2012年3月16日金曜日

“ブルー” ―全9場― 完結編

ブルー、ジャックを見据えると、ジャックの
         動きが止まる。

   ジャック「な・・・何をしたんだ・・・?」
   マーク「父さん!?」
   ブルー「(微笑んで、マークに言うように。)大丈夫、心配しなくて
        もいいよ・・・。一時間もすれば動けるようになるから・・・
        。」
   ジャック「いち・・・何の魔法を使ったんだ!!おい!!今直ぐ、
         私を動けるようにしろ!!」
   ブルー「(ジャックの方へ近寄り。)さようなら・・・。(ゆっくり上手
        方へ。)」
   ジャック「待て!!マーク!!奴を捕まえろ!!マーク!!」
   マーク「・・・やだよ・・・。」
   ジャック「マーク!!」
   マーク「(ブルーに。)・・・早く行きなよ・・・。」
   ブルー「ありがとう・・・。」
   ジャック「おい、何言ってるんだ!!マーク!!そいつは世紀の
         大発表なんだぞ!!マーク!!」

         ブルー、上手側から客席へ。前通って下手方へ。
         カイト、ローズマリー、ジャックの様子に呆然と
         しながら、ブルーの後を追うように続く。
         舞台フェード・アウト。

   カイト「兄ちゃん!!兄ちゃん、本当に魔法使ったのか!?
       何で、あのおじさん動けなくなったんだ!?」
   ブルー「(立ち止まり、振り返る。)魔法なんかじゃないよ・・・。
        あれは元々、私達の身に具わった力なんだ・・・。」
   カイト「元々具わった・・・力・・・?」
   ローズマリー「如何言うこと・・・?」
   ブルー「・・・カイト・・・私はもう行かなければいけないんだ・・・。」
   カイト「・・・行くって・・・何処に・・・?」
   ブルー「自分の星へ・・・。」
   カイト「何言ってんだよ、兄ちゃん・・・。」
   ブルー「私は青い血を持つ者・・・。」
   ローズマリー「・・・青い血・・・?」
   カイト「・・・じゃあ・・・あの時の・・・。」
   ブルー「(頷く。)夢なんかじゃない・・・。」
   カイト「嘘だ・・・!!」
   ブルー「(優しく微笑んで、首を振る。)」
   カイト「けど兄ちゃん言ったじゃないか!!何処へも行かない
       って!!一人にしないって言ったじゃないか!!兄ちゃ
       んが人間でなくたって、俺・・・!!」

         舞台フェード・インする。と、アパートの部屋。
         ソファーでローラ寝ている。

   ブルー「君は一人じゃない・・・。ローズもお母さんもいる・・・。
        それに、もう友達だっているじゃないか・・・。」
   
         3人、話しながら下手より舞台へ。

   カイト「・・・いやだ・・・。いやだ、兄ちゃん!!俺と病気の母ちゃ
       んだけ、置いて行っちゃうのかよ!!」
   
         ブルー、微笑んでゆっくりローラの側へ。ローラの
         横へ跪き、手を取り目を閉じる。一時すると、ローラ
         目覚める。ブルー、立ち上がる。

   カイト「兄ちゃん・・・。」
   ローラ「(起き上がる。)あら・・・帰ってたの?(立ち上がり、
        不思議そうな顔をする。)」
   カイト「・・・母ちゃん・・・?」
   ローラ「何だか今・・・とっても気分がいいんだよ・・・。丸で病気
        なんか治っちまったみたいに・・・。さぁて、今のうちに、
        用事を済ませてしまおうかね。今なら何でも出来そうだ
        !カイト、今夜は腕によりをかけて、夕食の支度をする
        からね!(笑いながら上手へ去る。)」
   カイト「母ちゃん・・・!!兄ちゃん・・・!!母ちゃん・・・。」
   ブルー「もう大丈夫・・・。」
   ローズマリー「・・・病気、治ったの・・・?」
   ブルー「(微笑んで頷く。)言っただろ?病気のお母さんと、2人
        にしないと・・・。」
   カイト「兄ちゃん・・・(涙声になる。)けど、いやだ・・・兄ちゃんが
       いなくなるのは・・・!!」
   ブルー「私の星は、この地球から20億光年彼方にある、ワード
        ワースと言う星なんだ・・・。私達には、病気を治す力や、
        ものを自由に動かす力・・・時間を止める力・・・もっと、
        色々な力が具わっているんだ・・・。けれど反対に、我々
        には、ものを食べる習慣はない・・・。勿論、眠ることも
        笑うこともない・・・。」
   カイト「だから・・・。」
   ローズマリー「忘れたんじゃなくて、知らなかったのね、最初
            から・・・。」
   ブルー「今、我々の星は段々と、感情のなくなった者達の横行
        に振り回されているんだ・・・。だから私は、色々な星の
        生き物を研究する為に旅に出た・・・。星を統轄するの
        に、必要なものは何かを探る為にね・・・。」
   ローズマリー「・・・星の王子様・・・。」

         音楽流れる。3人スポット。    ※

   ブルー「皆が待っているんだよ・・・。」
   カイト「兄ちゃん・・・。」
   ブルー「私は、この地球で学んだ、食べる・・・眠る・・・笑う・・・
        忘れないよ・・・。生きていくうえで、一番大切な感情を
        ・・・教えてくれた、この地球を決して忘れない・・・。
        だから・・・」

         ブルー、歌う。

         “覚えていてほしい・・・
         どんな時でも
         僕が君らの側にいること
         覚えていてほしい・・・
         たとえ離れて
         いても必ず
         見守ってると・・・”

   ブルー「・・・今日までありがとう・・・。楽しかった、本当に・・・。
        地球に来ることができて・・・、君達に出会えて・・・。
        一生忘れない・・・。ここで経験した全てのことを・・・。」
   カイト「兄ちゃん・・・。」
   ローズマリー「私達だって、楽しかった・・・!!あなたと出会え
            て・・・。ずっと忘れない・・・。だから・・・」

         ローズマリー、歌う。

         “覚えていてほしい・・・
         どんな時でも
         あなたがここで
         生きていたこと
         覚えていてほしい・・・
         たとえ離れて
         いても必ず
         心は側に・・・”

         ブルー、歌う。

         “どんな時でも・・・”

   ブルー「さようなら・・・。」

         ブルー、2人を笑顔で見詰める。
         フェード・アウト。

      ――――― 第 9 場 ―――――

         フェード・インする。と、アパートの部屋。
         上手奥よりローラ、パンの入った籠を持って登場。
         テーブルの方へ。テーブルの上へ籠を置き、皿を
         並べたりする。
         そこへ下手奥よりカイト、走り登場。

   カイト「ただいま、母ちゃん!!(パンを見て。)おっ、美味そう!
       !また姉ちゃんの差し入れかい?」
   ローラ「私が今朝、焼いたんだよ!」
   カイト「(不思議そうに、だが嬉しそうにローラを見て。)・・・へぇ
       ・・・。どれ・・・!!(籠の中から、パンを取りかじる。)」
   ローラ「これ!!手を洗いな!!カイトったら本当に・・・!!
        スープ入れてくるから、ちゃんと手を洗っとくんだよ!!」

         ローラ、上手奥へ去る。
         カイト、パンをかじりながらソファーへ腰を下ろす。
         と、ソファーの上に箱があったことに気付く。

   カイト「仕舞った!!何か踏ん付けちまった!!何だ、これ・・・
       ?(パンを銜えたまま、箱を開ける。驚いた面持ちで、
       呆然と箱の中を見詰める。)これ・・・(箱の中から、カード
       を取り出し読む。思わず溢れる涙を拭うように。箱の中
       から靴を取り出す。)」

   ブルーの声「生まれて初めて稼いだお金で、生まれて初めて
           のプレゼントを君に・・・。」

         下手方に窓枠のセット。
         カイト、靴を持ってその方へ。スポットに浮かび
         上がる。

   カイト「(空を見上げて。)20億光年って・・・どのくらい先なん
       だろうなぁ・・・。物貰ったら、ちゃんと礼言わなきゃな・・・。
       兄ちゃん・・・ありがとう!!(叫ぶ。)」

         嬉しそうに靴を胸に抱き、微笑んで遠くを
         見遣るカイト。
         音楽盛り上がり、フェード・アウト。



     
          ――――― 幕 ―――――












    ※ どうも、この場面には決まった曲が付いているようで、
      珍しく曲のタイトルが書いてありました(^^)
      だから、未発表脚本での歌詞は詩的な物に対して、
      この場面の歌詞だけ、人形劇脚本の歌詞のように、
      変な場所で段変えなんかをしています^^;




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