2012年2月27日月曜日

“未来の海へ” ―全4場―


               優海ちゃん(紗幕前)

   これは、わりと下方から撮っているので、真正面からの写真
   では見えないライトや、中央上の方に、舞台の骨組みの一部
   であるパイプが見えています。


  

   

   優海(ゆうみ) ・・・何でも一人でやってみたいと考えている。
   Cロボ ・・・優海のお世話ロボット。

   パパ ・・・優海の父。

   十海(とうみ) ・・・優海の兄。 

   貝(かい) ・・・船に乗っている少年。
   波(なみ) ・・・船に乗っている少女。
   少女 ・・・貝、波の友達。

   船長さん

   

  ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪  
 
      音楽(オルゴール)流れ、幕が開く。

  ――――― 第 1 場 ――――― A

      紗幕前。舞台中央、優海とパパ話している。

  優海「おばあちゃん、ご病気なの?」
  パパ「そうなんだ。そこで、おばあちゃんを元気付ける為に、
      このママの思い出のオルゴールをおばあちゃんに届け
      たいんだが・・・仕事で行けないパパの代わりに、優海、
      おばあちゃんに届けてくれるかい?」
  優海「・・・私が・・・?」
  パパ「ああ。」
  優海「(嬉しそうに。)ええ!!分かったわ!!私、おばあちゃんの
      ところへ行って来るわ!!」
  パパ「船で何日もかかるんだよ?」
  優海「平気よ!!」

      上手より、サッカーボールを持った十海、登場。  


       
                  十海くん。
     (後ろの紗幕が・・・少しシワシワですね~・・・^^;)


  優海「(十海を認め、駆け寄る。)あ!!お兄ちゃん!私、パパの
      お使いで、1人でおばあちゃんのところへ行くのよ!」
  十海「へぇ・・・。」
  優海「すごいでしょ?」
  十海「クラブがなけりゃ、僕がおまえの代わりに行く筈だった
      んだ。」
  優海「残念ね。(笑う。)」
  十海「煩いな!泣いて帰って来るなよ!」
  優海「失礼ね!」

      優海、十海、ふざけ合いながら下手へ去る。

  パパ「(溜め息を吐いて。)大丈夫だろうか・・・本当に・・・。」

      上手より、Cロボ登場。


      
              (左より)パパ・Cロボ。
        
  Cロボ「パパさん。」
  パパ「あぁ、Cロボ・・・」
  Cロボ「買い物に行って来ました。」
  パパ「ありがとう・・・。そうだ、Cロボ!おまえ、優海に付いて、
      おばあちゃんのところへ行っておくれ。」
  Cロボ「おばあちゃんのところ・・・?」
  パパ「そうだ。船旅になるから、ロボットのおまえには厳しいかも
      知れないが、おまえなら   優海を守ることが出来るだろ
      う。」

      音楽流れ、紗幕開く。

  ――――― 第 1 場 ――――― B

      船が泊まってる。
      優海、Cロボ、船に上って行く。
      (前方、岸壁にパパ。)

  パパ「Cロボ、頼んだぞ!!何があっても、優海のことを守る
      んだ!!」
  Cロボ「はい!!」
  優海「パパ、行って来まーす!!」
  パパ「優海!!気を付けて行っておいで!!おばあちゃんによろしくな!!」

      優海歌う。

      “この青い海原
       初めて1人で行くの
       誰にも頼らずに
       初めての冒険
       少し不安だわ
       勇気を出すのよ
       1人で行けるわ
       大丈夫だわ
       この青い空
       初めてのお使いなの”

  ――――― 第 2 場 ―――――

      船がセリ下がる。と、船上(甲板)。 
      波、貝、少女、楽しそうに遊んでいる。
      波歌う。

      “気持ちいい風が頬なで
       冷たい水しぶきが
       私の髪に触れ
       可愛くカールするわ小さく
       誰もが見るわ私の
       髪のレース”

  波「そしたら次は私の番ね!はいっ!(右を向く。)」※

      他の2人、合わせるように右を向く。  

  波「はいっ!(左を向く。)」

      他の2人、合わせるように左を向く。

  波「はいっ!(上を向く。)」

      少女上を向くが、貝、下を向く。

  貝「あーっ!!しまった!!」
  波、少女「(笑う。)」
  波「貝の負けね!」
  貝「畜生!じゃあ今度は俺が・・・」

      3人、遊んでいるように。
      下手より、優海登場。
      続いてCロボ登場。優海から離れて立つ。

  優海「(海を見ている風に。)わあーっ・・・広いなぁ・・・。Cロボ!
      こっちへいらっしゃいよ!!」
  Cロボ「僕は、あまり船の端っこには・・・」
  優海「潮風が、とっても気持ちいいのに!」
  Cロボ「潮水を浴びると、さびてしまうんです。」
  優海「まぁ、大変ね。(笑う。)」  

      優海、遊んでいる3人に気付き、近寄る。

  優海「こんにちは!」

      3人、優海を見る。

  優海「何してるの?」
  波「誰?あなた・・・」
  優海「私は優海。ばあちゃんの家へ、1人で向かう所なの!」
  少女「1人で船旅だなんて、勇気あるのね。」
  波「私は無理だわ。パパとママと離れて行くなんて。」
  優海「そんなことないわ。全然平気よ。」
  少女「へぇ・・・」
  貝「そんなことより、早く続きやろうぜ!(優海に。)おまえも一緒
    にやる?」
  優海「いいの?」
  Cロボ「優海ー!」
  優海「Cロボ!あなたもいらっしゃいよ!」
  波「・・・ロボット・・・?」
  優海「え?ええ・・・」
  波「1人だなんて嘘吐きね!ちゃんとお供がいるじゃない!」
  優海「違うわ!Cロボは・・・」
  貝「悪いな、ロボットは入れらんないぜ。」
  優海「え・・・」
  貝「何考えてるか、分からないからな。」
  優海「Cロボ!しばらく部屋で、休んでていいわよ!」
  Cロボ「それは出来ません。僕は優海の側から、離れることは出来
      ないのです。そうプログラムされているから・・・」
  優海「離れないプログラム・・・?パパね!」
  貝「じゃあ仕方ないなぁ。」
  波「(笑う。)あなたは、そのロボットと仲良く遊んでなさいよ!貝!
    向こうでゲームの続きをしましょ!」
  貝「ああ!」

      3人、上手へ去る。

  優海「待って・・・!」
  Cロボ「優海・・・」
  優海「あなたがいるから、仲間に入れてもらえないじゃない!!」
  Cロボ「ごめんなさい・・・」
  優海「パパでもないのに、パパの振りして私に付いて来ないで!!
      私は、もう1人でも大丈夫なんだから!!」

      優海、下手へ走り去る。

  Cロボ「優海!!」

      音楽流れ、Cロボ歌う。

      “僕はロボットだから
       君の気持ちが分からないんだ
       だけど君を守ること
       それが僕に与えられた役目
       僕はいつも君の側にいるよ
       君のこと 理解する為
       努力するよ いつも君の側にいて
       だから僕のことを・・・”

      Cロボ、優海を追い掛けて、下手へ走り去る。

  Cロボ「優海ー!!」

      下手後方より、優海登場。

  優海「私は1人だって大丈夫だってことを、証明したいのに!!」

      (優海の回想。)
      後方、左右にパパ、十海、セリ上がる。

  パパ「十海は1人で行けるな?」
  十海「勿論さ!」
  優海「私は?」
  パパ「優海は私と一緒に行くんだ。」
  優海「どうして?!お兄ちゃんは1人でもよくて、私はパパと一緒
      でないといけないの!?」
  パパ「優海はまだ小さいんだ。十海のように、1人でできない
      だろ?」
  十海「おまえには、まだ早いんだよ!」
  優海「そんなことないもん!私だって1人で行けるもん!!」
  パパ「我が儘言わないんだ!」
  優海「パパ!!」

      (パパ、十海下がる。)

  優海「いつまでも子ども扱い・・・」

      優海歌う。

      “私はなんでもできるわ1人でも
       誰の力も借りないわ
       私1人で勇気を出して
       この場所に来た
       なのにまだパパは
       私を信用してない
       だから1人で送り出してくれない
       いつでも誰かが
       一緒でないとね・・・”

  優海「私だって、お兄ちゃんのように・・・。何かしら・・・これ・・・」

      優海、何かを拾う。
      上手より、波登場。
   

     
            「何かしら、これ・・・」優海。





       中々Cロボを受け入れられない優海ですが・・・
       2人は仲良くなることができるのでしょうか。
       優海は一体、何を拾ったのでしょうか?
       それでは“2”へと続きます・・・。





     

   
 

    ※皆さんご想像の通り、“あっち向いてホイ!”の
      逆バージョンのようなゲームをしていると、思って下さい。
      実際、公演では“ボール遊び”のような物に代わったと、
      記憶しております^^;



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