・・・これは・・・。(紙を離そうとせずに。)」
ジョニー「離せよ!!馬鹿、離さねぇと、見れねえだろ!?何処
かへ行こうとしてんじゃないのかよ、ばあさん!!」
その時、紙が真っ二つに破け、ジョニー尻餅をつく。
老婦人「あ・・・」
ジョニー「・・・やっべ・・・。」
老婦人、放心したように悲しそうな顔をして、
紙を見詰める。
ジョニー「ハハハ・・・(作り笑いをする。その時、手首が締まる
ように、手首を押さえて。)いてててて・・・!!何しやが
んだ・・・!!やめろ!!やめろってんだよ!!俺は
いいことをしようとして・・・!!分かった・・・分かったよ
!!ばあさん、俺が悪かったよ!!だから許してくれ
!!(手首を押さえたまま、頭を下げて土下座する。)
・・・ふう・・・。危ねぇ時計だな・・・。手首がちょん切れる
かと思ったぜ、全く・・・。(老婦人の紙をサッと取り上げ
て。)貸してみなよ!(下で2枚の紙を、上手く重ね合
わせ見る。)ほら・・・これで地図は元通り・・・。どれどれ
・・・何処に行くんだ・・・?ここが今いる場所で・・・(地図
に見入る。)
老婦人、ジョニーの様子を、黙って見ている。
その時、下手よりジョンとミシェル、楽しそうに
話しながら登場。
ジョン「(ジョニーを認め。)あ!!いたいた・・・。兄貴、歩くの早い
よ・・・。(老婦人を認め。)あれ・・・?ば・・・ばあちゃん・・・?
ばあちゃんじゃないか・・・?」
分からないまま“いいこと”を探すジョニー・・・
本当に“いいこと”なんて、出来るのでしょうか・・・?
それでは“3”へと続きます・・・。
※ こんな“ト書き”は、人形劇では有り得ないので、なんだか
とても新鮮な感じがします(^^)
もうすでに、いつもの人形劇脚本のセリフ回しとは異なった、
珍しい感じは受けられているかも知れませんが、ここから
ちょっと読み直してみて・・・「恥ずかしいかも・・・」的な、
台詞が数行・・・続きます・・・が気にせずお読みください^^;
(書きながら、これは・・・と思う台詞は、書き直している・・・
と、先にお伝えしましたが、この場面は敢えて、書いた当初
のままで読んで頂こうと思います。)
※2、ここだけに限ったことではないのですが、数字の表記が、
“1”になったり“一”になったりすることが・・・多々あります。
あまり拘って書いている訳でない為ですが、読み難くなる
としたら、お許し下さい
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(どら余談^^;)
ある劇団のお稽古場にお邪魔して、初めて自分の作品の
読み合わせに参加させてもらった時の感動は・・・一生・・・
忘れないでしょう・・・♥
2012年3月4日日曜日
“ジョニー・クラウン” ―全9場―
この作品は、人形劇作品を書き始めるまだ、少し前の
作品になる為、人形劇は、子ども達の持ち時間を考え、
だいたい30分前後をメドに書き上げるのですが、(最近
は、内容の濃さに比例してきて、公演時間が若干伸び気味
ではあります・・・^^;そうですね~・・・ここ最近の作品では、
エリィちゃんが、1時間でしたね・・・^^;)この頃の制約の
ない作品に関しては、場数にあるように、人形劇作品に
比べ、多少長めのお話しになっています
まだまだ未熟な作品ではありますが、読み直してみて、
とっても面白かったので・・・人形劇とは全然違う、どらは
こんな言葉使いをする登場人物も書くんだ・・・と言うのを、
是非お楽しみ下さい♥
どら。
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〈主な登場人物〉
ジョニー・クラウン ・・・ 本編の主人公。
ジョン・クラウニー ・・・ ジョニーを兄貴と慕う。
ミシェル ・・・ 体の弱い少女。
死の国の裁判官。
その他。
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開演アナウンス。
客電落ちる。 ※
――――― 第 1 場 ―――――
男の声「待て!!路地裏へ回ったぞ!!逃がすな!!」
男2の声「捕まえろ!!」
男の声「抵抗すると、撃つぞ!!」
その時、銃の音が響き渡る。
一時置いて、スモーク流れ、舞台明るくなると、
舞台中央、1つの机の後ろに、神々しい態度の
死の国の裁判官立つ。裁判官、その前に大の字
に倒れている男(ジョニー)に、見入っている。
裁判官「起きなさい、ジョニー・クラウン・・・!!」
ジョニー「・・・ん・・・(目が覚める。寝っ転がったまま、そこがどこ
だか分からないように、回りを見回し、裁判官を認める
と、驚いたように起き上がる。)誰だ!!(慌てて、服の
ポケットを探り、銃を取り出し、裁判官に向け構える。)
やれるもんならやってみろ!!」
裁判官「そんなものは仕舞うのだ、ジョニー・・・」
ジョニー「(銃を構えたまま。)・・・誰だ、爺!?・・・なんで俺の
名前を知ってんだ!!」
裁判官「私は死の国の裁判官・・・。ここは、天国と地獄をつなぐ、
中継ステーションだ・・・。」
ジョニー「ちょ・・・ちょっと待てよ・・・。死の国・・・って・・・何、可笑
しなこと・・・(笑う。)」
裁判官「おまえは死んだのだ、ジョニー・クラウン・・・。(机の上の
紙を、ジョニーに見せるように差し出す)」
ジョニー「死んだ・・・?死んだだと!?(裁判官の差し出した紙を
、奪うように取り、見入る。)・・・ジョニー・クラウン・・・
1998年12月24日・・・午前3時16分・・・銃により
死亡・・・死亡!?(自分のシャツの胸の辺りを、慌てて
見る。と、そこには血の跡がついている。)・・・待ってくれ
・・・俺は・・・えっと・・・(思い出すように。)そうだ!!俺
は、嵌められたんだ!!ブライアントの奴に、いい儲け
口があるとか言われて・・・それで警官に見つかって、
路地裏に追い詰められ・・・(遠くで銃声が聞こえる。と、
ジョニー、自分の胸を見る。)撃たれた・・・。(全て理解
したように。)・・・なんだ・・・死んじまったのか・・・。(笑う
。溜め息を吐いて、胡坐をかいて座り込む。)それで・・・
?今まで散々、悪事を働いてきた俺様は、地獄へ
真っ逆様か?」 ※2
裁判官「・・・天国、地獄が最初から分かり切っている人間は、
ここへなど来ない・・・。死んで直ぐに、其々の場所へ送ら
れるからだ・・・。」
ジョニー「じゃあ、ここは地獄の入口か!?(笑う。)」
裁判官「ここは、天国へ送られるのか、地獄へ送られるのかが分
からない人間が、連れてこられる所だ・・・。ここで、どちら
に行くのが正しいか、判断するのだ・・・。」
ジョニー「俺は天国なんか、行けるような人間じゃないぜ!俺様
が自分で言うんだ!さっさと地獄へ送ってくれ!」
裁判官「それは、最近のおまえを見ていれば一目瞭然・・・だが
・・・」
裁判官、歌う。
“おまえが遠い昔から
悪だけ背負って生きたなら
何も迷わず辿り着く
そこは地獄の何ものでもない
おまえが歩き始めから
正義の塊だったなら
誰も迷わず行き着く先は
誰もが求める天の国
だけどたった一度でも
優しい思いが見えたなら
そこで分かれる2つの道
そこで迷うおまえの道”
裁判官「これを見るがいい・・・。」
上手方、スポットに子ども(ジョニーの子ども時代。)
、しゃがみ込んで膝に抱いた何かを見ている。
子ども「大丈夫かい・・・?もう、行き成り車道に飛び出すんじゃ
ないよ・・・。今日は助かったけど、とっても危ないこと
なんだ・・・。君がいなくなったら・・・(顔を上げて、遠く
を見る。)ほら、あそこで見てるママが、悲しい思いを
する・・・。ね、分かっただろ?(その時、子犬の吠える
声がする。)よおし!!いい子だ!!」
子ども、フェード・アウト。
裁判官「おまえは自分の命を賭けて、あの子犬を車から守っ
た・・・。」
ジョニー「そんなこと、あったっけ?(笑う。)」
裁判官「そのたった一度の行いが、おまえがここへ送られて
きた理由だ・・・。そこでだ・・・おまえに少し時間を
やろう・・・。再び地上へ舞い戻り、1つだけ“いいこと”
をしてくるのだ・・・。」
ジョニー「いいこと?何だそれ!」
裁判官「そう・・・いいことだ・・・。そうすれば、おまえは晴れて
天国行き・・・。」
ジョニー「俺は地獄でいいさ!!」
裁判官「いいことをする自信がないのか?」
ジョニー「ああ、そうさ!!自信なんてないね!!いいことが
なんなのかも分かんねえ!!そんなことやってまで、
天国なんて行きたくねえ!!」
裁判官「(ボソッと。)・・・駄目な人間だ・・・。たった一度の
チャンスも、ものにできないようでは、生まれ変わっても
、おまえは同じ人生を繰り返すだけだ・・・。ならば、
いっそ虫にでも生まれ変わるか?」
ジョニー「ふん!!好きにしろ!!」
裁判官「(溜め息を吐いて、首を振る。)・・・そうだ・・・おまえに
いいものをやろう・・・。」
ジョニー「(その言葉に興味を惹かれたように、裁判官の方を
チラッと見る。)・・・いいもの・・・?」
裁判官「ほら・・・これだ・・・。(差し出す。)」
ジョニー「(裁判官が差し出したものを見る。自分の目を疑うよ
うに、目を擦る。近寄り、驚いたように見る。)・・・これ
、くれるのか・・・?」
裁判官「ああ・・・おまえにやろう・・・。(微笑む。)」
ジョニー「も・・・勿論タダだろうな・・・?(受け取る。)・・・うわぁ
!!金で出来た時計じゃねぇか!!本もんだぜ、
こりゃあ!!ま・・・まぁ、くれるって言うんなら、有り難
く・・・(腕に嵌める。)」
裁判官「(ジョニーが、時計を嵌めるのを見計らって。)・・・では
・・・さっきの話しの続きだが・・・。」
ジョニー「悪いが、それとこれとは話しは別だ!いくら、こいつを
貰ったからって、俺はもので釣られるような馬鹿じゃ
ないぜ。(笑う。)あんたの話しだと、俺はこのままじゃ
天国にも地獄にもどっちにも行けないんだ・・・。って
ことはだぜ・・・?俺はずーっとここで世話になってりゃ
いいんじゃないか!!俺は地上には行かねぇ!!
そんな面倒なことは御免だね!!(大の字になって、
ゴロンと寝っ転がる。)」
裁判官「そうか・・・ならば・・・。」
ジョニー「いっ・・・いてててて・・・。(手首を押さえる。)いててっ
!!畜生・・・!!なんだ、この時計・・・?なんで締め
付けられ・・・いててっ・・・!!」
裁判官「(ニッコリ笑って。)それは、おまえがちゃんと地上に行
って、1つの幸せを見つけてくるまで、おまえを見張る
腕時計だ・・・。」
ジョニー「なんだと・・・!?こんな時計・・・!!(外そうとする。)
畜生!!なんで外れないんだ!!やい、爺!!外し
やがれ!!」
裁判官「心配せんでも、おまえが1ついいことをすれば、ちゃんと
外れるようにできておる・・・。」
ジョニー「馬っ鹿野郎!!俺は孫悟空じゃねぇ!!いててててっ
・・・!!外せ!!外せ!!(騒ぎながら、手首を押さえ
跪く。)」
裁判官「どうだ?私の言うことを聞く気になったかな?」
ジョニー「畜生・・・!!(観念したように。)わ・・・分かったよ!!
地上に行きゃあいいんだろ!!行くよ!!行くから、
時計を締め付けるのはやめてくれ!!」
裁判官「よしよし・・・。(微笑む。)」
ジョニー「くっそう・・・。(手首を摩る。)いってぇ・・・。なんて力
なんだ・・・。」
裁判官「おまえに与える時間は24時間・・・。その間に、1つの
いいことを無事、達成してくるがいい!!くれぐれも、
よからぬことは考えんようにな。いつでも、左手には
見張りが付いていることを、覚えておくのだ・・・。」
ジョニー「忘れるかよ!!」
音楽流れ、ジョニー、スポットに浮かび上がる。
ジョニー「(時計を見て。)全く・・・なんて時計なんだ・・・!!
あの糞爺、俺にいいことをしろだと!?いいことって
何なんだ!!俺は今まで、悪いことをするのに頭は
使っても、その反対に頭を使ったことなんてないんだ
!!しかも24時間以内にだなんて・・・。何すりゃ
いいのさ!!」
ジョニー歌う。
“いいこと?なんだそれ・・・
そんなこと考えたこともねぇ!
いいこと?何すりゃいいんだ
全く俺には分かんねぇ!!
天国でも地獄でも
俺には関係ないんだそんなこと
死んじまったら何処でも何でも同じこと
面倒なんて真っ平ごめんだ!!”
暗転。
――――― 第 2 場 ―――――
泣き声が段々大きく聞こえる。
と、同時に明るくなると、舞台中央、墓が1つ立って
いる。1人の青年(ジョン)、その墓に縋り、声を上げ
て泣いている。
ジョン「兄貴!!兄貴!!なんで死んじまったんだよ!!兄貴
!!オイラ、これからどうすりゃいいんだよ!!兄貴!!」
その時、ジョニー上手より登場。ゆっくり、泣いている
ジョンの側へ。横にしゃがみ込む。
ジョニー「おまえ、兄ちゃんなんかいたのか・・・。」
ジョン「(伏せって泣いたまま。)違うよ!!本当の兄貴以上に、
俺にとっちゃ大事な頼れる兄貴・・・(顔を上げる。ジョニー
を認め、その驚きに腰を抜かしたように。)あ・・・兄貴・・・
!?」
ジョニー「よっ!!元気にしてたか?」
ジョン「(墓とジョニーを見比べる。)兄貴・・・確か・・・死・・・死・・・
死・・・」
ジョニー「ああ、死んだんだ!なんだこれ、俺の墓か?(墓を見
て。)ジョニー・クラウン・・・ここに眠る・・・か・・・。(笑う
。)」
ジョン「ゆ・・・ゆ・・・ゆ・・・」
ジョニー「まぁ、幽霊みたいなもんだな。足はあるけどよ。(足を
見せて。)ほれ!」
ジョン「あ・・・あ・・・兄貴・・・警官に撃たれて・・・」
ジョニー「ああ、ここを1発ズドーン!!(服の胸元を見せる。)」
ジョン「・・・ズドーン・・・って・・・」
ジョニー「おまえは大丈夫だったのか?」
ジョン「う・・・うん・・・。ほら、流れ弾でここんとこ掠っただけ・・・。
(服を捲くって、腹を見せる。)」
ジョニー「そっか、よかったな!」
ジョン「ゆ・・・ゆ・・・幽霊でも・・・そ・・・それ・・・それでも嬉しいよ
!!(ジョニーに抱きつき泣く。)淋しかったんだ!!」
はてさて奇妙な再会を果たしたジョニーと
ジョンですが・・・。ジョニーはどんな“いいこと”
をするつもりなんでしょうか?
それでは“2”へ続きます・・・。
※ こんな言葉は久しぶりです~^^;
※2、人形劇作品は、ご承知の通り、子ども対象作品の為、
際どいセリフや、難しい言葉使いなど、まず使わないで
あろう文章が、今作品には沢山使われています。
これは、一応、“ファミリーミュージカル作品”となって
いても、大人が見る“ファミリーミュージカル作品”だと考
えていた為、今とは私が向いている対象者が違うから
です。(キャシーも舞台の方の作品では、どちらかと言え
ば、大人対象となっていたものを、人形劇では、完全に
子ども対象に書き直したものです。)
このセリフに出てくる年数が、この作品の生まれ年です。
随分前ですね~・・・^^;
まだまだ未熟な作品ですが、お許し下さい
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
久しぶりに、少し大人チックな言い回しのセリフを書いてみて、
なんだか人形劇とは、また違う楽しさがあるなどして、
“面白いな”・・・と感じています・・・(^^♪
どら。
2012年3月4日(日)
・・・なので・・・
こちらの“ワールド”では、また、こんな少し人形劇とは違う、
ちょっと大人な作品や、その時々に私が書きたいと思った
自由な作品を、載せていけたらな・・・と思っていますので、
気長にお待ち下さい^_^;
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html
http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
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