2012年8月14日火曜日

“君のために・・・” ―全6場―


    〈 主な登場人物 〉


    クリフ  ・・・  本編の主人公。
              芝居一座の少年。

    ジ―ク  ・・・  村の少年。

    ポーラ  ・・・  クリフの妹。 病気がち。

    森に住む魔法使い

    村の少年達

    ジ―クの母

    ジ―クの父

    芝居一座のおかみさん。

    その他


― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


            音楽流れ幕が開く。


    
                 村の様子。



    ――――― 第 1 場 ―――――

         1人の少年(ジ―ク)、上手より走り登場。

  ジ―ク「おーい!!芝居一座がやって来たぞー!!」

         村人達、嬉しそうに上手下手より
         それぞれ登場。歌う。

         “平和な村 争いもない
         だけど楽しみも 面白みもない
         心踊る楽しいことが
         一つでもあれば退屈を忘れる
         飽き飽きする程 平凡なこの村
         たまに訪れる夢を売る者達が
         退屈な日々を忘れさせてくれる
         キラキラ輝いて夢のような世界”


    


         (上手後方より芝居一座の行列が、ゆっくり
         登場。紙吹雪を巻きながら下手前方へ向かう。)

         ジ―ク、楽しそうに芝居一座の行列に見入って
         いる。

  ジ―ク「楽しそうだなぁ・・・」

         下手よりジ―クの母登場。

    


  ジ―クの母「(ジ―クの耳を引っ張る。)」
  ジ―ク「いててててっ・・・。何すんだよ、母ちゃん!!」
  ジ―クの母「何すんだよじゃないだろ、ジ―ク!!お使いはどう
         したんだい!?」
  ジ―ク「分かってるよ!!」
  ジ―クの母「ほら、見てごらん、あの色の白い男の子・・・。綺麗
         な顔してるねぇ。さすが夢を売る商売の子は、あんた
         とは大違いだ。(笑う。)」
  ジ―ク「煩いな、母ちゃん!!」

         芝居一座歌う。(手拍子入る。)

         “皆様ようこそ 我々夢一座
         楽しい芝居や美しい歌声を
         皆様に届け 楽しんでもらう為
         ここへ馳せ参じた次第”

         一番後ろを歩いていた少女(ポーラ)
         ジ―クの目の前で躓く。

  ポーラ「あ・・・」
  ジ―ク「君!(手をかける。)」

         先に歩いていた少年(クリフ)、ポーラに
         駆け寄る。

  クリフ「ポーラ!!」
  ジ―ク「大丈夫・・・(手を貸そうとする。)」
  クリフ「触るな!!」
  ポーラ「お兄ちゃん・・・」

         クリフ、ポーラを手助けしながら行きかける。

  ジ―ク「あ・・・おい、おまえ!」
  クリフ「(ジ―クを睨み付け。)ふんっ!!」

         ジ―ク残して紗幕閉まる。

    ――――― 第 2 場 ――――― A

  ジ―ク「ちぇっ・・・なんだよ、あいつ・・・」

         (紗幕前。)
         音楽流れ、少年達、上手より走り
         登場。歌う。


    
                      ※


  少年1「おーい、ジ―ク!!」
  ジ―ク「よぉ、みんな!」
  少年2「なんか楽しそうな芝居が、始まるらしいぜ!!」
  ジ―ク「知ってる、知ってる!」
  少年3「みんなで覗きに行ってみないか!?」
  ジ―ク「ああ!」
  少年1「よし、行こうぜ!!」
  ジ―ク・少年達「おお!!」

     少年達“楽しそうな芝居小屋
          平和なこの村に”     コーラス“楽しみなことが
                                あるんだ”

     少年達“やって来た楽しみな
          唯一の娯楽ごと”     コーラス“わくわくする”

         紗幕開く。と、芝居小屋の外。
         少年達、後ろを向いて、何かを覗いて
         いる風に。

  少年2「わぁーっ!!」
  ジ―ク「ちょっとどけよ!!見えないだろ!!」
  少年3「あっ・・・」
  少年1「ちょっと俺にも見せてくれよ!!」
  少年2「わあーっ・・・」
  少年3「へえーっ・・・すごいなぁー・・・」
  少年1「見てみろよ、あいつ!」
  ジ―ク「あ・・・あの野郎、さっきの・・・」
  少年2「女みたいだなぁー・・・」
  少年3「わあっ!!押すなよ!!」
  少年1「いてっ!!」

     ジ―ク“行こう    コーラス“芝居を見に
          すぐに          芝居を見に
          早く”           芝居を見に”
   
     少年達“こんなことは滅多にないんだから”

     ジ―ク“行こう    コーラス“芝居を見に
          行こう          芝居を見に
          行こう”         芝居を見に”

         そこへ下手より、桶を持ったクリフ登場。

  クリフ「(少年達に気付く。)おい!!何してるんだ!!」
  少年達「わあーっ!!」

         少年達、上手へ走りさる。(曲終わり。)

    ――――― 第 2 場 ――――― B

  クリフ「ふんっ・・・全く・・・」

         小屋が開く。と部屋の中。
         ポーラ、ベットに横になっている。


    



  ポーラ「あ・・・お兄ちゃん・・・。どうかしたの?」
  クリフ「ううん・・・なんでもないよ。どう?具合は・・・」
  ポーラ「うん・・・平気・・・(咳き込む。)」
  クリフ「あんまり喋っちゃ駄目だよ。」
  ポーラ「うん・・・」

  おかみさんの声「クリーフ!!さっさとしないと学校に遅れちまう
            だろ!!学校はただじゃないんだよ!!早いと
            こお行き!!」

  クリフ「はーい、おかみさん!!直ぐ行きまーす!!ポーラ・・・
     僕は学校に行って来るからね・・・。ゆっくり休んでいるんだ
     よ。」
  ポーラ「うん・・・」

         クリフ本を持って、行きかける。
         音楽流れる。

  ポーラ「お兄ちゃん・・・」
  クリフ「ん?」
  ポーラ「学校楽しい・・・?」
  クリフ「え・・・?」
  ポーラ「私も学校へ行ってみたいなぁ・・・」

         ポーラ歌う。

         “元気になって思い切り
         走り回る草原を
         それが私の夢なのよ
         誰も知らない”

         クリフ歌う。
  
         “この僕が代わることが
         できたならば
         辛い思いしなくてすむ
         僕だけが元気で”

         ポーラ歌う。

         “元気になって
         走り回る 夢の中だけ”
 
  クリフ「いつか必ず行けるから・・・」
  ポーラ「うん・・・」
  クリフ「おやすみ・・・」
  ポーラ「おやすみなさい・・・」

         (クリフ残して、紗幕閉まる。)


    



  クリフ「神様は不公平だ・・・。僕らは一生懸命生きてるだけなの
      に・・・」

         クリフ歌う。

         “今までだって沢山の
         辛いことを乗り越えて
         ただ頑張って生きてきた
         小さな幸せ”

         本を拾って、下手方へ。
         (途中、紗幕開く。と、村の様子。)

    ――――― 第 3 場 ―――――

         クリフ、下手方へ行きかけると、下手より
         ジ―ク登場。


    


  ジ―ク「(クリフを認める。)あ・・・よぉ。」
  クリフ「(無視して行こうとする。)」
  ジ―ク「おい!知らん顔すんなよ。」
  クリフ「煩いな・・・」
  ジ―ク「おい!どこ行くんだよ!教科書持って・・・。学校はそっち
      じゃないぜ。」
  クリフ「ほっといてくれよ。」
  ジ―ク「学校まで案内してやるから、付いて来いよ。」
  クリフ「(無視して行こうとする。)」
  ジ―ク「おいってば・・・(クリフの腕を掴む。)」
  クリフ「はなせよ!!」
  ジ―ク「なんだよ・・・分からずや!!」
  クリフ「どっちが分からずやだ!!僕がどこへ行こうと、何をしよ
      うと、おまえには関係ないだろ!!」
  ジ―ク「子どもは学校へ行くものなんだ!!学校の他に、おまえ
      が行くところなんて、きっとろくでもない・・・」
  クリフ「仕事に行くんだ!!」
  ジ―ク「・・・仕事・・・?」
  クリフ「病気の妹の薬代がいるんだ!!だから仕事してお金を
      稼がなきゃいけないんだ!!」 
  ジ―ク「お金って・・・おまえ芝居小屋の・・・父ちゃん、母ちゃんは
      どうしたんだよ。」
  クリフ「僕ら兄妹に父さんも母さんもいない・・・。あの一座に拾わ
      れたんだ・・・。そこで育てられた・・・。そのうえ僕は学校ま
      で行かせてもらってるんだ。だから薬代まで貰える訳ない
      じゃないか!!」
  ジ―ク「だったら尚更行かなくちゃ!!そうだろ!?」
  クリフ「行きたくても行けない奴もいるんだ!!幸せなおまえに
      は分からないだろうけど・・・。どうでもいい話しをさせない
      でくれ・・・」
  ジ―ク「学校へ行こうぜ・・・。これ・・・足りるかどうか分かんねぇ
      けどさ・・・。(クリフに手を差し出す。)」
  クリフ「(ジ―クから何かを受け取る。)なんだよ・・・」

         音楽流れる。

  ジ―ク「俺の昼飯代さ。」
  クリフ「お金・・・?施しなんかいるもんか!!(放り投げる。“チ
      ャリーン”)」  ※1

         クリフ歌う。

         “誰がほ施しなんか僕のこと
         馬鹿にするなよ おまえなんか
         幸せな生活を
         ただ送る奴に”

         ジ―ク歌う。

         “甘えた考えはやめるんだ
         自分ばかりが辛いなんて
         後ろ向き 俺を見ろ
         目を合わせるんだ”

         クリフ歌う。

         “おまえに何が分かると
         僕の今までが
         記憶に残っている
         辛い思い出”          コーラス“心に”

         ジ―ク歌う。

         “おまえに同情なんてする訳ない
         誰もが同じ権利がある
         学ぶこと妨げる
         それは不公平だ”

  ジ―ク「学校は行かなきゃ駄目だ!!父ちゃんがそう言ってた
      ・・・。子どもはしっかり勉強しなきゃ駄目だって・・・。でな
      いと大人になったら困るって・・・だから・・・」
  クリフ「余計なお世話だ!!おまえに何が分かるんだ!!父さ
      んも母さんもいない・・・妹と2人だけで生きてきた僕の気
      持ちが!!」

         ジ―ク歌う。

         “おまえも分かってる筈
         自分一人だけ
         辛い思いを抱かえ
         きたんじゃないと”

         クリフ歌う。

         “誰も僕らのことを        コーラス“離れた
         分からない                  2人の
         今までどんな風に2人           気持ちが
         肩寄せてひっそりと             今は
         生きてきたなんて              近く
                                  歩み合わせ
         ジ―ク歌う。                 分かり合う”

         “辛いことがあるなら
         言えばいい
         心の中に溜め込まずに
         吐き出せば
         きっとまた歩き出せる筈さ”









    ――――― “君のために・・・”2へつづく ―――――









   ※ この少年達、ジ―ク君以外は以前使用したお人形の
     使い回しです^^;
     どの子が誰か、分かりますか・・・?
    (答え、左より“未来の海へ”貝君、“未来の海へ”十海君、
     ジ―ク、“光の国のエリオット”マルコ少年。)

   ※1、“生チャリーン”、グーグル版“ワールド”で是非お聞き
      下さい^^;




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           http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005

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