老婦人「(ジョンを認め、嬉しそうに。)ジョン・・・!」
ジョン「どうしたんだよ、ばあちゃん・・・こんな所に一人で・・・。
また老人ホーム、抜け出してきたのかい・・・?」
ジョニー「ばあちゃん・・・って・・・。(立ち上がる。)」
ジョン「・・・うん・・・。俺のたった一人のばあちゃん・・・。」
ジョニー「へぇ・・・。」
老婦人「・・・あそこは嫌じゃ・・・。戻りたくない・・・。」
ジョン「そんなこと言ったって、仕方ないだろ・・・?身内は俺だけ
・・・。けど俺は、昼間はバイトがあるし・・・ばあちゃん引き
取るなんて出来ないよ・・・。我慢してくれよ・・・。その内、
必ず一緒に住めるようにするからさ・・・。うんと働いて、金
貯めて・・・家政婦雇って、ばあちゃん家で住めるように
するからさ・・・!」
老婦人「ジョン・・・。」
その時、一人の看護師、上手より登場。
老婦人を認め、近寄る。 ※
看護師「こんな所にいたのね!あれ程、黙って抜け出しちゃ駄目
って言ってたでしょ!?ジョン、あなたからもちゃんと言っ
て頂戴!今度こんなことがあったら、部屋に鍵を付ける
ことになりますからね!!さあ、おばあさん、帰るわよ!!
(老婦人を無理矢理引っ張るように。)」
看護師、老婦人上手方へ。
ジョン「か・・・看護師さん!ば・・・ばあちゃんのこと、宜しく頼み
ます・・・。(頭を深々と下げる。)」
看護師、知らん顔で、老婦人、後ろを気にしながら、
上手へ去る。
ジョニー「なんだ、えっらそうな看護師だな!!しかし、おまえが
ばあさんと2人っきりの家族だなんて知らなかったねぇ
・・・。偉いじゃん・・・、その内、一緒に住もうだなんて
心意気・・・。」
ジョン「(落ち込んでいるように。)・・・兄貴・・・。」
ジョニー「ばぁか!何、暗い顔してんだよ!」
ジョニー歌う。途中、ジョン、ミシェル歌に加わる。
“笑え!笑え!
笑顔を作れば心も晴れる
明るく!明るく!
微笑んでいれば幸せがくる
悲しいなんてただの思い過ごし
辛いなんてただの考え過ぎ
明るく笑えば幸せがやってくる!
両手を振って 足並み揃え
そいつを迎えに行こうじゃないか!”
暗転。
――――― 第 6 場 ―――――
遊園地のざわめきが、段々大きくなる。
ジェットコースターの走る音、子ども達の
笑い声、楽し気な音楽など。
舞台、明るくなる。
上手より、なんとなくワクワクしたようなジョニー
登場。続いて、ジョン、ミシェル登場。
ジョニー「さぁ、着いたぜ!!何年振りだ?こんなとこ・・・。(回り
を見回す。)」
ジョン「・・・あ・・・兄貴、嬉しそうだね・・・。」
ジョニー「馬鹿!!なんで俺が・・・!!さあ、何乗るんだ?ジェット
コースターか?お化け屋敷か?ウオータースライダーか
?」 ※1
ジョン「・・・兄貴・・・それ・・・みーんな、兄貴の乗りたいものじゃあ
・・・?」
ジョニー「うるせぇ!!」
ジョン「お・・・女の子は矢っ張り、メリーゴーラウンドとか・・・コーヒ
ーカップとか・・・」
ジョニー「ばぁか!!そんなチンタラしたの乗っても面白くねえだろ
!?矢っ張り、遊園地といやぁ、ジェットコースターじゃ
ねぇか!!」
ミシェル「(クスクス笑う。)」
ジョン「わ・・・笑われてるよ、兄貴・・・。」
ジョニー「おまえだろ!!」
ミシェル「私・・・何も乗れないの・・・。」
ジョニー「・・・乗れない?なぁんだ、怖いのか!!あんなもん、
レールの上を走る、ちょっとばかしスピードの速い、ただ
の列車みたいなもんだぜ?つまんねぇ・・・。」
ミシェル「生まれつき心臓が弱くて、そんなのに乗ったら、発作が
おきて死んじゃうの・・・。」
ジョニー「死んじゃう・・・って・・・。」
ミシェル「私、来週、手術なんだ!!でも、手術しても助かるか
どうか分からないって・・・。だから、その前にどうしても
思い出が欲しかったの・・・。好きな人と2人っきりで、
初めてのデートをして、普通の女の子のように、幸せ
な気分に浸ってみたかったの・・・。小さい時に、一度
だけ連れて来てもらったここで!先生を説得するの、
大変だったのよ!(笑う。)」
ジョニー「おまえ・・・。」
ミシェル「好きな人と2人っきり・・・って言う訳にはいかなかった
けど、一応夢は叶ったし・・・もう・・・私・・・。」
ジョニー、何か思いついたように、ミシェルの手を
引っ張り、後方へ。ジョン、慌てて続く。
そこに置いてあった箱のような椅子に、3人並んで
座る。音楽流れ、スポットに浮かび上がる。
ジョニー「これ位なら乗れっだろ!?」
ミシェル「観覧車!!私、初めてよ!!(下を見るように。)わあ
・・・!!なんて高いの!!下にいる人達が丸で人形
!!夜景がとっても綺麗!!町の中が、クリスマス
ツリーだわ!!(はしゃぐ。)」
ジョン「(怖がるように。)わ・・・わぁ・・・高い・・・。あ・・・兄貴・・・!
兄貴!!」
ジョニー「なんだ、うるせぇな!!」
ジョン「こ・・・これ、落っこちないよね・・・?」
ジョニー「当たり前だろ!何ビビってんだよ!!」
ジョン「お・・・俺・・・高いとこ、駄目なんだよぉ・・・!!兄貴・・・!」
ジョニー「じゃあ、何で一緒に乗ってんだ、馬鹿!!」
ジョン「だ・・・だって・・・!!」
楽しそうに、2人の様子を見ていたミシェル歌う。
“こんな気分は初めてよ!
何だかワクワクして とても楽しい!”
ミシェル、立ち上がって前方へ。
ジョニー、ジョン顔を見合わせ、嬉しそうに前方へ。
ジョニー「(偉そうに。)遊園地って言うのは、楽しいものなんだ!」
ミシェル歌う。
“今まで感じたことないわ!
だって何もかも初めての出来ごと!”
ジョニー「そんなのつまんねぇだろ?」
ジョニー歌う。
“ここに来れば大人も子どもも
みんなが童心
忘れていた心を思い出す
素敵なとこだ!”
ジョン「(思わず吹き出す。)・・・あ・・・兄貴の口から“素敵”だ
なんて言葉・・・。」
ジョニー「てめぇ、何笑ってんだよ!!」
ミシェル歌う。
“本当に素敵!!
見るもの全て素敵!!
ここにいる私も素敵だわ!!”
3人、声を上げて笑う。
その時、チラチラ白いものが舞う。
ミシェル「(上を見上げて。)あ・・・雪・・・?」
ジョン「・・・ホワイト・・・クリスマスだ・・・。」
ジョニー「(何かに気付いたように、ポケットを探す。取り出した
キーホルダーを、ミシェルの方へ差し出す。)ほら、
メリー・クリスマス・・・。」
ミシェル「(嬉しそうに、キーホルダーを受け取る。)」
ジョン「何?何?俺には?」
ジョニー「ある訳ないだろ!馬鹿!!」
ジョン「えーっ!そんなぁ・・・!」
その時、下手よりブライアント登場。
ブライアント「(ジョニーを認める。)ジョニー・・・(茫然と。)」
ジョニー「・・・ブライアント・・・」
ジョン「あ・・・兄貴・・・(ミシェルを背後に隠すように。)」
ブライアント「これはこれは・・・。おまえが生きていたとはね・・・。」
ジョニー「悪かったな!まんまと俺を嵌めたつもりだったみてぇ
だが、残念だったな。(笑う。)」
ブライアント「・・・目の上のたんこぶが、まだ存在していたとは、
本当に残念だ・・・。だが、今回はどうかな・・・?ここ
で会ったのも何かの縁・・・、今度こそ・・・。(ニヤリと
笑い、背広の内ポケットへ、手を差し入れる。)」
ジョニー「(何かに感付いたように真顔になる。小声でジョンと、
ミシェルに。)逃げるぞ・・・。ジョン、彼女を守ってやれ
よ・・・。」
ジョン「お・・・俺・・・」
ミシェル「OK!!任せて!!」
ジョニー「(驚いたようにミシェルを見、頭に手を乗せ、微笑む。)
走れ!!」
ジョン、ミシェル上手方へ。ジョニー、下手へ
走り去る。
ブライアント「あ!!待ちやがれ!!待てー!!」 ※2
ブライアント、ジョニーを追って、下手へ走り去る。
ジョン「あ・・・兄貴-!!」
暗転。
――――― 第 7 場 ――――― A
舞台明るくなる。
一時置いて、ジョン、ミシェル上手より走り登場。
ジョン「(息を切らせて。上手方を気にするように。)・・・兄貴
・・・。」
ミシェル「(激しく息切れするように。)」
ジョン「(そんなミシェルの様子に。)・・・ミシェル・・・大丈夫・・・?」
そこへ、上手よりジョニー走りながら登場。
ジョニー「(息を切らせて。)危なかったなぁ!!(ジョン、ミシェル
の側に。)おい、大丈夫だったか!?」
ジョン「(ジョニーに気付いて。)あ・・・兄貴!!無事だったの!?
」
ジョニー「当たり前だ!!二度も同じ奴にやられるジョニー様じゃ
・・・(ミシェルの様子に気付いて。)・・・ミシェル?」
ミシェル、突然苦しそうに胸を押さえて、座り込む。
ジョン「・・・ミシェル・・・ど・・・どうしたの・・・?」
ジョニー「おい・・・?どうした!?苦しいのか!?おい・・・おい!
!確りしろよ!!直ぐ、病院に連れて行ってやるからな
!!死ぬんじゃないぞ!!(エコー。)」
――――― 第 7 場 ――――― B
舞台中央スポットに、茫然と佇むジョニー
浮かび上がる。
医者の声「何故、彼女を走らせたりしたんです!!彼女の心臓
が、長い時間、走るなんてことに耐えられる訳がない
ことを、君は知らなかったんですか!!」
扉が激しく閉まる音が響き渡る。
ジョニー「・・・悪かったな・・・走らせちまって・・・。おまえが走れね
ぇの・・・知ってたのに・・・。俺の所為で・・・。なんて
こった・・・。(天を見上げ。)おい、爺さん・・・。俺はいい
ことどころか・・・最低最悪のことを、やっちまったぜ・・・。
(フッと笑う。)・・・死ぬんじゃないぞ・・・生きるんだ・・・。」
その時、ミシェルの声が聞こえる。
ミシェルの声「あなた矢っ張り、幽霊さんだったのね!」
舞台明るくなると、上手方にミシェル立ち、微笑んで
ジョニーを見ている。
ジョニー「(ミシェルを認め、茫然と。)・・・ミシェル・・・?」
ミシェル「(嬉しそうに。)だって、私のこと見えてる!他の誰も私
のこと気付かないのよ!苦しい・・・と思ってたら突然、
体から心が抜け出たの!私、このまま死んじゃうのかし
ら・・・?でも、手術受けなくて済むんなら、その方がいい
わ!何も痛い思いしなくていいんだもの!ねえ!!
私もあなたと一緒に行こうかな・・・。」
ジョニー「ばっ・・・馬鹿野郎!!俺と一緒に行くってことは、本当
に死んじまうってことなんだぞ!!俺みたいに、ある日
突然死んじまって・・・何が何だか分からねぇ・・・心の
準備も何もあったもんじゃない人間のこと、少しでも考え
てみろ!!俺からみりゃ、生きれるチャンスが100万
分の1の確率でもある、おまえが羨ましいよ・・・。生きて
みてぇと思えよ!!遠くでおまえを呼ぶ声が聞こえる
だろ!?」
微かに“ミシェル”の名を呼ぶ声が、遠くで
聞こえる。
ミシェル「・・・パパの声・・・?ママ・・・?」
ジョニー「あいつらを悲しませていいのかよ!!遊園地に行って
も何も乗れねぇようじゃ意味がないだろ?手術受けて
元気になれよ!!恋人見つけて、2人でジェットコース
ター乗ってみろよ!!」
ミシェル「・・・ジョニー・・・」
―――――“ジョニー・クラウン”4へつづく・・・―――――
※ 本当は“看護婦”でした・・・^^;
※1、ジョニーさん、よく“馬鹿”を連発しますが、子ども作品
では、絶対に使わない言葉の一つです(^_^;)
※2、こんなセリフ、人形劇でもたまに登場しますが、この頃
も使ってたんですね~(~_~;)多分、これ以前も・・・^^;
はい、そしてこれからも・・・(-"-)
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
実は・・・ほんの数行ですが、一部、つけ足した場面が上の
ページの中にあります(^.^)つながりが可笑しいと思って、
つなげ直したのですが、分かりますか・・・?
久しぶりに、こんなセリフを数行ですが書いてみて、またまた
ちょっと大人な作品も、書いてみたくなりました~(^^)♥
どら。
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html
http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
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