2012年8月9日木曜日

“ワンダフルToday!―君と僕の新しい出会い―” ―全11場― 3

――――― 第 9 場 ――――― A

         紗幕開く。と、村長の納屋が激しく燃えている。


    
                      ※



         それぞれ犬たち、上手下手より走り登場。      
         恐々と遠巻きにして、その様子を見る。

  犬1「火事だー!!ワンワンワン!!」
  犬3「大変だー!!ワン!!」
  犬4「火だ!!火が出てるぞー!!ワン!!」
  犬1「村長さん家の納屋から火が出てるぞー!!ワン!!」
  犬3「大変だー!!ワン!!」
  犬4「どうすればいいんだワン!!」

         犬たち歌う。

         “恐ろしい恐ろしい
         火事だぞ火が出てる
         どうすればいいんだ
         何もかも燃え尽きる
         恐ろしい火だ
         この身も焼き尽くす全て

         恐ろしい恐ろしい
         火事だぞ火が出てる
         どうすればいいんだ
         何もかも燃え尽きる
         恐ろしい火だ
         この身も焼き尽くす全て”

  犬1「早く何とかするんだワン!!」
  犬3「そうだバケツを持てワン!!」
  犬4「水だワン!!」
  犬1「急いで水を運ぶんだワン!!」
  犬3「早くしろワン!!」
  犬4「ワンワンワン!!」

         “恐ろしい火がこの村中を    コーラス“恐ろしい
         焼き尽くしてしまう今にも           火事だ”
         何もかも奪い去る火事だ
         恐ろしい火だ
         火事だ火事だ”

         そこへ上手よりアナベル、走り登場。

  アナベル「みんな!!ワン!!」
  犬1「お嬢さんワン!!」
  アナベル「大変だわワン!!早くなんとかしないと・・・ワン!!
        (納屋に近付こうとする。)」
  犬3「(アナベルを制止して。)危ないワン!!お嬢さん、火に近
     寄ったら駄目だワン!!」
  犬4「火は昔から我々動物が一番苦手といているものだワン!
     !」
  犬1「そんな火に近寄れば命がどうなるか・・・ワン。」
  アナベル「だって・・・だって納屋の中に、この村の来年の作物
        の種が全部収めてあるのよワン!!」
  犬3「なんだってワン・・・?」
  犬4「種が・・・」

         “命の源が消える・・・”

         “恐ろしい恐ろしい
         火事だぞ火が出てる
         どうすればいいんだ
         何もかも燃え尽きる
         恐ろしい火だ
         この身も焼き尽くす全て”

         その時、上手より村長走り登場。

  村長「アナベル!!」
  アナベル「お父様!!」
  村長「大変だぞ!!このままじゃ作物の種は全て燃え尽きてし
     まうワン!!来年は食べ物が作れなくなって、この村の者
     たちはみんな散り散りになってしまうワン!!」
  アナベル「誰か・・・誰か早く火をワン!!」
  犬1「い・・・嫌だワン・・・」
  犬3「お・・・俺たちは犬だワン・・・」
  犬4「火が怖いんだワン・・・」
  犬1「無理だ・・・ワン・・・」
  犬2「無理よ・・・ワン・・・」
  アナベル「そんなことを言ってたら、来年はこの村はなくなってし
        まうのよワン!!」
  犬3「そんなに言うなら・・・アナベルお嬢さんが行けばいいワン
     ・・・」
  村長「どうすればいいんだワン・・・」

         “恐ろしい・・・”

  犬4「なんとかしないと・・・ワン・・・」
  犬2「でも・・・ワン・・・」
  犬1「火には近寄れないワン・・・」

         “恐ろしい恐ろしい
         火事だぞ火が出てる
         どうすればいいんだ
         何もかも燃え尽きる
         恐ろしい火だ
         この身も焼き尽くす全て”

         そこへ上手よりジュリー、走り登場。

  犬たち口々に「人間だ・・・ワン・・・」
  村長「人間?ジュリー・・・ワン・・・」
  ジュリー「私が取って来るわ!!」


   



  アナベル「え・・・?」
  犬3「人間のおまえに、何ができるワン!!」
  犬4「そうだワン!!」
  村長「放っといてもらおうワン・・・。これは我々犬の国の問題だ
     ワン・・・。」
  アナベル「でも・・・そんなこと言ってたら来年の作物は・・・ワン
        ・・・」
  
         “犬の国の・・・”

  ジュリー「何言ってるのよ!!」

         ジュリー、歌う。

         “姿がどうでも変わりない
         たとえ過去がどうでも
         大切なものを守ること
         それが人のすべきこと
         だから拒否されても
         私は行くわ”

         ジュリー、納屋へ飛び込む。

  アナベル「ジュリー!!」

     コーラス“姿が違ってても
           大切なもの守る為”

  アナベル「ジュリー!!」

         “ゴォーッ”と木が崩れるような音。

    ――――― 第 9 場 ――――― B

         一時置いて、ジュリー麻袋を抱かえ納屋から
         出る。
         (その顔は、すすで真っ黒になっている。) ※1
         音楽流れる。


   
            

 
  犬1「種だ・・・ワン・・・」
  犬3「種だ!!」
  犬4「ジュリーが種を守ってくれたぞー!!ワン!!」
  犬1「来年も食べ物を作ることができるんだー!!ワン!!」
  犬3「ジュリーのおかげだー!!ワン!!」
  村長「ジュリー・・・」
  ジュリー「村長さん・・・」
  村長「我々犬は、元来火にはとても弱い・・・。昔から火は恐ろし
     いものと本能的に悟るからだ・・・。それをそなたは勇敢に
     もその中に飛び込み、人間でも怖いであろう火に立ち向か
     い・・・我々の命の源となる種を守ってくれた・・・。この恩は
     一生忘れることはないであろう・・・ワン・・・。」

         村長歌う。

         “ありがとう       コーラス“ありがとう
         勇気を                私たち
         拒否した               間違ってたのね
         我々を 
         許して                許して
         くれるか               心から”
         感謝を
         心から”

         ジュリー歌う。

         “私がみんなの
         役に立ったのね”

  村長「ありがとう・・・ジュリー・・・」
  アナベル「私も・・・お礼を言わせて・・・ワン。ありがとう・・・。」
  ジュリー「アナベル・・・」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 10 場 ―――――

         紗幕前。
         上手より犬たち話しながら登場。

  犬1「ジュリー、森の魔法使いに10時間だけ犬に変わる薬を作
     ってもらって飲んでたんだってワン。」
  犬3「へぇ・・・でもまだ尻尾はそのまま犬みたいだったワン。」
  犬1「きっと失敗作の薬だったのさワン!」
  犬2「でも・・・あんな人間もいるのねぇ・・・ワン・・・」
  犬3「うん・・・。こんなところまでプッチを捜しに来るなんてワン
     ・・・」
  犬1「そう言えば、プッチが目覚めたらしいワン。」
  犬2「本当ワン?」
  犬3「プッチはジュリーと一緒に帰るのかなぁ・・・ワン。」
  犬1「ジュリーが飼い主ならプッチは幸せだワン。」
  犬2「そうね・・・ワン。」

         犬たち下手へ去る。
         紗幕開く。と、村の様子。
         (中央、プッチ後ろ向きに立っている。)
         上手よりジュリー、走り登場。

  ジュリー「プッチ!!プッチ!!目が覚めたのね!?」
  プッチ「ジュリー!!僕を捜しに来てくれたんだってワン?」
  ジュリー「そうよ!!あなたがいなくなって私どうしていいか分
       からなかったの・・・。」
  プッチ「そんな姿にまでなって・・・ワン・・・」
  ジュリー「耳はもう戻っちゃったけど・・・」


   


  
  プッチ「ありがとうワン・・・」
  ジュリー「プッチ!!早く私と一緒に帰りましょう!!」
  プッチ「僕・・・ずっと夢を見ていたよ・・・ワン・・・」
  ジュリー「夢・・・?」
  プッチ「うん・・・。ジュリーが新しい友達とどこかへ行ってしまうん
      だワン・・・。」
  ジュリー「プッチ・・・」
  プッチ「夢の中ですごく淋しかったんだワン・・・」
  ジュリー「そんなことある筈ないわ・・・。(優しく。)」
  プッチ「僕は一度はジュリーの元へ戻ろうと、新しい飼い主の家
      を飛び出した・・・。ただ夢中で帰ろうとして・・・そうしてこ
      んな大怪我をしたんだ・・・。僕は大好きだったジュリーと、
      ずっと一緒にいたかったんだ。ただそれだけだった・・・。
      でも・・・僕はここへ残るよ・・・。」
  ジュリー「え・・・?」
  プッチ「僕はここで他の犬たちと一緒に暮らすよ・・・ワン・・・」
  ジュリー「どうして・・・どうしてなの!?」
  プッチ「ジュリーは新しい環境で・・・ジュリーの未来の為に生き
      るんだ・・・ワン。」
  ジュリー「プッチ・・・」
  プッチ「それにもう・・・ジュリーは僕がいなくても大丈夫・・・。きっ
      と・・・新しい家で楽しく暮らして行けるよワン・・・。」
  ジュリー「どうして・・・?一緒に新しい家に行ってくれないの!?
       今度の家は、とても賑やかで大きい町のビルだってパ
       パが言ってたわ!とても見晴らしがよくって・・・。あなた
       と行けるって心から楽しみにしてたのよ。」
  プッチ「僕は・・・人間じゃないんだ・・・ジュリーとは一緒に行けな
      いんだよ・・・ワン。」
  ジュリー「・・・嫌・・・嫌よ!!そんなの嫌!!」
  プッチ「ジュリー・・・思い出して・・・。ジュリーが初めて僕に出会
      った時のこと・・・。初めて見る犬に君はとても怖がって、
      僕にちっとも近寄って来てくれなかった・・・。でも・・・段々
      慣れて・・・今では・・・誰よりも僕たちは仲良しになれた・・・
      ワン・・・。」
  ジュリー「だからこれからも・・・」
  プッチ「(首を振る。)だから・・・直ぐにまた新しい友達ができるよ
      ・・・きっとワン・・・」
  ジュリー「あなた以上の友達なんてできない・・・」

         音楽流れ、ジュリー歌う。

         “お願い行かないで
         いつまでも側にいて
         私のこと見ていて”

  プッチ「大丈夫・・・ジュリーならきっと・・・僕がいなくても・・・。そ
      れに・・・離れていても・・・僕たちの心はいつも一緒だ・・・
      ワン。ほんの少しの間でも・・・僕は君と同じ言葉で、君に
      僕に気持ちを伝えることができてよかった・・・。ほら・・・
      ジュリー・・・完全に君は人間の姿に戻る時間が来たよ・・・
      ワン。」
  ジュリー「え・・・?(自分の後ろを見て。)あ・・・尻尾が・・・(尻尾
       が消える。)」
  プッチ「僕をこんな遠くまで捜しに来てくれて・・・本当にありがと
      う・・・ワン・・・」

         プッチ歌う。

         “今 僕は君と別れ
         一人旅立つ
         幸せな思い出を
         胸に抱かえ君との”

         プッチ、中央後方へ下がる。
         (ジュリー、中央正面見上げる。)
         森の木々たち、ジュリーを残して
         プッチを隠すように。(プッチ去る。)

         ジュリー歌う。

         “お願い一人にしないで
         あなたと行くわ
         どこまでも
         たとえ姿が違っても
         2人は一緒・・・”

  ジュリー「プッチー!!」

         紗幕閉まる。 











 ――――― “ワンダフルToday!
     ―君と僕の新しい出会い―”完結編へつづく ―――――










   ※ この火事場の場面、どうやって“火事”を演出しようか・・・
     と、散々色々と調べ試行錯誤したのですが、結局、一番
     簡単に出来そうな、上記のような“ペープサート”の“火”に
     なりました(^^)
     ビデオが残ってない為、どんな風に見えていたのか、確認
     は出来ませんが、写真で見る限り、それなり・・・に見えて
     いたのではないか・・・と思いますが・・・如何ですか・・・^^;

   ※1 この“すす”で汚れたジュリーちゃんのお顔をどうしようか
     と考え、肌色フェルトを汚して、それを貼り付けて汚れた感
     を出して、練習していたのですが・・・(>_<)・・・当日は、
     付ける時間がなく、綺麗なお顔のままで出てしまいました。
     
     袋を持って登場のジュリーちゃんのお顔、ご覧下さい^^;




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         http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta




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