2012年2月11日土曜日

“音の妖精ティンクルの大冒険” ―全7場―


              音の妖精ティンクル。

 今回は、いきなり幕を開けるのではなく、ティンクルちゃんを
 まずチラッとお披露目し、一旦幕を閉めてから、再び開ける・・・
 と言った方法で開演させました。この“幕”の使い方で、色々と
 面白いことができるのではないか・・・と考えていますが、一番
 近いところでは、“エリオット”くんのラストで、じいやさんを一人
 幕の外に残したまま閉める・・・といった終わり方をしてみました。

  (今回の舞台写真は、まだ内側のライトを購入前だった為、
   少し暗めになっていますが、お許し下さい)



    〈主な登場人物〉

  ティンクル ・・・ 音の妖精。

  ピコ ・・・ 人間の少年。

  大王様 ・・・ 妖精達の親のような存在。

  北の森に住む魔法使い。

  泣いている子ども (兄) (妹)

  木1、2

  ピコの母親。


  その他。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


      音楽流れ、幕の間から1人の妖精(ティンクル)、
      顔を出し、手を振り歌う。

      “妖精たちの国へいらっしゃいよ
      私の歌を聞いて 幸せになるから”

      音楽変わり、幕が開く。

 ――――― 第 1 場 ――――― A

      中央(紗幕前)にティンクル立つ。

 ティンクル「私は音の妖精ティンクル!みんなを歌で包んで、
        満たすことが私の仕事なの!歌はみんなを楽しい
        気分にしてくれる!歌はみんなを幸せな気分に
        してくれるわ!!」
 
 大王の声「ティンクル!!ティンクルー!!」

 ティンクル「(回りを見回す。)大王様・・・?」

 大王の声「ティンクルー!!おまえはまた悪戯をして、他の妖精
        たちに、可笑しな歌を歌う魔法をかけたな!!」

 ティンクル「(クスッと笑う。)ばれちゃった。」

 大王の声「馬鹿もーん!!“ばれちゃった”じゃないわ!!他の
        妖精たちは、歌が止まらずにパニックになっておる
        !!」

 ティンクル「楽しいでしょ?(笑う。)」

 大王の声「楽しいだと!?みんな歌が止まらずに、困っておると
        言うのに!!しばらくおまえは、下界へ下りて反省
        してくるがいい!!ええーい!!」

      カミナリの音が響き渡る。

 ティンクル「キャーッ!!(倒れる。)」

 大王の声(エコー)「下界へ下りて、反省してくるのじゃ・・・反省
              してくるのじゃ・・・(繰り返し。)」

 ――――― 第 1 場 ――――― B


  
 

       紗幕開く。と、村外れの様子。
       (小鳥のさえずる声。)

 ティンクル「う・・・ん・・・。いたっ・・・(ゆっくり起き上がる。)もう、
        大王様ったら・・・乱暴なんだから・・・。一体、私が何
        をしたって言うの?みんなが楽しそうに歌を歌って、
        何が悪いのよ・・・。」

       音楽流れ、ティンクル楽しそうに歌を歌う。

       “歌を歌いましょうよ
       心も晴れる筈よ
       明るい気持ちになって
       何が悪いのよ

       歌は心の魔法
       歌えば元気になる
       優しい気持ちになる
       いいことばかりよ”

 ティンクル「ところで一体ここは・・・(回りを見回す。)私にこんな
        所で何をしろって言うのかしら大王様ったら!それに
        しても・・・なんだか静かな所ねぇ・・・」

        “歌があるだけで ほら
        誰もが笑顔になる
        希望が溢れてくる
        それがいけないの?

        歌に溢れてる場所
        陽のあたる暖かな
        いけないことはないわ
        私が言うのよ!”

 ティンクル「あら・・・(上手方を見て。)向こうから誰か来るわ!」

      上手より、うつむき加減に1人の女の人(ピコの母親。)
      ゆっくり登場。ティンクル、母親擦れ違う。

 ティンクル「まぁ・・・なんて暗い顔・・・。(クスッと笑う。)そうだ!
        (手に持っていた杖を振り上げ、母親の方へ振り
        下ろす。)えいっ!!」

      すると突然音楽が流れ、母親、歌を歌い出す。

      “あああああー・・・
       歌が止まらないのよ私ー・・・
       あー・・・
       どうしたの私の頭の中
       歌のことばかり
       歌のことばかり
       歌のことばかりが浮かんで
       仕方がないのよ
       私の頭の中は
       一体どうしたのかしら
       本当にね”

       ティンクル歌う。

       “歌うってなんて素敵なの
       みんなの心が明るく晴れるわ
       歌うってなんて楽しいの
       みんなが笑顔に溢れてる”

       そこへ、下手より1人の少年(ピコ)登場。
       母親を認め、驚いて慌てて駆け寄る。

 ピコ「母さん!!どうしたの!?歌なんか歌ったら、捕まっちゃう
    よ!!母さん!!しっかりして!!ねぇ、母さん!!母さん
    ったら!!」

       母親、構わず歌う。

       “ああああー・・・”

 ティンクル「(笑う。)ね!歌を歌えば自然と笑顔になるでしょ。」
 ピコ「(ティンクルを認める。)・・・歌を歌えば・・・?君が母さん
     に何かしたの?」
 ティンクル「そう!私は音の妖精ティンクル!あまりにも、その
        人が暗い顔をして歩いているから、ちょっと私の魔法
        で・・・」
 ピコ「止めて!!母さんの歌を止めてくれよ!!(ティンクルに
    詰め寄る。)」
 ティンクル「ちょ・・・ちょっと・・・!」
 ピコ「僕たちは、歌を歌うことを禁止されているんだ!!だから
    それを破ると捕まってしまう!!だから母さんの魔法を
    といてよ!!お願いだ!!」

        

  
            「歌を止めて!!」ピコ。
         (左より)ピコ・ピコの母親・ティンクル。




 ティンクル「まぁ・・・」
 ピコ「母さん!!歌うのをやめて!!」

       母親歌う。

       “ああああー・・・
       あー・・・
       あー・・・
       あー・・・
       あー・・・
       あー・・・
       あー・・・
       あー・・・
       歌が止まらない
       歌が止まらない
       歌が止まらない
       歌が止まらない・・・”

  ティンクル「仕方ないなぁ・・・(杖を振り上げる。)えいっ!!」

       と、母親歌を止め、座り込む。
    
 母親「はぁ・・・」
 ピコ「母さん、大丈夫!?」
 母親「ええ・・・」
 ピコ「よかった・・・お城の警官に見つからなくて・・・。」
 ティンクル「・・・どうして・・・?」
 ピコ「え・・・?」
 ティンクル「どうしてなの?歌は楽しいじゃない!歌を歌えば
        心も晴れて、自然と笑顔になれるのに・・・」

      ティンクルとピコ残して、紗幕閉まる。

 ピコ「僕たちは、お城に住む王様の命令で、歌を歌うことを
    禁じられているんだ・・・。」
 ティンクル「禁じられている・・・?」
 ピコ「うん・・・。昔は歌うことが大好きだった、お城のお姫様が・・・
    ある時、北の森に住む魔法使いに、煩いからと歌を取り上
    げられてしまったんだ・・・。」
 ティンクル「歌を取り上げられた・・・?」
 ピコ「(頷く。)それ以来、全く歌えなくなったお姫様は、毎日泣い
    て暮らすようになったんだ・・・。そして、それを見ていた王様
    が、あまりにも可哀相なお姫様の為に、村中の人々に、歌う
    ことを禁止したんだ・・・。」
 ティンクル「まぁ、酷い!!」
 ピコ「だから僕たちは、歌を歌っている所を見つかると、捕まって
    牢屋に入れられてしまうんだ・・・。」
 ティンクル「なんてことなの!?」
 ピコ「でも・・・可哀相なお姫様の為だから・・・」
 ティンクル「そんなの・・・そんなの可笑しいわ!!」
 ピコ「え・・・?」
 ティンクル「だって、歌はみんなを幸せにしてくれるのよ!?
        だれも歌のせいで、悲しんだりしないわ!!歌は幸せ
        にこそすれ、辛い思いになんてしないものなの!!」
 ピコ「幸せに・・・」
 ティンクル「そうだ!!」

      音楽流れる。


 
               ピコとティンクル。




 ティンクル「そんな魔法使い、やっつけに行きましょう!!」
 ピコ「え・・・?」
 ティンクル「それでお姫様にも、この村の人にも、歌を取り戻す
         のよ!!」

     ティンクル歌う。

     “行きましょう!!歌の為
     取り戻す 幸せになる為には
     歌がないと
     皆の心は沈むわ!”

 ピコ「僕・・・」

     “行きましょう!!手を取って
     2人で力合わせ
     一緒になら頑張れるわ
     心強いから!”

 ピコ「だって・・・」

     “下を向いてちゃ駄目
      歌を歌いましょうよ
      声を合わせて勇気出してね
      歌を・・・”

     ピコ歌う。

     “取り戻す為に行こう!!
      2人力合わせ
      歌を歌おうよ
      声を高らかに上げ”

     2人歌う。
     “行こう 手をつないで
      幸せの歌を歌い
      取り戻す為!!”

 ティンクル「行きましょう!!」
 ピコ「うん!!」

      2人、上手へ去る。

 ――――― 第 2 場 ―――――

      音楽流れ、紗幕開く。と、村の様子。
      上手より、1人の女の人1、小走りに登場。

 女の人1「あー、忙しい!!忙しい!!」

      下手より、もう1人の女の人2、小走りに登場。

 女の人2「あー、本当に忙しいったらありゃしない!!」

      2人の女の人、中央で少し肩がぶつかる。

 女の人1「いたっ!!」
 女の人2「いたっ!!」
 女の人1「何するのよ!!」
 女の人2「そっちこそ!!
 女の人1「私は忙しいのよ!!」
 女の人2「私だって!!」
 女の人1「もう少し道を避けて歩きなさいよ!!」
 女の人2「あなたの方こそ!!」
 女の人1「なんですって!!」
 女の人2「なんなのよ!!」

      2人、一寸下手方へ。言い合いを続ける。
      そこへ下手より、1人の子ども1、凧を片手に
      走りながら登場。

 子ども1「わーい!!凧だ凧だ!!父さんに作ってもらった
       凧だ!!」

      そこへ上手より、1人の子ども2、紙飛行機を手に
      走りながら登場。

 子ども2「わーい!!紙飛行機だ!!父さんが作ってくれた
       紙飛行機だ!!」

      2人の子ども、中央でぶつかり、尻もちをつく。

 子ども1「いたっ!!」
 子ども2「いたっ!!」
 子ども1「何するんだ!!」
 子ども2「何するんだよ!!」
 子ども1「前見て歩けよ!!」
 子ども2「そっちこそ、どこに目をつけてるんだ!!」
 子ども1「何をー!!」
 子ども2「何だとー!!」

      2人一寸上手方へ。言い合いを続ける。
      その時、上手よりピコ登場。続いてティンクル
      登場。


  
                     ※







       

          ピコと一緒に、歌を取り戻す為に“北の森”へと
          向かうことになったティンクルですが・・・
          一体どうなるんでしょうか・・・?
          それでは“2”へ参ります。












  ※ この作品の春公演時は、メンバーが少なく、その割に
    登場人物が沢山で、特にこの場面は、ティンクルちゃんと
    ピコ以外にもう4人・・・(>_<)どうしても手が足りず・・・
    考えて考えて、写真のように後ろに4体のお人形を
    串刺し状態にし、1人でその4体を動かす・・・と言った
    方法で乗り切りました(~_~メ)

0 件のコメント:

コメントを投稿