2012年9月6日木曜日
“未来への扉” ―全9場―
以前に書いていた作品には“あらすじ”などを書いているもの
もあり、この作品にも付いていたので、今回は珍しいのですが、
“あらすじ”も合わせてお読み下さい(^^♪
また、数少ない、題名の付いた作品でもあります^^;
どら。
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〈主な登場人物〉
アレックス ・・・ ヨットで、世界中の海を渡り歩く冒険家。
ジョーイ ・・・ アレックスの友人。
エンゼル ・・・ アレックスが孤島で知り合った娘。
本当の名前は、フランシス。
クリスティーン ・・・ アレックスの恋人。
トレイシー ・・・ ウエイトレス。
ヘンリー ・・・ エンゼルの婚約者。
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〈あらすじ〉
アレックス・ジョンソンは、ヨットで海を渡り歩く冒険家。一つの
冒険を達成し、戻って来ると、金回りのいい仕事を見つけ、冒険
資金を貯め、また海へ出て行く・・・と言う暮らしに充実感を抱い
ていた。ただ、そんなアレックスに恋人や友人は、其々理解を
示す振りをしながら、心の何処かでは、何か不安を感じずには
いられなかった。
そんなある日、何時ものように冒険旅行に出ると言うアレックス
に、恋人はもうこれ以上は待つことに耐えられないと、愛している
が故の別れを切り出す。そんな恋人の言葉に、今まで恋人の
理解に甘えていた自分に初めて気付き、恋人の幸せを祈りなが
ら、傷心の旅に出る。
そこである日アレックスは、突然の大嵐に遭い、一つの無人島
へ流れ着く。その島で、一人の娘と知り合ったアレックスは、
その場の様子や、娘の態度に何か解せないものを感じながらも
、娘の明るさに心が和み、知らず知らずのうちに、今まであった
ことや自分のことなどを話すようになる。
一方、アレックスの話しに興味深く、熱心に聞き入っていた娘も
、少しずつ自分のことを話し出す。そんな風にお互いが語ってい
るうちに、其々何か惹かれるものを感じるようになり、もっとお互
いのことを知りたいと思うようになる。
何時間立ったとも、何日間立ったとも感じたある時、アレックス
はふと、その島が何か変だと思い始め、ここにいようと言う娘を
連れて、脱出を試みようとして、初めて自分達が、島の虚栄を
した、何か得体の知れないドームに閉じ込められているのだと
気付くのだが・・・。
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――――― 第 1 場 ―――――
大嵐の風雨が吹き荒れる音。
混じるように、人々の叫び声。
(幕が開く。)
声「帆を下ろせ!!」
アレックスの声「糞う!!舵が利かない!!」
声「マストが折れたぞ!!」
声「駄目だ!!沈むぞ!!早く此方の船へ!!」
声「救命道具を投げろ!」
波の激しいうねり、人々の叫び声、段々遠ざかる。
それに代わるように、波が静かに押し寄せ引く音。
カモメが飛び交い、風が戦ぐ。
フェード・インする。
と、中央、一人の男(アレックス)が倒れている。
(バックブルー)
静かな音楽、流れる。
一時置いて、素足の一人の娘(エンゼル)、足音
もなく、好奇心一杯に下手奥より現われ、アレックス
に近寄り、覗き込むように回りをゆっくり回る。
クスッと笑ったエンゼル、人差し指を差し出し、
アレックスの頬にそっと触れる。
アレックス「ん・・・冷たい・・・(ゆっくり目を開け、気付く。)」
アレックス倒れたまま、何か訳が分からない
ように、回りを見回し、エンゼルを認める。
アレックス「・・・誰・・・だ・・・?」
エンゼル「(クスクス笑って。)何故、こんな所に寝ているの?」
アレックス「・・・分からない・・・(ゆっくり起き上がり、回りを見回し
しながら。)・・・ここは・・・何処だ・・・?」
エンゼル「(微笑んで。)秘密の楽園・・・。」
アレックス「・・・秘密の・・・楽園・・・?」
エンゼル「(頷く。)」
アレックス「・・・そうか・・・。それは丁度いい・・・。(立ち上がり、
服を払う。)」
エンゼル「(不思議そうに。)丁度いい?」
アレックス「ああ・・・」
エンゼル「へぇ・・・。何かから逃げ出して来たのね?」
アレックス「(エンゼルの言葉に、一瞬顔を曇らせるが、再びゆっ
くり回りを見回す。)・・・ここは・・・島のようだが・・・」
エンゼル「そうよ。私達以外、誰もいないわ。」
アレックス「(一瞬驚いたように。)誰も・・・いない・・・?」
エンゼル「(嬉しそうに。)あなたが来てくれて、嬉しいわ!」
アレックス「だけど俺は・・・一体何故この島に・・・」
エンゼル「いいじゃない、そんなこと。」
アレックス「・・・確か・・・あれは・・・(記憶を辿るように。)」
エンゼル「帰りたい?」
アレックス「・・・(一時考えるように。)・・・いや・・・、もう帰る必要
はなくなったから・・・。」
エンゼル「・・・そう・・・?」
アレックス「(不思議そうにエンゼルを見る。)・・・何だか変わっ
た娘だな・・・。おまえ・・・名前は・・・?」
エンゼル「(嬉しそうに微笑んで。)・・・エンゼル・・・」
アレックス「・・・エンゼル・・・?(思わず笑う。)天使か・・・。いい
名前だ・・・。俺は・・・」
エンゼル「アレックス・ジョンソン・・・。(微笑む。)」
アレックス「(驚いたように、エンゼルを見る。)何故・・・?」
エンゼル「(アレックスを見て、ただ微笑む。)」
アレックス「何処かで、会ったことがあるのか?」
エンゼル「ね!それよりあなたのこと聞かせて!(興味深そうに、
身を乗り出す。)」
アレックス「・・・俺のこと・・・?」
エンゼル「そう!何処に住んでたの?」
アレックス「・・・変な奴だなぁ・・・。」
エンゼル「ね!何処に住んでたの?」
アレックス「(溜め息を吐いて。)・・・ニューヨークのど真ん中・・・。
丁度最近引っ越した所だったんだ・・・。」
エンゼル「へぇ・・・。いい所?」
アレックス「いい所?お世辞でも、いい所とは言えないね。仕事
先のボロアパートさ。住み込みしてたんだ・・・。」
エンゼル「(何か意味深げにアレックスを見て。)・・・何の仕事
?」
アレックス「バーテンダー・・・水商売さ。」
エンゼル「(嬉しそうに微笑んで。)カクテル作りね?」
アレックス「ああ・・・。そう言えば、自分で考えたカクテルで、“エ
ンゼル”ってのもあったな・・・」
エンゼル「(一時、アレックスを微笑ましく見詰める。)・・・ずっと、
そのお仕事してたの・・・?」
アレックス「違う・・・。俺は世界の海を渡り歩く、根っからの冒険
家だ。一つのチャレンジを目指す為に、色んな仕事
をするんだ。なるべく儲けのいい仕事をね・・・。たとえ
それが命に関わるようなことでも、儲けさえよければ
どんな仕事だってする・・・。夢を叶える為に・・・。それ
でまた・・・」
エンゼル「そう・・・チャレンジャーなのね。素敵じゃない!いいな
ぁ、自分を試すことの出来る人は・・・。今まで、どんな
所へ行って来たの?」
アレックス「(呆然と、エンゼルを見詰める。)おまえ・・・本当に変
わってるな・・・。俺の知ってる女達の中で、俺のやっ
てきたことに敬意は表してくれても、“素敵”なんて表
現した奴は、おまえが初めてだ・・・。(笑う。)」
エンゼル「何故?人間、生きていくうえで、本当にやりたいことを
やれる人って、そんなにいないと思うわ・・・。それを、
あなたは実践してきたんでしょう?それこそ生きる夢
とロマンよ!!・・・生きているうちには、本当にやりた
いことをやらなくちゃ・・・。後で後悔したって、始まらな
いのよ・・・。」
アレックス「・・・おまえは・・・?」
エンゼル「私の人生なんてつまらないものだったわ・・・。何時も
家柄に縛られて・・・何一つやりたいことが出来なかっ
た・・・。」
アレックス「これからだってすればいいじゃないか!!」
エンゼル「・・・アレックス・・・(見詰める。)」
アレックス、エンゼルに訴えるように
力強く歌う。
“本当にやりたいと心に思うことは
人から見ればただ無謀で
馬鹿げたことかも知れない
だけど自分にとって
チャレンジせずに心に仕舞い込む方が
後でする後悔の渦に
屹度飲み込まれ
身動きできなくなることが
必ずくると自分には分かる筈
だから飛び出してみよう!!
たった一歩踏み出すことで
これからの人生が変わったものに
なるんだ屹度!!
だから閉じ籠もるばかりでなく
自分の手で輝かしいこれからの未来を
掴むんだ必ず!!”
瞳を輝かせてアレックスを見詰めるエンゼル。
アレックス、自分の言ったことに何か躊躇うよう
な面持ちでフェード・アウト。
(フェード・アウトしながらアレックスの声。)
アレックスの声「・・・エンゼルにあんな風に言ったけど・・・本当
にそうだったんだろうか・・・。あれは確か・・・」
――――― 第 2 場 ―――――
紗幕前。
上手より、スーツ姿に身を包んだジョーイ、
ゆっくり登場、歌う。
(歌いながら下手方へ。)
“決して口にしてはならないこと・・・
心の奥深くに押し込め
ただ平然と歩き続ける・・・
どんなに叫び吐き出してしまいたくとも・・・
心を殺して大きく息を吸い
微笑む振りをする・・・
決して口にしてはならないことを・・・
一生自分の心とは裏腹の
人生を平然と歩き続ける・・・
どんなに苦しく胸を締め付けるこの思い・・・
この心が日の目を見ることがないように
微笑む振りをし続けよう・・・”
ジョーイ、回りを見回し、腕時計にチラッと目を
遣る。一時置いて、上手よりクリスティーン、走り
ながら登場。下手方に立っていたジョーイを認め、
息を切らしながら、走り寄る。
クリスティーン「ご免なさい・・・!!」
ジョーイ「(振り返って、クリスティーンを認める。)クリスティーン!
走って来たのかい?」
クリスティーン「だって、約束の時間に遅れそうだったから・・・。」
ジョーイ「(微笑んで。)馬鹿だな。僕が時間に遅れて来た君を、
待たないとでも思ったかい?」
クリスティーン「ジョーイ・・・。そうね。(微笑む。)」
ジョーイ「それで?(楽しそうに。)アレックスの奴、今度は何を
やってるんだ?」
クリスティーン「(溜め息を吐いて。)バーテンダー・・・。」
ジョーイ「そりゃまた・・・元の仕事に戻ったって訳だ。」
クリスティーン「でも今度は、今まで住んでた自分のアパートを
出て、住み込みで行ったのよ・・・。」
ジョーイ「へぇ・・・また突然・・・。でも、酒作りじゃ、命の心配を
することはないな。」
クリスティーン「ええ。それだけが唯一の救い・・・。全く、アレッ
クスったら、好い加減、地に足を付けて生活して
くれてもいいのに・・・。」
ジョーイ「そうだな・・・。」
クリスティーン「それに何時までも、アレックスがこんな生活続
けていると、両親が結婚を許してくれないんです
もの・・・。」
ジョーイ「・・・あいつの夢を知ってる俺が、君のご両親の立場
でも、屹度、奴に大切な娘を嫁には遣らないだろうな
・・・。」
クリスティーン「・・・ジョーイ・・・」
――――― “未来への扉” 2へつづく ―――――
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(どら余談^^;)
題名が付いている、数少ない作品の中で、この“未来”が
付いているものが、人形劇脚本も合わせて3本・・・(^_^;)
多いですね・・・^^;
“未来”といった言葉が好きなのか、前を向いて行く・・・と
言ったシチュエーションが好きなのか・・・(^^)
“過去”の多用ではなく前向きな“未来”と言うことで・・・
内容的には全く違うと思いますので、あまり気にしないで下
さい~・・・^^;
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
http://blog.goo.ne.jp/ritorupain2005
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
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