2012年3月11日日曜日

“ブルー” ―全9場―



      以前は“下敷き”を使用していなかった為、裏の
      鉛筆あとが、一杯残っています^^;


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      〈主な登場人物〉


    ブルー(ドレイファス)  ・・・  記憶のない青年。

    カイト  ・・・  ブルーと仲良くなる少年。

    ローズマリー  ・・・  カイトの隣に住む娘。

    マーク 

    ジミー

    トーマ

    ローラ  ・・・  カイトの母。

    エンド  ・・・  ドレイファスの知り合い。

    ジャック・マコーレー博士  ・・・  マークの父。


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         開演アナウンス。

         警報装置の音が鳴り響く。(“ピーピーピー”)

     コンピューターの声「第1エンジン停止!!減速!!急降下
                  !!第2エンジン停止!!地球圏に
                  突入!!墜落します!!」

         “ピーピーピー・・・”

         飛行物体の墜落音。(“ヒューン”“ドッカーン”)
         段々、遠ざかる。

         ――――― 第 1 場 ―――――

         下手スポット。
         窓枠の簡単なセットの後ろに椅子が1つ。
         その椅子に正座して、外を見ている少年(カイト)。

   カイト「あっ!!流れ星だ!!(両手を合わせる。)神様!!
       母ちゃんの病気を治して下さい!!お願いします!!
       俺、いい子になります!!だから・・・!!」

         フェード・アウト。
         音楽流れる。3人の少年(マーク、ジミー、トーマ)
         客席下手より、話しながら登場。   ※
         上手方より舞台へ。

   ジミー「俺、昨日の夜、UFO見たぜ!!」
   マーク「馬鹿!あれは人口衛星だよ!墜落したんだ!!新聞
        見なかったのか?」
   ジミー「知らないよ、そんなこと・・・。」
   トーマ「おまえこそ、本当に新聞なんて読んでんのかよ。(笑う
        。)」
   マーク「俺は、これでも家では“いい子”で通ってるんだぜ。」
   ジミー「何か面白いことないかなぁ・・・。」
   マーク「カイトの奴、今日見かけたか?」
   トーマ「いいや。」
   マーク「また苛めてやろうぜ!!」

         少年達歌う。

         “この町は俺達のもの
         大手を振って歩くのは俺達だけ
         糞面白くもねぇ 何もない町だけど
         他の奴らにゃ渡さない
         歯向かう奴は許さない
         口出し手出しは一切無用
         この町は俺達だけのもの
         優雅に表を歩くのは俺達だけ”

         下手よりカイト登場。3人を認め、一瞬躊躇った
         ように歩を止めるが、横を向いて通り過ぎようと
         する。3人、カイトに気付き、其々顔を見合す。
         ニヤリと笑い、ゆっくりカイトの前へ。
         カイト、立ちはだかる3人の間を縫って行こうと
         するが、3人、行かせまいとする。

   カイト「通してくれよ・・・。」
   マーク「よお、カイト!何処行くんだよ!」
   カイト「何処だっていいだろ!?早く通せよ!!」
   ジミー「生意気!!」
   マーク「誰がそんな口聞いていいったかなぁ・・・。」
   カイト「(3人を睨みつけて、唾を吐く。)煩い!!(行こうとする。
       )」

         3人、カイトを取り囲み歌う。

         “誰が気にくわない
         何が気にくわない
         その目が生意気だ
         口の利き方に問題がある
         もっと謙虚に
         もっと控え目に
         後から来た余所者のくせに!!”

   カイト「やめろよ!!」

         トーマ、カイトが握っていた財布に気付く。

   トーマ「こいつ、財布なんか持ってるぜ!!」
   ジミー「へぇ・・・。」
   マーク「あんなボロアパートに住んでんだ、きっと大金持ってん
        だぜ。(笑う。)貸せよ!!(カイトの財布を取り上げる。
        )」
   カイト「やめろ!!それは母ちゃんの薬代なんだ!!返せよ!
       !」

         3人、カイトの制止を振り切って、下手方へ行こうと
         する。そこへ下手より、普通とは違う一風変わった
         格好をした1人の青年(ブルー)、手に握っていた石
         を見ながら茫然と出、3人とぶつかる。
         マーク、手に持っていた財布をぶつかった拍子に
         落とす。

   マーク「何処見てんだ、おっさん!!」
   カイト「返せ!!」

         ブルー、カイトの“返せ”の言葉に、財布を拾い、
         カイトに渡し、再び茫然と石を見ながら、上手方
         へ行きかける。

   カイト「(呆然と。)・・・あ・・・ありがとう・・・。」
   マーク「何するんだ!!(ブルーの肩を掴む。)」
   ブルー「(思わず持っていた石を落とす。)あ・・・(慌てて、探す
        ようにしゃがみ込む。)」
   カイト「何だよ・・・、何落としたんだよ、兄ちゃん!大切な物なの
       かい?(一緒に探すように、しゃがむ。)」
  
         3人の少年、意地悪そうにその様子を見ているが、
         足元に落ちていた石に気付いたマーク、ニヤリと
         し、それを拾う。

   マーク「(石を空に翳して。)へぇ・・・、珍しい石コロだなぁ・・・。
        カイトの財布の代わりに、これ貰っとくぜ!!変な格好
        のおっさん!!」
   ブルー「(立ち上がり、手を差し出して。)返してくれ・・・。それは
        、唯一自分が誰なのか、思い出せる手掛かりなんだ・・・
        。」
   マーク「(無視して。)行こうぜ!!」
   トーマ「おう!」

         3人、下手方へ行こうとする。

   カイト「返してくれって言ってんだろ!?聞こえねぇのかよ!!」
   ブルー「返してくれ・・・。」
   カイト「おい!!(マイクの前へ立つ。)」
   マイク「どけよ!!(カイトを押し退ける。)」

         3人、笑いながら下手へ去る。

   カイト「畜生!!」
   ブルー「返して・・・」
   カイト「(溜め息を吐いて。)ごめんよ、兄ちゃん・・・。俺のせいで
       大事な石、取られちゃって・・・。けど、さっき変なこと言っ
       てなかったか?“自分が誰なのか思い出せる手掛かり
       ・・・”って、どう言うことだい?」
   ブルー「・・・あの石を握ってた・・・。気が付いた時・・・。」
   カイト「気が付いた時?何処で?」
   ブルー「(首を振る。)」
   カイト「兄ちゃん、名前は?」
   ブルー「・・・分からない・・・。」
   カイト「(驚いたように。)分からないだって!?ひょっとして
       兄ちゃん、あれかい?記憶喪失ってやつ・・・。」
   ブルー「(カイトを見る。)・・・きおく・・・そうしつ・・・。」
   カイト「じゃあ、勿論帰る家も分からないんだ・・・?」
   ブルー「・・・いえ・・・何処か・・・遠い・・・。(頭を抱かえて、
        しゃがみ込む。)思い出せない・・・。」
   カイト「あ・・・(ブルーに近寄って、腕を取る。)じゃあ、家来なよ
       !仕方ないから、思い出すまで泊めてやるからさ!!
       ・・・母ちゃんの薬代、あいつらから取り返してくれた礼
       だよ・・・。その代わり、すっげぇボロアパートだぜ。(笑う
       。)」

         カイト、上手へ行きかける。茫然と佇むブルーの
         方を向いて。

   カイト「何、ボケッと突っ立ってんだよ!!行くぜ!!」

         2人、上手へ去る。
         音楽でフェード・アウト。

         ――――― 第 2 場 ――――― A
    
         フェード・インする。と、カイトのアパートの部屋。
         上手方に一つのソファー、下手方に丸テーブルと
         椅子。中央には衝立。
         ソファーにカイトの母(ローラ)腰を下ろし、縫物に
         ゆっくり針を動かしている。
         そこへ、下手奥より1人の娘(ローズマリー)、
         手荷物を持って登場。

   ローズマリー「こんにちは、小母さん!」
   ローラ「ローズマリー・・・いらっしゃい。」
   ローズマリー「(持っていた袋を見せるように。)パン買って来た
            わ!」
   ローラ「何時も、済まないね・・・。」
   ローズマリー「いいのよ!それより起きてて大丈夫なの?(ロー
            ラの方へ。縫物を見て。)カイトのシャツ?また
            あの子、破いたのね?」
   ローラ「(微笑んで。)私は、カイトの洋服を繕っている時が、
        一番幸せだと思ってるんだよ・・・。それは、いくらやん
        ちゃでも・・・あの子が元気な証拠だから・・・。」
   ローズマリー「・・・小母さん・・・。」
   ローラ「あの子には、私はこんな体で、父親が死んでから苦労
        かけっぱなしだもの・・・。」
   ローズマリー「食事の用意するわ・・・。(パンを、テーブルの上
            の籠に入れながら。)」
   ローラ「(首を振って。)何時もローズに甘えてばかりいられない
        よ・・・、いくらお隣さんだからって。それに今日は何時も
        より気分がずっと良かったから、もう済ませてあるんだ
        よ。」
   ローズマリー「小母さん・・・。遠慮はなしよ!って何時も言って
            るじゃない。」
   ローラ「ありがとう、ローズ。」

   カイトの声「ただいまー!!」

   ローズマリー「帰って来た!次は“腹減ったー”ね。(笑う。)」

         下手奥よりカイト、続いてブルー登場。

   カイト「腹減ったー!!」
   ローズマリー「当たった!(笑う。)」
   ローラ「お帰り・・・。ローズマリーが、パンを買って来てくれて
        るよ。」
   カイト「姉ちゃん、いらっしゃい!姉ちゃんの買って来るパン、
       何時も美味いんだ!(籠からパンを一つ取る。)」
   ローズマリー「手、洗いなさい!(ブルーに気付いて。)あら・・・
            お客様?」
   カイト「あっ、そうだ!!母ちゃん、今日から暫くこの兄ちゃん、
       家に泊めてやっていいだろ?」
   ローラ「泊めるったって・・・こんな狭い所で・・・。」
   カイト「そのソファーでいいんだよ!夜露が凌げれば。な、兄
       ちゃん!実はこの兄ちゃん記憶喪失で、俺がマークの
       奴らに絡まれてるとこ、助けてもらったんだ。」
   ローズマリー「まあ、またあの悪餓鬼どもね!何処も怪我ない
            の?」
   カイト「うん、大丈夫さ!ただ、兄ちゃんの大切な石をあいつ
       らに・・・。」
   ローラ「石?」
   カイト「記憶を取り戻す手掛かりなんだ・・・。それをあいつら
       ・・・。」
   ローラ「まぁ・・・。(立ち上がって。)カイトがお世話をかけて・・・
       ありがとうございました・・・。こんな所でよかったら、何時
       までもいて下さいな。」

         ブルー、軽く頭を下げる。

   カイト「よかったな、兄ちゃん!そうだ、母ちゃん、ほら薬!(手
       に持っていた袋を、ローラの方へ差し出す。)早くこれ
       飲んで、もう休みなよ!奥は俺が片付けとくからさ!」
   ローラ「ありがとう、カイト・・・。」

         ローラ、カイトから袋を受け取り、上手へゆっくり
         去る。

   ローズマリー「あなたって無口ね!名前は?」
   カイト「分からないんだよ何も!」
   ローズマリー「ふうん・・・。(ブルーに近寄って。)けど、名無し
            じゃ呼び辛いじゃない。いいわ!私が付けてあげ
            る!(ブルーをマジマジ見る。)あなたの瞳・・・
            青味がかって綺麗ね・・・。青い・・・ブルー・・・
            ブルーだわ!!ブルーにしましょう!!ね!?」
   カイト「もちっとマシな名前付けれないのかよ、姉ちゃん・・・。
       ブルーだなんて・・・。」
   ローズマリー「いいの、ブルーで!!」
    
      



        ――――― “ブルー”2へつづく ―――――









   ※ 舞台脚本のお話しでは、この客席に下りて登場する
    ・・・のように、客席を舞台変わりに使う・・・と言った方法が、
    多々現れます(^^)














        http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html

              http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005

             http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta

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