サンタ「ああ・・・おまえさんにサンタの称号を与えよう・・・。」
ドン「サンタの称号・・・?何だそれ・・・」
サンタ「おまえさんは今日より、正式のサンタとなり、全世界の
子どもたちに夢と希望を与えるのじゃ。」
ドン「・・・え・・・?」
サンタ「サンタはいいぞ。称号を与えられた時から、先ず年を取
らんからの・・・。(笑う。)それにいつも、子どもたちの憧れ
の的じゃ。」
ドン「ちょ・・・ちょっと待ってくれ・・・俺はまだ若いんだ!やりたい
ことだって山程ある!それなのに今からサンタの国に引き
こもって、一生、サンタの仕事に従事するなんて嫌なこった
!」
サンタ「子どもたちの喜ぶ顔を見たくないのかね?」
ドン「そりゃあ・・・ちょっとばかしサンタの真似事をやってみて、
悪い気分じゃあなかったさ。けど、ずっとそればっかしじゃ
あ・・・。ま・・・一年に一度、年寄りのあんたの手伝いくらい
なら、してやってもいいけど・・・」
トナ「サンタさんを年寄り呼ばわりするなんて!」
ドン「それに俺には相棒のデンがいる・・・。あんたに・・・トナが
いるようにな・・・」
トナ「ドンサンタ・・・」
ドン「ずっと2人で・・・悪いこともいいことも、なんだってやって
きたんだ。ここで俺がサンタに弟子入りしちまったら、あい
つはこれから一人でいなくちゃならねぇだろ・・・?だから、
もう少しの間、普通の人間でいさせてくれ・・・。その変わり
年取って、やりたいことがなくなったら・・・デンと2人で、サ
ンタ修行をさせてくれよ・・・。」
サンタ「ふむ・・・そうか・・・?今直ぐ、楽が出来ると思ったが・・・
仕方がないのぉ・・・」
トナ「サンタさん!」
サンタ「いやはや、それではおまえさんが年を取って、サンタク
ロースの風格を身につけるまで、今しばらく待つとしよう
かの・・・。」
ドン「悪いな。」
サンタ「構わんよ。わしにもトナと言う相棒がおるからの。ホッホ
ッホ・・・」
トナ「サンタさん・・・」
サンタ「さぁトナ、行くぞ!!愚図愚図してると、プレゼントを配り
終える前に、朝になってしまうわ。」
トナ「やれやれ、まだしばらくは僕の仕事も減りそうにないね。」
サンタ「ホッホッホ・・・」
ドン「俺がサンタの国へ行くまで、頑張ってくれよ!」
サンタ「おまえもな・・・」
トナ「さよなら、ドンサンタさん!!」
サンタ、トナ、下手へ去る。
ドン、2人に大きく手を振り、見送る。
――――― 第 8 場 ――――― B
その時、デンの声が聞こえる。
デンの声「兄貴ーっ!!」
上手よりデン、走り登場。
デン「プレゼントが出来たよ!!」
明るい音楽流れ、カーテン開く。と、
イルミネーションに光輝く街の様子。
ドン「おう!!(デンからサンタクロースの衣装を受け取り、羽織
りながら。)じゃあ、そろそろサンタクロースの見習い出勤す
るか!!」
デン「了解!!」
ドン、デン笑い合う。
ドン、デン、横に積み上げられてあった
プレゼントを一つずつ袋の中へ入れていく。
コーラス“心がポカポカ
ジンジャーキャンディと共に
やって来る
白いお髭のサンタクロース
赤い服の下に着込んだ
スーツのことは
誰も知らない裏の顔”
ドン、歌う。
“誰かの為に何かをすること
誰かの喜ぶ顔を見ること
ほんの少しの思い遣り
心が温かくなるような
そんな思い満更でもない
嘘で始めたサンタクロース
だけど大切なことを教えてくれた
大人になって
初めて貰った
サンタクロースの贈り物!”
デン、いつの間にか一つの袋を肩に
担いで上手後方へ。
デン「兄貴ー!!置いてくよーっ!!(上手後方へ去る。)」
ドン「あ・・・!!待てよ!!おいデン!!(慌てて袋を担ぎ、上
手後方へ。)」
ドン、立ち止まり振り返る。
ドン「メリークリスマス!!」
ドン、上手後方へ去る。
サンタの笑い声「ホッホッホ・・・」
――――― 幕 ―――――
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