ドン「付いて行ったところで、お宝さえ見つけ出して、この屋敷か
らとっととおさらばすりゃあ・・・」
デン「幽霊さんの探し物は・・・?」
ドン「一体何探してんのか知らねぇけど、そんなの上手いこと誤
魔化しゃあいいだろ・・・!!」
デン「えーっ・・・!!」
ドン「馬鹿!!声がデカイ!!」
ルルル「コソコソいつまで相談してるの?決まった?私だって忙
しいのよ・・・。」
ドン「あ・・・ああ・・・よし分かった・・・おまえさんの言うように、一
緒に探し物を見つけ出そう・・・!!」
ルルル「(微笑んで。)こんな風に見えて、あなたたちより私はず
っとお姉さんなんですからね・・・。悪知恵働かそうなん
て考えないことね・・・」
その時、冷たい風が吹き抜ける。
ドン、デン「ヒッ・・・!!」
ルルル「もし裏切ったらどうなるか・・・」
ドン、デン「・・・は・・・はい・・・!!」
ルルル、ゆっくり上手方へ。
デン「あ・・・兄貴・・・なんかやばくない・・・?」
ドン「しっ!!もう乗り掛かった船だ・・・!!」
ルルル「(2人の方を向いて。)早く行くわよ・・・」
ドン、デン「は・・・はい!!」
3人、上手へ急ぎ足で去る。
――――― 第 3 場 ――――― C
一時置いて、下手よりグンとポー、身を
寄せ合って、恐る恐る回りを見回し登場。
歌う。
“怖いよ怖い・・・
恐ろしい・・・
こんな屋敷は初めてだ・・・
助けてパパママ
こんな場所・・・
やっぱり来るんじゃなかった
最初から・・・”
グン「おまえが入ろうって言い出したんだからな!!」
ポー「だってボールが・・・屹度、割れた窓ガラスから、お屋敷の
中に飛び込んだんだよ・・・だから僕・・・」
グン「兎に角、早く探し出してとっととこんな薄気味悪いとこ、出
ようぜ・・・!!」
ポー「う・・・うん・・・!!」
2人、其々タンスの下を覗き込んだり
している。
ポー「・・・可笑しいなぁ・・・」
グン「廊下の割れた窓ガラスから飛び込んだボールが、こんな
部屋の中まで転がってくるかなぁ・・・」
声「あなたたちは誰・・・?」
ポー、頭を上げて回りを見回す。
ポー「え・・・?何か言った?グン・・・」
グン「何?」
ポー「うん・・・、今誰かの声が聞こえたような・・・」
グン「俺たちの他に誰がいるんだよ。」
ポー「・・・そうだよね・・・」
グン「(ソファーの下を覗きながら。)・・・そんなことより、早く探
せよ・・・」
ポー「う・・・うん・・・(探し出す。)」
声「何を探しているの・・・?」
ポー「(頭を上げる。)誰!?」
グン「・・・誰?誰も何も、僕しかいないだろ・・・?さっきから可笑
しな奴だなぁ・・・」
ポー「でも・・・」
グン「それより見つかったのか?」
ポー「う・・・ううん・・・」
声「何が見つかったの?」
グン「え・・・?」
ポー「ほ・・・ほら・・・今の声・・・聞こえただろ・・・グン・・・僕たち
の他に・・・このお屋敷に誰かいるんじゃ・・・」
グン「ば・・・馬鹿!そんなこと・・・変なこと言うなよ・・・怖いじゃ
ないか・・・」
ポー「だって・・・」
グン「怖い怖いと思うから、余計怖くなるんだ!」
ポー「そ・・・そうだね・・・」
グン「う・・・歌でも歌おうぜ!!」
明るい音楽流れ、2人声を揃えて歌う。
“明るい森の楽しい場所
いつでも賑やか
温かな歌声
降り注ぐ陽が辺りを包む!
(曲調、恐ろし気な感じに変わる。)
だけど陽が落ち・・・
辺りが闇に包まれる頃・・・
土の下から這い上がる・・・”
グン「・・・え・・・?」
“誰も知らない・・・
ここは世にも恐ろしい・・・
死者の森!!”
2人「わあーっ!!」
グン「何歌ってんだよ!!この歌、ハロウィンソングじゃないか
!!」
ポー「だってーっ!!」
声「あははははは・・・」
グン、ポー「え・・・?」
グン、ポー手を取り合い、恐る恐る回りを
見回す。
声「あははははは・・・人間って面白い生き物ね・・・」
その時、中央回転椅子が向きを変え、
そこに座っていたラララ、立ち上がる。
グン、ポー「わ・・・わあーっ!!お・・・お化けーっ!!」
グン、ポー腰を抜かし、抱き合い震える。
グン「た・・・助けて下さい・・・助けて下さい!!」
ポー「ごめんなさい・・・!!ごめんなさーい・・・!!」
ラララ「あははははは・・・一体あなたたち、何に謝っているの?」
グン「だ・・・だって無断でこのお屋敷に入って・・・」
ポー「だから・・・!!」
ラララ「・・・なんだ・・・いいのよ、ここは空き家なんだし・・・」
グン「で・・・でも・・・ゆ・・・ゆ・・・幽霊さんの・・・」
ラララ「私たちは見える人間もいれば、見えない人間もいる・・・
ええ・・・昔々は確かに私たちの家だったけれど・・・今は
ただの廃墟・・・人間はお化け屋敷・・・とも言うわね。(笑
う。)」
ポー「お・・・おば・・・お化け・・・」
ラララ「それで・・・一体あなたたちは何を探していたのかしら・・・
?」
グン「い・・・いえ・・・別に・・・何も・・・」
ポー「僕たちは・・・何も幽霊さんの家を・・・荒そうだなんて・・・」
グン「僕たちはただ・・・」
ポー「グンの大切な・・・」
グン「丸い・・・」
ラララ「丸い・・・?丸いですって・・・?」
ポー「(両手で丸を作って。)これくらいの丸い形をしたボール・・・
」
ラララ「(ポーの言葉を最後まで聞かずに遮るように。)いいわ!
私がその丸いものを、あなたたちと一緒に探してあげる
わ。」
グン、ポー「えーっ!!」
グン「う・・・嘘だろ・・・」
ラララ「さぁ、早く探しに行きましょう、そのあなたたちが探してい
る大切な丸いものを・・・」
ラララ、上手方へ行き掛ける。
ポー「ど・・・どうする・・・?」
グン「どうするもこうするも、相手は幽霊・・・」
ポー「ぼ・・・僕・・・怖いよ・・・」
グン「僕だって・・・!!」
音楽流れ、グン、ポー、歌う。
“どうする?信じる?
こんな話し・・・
幽霊の言うことなんて
信じていいのか本当に・・・
だけど見つけたい大切な
だから勇気絞ってやって来た
どうする?信じる?
嘘のような話しだけれど
信じてみよう・・・
ちょっとだけ!!”
グン、ポー、お互い顔を見合わせ頷く。
ラララ「いつまで話しているの・・・?早くしないと暗くなるわよ・・・
」
その時、時計の音(“ボーン”)が、鳴り響く。
グン、ポー「わあーっ!!」
グン「はい!!はい!!」
ポー「今、行きまーす!!」
ラララ、上手へ去る。
グン、ポー、恐る恐るラララに続いて上手へ
去る。
紗幕閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕前。
下手スポットにマーサ浮かび上がる。
マーサ「(受話器を持って、電話しているように。)ええ・・・ええ
・・・えっ!?本当に!?分かったわ!!今度はいくらい
るの?大丈夫!!お金ならまた私がなんとかするから!
弟の手術のことはお願いね・・・。私・・・そっちへは行けな
いけど・・・」
その時、下手スポットへ飛び込むように
ルルル登場。
ルルル「マーサ!!」
マーサ「(慌てて電話を切る。)ルルルお嬢様!!」
ルルル「・・・電話?」
マーサ「い・・・いいえ・・・違いますわ。それよりどうしたんですか
?こんな遅い時間に・・・。ラララお嬢様は、とっくにベッド
にお入りになられてますのに・・・。」
ルルル「マーサだけに、私の秘密を教えたかったの!!」
マーサ「秘密・・・?」
ルルル「そう!!マーサは私の親友だから、私の秘密を知って
て欲しかったの!!」
マーサ「お嬢様・・・」
ルルル「でも誰にも内緒にしててね!!ラララにも言っちゃ駄目
!!」
マーサ「内緒に・・・?(溜め息を吐いて。)仕方ないですわね・・・
」
ルルル「約束よ!!(小指を差し出す。)」
マーサ「(微笑んで。)はい・・・(ルルルと指切りする。)」
ルルル「(嬉しそうに微笑み、ポケットから水晶玉を取り出す。)
・・・見て・・・これ。」
マーサ「・・・水晶玉・・・?」
ルルル「(頷く。)魔法の水晶玉よ!!」
マーサ「魔法の・・・って・・・」
ルルル「ほら、見て!!幸せそうな私たち!!」
マーサ「(水晶玉を覗き込む。)あっ!!これは・・・」
ルルル「ね!!お父様とお母様!!それに小さい頃の私たち
よ!!とても幸せそうでしょ?」
マーサ「あの・・・」
ルルル「カエルに姿を代えられてしまってた、魔法使いのお婆
さんを助けたお礼に、そのお婆さんが私にくれたのよ!
けど、誰にも見せたりしたら駄目だって・・・。でも、マー
サにだけは私の秘密、知ってて欲しかったの!!」
マーサ「ルルルお嬢様・・・」
2人、水晶玉を覗き込んでいる。
マーサの声「・・・大変だわ・・・この水晶玉で、もし私のしている
ことがバレでもしたら・・・弟の病院代が払えなくな
ってしまう・・・。どうしよう・・・どうしたら・・・そうだわ
・・・!!」
暗転。
――――― 第 5 場 ―――――
音楽流れ、紗幕開く。と、屋敷の中の部屋。
上手より摺り足でルルル登場。歌う。
(後ろからルルルについて、恐る恐る回り
を見回し、ドン、デン登場。)
“どこにあるの私の探し物
こんなに探して見つからない
誰が隠した私の宝
許さないわ見つけたら
この手で必ず捻り潰す”
ドン「お・・・おい・・・なんて歌、歌ってんだよ・・・。」
デン「うん・・・」
ルルル「あら・・・変かしら?」
ドン「変も何も・・・捻り潰すだなんて・・・」
ルルル「(笑う。)だって、悪いことをしたら罰を受けるのは当た
り前・・・。そうでしょ?」
ドン「そりゃあ・・・。けど、悪いことったって、まだ本当に盗られた
かどうかなんて分かりゃ・・・」
ルルル「(一際恐ろし気な声で。)盗られたのよ!!」
ドン、デン「ヒーッ!!ごめんなさい!!」
ルルル「私の宝を黙って盗っておいて、ただで済むと思ったら大
間違い・・・」
デン「な・・・何もオイラたちは幽霊さんのお宝を盗もうなんて・・・
ねぇ、兄貴・・・!」
ドン「・・・ちょっと待てよ・・・盗まれたってことは・・・ひょっとして
もうどこか、この屋敷の外に持ち出されてて、この家の中に
はないんじゃないか?(笑う。)」
ルルル「(再び恐ろし気な声。)煩いわね!!」
ドン、デン「わあーっ!!ごめんなさい!!」
デン「兄貴!!何てこと言ってんだよ!!」
ドン「悪い、悪い!!冗談だってば・・・」
ルルル「たちの悪い冗談だこと・・・」
ドン「すんません・・・。それよりおまえの探してるお宝って言うの
は、一体何なんだ?」
デン「うん・・・」
ルルル「私の大切な思い出を見る為のもの・・・魔法使いのお婆
さんに貰った、大切な・・・」
デン「(下手方を見て。)あ・・・兄貴!!向こうから誰か来る・・・
!!」
ドン「デン、またかよ・・・。このお屋敷は空き家だって、この幽霊
さんも仰って・・・た・・・(下手方を注視する。)・・・え・・・?」
ドン、デン、下手方を見つめたまま、
動きが止まる。
ドン、デン「わ・・・わあーっ!!」
ドン「お化けだーっ!!」
デン「お化けがまた増えた!!」
ドン「・・・1人・・・?いや・・・後ろからもう2人・・・!!」
デン「3人!?」
ドン、デン「わあ・・・わあーっ・・・!!(2人、腰を抜かしたように
。)」
そこへ下手より、ラララ摺り足でゆっくり
登場。続いてグン、ポー、恐々回りを見回し
ながら、手を取り合い登場。
(ドン、デン、震えている。)
ラララ「(ルルルを認め。)あら・・・こんなところで奇遇ね・・・」
ルルル「ラララ・・・」
グン、ポー、ルルルを認める。
グン、ポー「わ・・・わあーっ!!」
グン「またお化けだーっ!!」
ポー「怖いよーっ!!」
グン「ごめんなさーい・・・!!」
(グン、ポー、身を寄せ合い震える。)
――――― “古びた洋館の隠れた住人・・・”
4へつづく ―――――
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