その時、下手より若い姿のままのダスティン、
慌てているように走り登場。
ケビンと擦れ違いざま、思わずぶつかり、手に
持っていた書類を落とす。
ケビン、よろめいて膝をつく。
ダスティン「悪い!!じいさん、大丈夫か!?(ケビンに手を貸
し、立たせる。)」
ケビン「ああ・・・。わしの方こそ悪かったの。歳を取ると、どうも
のんびりしてしまってな・・・。」
ダスティン「仕方ないさ・・・。(落とした書類を、掻き集める。)」
ケビン「・・・はて・・・どこかで会ったことがあるかの・・・?」
ダスティン「え?」
ケビン「以前、確かにおまえさんと知り合いだったような気がし
たんじゃが・・・」
ダスティン「じいさんの思い過ごしさ・・・。俺はこの町は初めて
だからね。じゃあ、じいさん!!気をつけろよな!!」
ケビン「ああ・・・ありがとうよ・・・。」
ダスティン、上手へ去る。
ケビン、振り返ってダスティンを見る。
ケビン「だが確かに・・・どこかで・・・。歳を取ると、頭の方も鈍っ
ていかんの・・・。(笑う。)」
ケビン、下手へゆっくり去る。
一時置いて、その様子を見ていたように、
上手よりダスティン登場する。
ダスティン「・・・人間・・・って言うのは・・・短い限られた人生を、
ただひたすらに精一杯生きていく・・・。丸でマラソン
ランナーのように、立ち止まることを知らず、ゴール
を目指して我武者羅に・・・。それが幸せなのか・・・
俺には分からない・・・。何人もの人生の一部に係わ
ってきた・・・。だが、決して見届けることのできない
俺には、その人間が幸せだったかどうかなんて、分
かる筈もない・・・。どうしちまったんだろう・・・。余り
にも長い時を生き過ぎて・・・体は若くても、考え方が
歳を取ってきたのか・・・。(フッと笑う。)昔は自分の
行いを悔いることなんてなかった・・・。だが今は・・・。
教えてくれ、ケビン・・・。おまえは今幸せか・・・?人
生と言う舞台のフィナーレは、拍手喝采で迎えられ
そうか・・・?今気付いたよ、クリストファー・・・。あの
時・・・おまえの言いたかったことが・・・。本当に立ち
止まれないのは俺の方だ・・・。俺は・・・おまえが羨
ましいよ・・・ケビン・・・。」
ダスティン、スポットに浮かび上がり歌う。
“たった一つの命
たった一度きりの人生・・・
過ぎ去った思い出が
忘れ去られる前に
温かな優しさに包まれたまま
時を楽しめたなら
幸せと言う喜びが迎えてくれる・・・
今を生きる時間の流れに
流されることなく
身を任せられたなら・・・
幸せと言う未来を
誰もがこの手に入れる・・・”
音楽盛り上がり、遠くを見遣るダスティン。
――――― 幕 ―――――
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